前田夕暮(1883-1951)は、明治・大正・昭和期の歌人。本名は前田洋造。
略歴
人物像
歌集
- 第一歌集『収穫』(1910)易風社
- 第二歌集『陰影』(1912)白日社
- 第三歌集『生くる日に』(1914)白日社
- 第四歌集『虹』(1928)紅玉堂書店新歌集叢書
- 第五歌集『水源地帯』(1932)白日社詩歌叢書
- 第六歌集『烈風』(1943)鬼沢書房
- 第七歌集『耕土』(1946)新紀元社
代表歌
馬といふ獣はかなし闇ふかき巷の路にうなだれてゐる
風暗き都会の冬は来りけり帰りて牛乳のつめたきを飲む
木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな
君が唇闇のなかにもみゆるほどあかかりし夜の強きくちづけ
卵ひとつありき恐怖につつまれて光冷たき小皿の中に
向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ
卓上の銀の時計に打ちひびく暴風する夜の海の鳴底
自然がずんずん体のなかを通過する――山、山、山