冥王と巨人のダンス


闇を切り裂き、流星が空を翔る。
眼下に広がる街並みに、ほとんど明かりはない。
道路沿いの街灯だけが照らす街並みを見下しながら、流星の中に座す男、木原マサキは呟いた。
「レイ、付近に反応はあるか」
『索敵範囲内ニ、反応ハミツケラレズ』
自身の駆る蒼き流星―――レイズナーを司るコンピュータ、レイからの返答に、
マサキは表情一つ変えることなく、新たな指示を送る。
「引き続き索敵を続行しろ。何かあれば、逐一報告するんだ」
『レディ』
レイの短い返答を確かめると、マサキは肩越しに後ろを見遣った。
マサキの視界に、窮屈そうに身体を包ませた体勢でコクピットに押し込まれたルリの死体が映る。
赤い一つ目の機体に襲撃を受け、イサム達が散り散りになってから既におよそ三時間。
ルリの首輪を取り外すために、マサキはD-8付近の市街地に訪れていた。
道中、他の参加者に遭遇するようなこともなく、さしたる障害もないまま目的地に到着したのが一時間前。
今はC-8とC-7の境界付近を飛行している。
既に首輪を外せそうな場所も、ある程度の解析が出来そうな場所も目星をつけてあるが、マサキはまず周囲の偵察を行っていた。
首輪を取り外すにしても、取り外した首輪を解析をするにしても、機体から降りなくては始まらない。
もしも、近隣に参加者が潜んでいて、その隙に襲撃をかけられでもしたらたまったものではない。
事を成すのは周囲の安全を確認してからだ。それに、出来れば今のうちに補給も済ませておきたい。
『10時方向ニ、補給ポイントヲ発見』
不意に発せられたレイの機械音声に、マサキは視線をルリの死体から外しコンソールに目を移す。
すぐに新たな指示を飛ばそうとして、続けて告げられたレイからの報告に遮られた。
『並ビニ、ソノ近隣ニ二機ノ機影ヲ確認。戦闘ノ形跡、オヨビ機体ノ損傷確認デキズ』
「ふん…」
報告を耳にしたマサキはそうやって鼻を鳴らすと、口元に手をやって思考を開始する。
戦闘の形跡がないのなら、その二人の参加者は手を組んでいるとみて間違いない。
重要なのはそいつらが果たして使えるクズかどうかだ。
丁度手駒となるクズを失った現状では、早急に使えるクズを集める必要がある。
まぁ、たとえ使えないクズだったとしても、最低限首輪を解析する間の護衛にでもなればそれでいい。
こちらには首輪のサンプルと、俺の頭脳というカードがある。
仮に下らん正義感を振りかざしている偽善者が相手だったらとしたら多少厄介だが、
それでも言い包めようと思えばいくらでも言い包められる。
その辺りの言い分は、相手と接触してタイプを見極めてから使い分ければいい。
「進路変更だ、レイ。そいつらに接触するぞ。」
『レディ』
レイの返事と同時に、冥王を乗せた蒼き流星は方向を変え加速を開始した。

「…ん」
背後から聞こえた微かな唸りに、クォヴレーはシートの後ろを覗き込んだ。
見ると、後部座席で横になっていたトウマが身を起こし、首や背中の間接を鳴らしている。
「…目覚ましもないのに、よく時間ぴったりに起きられるものだな」
視線を前に戻して時計を確認しながら、クォヴレーが言う。
時刻は午前三時。二人が決めた、見張りの交代の時間だ。
「フリーター生活長いんでね。寝坊で遅刻でもしたら、クビになっちまう」
手櫛でざっと髪を整えながら、トウマはクォヴレーにそう返した。言いながらドアを開け、外に出る。
トウマがワルキューレに跨ったのを見届けて、クォヴレーも休息を取るべくシートに身を預けた。
一つ息を吐いて何気なく窓の外へと視線を向け、そしてシートに預けたばかりの身体を跳ね起こす。
月をバックに、一つの影が見えた。青い光を纏った、まるで流星と見紛うようなそれは高速でこちらへと接近してくる。
「何か近づいてくる、気をつけろ!」
「何!?どっちだよ!?」
すぐさま開けっ放しにしてあった窓からトウマに向かって叫ぶ。言われて辺りを見回すトウマに、月を指差し方向を示した。
「あっちだ!とにかくエンジンをかけろ、すぐ動けるようにしておくんだ!」
「わ、わかった!」
二人が迫る機影に備え、慌ててエンジンをかける。
しかし、相手の速度は彼らの予想を越えていた。エンジンが掛かった頃には、すでにその機体は彼らの目前へと着地する寸前だった。
着地の衝撃を和らげる為のバーニアが巻き起こす熱風を腕をかざして遮りながら、
トウマが敵意が無いことを伝えるために声を張り上げようとする。
だが、それは着地した青い機体からの通信機越しの声に遮られた。
「待ってください!こちらに攻撃の意思はありません!話を聞いてください!」
降りかかってきた声は、トウマが叫ぼうとした言葉そのままだった。

「…そうか、あんたもあいつに襲われたのか」
「はい…」
トウマの言葉に、マサキは言葉少なく頷いた。
マサキは機体から降り敵意が無いことを示した上で、イサム達にそうしたように本性を隠したまま今まで起こったことを話していた。
どうも最初に戦ったあの赤い可変機は、自分と遭遇する前にこのトウマと名乗った青年を襲撃していたようだ。
思わぬところであの時の戦闘が功を奏した。同じ相手に襲われたということで、知らず自分の境遇と重ねて信用を得ることが出来る。
その後イサムと合流し、アキト、アクセルとも合流したが、赤い一つ目の機体に襲われバラバラになってしまったことを続けて伝える。
だが、ルリのことだけは伏せておいた。
幸い、彼らの視点からではレイズナーのコクピットは死角になる。こちらから見せようとしない限り、死体に気付かれることは無い。
ルリのことを打ち明けるのは、彼らに利用価値があるかどうか確かめてからでも遅くはないだろう。
「ところで、お二人の機体ですが…さっき、ただの車とバイクだって言ってましたけど…」
「言葉の通りだ。それとも、こいつがロボットに変形するようにでも見えるか?馬鹿馬鹿しい。アニメじゃあるまいに」
二人の戦力を測るべくそう切り出したマサキに、ブライサンダーの座席からクォヴレーがハンドルを叩きながら吐き捨てた。
「それじゃぁ、本当にただの車とバイク…?」
「あぁ」
腕を組み、苦虫を噛み潰したようなしかめ面で心底忌々しそうにクォヴレーが肯定する。嘘を付いてるようには見受けられない。
「ま、こんなんじゃ頼り無いって思われても仕方ないけどさ。
それでも、頭数が揃ってるってのは心強いだろ?そっちさえ良かったら、一緒に行動しないか?」
ワルキューレに跨ったトウマの言葉に、マサキはそちらへ顔を向ける。
「はい、僕で良ければ、一緒に行かせてください」
笑顔を浮かべ、口ではそう言いながら、内心でマサキは舌打ちをした。
使えないクズと遭遇する可能性も考慮してはいたが、
まさかただの自動車とバイクを支給されているクズがいるとは流石に思ってはいなかった。
もしかすると何か使える機能でもあるのかと思って話を聞いてはみたが、
話し振りから察するに本当にただの車とバイクらしい。全く、あの主催者もいい性格をしている。
これでは使う使えない以前の問題だ。
トウマとかいう男はともかく、クォヴレーとやらはパイロットとしては多少有能そうだが、機体がこれでは話にならない。
わざわざこいつらでも戦える機体を探すより、
最初からまともな機体を支給されているクズを手駒にする方が戦力増強として手っ取り早いのは明白だろう。
こんな奴らと遭遇するとわかっていれば、解析に役立ちそうなルリを殺すこともなかったと言うのに。
(…まぁ、いい)
結果的に多少裏目にはなったが、そもそもルリを殺していなければこいつらと遭遇することも無かった。
過ぎたことをいつまでも引きずったとして、今の状況が好転するわけでもない。
それに、クズはクズなりの使い道がある。
なにせあの主催者のことだ。首輪に何か仕掛けを施してある可能性も充分考えられる。予備の一つがあってもいいだろう。
邪魔をされないようにどちらかを殺し、残った方の首輪を奪うとしよう。
方針は決まった。ならば後は行動を起こすのみだ。
「そうだ。この辺りに、補給ポイントはありませんか?出来れば補給を済ましておきたいんですが…」
殺意を内に潜ませたまま、マサキは二人にそう切り出した。この辺りに補給ポイントがあるのは確認してある。
場所を示されれば補給をしに行く、と言って機体に戻ればいい。
仮に場所を知らなかったとしても、もう少し辺りを見回してくるとでも言えば済むことだ。
「ああ、それならすぐそこだ」
マサキの目論見どおり、トウマが顎をしゃくって少し離れた場所を示す。
「わかりました。それじゃぁ、今のうちに補給をしてきます」
本性を隠した口調の裏でほくそえみながら、マサキはレイズナーへと駆け出した。

その後ろ姿を見送って、トウマは改めてレイズナーを見上げる。
初めにこんなバイクを支給されてどうなることかと嘆いたが、クォヴレーに続いてまた一人仲間を得ることが出来た。
しかも、今度は俺達と違ってまともな機体を支給されている。
楽観視するわけではないが、この調子で行けばアルマナの仇を討つことも、あの主催者を打倒する事も出来るかもしれない。
マサキが乗り込み、レイズナーの双眸に光が灯る。
その光を、トウマは期待と希望を込めて見つめ―――。
「…え?」
―――次の瞬間、その想いは自らに向けられたレーザード・ライフルの銃口に打ち砕かれた。
銃口の奥に、光が集まっていくのがひどくゆっくりと見える。
まさにその光が放たれんとした刹那、後方からニ条の光線がレイズナーに襲い掛かった。
咄嗟に宙へと逃れ、レイズナーはその光線をかわす。
射撃の直前に姿勢を乱されたレイズナーのライフルは、トウマのすぐ脇へと着弾した。
「逃げるぞ、トウマ!!」
その声と共に、先ほどの光線―――ヘッドライトビームを放ったブライサンダーが、トウマの脇をすり抜けて行った。
「あ、ああ!」
遅れて、トウマもワルキューレを発進させる。次の瞬間、それまでトウマのいた位置へとレーザーが撃ち込まれた。
「くそ…猫被ってやがったのか、外道め!」
駐車場を飛び出し、道路を併走しながらトウマが吐き捨てる。
ぎり、と音が鳴るほどに奥歯を噛み締め、苛立ちをぶつけるかのようにワルキューレをさらに加速させた。
「おそらく、俺達を利用しようとしたんだろう。機体が使えないとわかって、手の平を返したんだろうさ」
「けど、お前よくあいつが俺達を騙してるって気付いたな?」
隣を疾駆するクォヴレーに、ふとトウマが問いかけた。
「確信があったわけじゃない、最初から信用などしていなかっただけさ。
信頼できる相手だとわかるまでは、警戒を続けるつもりだった。気付かなかったか?お前の時もそうしてたぞ」
「何!?そうなのか!?」
その言葉にトウマが声を荒げる。
「そのおかげで助かったんだ、文句は言うなよ!来るぞ!」
バックミラーには、既に追いすがるレイズナーの姿が映っている。
咎めるようなトウマの口調にそう切り返し、クォヴレーはハンドルを切った。
「ええい、くそ…!」
トウマも同様にハンドルを切って、放たれたレーザーをかわしていく。
「ふん、ただの車ではなかったと言うわけか」
レイズナーのコクピットで、射撃を掻い潜り逃走する二人を見下ろしながらマサキがごちる。
先ほどのビームもそうだが、この動き。ただの車と言うには運動性が高すぎる。
尤も、その程度でこちらの優位は揺らぎもしない。
言ってしまえば、これは狩りだ。
大きすぎる戦力の差は、何が起ころうと覆りはしない。その戦力差の中で行われる行為は、戦闘ではなく狩りでしかない。
「…くく」
唇を吊り上げ、冥王が笑みを浮かべる。
ならば楽しもうではないか。無様に這いずり回って、精々俺を喜ばせるがいい。
「ふははははは!さぁ、逃げろ逃げろ、逃げ惑え!
けっして抜け出せぬ泥の中で足掻くだけ足掻き、俺の足にすがって惨めに命乞いをして見せろ!!」
冥王の凄惨な叫びが夜の闇にこだまする。
それに呼応するかのように、レーザーが逃げる二人に向かい撒き散らされた。

「ちぃ…!奴め、こっちが手を出せないと思っていたぶるつもりか!」
車体を掠めて着弾するレーザーを、クォヴレーは巧みなハンドル操作でどうにか切り抜けていく。
だが、それも長くは続きそうもない。このまま逃げても、いつかはやられる。
「こっちだ、クォヴレー!」
降り注ぐレーザーの雨の中を掻い潜り、トウマはビルとビルの間の狭い路地へと逃げ込んだ。
それを追って、ブライサンダーも路地へと入っていく。
壁にぶつかり、サイドミラーが吹き飛んだ。だが、今はそんなことに構ってなどいられない。
「遅いぞ!もっとスピード出せよ!!」
「無茶を言うなッ!」
車体を壁にこすり付けながらも、アクセルを限界まで踏み込んで前方を走るワルキューレに叫び返す。
あの機体も相当な小型機だが、人間でさえ狭く感じるこの路地までは追ってこれないだろう。
追いかけるには、ビルを越えてくるしかない。僅かだが、時間が稼げるはずだ。
「通りに出たら、またすぐ同じような路地を見つけてそこに逃げ込むぞ!!それを続けて撒くしかない!」
「わかった!」
咄嗟に立てた逃げる算段をトウマに伝えると同時に、路地を抜けた。
二人はすぐさま、ブライサンダーが通れる幅の裏路地を探すため目を光らせる。
「よし、あそこだ!」
クォヴレーが次に逃げ込む路地に目星をつける。
そして二人がその路地へ向かって進もうとした次の瞬間、左手のビルの壁が吹き飛んだ。道路一面に瓦礫が撒き散らされる。
「何!?」
何が起きたか判断する前に、瓦礫を避けるためクォヴレーは咄嗟にブレーキをかけた。
ほぼ最高速に近い状態からの急ブレーキに、自然と身体がつんのめる。
半ばハンドルに頭を押し付けるような格好でどうにか堪え、車は停止した。
「く…一体何が…!?」
そう言って顔を上げたクォヴレーの視界に移ったのは、崩れ落ちるビルをバックに宙に佇む、冥府の王を乗せたレイズナーの姿だった。
「野郎…ビルの壁をぶち抜いて、追ってきたのか…!」
悠然と浮遊するレイズナーを睨みつけ、トウマが呟く。
「ふん。所詮はクズか、もう終わりとはな。茶番はここまでだ」
先程までの気弱な態度から一変したマサキの声と共に、レイズナーの腕がゆっくりと上げられ、
手にしたレーザード・ライフルの銃口がブライサンダーへと向けられる。
そして、トウマが何かに気付く。だが、それは僅かな違和感。そして、今の状況は余計な事に関心を払うことを許さなかった。
その異変に、まだ誰も気付かない。
(まずい…)
ハンドルを握り締め、自らに向けられた銃口を睨みながらクォヴレーはこの状況を打破するための考えをめぐらせた。
反転するにも、時間が掛かりすぎる。こんな状況ではいい的だ。
だからと言ってこのまま突っ込んでも、倒壊したビルの瓦礫が邪魔でこれ以上進むことが出来ない。
(くそ…どうする。どうすればいい…!)
なんとか出来ないか。何か手は無いのか。
この状況をひっくり返す何かを探し、クォヴレーは辺りを見回して、その異変に気付く。
僅かだが、地面が揺れていた。そしてその揺れは、段々と大きくなっていく。
(なんだ…?何が起こっている!?)
そしてその異変に、空中のマサキもまた気が付く。
『近隣一帯ニ振動ヲ感知。並ビニ、新タナ機影ヲ確認』
「何!?場所は何処だ、方角は?」
『距離ハオヨソ30M。方角ハ―――』
レイからの報告に、マサキは目を見開く。そして、続けて語られた報告に言葉を失った。
『―――私達ノ真下デス』
「な―――!?」
レイの言葉が終わると同時。レイズナーの真下にあったマンホールが、突如として吹き上がった。
「ッ!?レイ、後方に下がれ!避けろ!」
『レディ』
マサキの咄嗟の指示に、レイズナーはとんぼ返りをして後方に下がる。
そのレイズナーを掠めるようにマンホールは天高く舞い上がり、そして甲高い音を立て地面へと落下した。
次の瞬間、それは轟音と共にマンホールの落ちた地点の道路を突き破って出現した。
灯の落ちた街中にあって、煌々と輝く二つの眼光が照らす、鉄の貌。
瓦礫を纏うその身は、鈍く彩られた鋼の肉体。
鉛色の拳を握り締め現れたそれは、正に鋼鉄の巨人。
呆然とこちらを見上げる車とバイク、そしてこちらへと銃を向け宙に佇む青い機体を交互に見比べ、巨人の中に座す男は呟いた。
「―――ビッグオー、ショータイム」

たまたま地下道の入り口を見つけ、その中を探索していた折に地上の騒動に気付いたのは僥倖だった。
見れば、青い機体の背後に倒壊したビルがある。地下にまで聞こえてきたのは、あのビルの倒壊する音だろう。
「ま、待ってください!僕は戦うつもりはありません!話を聞いてください!」
青い機体から通信が入る。頭部のキャノピー越しに、気弱そうな少年が見えた。
「騙されるな!そいつはそう言っといて、いきなり襲い掛かってきたんだ!」
その声を聞き、今度はバイクに乗った青年が叫んだ。敵意を剥き出しにして、青い機体を睨みつけている。
「騙そうとしているのはそっちだろう!僕を仲間に誘って油断させておいて、いきなり攻撃してきたくせに!!」
「何だと外道!出鱈目を言うな!」
メガデウスを挟んだまま言い合いを始めた二人に頓着せず、イングラムは青い機体に向け通信を開く。
「戦うつもりが無い、と言ったな。それは、ゲームに乗っていない、ということか」
「はい!僕はこんな馬鹿げたゲームなんて…」
マサキが全てを言い終えぬうち、イングラムは通信機の声を遮って言い放った。
「ならば、その少女の死体はなんだ」
「…っち!」
途端、それまでの大人しい印象を受ける表情をかなぐり捨て、
邪悪そうに両目を吊り上げるとマサキはメガデウス目掛けてレーザーを撃ち放った。
キャノピーに遮られただけのコクピットが仇になった。
咄嗟に状況を混乱させようとしたが、この相手は予想以上に周りをよく見ている。これ以上何を言ったとて無駄だろう。
ならば、仕方ない。邪魔をするというなら、あのクズ二人諸共殺してやる。
しかし、放たれたレーザーはメガデウスの掲げた右腕に易々と弾かれた。
続けて飛来するレーザーを全て受け止めながら、イングラムは背後のクォヴレー達に通信を開く。
「行け!こいつは俺が引き受ける!」
「く…すまん!」
その声を受けて、トウマはそう言うとワルキューレを反転させ逃げようとする。
だが、その声を受けてもクォヴレーは額に手を押し当て俯いたまま、微動だにしなかった。
「おい、どうしたクォヴレー!」
「早くしろ!巻き込まれるぞ!」
動かないクォヴレーに業を煮やしたイングラムとトウマが叫ぶ。
それにクォヴレーは漸く顔を上げ、一瞬だけ何か躊躇するような素振りを見せた後、メガデウスに向かって声を張り上げた。
「あんたの名前は!?」
「クォヴレー!?こんな時に何言ってんだ、早く逃げるぞ!」
しかし、そのトウマの言葉を無視して、クォヴレーは続けて叫ぶ。
「名前だ!答えてくれ!」
「イングラム・プリスケンだ!早く行け!」
逃げようとしないクォヴレーに半ば苛立ちをこめて、イングラムが答える。
「イングラム・プリスケン…。俺は…俺はクォヴレー・ゴードン!死ぬなよ、イングラム・プリスケンッ!!」
その名を反芻するようにもう一度呟き、次いで自分の名を名乗るとクォヴレーはようやく車を反転させ、逃走を開始した。


「ち、クズ共が…!」
メガデウスの目から発射されたビームを避けながら、マサキは遠ざかっていくワルキューレとブライサンダーを睨みつけた。
再び飛来したビームをまたも避けると、今度はイングラムと名乗った鉄の巨人を操る男に向かって叫ぶ。
「あんなクズを助けるということは、犠牲者を出さずにこのゲームを止めるつもりか!?
甘いな!そんな事では生き残れんぞ!そんな理想論が、本当に実現できるとでも思っているのか!!」
叩きつけた言葉とともに、手にしたレーザード・ライフルからも幾条ものレーザーを発射する。
だが、それもまた両腕を構えて防御の体制を取ったメガデウスの重圧な装甲の前に虚しく弾かれた。
眼前に翳していた両腕を下ろし、イングラムはモニターに映る青い機体を見据えて通信機に向けて口を開く。
「…手の掛かる部下がいてな。お前のいう理想論を本気で振りかざして、このゲームを止めようとしている」
言いながら、イングラムは脇のコンソールを拳で叩く。
その衝撃でカバーが開き、その下から規則正しく並んだいくつものボタンが現れる。
手の平全てを使ってそれを押すように、開いた手をボタンに叩きつけながらイングラムもまた叫んだ。
「ならば、部下のために手本を示してやるのが、教官としての勤めというものだろう!」
メガデウスの胸が展開する。次いで、無数のミサイルがレイズナーへと向かって発射された。
「…クズがッ!」
吐き捨てると、マサキは飛来するミサイルの雨に突っ込んでいく。
速度を落とすどころか、更に加速してミサイルの雨を潜り抜け、レイズナーはメガデウスに肉薄する。
接近してくるレイズナーを迎撃するべく、メガデウスが拳を振りかぶった。
しかし、その迫り来る腕をもすり抜けるように回避してナックルカバーを展開させると、レイズナーはメガデウスの顔面を殴りつけた。
額から頬にかけて、右目を横断するように傷が走る。
(損傷はあれだけか…武装を一つ奪ったのはいいが、これでは接近するリスクに釣り合わん!)
追撃の拳を避けて距離を離しながら、マサキは歯噛みした。
相手はかなりの重装甲。レイズナーの武装では、倒すことはおろかまともな傷をつけることさえ難しい。
たった一つ。切り札を除いては。
なるべくならば温存しておきたい切り札だったが、背に腹は変えられない。
それしか通用する武装が無いというのなら、躊躇いはしない。
「レイ!!V-MAX発動だ!!」
『レディ!』
両腕を掲げるメガデウスを睨みつけ、マサキはレイに叫ぶ。
その言葉に呼応して、レイズナーが青い光を放ち輝き出す。そして、眩いばかりの光を纏い、レイズナーは蒼き流星と化した。
大きくバク転をするように宙を旋回し、輝く粒子を撒き散らしながらメガデウスへと向かっていく。
(―――速い!?)
その速度は、ただでさえ素早かった今までの比ではない。
離れたはずの距離を一瞬にして詰めてきたその光景に、イングラムは目を見開いた。
クロム・バスターを放つべく掲げていた左腕を咄嗟に防御へと回す。
蒼き流星と、鉄の巨人が激突した。
その衝撃に、巨人の足が後ろへと下がる。流星を受け止めた左腕の装甲が、メキメキと音を立て抉られていった。
(バカな…これだけのサイズ差がありながら、押し負けている!?)
三分の一程度のサイズでしかないレイズナーに、メガデウスが押し戻されている。信じられない光景だった。
だが、たとえ信じられない光景だったとしても、それは目の前で起きている紛れも無い事実だ。
このままでは左腕がもっていかれる。いや、それどころか、左腕をぶち抜いて胴体にまで風穴を開けられてしまう。
「く…やらせるかッ!」
惚けている時間など無い。叫ぶと同時、左腕を右腕で押し退けるようにして、力任せにレイズナーの体当たりを受け流した。
金属の抉れる耳障りな音と共に、レイズナーがメガデウスの脇を擦れ違う。
いなされたレイズナーは、体勢を立て直すこともせず勢いそのままにいくつものビルをまるで無いも同然のようにぶち抜くと、
大きく旋回し再びメガデウスへと突っ込んできた。

(何らかのエネルギーフィールドを張った体当たりか!?しかしあの速度と破壊力…並じゃない!)
凄まじい速度で迫る蒼き流星に戦慄を覚えながらも、イングラムは足元のペダルを蹴りつけた。
すぐさま、シートの後ろから別なペダルの載った新たな床がコクピットに展開される。
確かにあの破壊力は危険だ。だが、この武装ならば、あれにも対抗することが出来るはず。
問題は、その速度。あれだけの速度であれば、下手に放ったところでかわされるのがおちだろう。
だからといって引き付け過ぎては、こちらの切り札が発動するより早く体当たりの直撃を食らうことになる。
全ては一瞬、刹那のタイミングで決まる。その瞬間を、逃すわけにはいかない。
メガデウスの腕と肩が展開した。
そして、メガデウスを中心として赤い球状の光が広がっていく。
『警告、目標ニ高エネルギー反応』
赤い光を纏ったメガデウスに、レイが警告を発する。
「この期に及んで何をするつもりかは知らんが、もう遅い!そんなものでV-MAXは止められん!」
だが、マサキはその警告を無視し、巨人へと向かっていく。
(―――今だ!)
その動きに合わせ、イングラムは新たに出現したペダルを踏み込んだ。
メガデウスがレイズナーへと両の拳を向け、その展開された腕から紅の光が溢れ出す。
「何―――ッ!?」
その不敵な表情を驚愕に歪めたマサキを嘲笑うように、メガデウスを包んでいた光が膨れ上がった。
自らの立つ道路も、規則正しく並ぶ街路樹も、周りを取り囲むビルをも飲み込んで、光は膨張を続けていく。
迫り来る流星を飲み込まんとするために。
「レイ!全速で右へ旋回しろ!」
『レディ!』
危険を察知したマサキが、すぐさまレイへと指示を飛ばす。光の壁を避けるため、青き流星はその進路を右へとずらした。
だが、更に膨れ上がる光の壁がそれを許さない。
青い光を纏った流星と、巨人を中心とした赤い光の壁が接触した。
二つのエネルギーフィールドが相反し、バチバチと音を立て火花を散らす。
それでも、光の膨張は止まらない。
(いかん…!このままでは飲み込まれる!)
V-MAXの光がどうにか赤い光を抑えているが、それも今に破られる。
「レイ!左足のカーフミサイルを放て!反論は許さん、やれッ!!」
マサキの叫びの後、すぐさま左足からカーフミサイルが放たれた。
放たれたカーフミサイルはすぐに光の壁と接触し、レイズナーのすぐ脇で爆発を起す。
その爆風の助けを借り、レイズナーは赤い光の檻から辛くも脱出した。
「この空域を離脱するぞ、レイ!最大速度だ!」
『レディ』
揺れるコクピットの中、マサキはレイに撤退を指示した。
こちらの武装はこれで出し尽くした。通用するのは、V-MAXのみ。
だが、それも向こうにあのような武装があるのでは勝つことは難しい。悔しいが、ここは退くべきだ。
素早く現状を判断し、マサキはその結論へと到達した。
そして流星は、最初の突進を受け流されたときと同じように、
体勢を立て直すことも無くそのまま夜の闇を切り裂いて飛び去っていった。

「…あのタイミングで、避けるとはな」
メガデウスのコクピットで、イングラムは緊張を解き、息をつく。
既に豆粒ほどの大きさになったレイズナーの後ろ姿を見送った後、メガデウスの左腕に視線を向けた。
無残にも装甲を抉られ、ボロボロになった左腕が見えた。これでは防御に使うのは厳しいだろう。
試しに操縦桿のスイッチを押してみると、
ギギ、と金属の擦れる音を立てたものの、ストライク・パイルはきちんとせり上がってくれた。
サドン・インパクトを使う分には、問題はなさそうだ。
反応もやや鈍くなったように感じるが、幸い駆動系自体にも損傷はないらしい。
(あと少し押し退けるのが遅れていたら、腕ごと持っていかれたな)
もしメガデウスにプラズマ・ギミックが搭載されていなければ、やられていたのはこちらだっただろう。
今回は機体の性能に助けられた。
撤退した方こそあの青い機体だが、殆どの武装を無効化出来、
かつこちらを打倒し得る切り札にも明確な対応策を持っていながらもこれだけの損害を受けた。
これでは痛み分けというにも程遠い。こちらの敗北と判断してもいいくらいだ。
恐るべきは、あのパイロット。
持てる武装の殆どが通じないと判断するや否や、躊躇無くジョーカーを切り、
かつ、必殺のタイミングで放ったはずの反撃を、自らはなったミサイルの爆風を利用して回避する。
そして、自分の戦力では勝つことは難しいと見切ってからの即時撤退。
その全てが素早く、そして的確な判断だ。
あの参加者を放置すれば、おそらくは更なる被害者が出る事になるだろう。
だが、メガデウスでは奴の機体について行くことは出来ない。
ゲームに乗った人間を放置するのは気がかりだが、
初めから追いつけないとわかっている相手を追うよりも、今は他にやるべきことがある。
ここですべき事は終わった。そう言わんばかりに、イングラムはメガデウスの踵を返す。
そして、重奏な足音を奏でながらメガデウスは夜の街へと消えていった。

「…ちっ」
V-MAX発動後の放熱を行うレイズナーのコクピットの中で、マサキは幾度目になるかもわからない舌打ちを漏らした。
腕を組み、先程の戦闘を振り返る。
あのまま突っ込んでいれば、やられていた。それをミサイルの爆風を浴びただけに抑えられたのは幸いだろう。
その爆風も、直撃したわけではない。V-MAXも発動していたし、損傷らしき損傷はないと言っていい。
全く、厄介な機体を支給された参加者もいたものだ。先程の車とバイクとは雲泥の差ではないか。
だが、それでも恐れるには足りえない。
確かに厚い装甲と強力な火力を有した機体ではあったが、反面機動性はかなり低い。
もし次に出会ったとしても、レイズナーの機動力なら逃げることは簡単だ。
撤退を余儀なくされたことは癪ではあるが、その程度の事で命を危険に晒すつもりはさらさら無い。
何も、俺自身が手を下す必要は何処にも無いのだ。
極端に言ってしまえば、周りの参加者全てが敵となり得るこのゲームで、相性の悪い相手に執着するなど愚の骨頂。
自分の手で倒すことが難しいのであれば、他のクズにやらせればいい。
幸い奴の名は知ることが出来た。これから出会う奴らに適当なデマでも吹き込んでやれば、後々効果をあげてくれるだろう。
それに、クォヴレーとトウマと言ったか。
奴らがもしイサムやアクセルと接触すれば、少々面倒なことになるおそれがある。
だが、機体があれではどうしようもあるまい。放っておいてもそう遠くないうちに野垂れ死ぬだろう。
念の為、イングラムと同様にこれから会う連中にデマを吹き込んでおけばいい。
そんなことよりも、今成すべき事は決まっている。
腕を組んだままマサキは背後を振り返り、ルリの死体を確かめた。
そう。まずは、ルリの死体から首輪を外すことが先決だ。
解析を終わらせ首輪を外すことが出来れば、それを餌にクズを釣る事も出来る。
考え事をしている間に、どうやら機体の放熱も済んだようだ。地図を広げ、この市街地以外で首輪の解析が可能そうな場所を探す。
(近いのはE-1の廃墟だが…首輪を取り外すことならともかく、解析できるかどうかとなると疑問が残るな。
だが、先に首輪を外すだけ外しておくというのも手か。他には、A-1の市街地とG-6の…これは、基地か?
この二箇所か。さて、どこに向かうか…)
明確な目的地を定めぬまま、冥府の王を乗せた流星は空を駆け抜けていく。

「ここまでくれば、大丈夫だろ」
そういってトウマはワルキューレのエンジンを切り、コンクリート剥き出しの天井を仰ぐ。
突如として現れた鋼の巨人に助けられ、マサキの手から逃げ出したトウマとクォヴレーは、
途中で発見した身を隠すことの出来そうな地下駐車場にいた。
「なぁ、クォヴレー。さっきは一体どうしたんだ?らしくなかったぜ」
それにならってブライサンダーのエンジンを切ったところで、トウマがそう問いかけてきた。
あの時、逃げようともせず無理に名前を聞き出したことを言っているのだろう。
「…名前を知っていれば、放送で生死がわかる」
ハンドルに身を預け、額に手を押し当ててクォヴレーはそれだけ言った。
「そりゃぁそうだが…何も、あんな状況で無理に聞きだそうとしなくたって…」
「あの男の声を、どこかで聞いたような気がするんだ」
呆れたようにトウマが言うのを聞かず、半ば独り言のように呟く。
「それって…」
「…確信は無いがな」
あの時、イングラムと名乗った男の声を聞いたときのことを思い出す。
酷く懐かしいような、まるで、他人とは思えないような声だった。
「あの男なら、俺の記憶の手がかりを持っているかもしれない」
ハンドルから身を起し、クォヴレーは駐車場の奥―――今、二人で逃げてきた方向を見据える。
「声に聞き覚えがあるんだろ?記憶を失くす前の知り合いとかかもしれないじゃないか」
「…どうだろうな」
希望の込められたトウマの言葉に、しかしクォヴレーはかぶりを振った。
「知り合いだったと言うなら、俺が名乗ったときに何かしら反応があってもよかったはずだ。
だが、あの男は俺の名を聞いても何のリアクションも示さなかった。知り合いだった、という線は薄いだろうな」
「そうか…。でも、知り合いじゃないんなら、一体…」
「俺が一方的に知っていただけ、と言う可能性もある。どの道、もう一度ヤツと会わねばなるまい」
「そうだな。なら、とりあえずこれからの方針はあのイングラムって奴を探す、って事か」
「あぁ。だが…」
「だが?」
途中で言葉を切ったクォヴレーをいぶかしんで、トウマがその続きを促す。
「もう一度彼に会うために行動すると言うことは、必然的にゲームに乗った相手と遭遇する危険が高まると言うことだ。
もし、またそういった相手に遭遇すれば、逃げ切れる保証など無い」
真面目な顔でトウマを見つめ、クォヴレーはそう切り出した。
「だから、ここから先は俺一人で―――」
「バカ言うなよ」
クォヴレーの言葉を遮り、トウマはそう言って笑い飛ばした。
「ここまで首を突っ込んじまったんだ。今更引けるわけが無いだろ。
それに、あんたの記憶には、あの主催者を倒す鍵があるかもしれないんだろ?
あんたの記憶を取り戻すって事は、引いては主催者打倒に繋がるかも知れないんだ。多少の危険くらい、覚悟の上さ」
そして、信頼の篭った眼差しで、クォヴレーに笑顔を見せる。
「…すまない。恩に着る」
「気にするなよ、仲間だろ?俺達」
それにつられ、クォヴレーもまた微笑を浮かべ頭を垂れた。



【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:サイドミラー欠損、車体左右に傷(変形不能)
 現在位置:C-8地下駐車場
 第一行動方針:放送を聞いた後、イングラムを捜索する
 第ニ行動方針:トウマと共に仲間を探す
 第三行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す】

【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
 パイロット状態:良好、頬に擦り傷、右拳に打傷
 機体状況:良好
 現在位置:C-8地下駐車場
 第一行動方針:放送を聞いた後、イングラムを捜索する
 第ニ行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す
 備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:やや苛立ち
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:D-7草原上空
 第一行動方針:ルリから首輪を外す
 第二行動方針:はずした首輪を解析する
 第三行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】
 備考:これから接触する相手にはイングラム、クォヴレー、トウマを貶める嘘を吐く
     コクピットにはルリの死体を乗せてある

【イングラム・プリスケン 搭乗機体:メガデウス(ビッグオー)(登場作品 THE BIG・O)
 パイロット状態:健康
 機体状態:装甲に無数の傷。左腕装甲を損傷、反応がやや鈍っている。
        額から頬にかけて右目を横断する傷。右目からのアーク・ライン発射不可
 現在位置:C-7ビル街
 第1行動方針:空間操作装置の発見及び破壊
 第2行動方針:出来うる限り争いを止める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【二日目 4:30】





前回 第139話「冥王と巨人のダンス」 次回
第138話「リーダーは誰だ? 投下順 第140話「放送(第2回)
第121話「移動・攻撃・[説得]・待機 時系列順 第127話「修羅と少女

前回 登場人物追跡 次回
第122話「仇の約束 クォヴレー・ゴードン 第164話「人間式の弔い方
第122話「仇の約束 トウマ・カノウ 第164話「人間式の弔い方
第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者 木原マサキ 第147話「内と外の悪鬼
第137話「歪む世界 イングラム・プリスケン 第157話「銃の系譜


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年01月14日 00:58