私の弱さ

私の弱さ



私は、周囲から期待されてきた・・・しっかりしていると思われてきた・・・
それを苦に思ったことはないが、プレッシャーにはなっていた。

昔から彼女はみんなを引っ張っていた。どんなときも

先頭に立っていた。でもそれが辛い時もあった。

私は、長女であり、そのために周囲からはしっかりしていると言われるが私はそうは思ったことはない・・・
それは、幼馴染の岡崎良介が一番よく知っていると思う。
唯一彼だけが私の弱さを知っている・・・彼といるときがもっとも安心できるのだ。
そう・・・それは彼と出会ったときから始まる。


私の実家は神奈川にありこの時点ではまだBETAの本土進攻はされていなかった。
私の一家は、5人家族。父は、帝国軍のエンジニア、母は帝国軍の情報省で働いている。
二人の弟は、ともにまだ学校に通い始めたばかりである。
私は、近所でも男の子と間違われるようによく外で遊びよく怪我をしていた。
また、外で遊ばないような日は家族と将棋をうっていたりもした。
その日は、晴れ渡り雲ひとつのない青々とした空が広がっていた。

「今日は何か良い事が起きるかも♪」

私は、鼻歌交じりにいつもの遊び場へと足を向けた。
いつもなら、男友達がそこで私や他の友達を待っているはずなのに今日は誰もいない・・・

「どうしたんだろ・・?みんないないや。」
私は仕方なく設置されているベンチに腰掛けた。

「今日はなにしてあそぼうかな~」
友達が来るまでの間、そのようなことを考えつつ、

「う~ん・・・野球やりたいな~、うん♪よし今日はみんなに野球しようっていってみよう」
そのような事を考えている誰かが、私に声をかけてきた。

「よ~齊藤もう来てたのか、はやいな」

その声に反応した私は、

「君誰だっけ?」

私は、友達である人の顔は忘れるはずがない、なのに彼が誰なのかがわからない。

すると、その男の子は、

「何だよ、もう俺のこと忘れちゃったの?お前の隣の家の岡崎良介だよ」

そうだ!彼はつい二日前に引っ越してきた岡崎良介だ、といっても玄関越しに両親が挨拶をしていて私は、窓の外から
見ていたがあまり覚えていなかった。

「たしか、君のお父さんとお母さんと一緒に挨拶に来てたっけ?」

「そうそう、そん時にさ窓からのぞいてる、お前の顔をみて覚えてたんだよ
って言っても窓越しだからしっかりと見えたわけじゃないんだけどな。」

岡崎は、私の座っているベンチまで来ると私の隣に腰掛けた。

「ところでさ、お前の苗字はわかってたんだけど下の名前がわからないんだけど?教えてくんない?」

「綾華、漢字だとこうだね。」
私は、手近にある木の棒を見つけ地面に書いてみた。

「齊藤綾華っていうのか、よろしくな。ちなみにおれの良介はこう書くんだ」

そういうと彼は私の気の棒を使い同じように字を書いた。
「呼ぶときは、良介でいいや、こっちの方が呼ばれなれてるからさ。」

「じゃあ、私も齊藤じゃなくて綾華でいいよ、齊藤って案外いるから間違えられると面倒だから。」

私がそういうと良介は、はにかんだ笑顔で
「わかった、綾華だな。よし!綾華。みんな来たみたいだから俺もみんなに自己紹介してくるよ」
そういうと良介はそのまま駆け出していってしまった。

「良介か・・・あの子とは気が合いそうかな・・・?」

私も彼の後を追っていった。


「ということで、今日は野球をしようと思うんだけど、どう?」
先ほどまで何をして遊ぶ考えてでた結論をみなに提案してみた。

「いいんじゃねぇかな」「良いと思うよ」「おっけ~~」

それぞれに、承諾の反応が出てきたため。

「よし!じゃあ、チームわけね、人数は・・・ちょうど18人ね9・9に別れよ!」
そういうと私達はいつもの通りじゃんけんの勝ち負けでチームを分けた。

「じゃあ、価値のチームはこっちに来て~!」 「負けのチームはこっちな~!」
それぞれに、チームリーダーを選出し勝ちは綾華チーム、負けは良介チームとなった。
(初日そうそうで、もうみんなと仲良くなってる・・・すごいな~。)

私は、良介の社交性と協調性の高さに驚きつつ先攻後攻を決めるべくじゃんけんを行い
結果は、私のチームが先攻、良介のチームが後攻となった。

「負けないわよー!みんな気合いれてね!」
その掛け声にチームが反応し

「お~~!」「あいつらなんかコールドゲームで終わらせてやる!」

負けじと良介のチームも
「俺らが負けるわけないぞ~~!、こっちこそコールドゲームだ!!」

「お~~!」

「プレイボール!!」
良介の声とともに試合が始まった。

相手チームのピッチャーはなんと良介であった。
「ふふっ、お前のへなちょこボールなんか打ち返してくれる!」
こちらのチームの俊足と高い出塁率を持つ彼がまずは打席に立った。
良介は、投げるフォームをとると、

「スッ・・ストラ~~イク!!」

えっ?一同が唖然としていた
彼の投げたボールスピードが半端なく速いのだ、
その投球に唖然としている間に打者はうち取られてしまった。
次の打者もアウト、次の打者はどうにかヒットで出塁した。

次は4番打者・・・つまりチームの主砲は・・・

「次は私よ!!良介の球なんか打ち返してあげる!!」

「いけ~綾華!!」
チームの声援を受けながら彼女は打席に立った。

「俺の速球が打てるかな?」

良介が投げると同時に私は踏み込みバットを力強く振った。

「ストラ~~イク!!」

(はっはやい!!でもストレート打てない事はないわ)

良介が投球フォームをとり投げた!!

カキーーーン!!
金属バットの甲高い響きとともにボールは遊び場のフェンスを越え・・・

パリーーン!!


一瞬沈黙が走った。


「やっちゃった・・・・」

私は、この後どうしようと考えつつも真面目な性格のおかげで、
「私、謝りに行ってくるよ・・・みんなは先に帰ってて・・・」

おそらく、とんだボールで割れたであろう窓ガラス・・・
そして、そこの家の主人は怖くてこの近所では(主に子供たちのの間では)有名であった。
それを、知っているはずの友達たちは皆私に「いっしょに行こうか?」と口々に行ってくれるが・・・

「大丈夫だよ・・・私一人で・・・」

そういうと、友達は皆口々に・・・「がんばれよ」、「また明日遊ぼうな」、と言いそれぞれの家路についた

本当は、大丈夫なんかじゃない・・・

足ががくがく震えそうで涙もでそうだ・・・

いつもそうだ・・・私は、しっかりしていそうにみえても、中身は普通の女の子だ・・・

強くなんかない、それでも私は・・・“しっかりとした姿を見せなければならない”

足枷でもついたのであろうかと感じる足を動かし、その家に向かおうとした・・・

そのときである、誰かが私に声を掛けてくれたのである。

友達は、みんな帰ったはずである・・・だれに声を掛けられたのかと思い振り向くと・・・

「俺も、いっしょに謝りに行ってやるよ!お前だけじゃたよりねぇしな!」

その言葉に私は驚いた・・・良介だあった・・・なんで、わざわざ私と一緒に怒られる必要があるのだろうか?

「来なくても良いよ、一人でも大丈夫だよ。」

私は、出来るだけの明るい声で答えた。

「ばかやろう、今にも泣き出しそうで、足もがくがく震えてるのに何言ってんだよ。」

「ほら、行くぞ!」

そういうと良介は、私の手を引っ張りその家に向かった。

彼の手は大きかった・・・

彼の手は暖かかった・・・

彼のぶっきらぼうながらも優しさのこもった言葉が心地よい・・・

彼は、「私をしっかりした子」だけでなく・・・

一人の女の子としても扱ってくれた・・・

私は、彼の前ならしっかりしなくてもいいかもしれない・・・

本当に嬉しかった・・・

心が暖かくなった・・・


彼は「私の弱さ」を理解してくれた・・・


「俺やっと、衛士になれたよ・・・」
「よかったね、おめでとう」
良介は、衛士になった。あの野球のあと彼とは長い間縁が続いている。
私が、今の訓練校に入って1ヶ月が過ぎた頃である。その頃に良介は衛士となった。
その報告のために、今良介と電話で話している。

「先、越されちゃったね。私も頑張って追いつくよ。だから、それまでは死なないでね。」
「わかってるよ。お前も訓練途中で投げ出すなよ!」
そういうと、彼は明るい声で
「まぁ、またつらくなったら俺に頼ってこいよ!お前ならいつでも歓迎だ!」
私も明るく
「わかった、辛くなったら頼るよ、でも良介も辛くなったら私を頼ってね」
「おう、もうそろそろ就寝時間だ。電話切るわ、またな!」
「うん、またね。」
そういうと、私は電話を切った。


「今日は、訓練が少し早く終わっちゃったわね、暇ね。」
雫さんは、そういうと食事時ではないPXで私を含め部隊内のメンバーと雑談をしていた。
「じゃあ、将棋でもやりませんか?」
私は、そうメンバーに提案をしてみた。
「どうでしょう?」
すると、雫さんが
「いいんじゃない?やりましょうか」
そういうと、分隊メンバーは将棋の用意をした。
「じゃあ、まずはリーグ戦方式にしましょう。」
雫さんはそういうと将棋の駒を並べ始めた。

私の対戦相手は・・・雫さんである。
(あれって、ライバル対決か?)
久我が小さな声で森上に話しかけた。
(おそらくな、といってもあいつらはああする事でお互いを高めあってるしな)
すると、その声に気付いた都が
(でも、お二人ってなんだかんだ仲が良くありません?喧嘩するほど仲が良いって言いますし)
さらにその声に気付いた澄子が
(そうかもな、というかあいつらこんだけ内緒話してるのに気付いてないのか・・・変なオーラ出てる気もするし)
そんな彼女たちを見ながら他のメンバーはそれぞれ将棋を行い始めた。

その頃の二人は・・・
「私の勝ちね」
「っ早!!」
雫の勝利宣言に綾華以外のメンバーが声をそろえて突っ込んだ。

「負けました~うっ~~」

綾華はうなだれたいた・・・
「綾華ってこんなに将棋弱いんだ・・・すごく強いと思ってたのに・・・」
雫のそんな言葉に綾華は、

「そうなんですよね、なぜかすごく弱いんですよ。」

「よく友人たちとやってましたけど、負けばっかです。」

そんな、綾華を尻目に雫を除く部隊内のメンバーは彼女達の終わった後の将棋板を見ると・・・
なぜ綾華が弱いのかわかった、彼女は基本的に駒をとられないようにしていた様である、
確かに、とられないようにするのは基本的だろうがそのためにわけのわからない陣を作り結果的に
王が、味方に阻まれて動けなくなっているのである。
(なんか・・・うん・・・すごいな・・・)
そんな事を考えていた分隊メンバーであった。
最終更新:2009年03月20日 16:06
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