主スイート

貴方に届け2

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
あれから毎日喫茶店に通う
彼の名前は沢田だそうだ
胸元についている名札に書いてあった

今日もこれば彼の高い声が聞こえてくる
「いらっしゃいませ。今日もてくれたんですか?」
「うん、ちょうど休憩中でね」
「今日も珈琲ですか?」
どうしようかな・・・ね、君のお勧めは何?」
「え?お勧め・・・ですか・・・・え・・・えーっと・・・」
「うん」
「暑いですし、雲雀さん珈琲好きみたいですし・・・冷カプチーノなんてどうですか?最近新しく出来たんです」
「うん、それでいいよ」
「はい、それじゃちょっと待っててくださいね」

昔は人が少ない窓側が好きだった
でも今は彼が見えるカウンターが好き
彼の一瞬一瞬を目に焼き付けるようにいつも眺める
厨房の中は暑くておでこに張り付いた髪の毛を書き上げるしぐさ
すべてが僕の興味を引いていく

しばらくしてカウンターに先ほど言っていた冷カプチーノを持ってきた
カウンターに置かれたカップの中には綺麗とはいえない描かれたハートの模様

「これ・・・・君が書いたの?」
「//は、はい・・・恥ずかしいです・・・形が崩れ崩れだ」
「いや・・・別に」

なんて可愛いことをしてくれるのだろうか・・・
よりによってハートだなんて・・・

「それじゃ、ごゆっくりしていってくださいね」
一言いってこの場から去っていく彼の手を僕は何かにとりつかれたように腕をつかんでいた

「あ・・・ごめん・・・・」
「いえ、どうかしましたか?」
「・・・・」
「?」
「っ、明日・・・とかあいているかい?」
「明日・・・ですか?うーん・・・・ちょっと待っててください、店長に聞いてきますね」

パタパタと遠のいていく足音

自分は何を言っているのだろうか・・・・
明日も自分は変わらず父の会社へいかなけれなならないというのに・・・

「あの、明日あいてますよ。店長が休みくれるって」
「本当?」

まただ・・・僕は明日の会社のことなんか考えず日目の前の子のこの腕をつかんで聞き返している
かって欲しかったオモチャを買ってもらえた子供のように

「はい」
「それじゃ・・・一緒に出かけようよ」
「あ、それいいですね。何処にいくんですか?」
「わからない。けど明日一緒にどこか行こう」
「いいですよ」
「それじゃ・・・待ち合わせは明日の朝9時のこのお店の前でいいかい?」
「はい、ぜんぜんいいですよ」
「それじゃ、まだ俺仕事あるんで」
「うん」

また遠のいていく背中を見ながらカプチーノを口に含む
苦さの中にある甘い味

今考えなければならないのは明日会社はどうするか・・・・
考えるや否やポケットから携帯を取り出した

父の携帯に電話を掛ける
仕事中の中留守番センターに繋がる
ブチリと切るとカウンターに置くとまた口の中に含んでいく
まだ明日休みが取れるかもわからないのに
明日何処にいこうだとか
お昼には何を食べようとか頭の中で想像する

人と何処へ行く予定をしてこんなに楽しいのも彼と出会ってからだ
白黒だった世界が一気にカラーになった気分だった

飲み終わったカップをそのままに携帯をポケットに戻してレジへ向かう

「220円です」

300円を出しておつりをもらって外へでる
むっとした空気が頬をなで上げる

突然なる携帯
ポケットに手を突っ込んで開くと父親から

「はい」
『どうした、恭弥』
「明日、休みをいただけますか」
『あぁ、かまわんよ。何か予定か?』
「はい、ちょっと・・・・」
『そうか、あぁ今日も特にすることがない。別にそのまま帰っても構わんよ』
「はい」

電話の向こうで女性の声がする

『すまん、今忙しいんだ・・・それじゃな』

ぷつりと切れた後ツーツーツーと音が聞こえてきて携帯を閉じる
一度会社の駐車場へ戻るとバイクにまたがりヘルメットを被る
愛車のバイクをブルンブルンと音を鳴らして帰路へとついた
頭の中を占領するのは明日の事だけ

何をして、あの子を喜ばせてあげようか
どうしたら喜んでくれるのかと・・・


  



-

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー