作戦


「あ、あんたは一体…。それは何の真似だ?」
ダイアナンAから降りてきたのは立体映像だった。
フォッカーはダイアナンの操縦席にまだ人がいるのかと上を見上げるが、誰もいないようだ。
代わりに目の前の立体映像(博士のような中年オヤジだ)が口を開いた。
「まず、こんな形で挨拶する非礼を詫びよう。私は司馬遷次郎。見てのとおり人間ではない」
「に、人間じゃないって…俺には人間以外の生き物にも見えないが…」
「そう、私は機械なのだ。正確には、司馬遷次郎の人格を移植されたコンピューターだ。
 本来ならば日本のビルドベースの中で、マシンファーザーとして機能していたのだが、いつの間にかあの戦艦の中にいた。
 それもなぜか小型のマシンに移植されてな。あのユーゼスという男がやったのだろうが…」
目の前の立体映像のオヤジが、「司馬遷次郎」という人間の姿なのだろうとフォッカーは思った。
立体映像は、器用なことに腕を組んで考え込んでいる。
フォッカーが切り札の事を尋ねようと口を開きかけたと同時に、司馬遷次郎が話しかけてきた。
「それで、さっきの切り札の件だが…どうかな、協力してくれるつもりはあるかね」
「今、同じことを言おうと思っていたところなんだが…いえ、敬語を使うべきですかね。変かもしれませんが、年齢的に。
 それで、切り札のことですが…話を聞かないことにはどうとも言えませんな」
「しかし君が敵に回ると……いや、その心配は杞憂か。こうして機体から降りて話をしてくれる人物だ、信用しよう」
そう言い終ると、立体映像が消えた。
フォッカーが戸惑っていると、ダイアナンの操縦席から何かが浮かび上がった。
「それ」はホバリングしながら徐々に高度を下げ、フォッカーの前に着地する。
そして、正面(と思われる)モニターに先ほどの立体映像の顔だけが映った。
「これが私の本体だ。さっきも言ったようにユーゼスの手によってかなり小型化されているがね。
 それで、さっそく話を始めよう。いいかね?」
「…あ、あぁ」

司馬遷次郎の話を要約すると、以下の通りである。
この本体には、中に入れた物体を分析する機能が備わっている。
そこで、首輪をどうにかして手に入れて分析し、解除方法を調べる。
解除できれば、爆破される心配なくヘルモーズを攻撃できるというわけだ。
だが、そのためには『誰か』の首輪を手に入れなければならない…つまり『誰か』を殺さなければならない。
どうしても殺さなければならないなら、ゲームに乗っている殺人狂を殺すしかない。
それを殺す手伝いをしてもらいたいというわけである。
司馬遷次郎自身の首輪は他とは隔絶された部分に組み込まれているため、分析することができないらしい。
ちなみに、この話は全てモニター上に文章で映し出された。話がユーゼスに筒抜けである可能性を考慮してのことだ。
「そうですか…やはり誰かを殺すしかないですね」
(ロボットに乗って戦えば、パイロットごと機体が吹き飛ぶことも多いだろう。死体からの回収は難しいからな)
司馬遷次郎も文章で答える。
「ま、向こうが明確な殺意を持って襲ってくれば、その時は戦うことに迷いはありませんがね」
フォッカーはそう言うと立ち上がり、ヘルモーズを見上げる。
「それに…柿崎の仇を打たにゃならんしな」
(では、決まったな。首輪を手に入れると同時に、ユーゼス打倒のための仲間を集める)
二人はそれぞれ機体に乗り込むと、まずは北へと向かった。


【ロイ・フォッカー 搭乗機体:アルテリオン(第二次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:A-5川辺
 第一行動方針:首輪を手に入れる(マーダーを逆に殺すか、死体から回収)
 第二行動方針:ユーゼス打倒のため仲間を集める
 最終行動方針:柿崎の敵を討つ、ゲームを終わらせる】

【司馬遷次郎(マシンファーザー) 搭乗機体:ダイアナンA(マジンガーZ)
 パイロット状態:良好 
  ※小型化マシンファーザーで、立体映像投影機と、内部に入れた物体を解析する機能がある。一応自力で動ける。
 機体状態:良好
 現在位置:A-5川辺
 第一行動方針:信用できる仲間を集める
 第二行動方針:首輪を手に入れて解析する
 最終行動方針:ゲームを終わらせる】

※…二人は、首輪の盗聴機能を常に警戒しています。
※2…首輪の解析が成功するかは不明です。小型のボディはユーゼスが用意したものなので。





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第55話「ジョシュアの予想 時系列順 第62話「卑劣な超闘士

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第43話「川の辺で ロイ・フォッカー 第82話「近くて遠くて
第43話「川の辺で 司馬遷次郎 第82話「近くて遠くて


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最終更新:2008年05月29日 03:50