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狸組と天魔王軍が接触したのは12時頃の首相官邸跡地でのことである。
双方最後の登場話から5時間以上経っているが、その間に遊んでいたわけではない。

天魔王軍は先の神樹戦で受けた傷を治すことに集中していた。
なのは組の追撃も考えたが、肝心の敵は地下へと逃げ出してしまい、地下の狭い空間はマシーンモンスターが入れず、壁を無視して移動できるのは亜空間移動能力を持つヴァルゴ・ゾディアーツのミケしかいなかったので、深追いは危険と判断して追撃は諦めた。
仮に追撃を選んだら今頃ベジータの餌食になっていたであろう。
ここに来ると思わしき首輪解除ができる狸組のブリーフ博士との入れ違いを避けるためでもあり、これが結果的に功を成すのだった。

狸組は都庁からこの殺し合いの手がかりを得るために首相官邸を目指すことになったが、都庁の世界樹をグルッと包囲したDMC狂信者の抜け穴を突くように慎重に移動するために時間がかかったのだ。
狸組もモブ狂信者なら軽く一掃できる猛者揃いではあるが、モブでも一万以上を相手にすると流石に消耗は避けられず、幹部クラスや強マーダーを呼び寄せる危険があったので、不要な戦いは可能な限り避ける必要があった。
仮に交戦を選んだらマーラの肉便器になっていたであろう。
また、首相官邸も巨大な神樹が倒されたり、「本当に官邸に行って大丈夫か?」と疑問視させたり、と思ったら都庁からまた生えてきたりと狸組を大いに混乱させた。
結局は殺し合いに関する手がかりの重要性や、風鳴翼の右腕から殺し合いの謎を解き明かすものを抽出するための機材ぐらいはあるだろうと思い、悩んだ挙句に首相官邸に向かうことになった。
途中で定時放送で主催が交代した件を知り、ブリーフ博士の娘であるブルマの死を知った時に博士が大いに落ち込む事態もあったが、仲間の励ましにより彼は持ち直した。
ここで立ち止まっていたら亡くなった娘に申し訳ないと彼は立ち直り、科学者として戦う道を選んだのである。
そうして狸組は漸く首相官邸跡地にたどり着き、天魔王軍とエンカウントした。


さあ、同じ対主催グループである狸組と天魔王軍は仲良くできるか?
答えは「NO」である。
生粋の対主催グループである狸組と、実質的にマーダーと謙遜ない危険対主催である天魔王軍が手を取り合えるわけもなく、ブリーフ博士を巡って、この首相官邸で何度目かの戦争が巻き起こるのだった。



官邸から少し遠巻きにある瓦礫の影から両陣営の交戦を覗くのはブリーフ博士。
彼は両陣営にとって大切な人材であるため、攻撃に巻き込まれる心配はほぼない。
だが、狸組が敗北すればそのまま戦闘力皆無の彼は天魔王軍に間違いなく捕まってしまう。
老科学者にできることは狸組の武運を祈ることであった。

「頼む……誰も死なずに勝ってくれ!」

ブリーフ博士の祈りが通じたのか、それとも武運が傾いていたためか、天魔王軍と狸組の戦いは狸組が優勢だった。




「巨木すら焼き払った核攻撃を喰らえ! ウルトラマン!!」

デスマシーンに乗る平山は、一度は神樹すら退けた必殺の核爆弾一斉射撃でウルトラマンタロウを焼き払おうとする。
タロウの巨体に降り注ぐ無数の核爆弾。

「無駄だ! タロウスパウト!!」

タロウは迫り来る核攻撃に対して体を高速回転させることで竜巻を発生させる。
竜巻によって核爆弾は持ち上げられて上空へと昇っていき、最後は誰もいない大気圏外で爆発した。

「馬鹿な……!?」
「ピンチの時はとりあえず回転すればなんとかなる……ウルトラ警備隊の暗黙の了解だ。
続けていくぞ! ブルーレーザー! タロウカッター! 塩漬け攻撃!!」
「ぐわあ!! チッ……まだ俺は負けたわけじゃないぞ!」

角から出る光線、三日月型の光のカッター、塩の入った巨大な桶を使った塩揉み攻撃でデスマシーンにダメージを与えていくタロウ。
彼は久しぶりに巡ってきた出番に対しての鬱憤を晴らすように、大暴れしまくった。
なお首輪は外れてもその身の呪いであるスパークドール状態そのものは解除できないので、ウルトライブが解除される前に急いで敵を倒す必要があるということもある。




「ふむ、タロウのやつめ、久々の出番ではりきっておるな。これは儂も頑張らねばならんのぉ」
「余裕のつもりか! たぬきババアめ!」
「失礼な若造め。キツイお灸を据える必要がありそうじゃな。それに儂は幻想郷の妖怪の中では若輩者じゃ」
「キラーマジンガ、挟み撃ちだ!」

マミゾウが相対するのはヴァルゴ・ゾディアーツことミケとキラーマジンガのコンビである。
両者による防御力無視の光弾の弾幕と刃が迫るが、マミゾウはこれを飄々と躱していく。

「ほう、体が軽い。首輪が外れるとこうまで変われるものなのか」
「ど、どうしてここまでヒョイヒョイ避けられる?!」
「弾幕ごっこで日夜動体視力を鍛えている幻想郷の妖怪を見くびるなよ。この程度の弾幕と突撃を避けるのは初歩中の初歩じゃ」

これはミケとキラーマジンガのコンビネーションが稚拙なのではなく、弾幕ごっこで鍛えている幻想郷の妖怪、その中でも非常に強い部類に入るEXボスであるマミゾウの回避能力がズバ抜けているのである。
反撃にマミゾウはミケに弾幕をお見舞いする。
キラーマジンガには弾幕が直撃し、ミケはヴァルゴの転移能力で避けようとするが、避けた先で弾幕が命中する。

「ぐはッ!?」
「お主の転移能力は恐ろしいが、だったら逃げ込む先がないくらいに弾幕で埋めてしまえば良いというものよ」
「おのれ……!」

マミゾウの弾幕をミケが避けるには戦闘区域を離脱できるほどの長距離転移をすればいいが、それでは自分が戻ってくるまでの間に天魔王や平山たちに欠けた戦力で戦うことを強いてしまう。
敵前逃亡は忠誠を誓った天魔王への裏切りになってしまうというミケなりのプライドもあった。

「だが、キラーマジンガにはおまえの攻撃はほとんど効いちゃいない!
キラーマジンガ! ダメージには構わずに突撃しろ!」
「おっと!」

ミケにはそれなりのダメージが入ったようであるが、一方でプテラのステルスロックすら凌ぐ装甲を持ったキラーマジンガには効果が薄く、ミケの命令通りに執拗にマミゾウを攻撃する。
マミゾウはキラーマジンガの攻撃を躱していきながら、思考する。

(あのオカマみたいな奴はともかく、この一つ目の人形は厄介じゃな。
こいつの防御力の前ではスペルカードも大した打撃にはならん。
どうするかの……)



そして、デスマシーンとタロウ、ミケとマミゾウ、その両サイドに挟まれる形で戦っていたのは天魔王オルゴ・デミーラとエビルエスターク。
天魔王に立ち向かうのは大妖怪の息子・殺生丸と狸組のリーダーであるはやてであった。
はやてはなのはやフェイトをも上回るSSランク魔道士であるが、それを見抜いたデミーラによってエビルエスタークのあやしいきりで魔法を使えなくさせられており、はやてにとっては苦手な肉弾戦しかできなくしている。
だがそれを補うのがアタッカーである殺生丸であった。
デミーラの拳とエビルエスタークの剣の攻撃を軽やかに躱し、剣で捌いていく殺生丸。

「フンッ……」
「2体1でここまで……天魔王相手にやるわね、このブサイクが」

殺生丸の実力は、初登場で弟にやられた時以外は作中で穴らしい穴がないというほどであり、耐久力は弟より低めだが、その分攻撃力に優れている。
防御力が低いということは、天魔王やエビルエスタークの攻撃が当たれば確かに大打撃を受けるが、言い換えれば当たらなければいいのである。
敵の肉弾戦能力は確かに優れていれるが、殺生丸もまたそれは同じである。

それでも上記だけでは天魔王を相手にするには不利であったが、そこで二つが条件が殺生丸に味方する。
一つはレストから先刻託された天ノ村雲ノ剣である。
天ノ村雲ノ剣は性能は勿論、デフォルトで相手をスタン状態にするなど特性もあり、最高の鍛冶師であるレストによってさらに性能も大幅に拡張されている。
その剣は天魔王やエビルエスタークの攻撃にも耐え、彼らに手傷を負わせられるほどである。
そこへ更に首輪による制限によって天魔王は弱体化しており、実力差は互角近くまで持ち込むことができた。

「天魔王というだけに多少は期待したが、からくりを伴ってもこの程度か」
「ブサイクが言ってくれじゃないの!
出し惜しみはもういいわエビルエスターク! ジゴスラッシュ」
『了解シマシタ』
「来るか……ッ」

それでも敵は神さまレベルの力を持った邪装機神。
首輪がないために制限されていないジゴスラッシュは殺生丸の天ノ村雲ノ剣で上乗せされた戦闘力でも、防御することも避けることも叶わない。
直撃すれば万事休すだろう。

だがそこへ、今まで殺生丸の後ろにいたはやてが前に出る。

「殺生丸さん下がって! ここは私の出番や!」
「魔法を使えない魔道士が前に出る!? あの狸娘は何を考えているの!?」

はやては確かにSSランク魔道士だが、あやしいきりの効果によって魔法が一切使えない以上は攻撃力も防御力もほぼ皆無になる。
そんな彼女がジゴスラッシュによって切り込まれれば細切れ確定であるのに対し、自ら殺生丸の盾となり、そして直撃した。



「なん……ですって……!?」



オルゴ・デミーラは驚愕した。
次の瞬間にはタヌキはやての挽肉ができあがっているあろうと予想していただけに、もしくは盾なりなんなり何らかの防御手段があるぐらいの予想もあった。
だからこそ――


――はやてが「お地蔵さん」になって、ジゴスラッシュを防いだことは斜め上過ぎて予測できなかった。

ボンッ、と元の姿に戻った無傷のタヌキはやてがこのことについて敵味方に教える。

「タヌキスーツの奥の手である地蔵化能力や! 地蔵はやてになればあらゆる攻撃を無効化できるんやで!」
「アストロンに似た能力……厄介な!」

タヌキマリオがそうであったように地蔵に変身している間はあらゆる攻撃を無視できるのだ。
デミーラの知るアストロンも似たような魔法であり、像への変身が解けるまで全ての攻撃が効かなくなる。
それはジゴスラッシュだろうが、マダンテだろうが同じである。

「くッ……だけどアストロンは術が解けるまで一切動けなくなるデメリットも存在する。
エビルエスターク、私は狸を抑えとくから、あなたは犬の方を徹底的に攻めなさい」
『……』
「エビルエスターク……?」

デミーラは次に攻め手を変えてはやてと殺生丸を分断させる策を思いつくが、エビルエスタークは動く様子がなく、そのまま地面に倒れてしまった。

「エビルエスターク!?」
「漸く俺の毒の爪が効いてきたようだな。からくり人形に効くか疑わしかったが」

エビルエスタークは猛毒が弱点であり、殺生丸は毒の爪を体内に隠し持っている。
その毒を斬り合いの中でエビルエスタークにこっそり注入していたのだ。

「馬鹿な……対策として破毒のリングを予め装備させていたのに……!」

デミーラもまた前回の戦闘でエビルエスタークが毒にやられたことを念頭に入れて、モブから奪った支給品の中から毒を100%無効化する破毒のリングを指に装備させていた。

「破毒のリングとはあれのことか?」
「砕かれてる?!」
「妖力のようなものを感じ、曰くつきだと思ったから破壊させてもらった」
「結果は御の字だったみたいやね」
「おのれブサイクども!!」

破毒のリングは戦闘中に砕かれていた。
弱点となる装備をされても、その対策となる装備自体を破壊すれば意味はない。

「さあ、大分手こずったが、このからくりは破壊させてもらうぞ」
(今、あやしいきりを使えるエビルエスタークを失うのはマズイ……全力で阻止を……!)
「させへんで! 地蔵アタック!!」
「ぎゃあああああ!! 私の美しい腰がああああああ!!」

殺生丸が剣を振り上げた時、デミーラは天魔王の要であるエビルエスタークを守るべく駆け出すも、それは空中で再度地蔵化して落下してきたはやてによって背中にのしかかられたことによって阻まれる。
そして刃は振り遅され、倒れていたエビルエスタークの頭部を穿ち、黒煙を吐き出させた。

『機体大破、戦闘不能……ガ、ピ、プ、プ――――』
「私のエビルエスタークがあああああ!!」

【エビルエスターク@DS版DQ7 破壊確認】




デミーラの慟哭と共に狸組は一気に攻勢に入る。

「一番邪魔な奴は仕留めた! 今や! タロウ!!」
「おう! ウルトラ念力!!」

タロウがウルトラ念力で残っていたあやしいきりを吹き飛ばし、はやてやマミゾウは術が使えるようになった。

「よし、次はこれや! セットアップからの……クラウ・ソラス!!」

さっそくはやては地蔵化を解いて本文である魔道士へと変身し、高威力の直射型砲撃魔法を放つ。
その矛先は平山のデスマシーンと、ミケ・キラーマジンガのコンビである。



「うわあああああああ!!
あっ! 今の衝撃で核爆弾のハッチがひしゃげた!?」

はやての放ったクラウ・ソラスはデスマシーンに直撃するが、これ一発で倒すには至らなかった。
しかし、発射口を潰して攻撃能力を奪うことは可能であった。

「今だ! ウルトラスパウト!!」
「眼、眼が回るうううう!」

敵の核攻撃が止んだと同時にタロウはウルトラスパウトによって発生した嵐でデスマシーンを空の彼方にまで吹き飛ばし、そして追い打ちをかけるように必殺光線を放つ。

「ストリウム光線!!」
「嫌だああああ、まだ死にたくない!!
助けてください天魔王さまあああああああああ!!!」

上空のデスマシーンにタロウは七色に光る光線を浴びせた。
それにより内蔵していた核爆弾に引火し、泣き叫ぶ平山とデスマシーンは熱と放射能による閃光の中に消えていった。

【平山幸雄@アカギ~闇に降り立った天才~ 死亡確認】
【デスマシーン@FF・SaGaシリーズ 破壊確認】



「時間切れか……後は任せたぞみんな!」

ウルトライブの時間切れにより、タロウは元のソフビ人形になり、マミゾウの手の中に戻った。
マミゾウは手の中のタロウに頼もしく微笑みかける。

「ああ、後は儂らに任せろ!」



はやてはクラウ・ソラスでマミゾウへの援護射撃を続ける。
デスマシーンと比べると的が小さいミケとキラーマジンガであり、直撃は難しかったが着弾時に発生した衝撃波でダメージを受けていた。

「クソッ、俺は一時的に亜空間に避難する!
キラーマジンガはダメージを無視して化け狸に突撃しろ!!」
『了解』

キラーマジンガの装甲ならば砲撃にも耐えられると判断したミケは、自分は攻撃が晴れるまで亜空間に隠れ、キラーマジンガを衝撃波で土煙立つ戦場に突っ込ませた。

(攻撃が晴れた瞬間に挟み討ちで化け狸を仕留めてやる!)

ミケもただ逃げるだけでなく、挟撃できるように位置を取り、マミゾウの隙を探す。
そして、その時は来た。
はやての砲撃と土煙が晴れると、中から対峙するキラーマジンガとマミゾウの姿が見えた。

「今だ! ガオンとくたばってしまえ!!」

ミケはマミゾウがこちらに気づく前に背後を取り、至近距離で必殺の光弾を発射した。

「!?」

そしてマミゾウの首から上がガオンと亜空間の中に消え、粉微塵になった。

「フッ……見たか! 天魔王軍ナンバー2の力……を?」

勝利を確信し鼻を鳴らすミケであったが、それは早計であった。

なぜならば殺したと思った首のないマミゾウの姿が地面に倒れた瞬間にキラーマジンガに変わったのだから。



一方、ミケがキラーマジンガだと思っていた者が彼の背後を取った。

『ワシノ能力ヲオシエテシンゼヨウ』
「!?」

次の瞬間には煙と共にキラーマジンガは一人ののじゃロリ少女に変わった――マミゾウだ!

「化けさせる程度の能力じゃ!」

マミゾウはタロウ以外の火力ではキラーマジンガの防御力を突破するのは難しいと思っていた。
はやても全力を出しすぎると必要以上の破壊をもたらして周辺やブリーフ博士に被害を及ぶすかもしれなかったので使えない。
なので敵の力を利用させてもらったのだ。
防御力無視、当たれば確実に穴があくヴァルゴ・ゾディアーツの光弾をキラーマジンガに向けさせるべく、あやしいきりがなくなって術が使えるようになったことを思い出し、自分は土煙というドレスルームの中でキラーマジンガに化け、キラーマジンガを自分の姿に変えた。
こうすることで戻ってきたミケにキラーマジンガを倒させるように仕向けたのである。

「まずい! 亜空間へ」
「もう遅いわ! 変化『分福熱湯風呂』」

マミゾウに背後を取られたことに気づいたミケは慌てて亜空間に逃れようとしたが、それよりも早くマミゾウは術で巨大な釜のような風呂を呼び出し、ついでに風呂の中で裸になって湯を浴びながらミケを押しつぶした。
ついでに彼女の手の中に握られていたタロウソフビの鼻の下が伸びていたのは秘密である。

「ぎにゃあああああああ!! 痛い!! 熱い!!」

重量と熱による特大級のダメージを受けつつもミケはゾディアーツの防御力に救われ、なんとか亜空間に逃れて脱出するも、再び亜空間から戻ってきた時にはダメージ過多で変身が解けており、倒れ伏す中で乙女座のホロスコープススイッチで再変身を図るも、先にマミゾウに拾われて弾幕でバラバラになった。
ミケにもう、勝機はない。

「ほほう、正体は人間だったか。お主も相当な化け狸だったな」
「クソッ…クソウッ……」
「察するにその姿で魔物のフリをして、都庁の魔物たちに自分たちの悪行の濡れ衣を被せておったのだな。
普通の人間には魔物と魔族の違いがわからないとはいえ……痴れ者どもめ」
「な、なぜトドメを刺さない?!」

マミゾウは風呂から上がり、変化を解いて元の服を着た姿に戻り、膝をついていたミケの顎髭を掴む。

「貴様には人間と魔物たちの前で証言台に立ってもらう。
この殺し合いで人間と魔物の対立を煽り、無用な憎しみを生み出した犯人として真実を洗いざらい吐いてもらう。
真実を吐いたおまえは間違いなく人間からは唾を吐かれ、魔物に惨殺されるだろう。それまでは命は取らん」
「ヒィッ!」
「おっと、黙っとれば助かると思うなよ?
妖怪には本当のことを喋らせる術などいくらでもあるのだからな!」

マミゾウの睨みは、どんな巨人よりも恐ろしく、瀕死のミケを震え上がらせた。

【キラーマジンガ@DS版DQ7 破壊確認】





「なんということなの……私の天魔王軍が!」

未だにはやての地蔵アタックのダメージが抜けずに無様に地面に倒れていた天魔王オルゴ・デミーラは、自分の軍団が壊滅している惨状に驚愕した。
マシンモンスターは全滅、平山は死亡、ミケは瀕死、戦闘員であるベビークラウド部隊も殺生丸やはやてによってほどなく全滅した。
まるでかつて壊滅寸前にまで追いやった警察組のように、ほとんど一方的に天魔王軍はやられたのだ。
この敗北に屈辱を覚えていたデミーラに殺生丸とはやてが近づく。

「多少は楽しませてもらったが、神を名乗るには程遠かったな」
「どうして……私の無敗の天魔王軍が……装備も実力も優れていたのに!」
「アンタと私たちとじゃ、背負ってる物が違うねん。
あくまで自分本位のアンタと多くの人を救いたいと願う私たちじゃね」
「今まで勝てたのも単に運と巡り合わせが良かっただけだ、それに……」

殺生丸がデミーラにトドメを刺すために、天ノ村雲ノ剣の切っ先を天に向ける。

「本当に神の頂きを目指すものは、小賢しい策など使わなくとも上にいける。
策を弄して真正面から戦わぬ者など器が知れている」

このまま振り下ろされれば、デミーラは首を撥ねられて死ぬだろう。
天魔王軍の犯した罪に関する証人はミケ一人いれば良いので、天魔王にはここで死んでもらおうというのが殺生丸の判断であった。

(まずい、ここは物凄く嫌だけど真の姿を開放するしか――!!)

デミーラは刃が下ろされるより早く、その醜さから今まで出し渋っていた真の姿へと変身しようと魔力を開放せんとする。
少なくとも窮地を脱出するにはあの姿に戻りざるおえないという判断だったが、その判断は僅かに遅く、殺生丸の刃の方が早かった。

(――間に合わない!?)

その場にいる誰もが、デミーラ本人ですら、天魔王の終わりを悟った。



だが。















スポッ

「えッ?!」
「なにッ!?」
「は!?」



なんという不運か。
天ノ村雲ノ剣はデミーラの首に当たる前に、振りかぶっていた殺生丸の手からすっぽ抜けて飛んでいったではないか。

そしてその刃は、ある人物の胸に突き刺さった。
その人物とは……





















「は、はやて…どの……」
「マミゾウさん!?」

はやての相棒であるマミゾウその人であった。
マミゾウは胸から血を出し、口からは夥しい血を吐き出す。

惨劇はこれで終わらない。

これを好機と見たミケは次の瞬間には、マミゾウの胸に刺さった剣を引き抜き、その剣でマミゾウの首を切断した。
いかな生命力に優れた妖怪と言え、首まで落とされれば絶命は確定的である。
さっきまで自分に対して優位に立っていた妖怪を殺せたことに、ミケは狂気の悦を含めたスマイルを浮かべる。

「天魔王様! 今日の晩餐は狸汁ですよ!!」
「マ、マミゾウーーッ!!」
「平山の仇だ! 貴様も死ねえ!」
「ぐぎッ、がはあッ!!」

首がなくなって地面に倒れたマミゾウの遺体の手に握られてタロウは友の死に嘆くも、スパークドール故に何もできないまま、ミケの逆恨みの剣によってその身に何度も刃を受ける。
事が終わった時には、タロウの肉体はグシャグシャの真っ赤なソフトビニールの残骸へと成り果てていた。


【二ッ岩マミゾウ@東方project 死亡確認】
【ウルトラマンタロウ(SD)@ウルトラマンギンガ 死亡確認】



「マミゾウさんとタロウが……殺生丸さん、なんてことを!」
「待て、俺は――」

気が緩んでいたのかはわからないが、殺生丸のミスのせいでかけがえのない仲間が命を失ったことにはやては責めずにはいられなかった。
殺生丸は何か弁解をしようとするが、それよりも早く、突然現れた大きな腕が殺生丸を掴んだ。

「――がッ!?」
『よくも美しい部下たちを殺し、あまつさえ私……いや、われにこの醜い姿を曝け出してくれたな!!』

はやてとミケが振り返るとそこには、巨大なムカデの下半身を持つ、巨大で醜悪なる魔王のゾンビがいた。
はやてと殺生丸が仲間の死に注意を向けている隙に闇のルビーを使って天魔王は本来の姿に戻ったのだ。

「オルゴ・デミーラ!?」
「天魔王様!?」
「そうだ。わが名は オルゴ・デミーラ。
万物の王にして 天地をたばねる者。
だが勇者との戦いに一度は敗れてこのような醜い姿に身を落とした。
この臭くて美を感じさせぬ姿は本当の本当に最後までなりたくなかった……」

目の前にある恐ろしき姿と先程の人間形態とは格段に違う魔力を肌で感じ、はやてには足がすくみそうになる恐怖を覚え、ミケはやはり天魔王は世界を統べるべきお方だと畏敬した。

「この不細工な犬と狸めが!! 絶対に許さんぞ!! 天魔王の神罰を受けるがいい!!」

天魔王の腕の中で膨大な魔力が燃え上がる。
その魔力で直に炙られ殺生丸の体も燃え上がる。


「殺生丸さん!」
「はや…て……博士、を連れ…逃げ……」
「これで終わりじゃないぞ! 天魔王に刃向かった罰を命をもって贖え!」

魔力を極限まで高めたデミーラにより――暴走した魔力が爆発を起こす!
次に起こる大魔法に対してはやてとブリーフ博士は身構え、ミケは立体機動装置を使って緊急退避、最後に残された天魔王の腕に捕まっている殺生丸のみ回避する手段はない。



 マ ダ ン テ



その時、千代田区全域を揺らすほどの大爆発が発生し、首相官邸は地下の豪邸すら残さず消滅した。





「ふん、マダンテすら防ぐアストロンと同じ能力を持つ衣を持つおまえだけは生き延びたか」

煙が晴れた後に戦場に残っていたはタヌキスーツの力で地蔵になったはやて一人だけであった。

「な、なんて魔力なんや……殺生丸さんは!?」

その威力はSSランク魔道士である自分すら凌ぎかねない威力。
恐る恐る地蔵姿のままのはやてが周囲を見ると、爆発に巻き込まれたマミゾウとタロウの骸は蒸発。そして絶大な魔力をゼロ距離で浴びた殺生丸もまた、天魔王の腕の中で灰と化しており、天魔王が握りつぶすと同時に崩れ去った。


【殺生丸@犬夜叉 死亡確認】


「そんな、そんなーーーッ!!」

僅かな時間に起きた僅かな歪みによって瀕死だった天魔王軍の逆転を許し、三人もの仲間を失ったことにはやては絶望するしかなかった。
更に絶望は終わらない。

「天魔王様、ブリーフ博士を捕らえました」
「ごくろう、我が側近ミケ・ザカリアスよ」
「すまない……はやてくん」
「博士!」

殺生丸の願いすら叶わず、ブリーフはミケによって捕縛されてしまった。
狸組の敗北である。

「君だけでも逃げるんだはやてくん!」
「……できません! 私にはまだタヌキスーツがある!!」

はやては全参加者の希望になるかもしれないブリーフを、天魔王という悪しき者に渡したくはなかった。
天魔王オルゴ・デミーラは間違いなく首輪解除とTC及び風鳴翼の腕を悪用し、他の参加者に災いをもたらすからだ。
幸いなのは敵は首輪解除に必要な博士を傷つけることはできないので、博士の命は確実に保証されているということ。
アストロンと同じく絶対無敵の防御力を持つタヌキスーツの地蔵化ならば天魔王とミケに勝てずとも博士を連れて逃げることはできるだろうと踏み、地蔵化を解いて戦闘を続行しようとするはやて。

それがまずかった。


地蔵化を解いた瞬間、纏っていたタヌキスーツが灰と化して崩れたからだ。

「なんやて!?」
「フフフ、やはりな。
鉄壁のアストロンと同じく強力な能力……なんの代償もなしに使えるハズがない」
「まさか、地蔵化には回数制限が!?」

実は主催陣営(五大幹部)の仕掛けた制限もとい調整により、タヌキスーツは地蔵化を三回やると消滅する仕組みになっていたのだ。

「お気に入りだったのに……だけど武器はまだ!」
「いや貴様は終わりだよ」

タヌキスーツはなくともシュベルトクロイツや夜天の書といったデバイスは残っているので戦闘を続けようとしたはやてだったが、ミケが放った立体機動装置のアンカーが手に握られていた夜天の書を弾き、彼に奪われた天ノ村雲ノ剣の硬度がシュベルトクロイツを叩き折った。

「武器が!」

デバイスを無力化された結果、はやては変身が解けて一糸まとわぬ裸体を晒すことになる。

「くッ……」
「貴様、痴女か?」
「う、うるさいねん! さっき壊れたタヌキスーツの着心地が良すぎて今まで地肌に纏ってたんや!」

顔を真っ赤にするはやてであったが、こうして狸組の敗北は決定的になり、逃走も許されなくなった。
生き残った少女も老人と同じく捕縛され、さあ、楽しい楽しい戦後処理が始まる。

「八神はやて、貴様も先の犬妖怪と同じくこのわれの手で直々に処刑してくれる!」
「待て、オルゴ・デミーラ!! はやてくんと殺したらおまえの望む首輪の解除を断固拒否するぞ!」
「無駄だ、ヒゲがチャーミングなブリーフよ。
貴様が拒否しようとも、われには魔力に抵抗のない人間の意思を無視して操る術などいくらでもある」
「なに?!」
「相手は幾万もの術を操る天魔王様だぞ、浅はかだったな」

博士の抵抗も虚しく、天魔王ははやてを殺した後に魔法でブリーフを操るつもりだった。

「天魔王様、戦友の平山のためにもただ殺すだけでは足りません。
この女はできるだけ肉体も精神も苦しめて殺し、協力したらしい都庁に死体を箱詰めで送りつけて私たちの力を見せつけるべきかと!」
「よかろう……拷問しようが慰みものにしようが好きにするがいい。我はここで見物している」
「御意……フッ」

もはや人類の尊厳を守る気のない、心だけなら知性を失った巨人と大差ない元調査兵団分隊長の下衆な笑顔が敗北者たちに近づく。


「痛い、イダイッ!! やめろ……この外道、ひと思いに殺れや!」
「嫌だね。天魔王様の美しいお体を俺ごときが汚すわけにはいかないが、おまえなら折りたたんでも良さそうだな。
博士も早く天魔王様の首輪を外しにいった方が良いぞ。この女の命を五分は延長できるかもしれんからな!」
「なんということだ……せめてベジータくんがいてくれたなら……!」

平山は己の剣をはやてに突きつけて出血させ、天魔王はこれから起こるショーを愉悦の表情で見ている。
嘆く博士と、体をミケに揺さぶられながら無念の悔し涙を流すはやて。

マシンモンスターの全滅と平山の死、本当の姿への解禁は手痛い出費だったが、首輪解除ができれば世界征服の夢も現実的なものになる。
確かにフォレスト・セルの魔力は天魔王の前でも危険だが、この真の姿の持つ魔力を無限に全回復する『邪悪な祈りの力』があればマダンテを無制限に撃つことができ、ミケの持っている大量の不明支給品と組み合わせれば可能性は無限であり、勝機は見えてくる。
天魔王軍は自分とミケしか残っていないが、まだまだ戦っていけるというのがオルゴ・デミーラの見通しであった。



だが、そこへ膨大な闇の力と殺気を感じ、天魔王の第六感を刺激した。

「殺気!? 上だミケ!!」
「はッ――」

天魔王の指示通りに上を見上げたミケは、ローブの男が白と赤の二つの剣を持って自分に切りかかろうとしているのを確認する。
ミケは処刑を中断し、すぐに天ノ村雲ノ剣で防御する。
カオスロワ最高の鍛冶技術を持つレストが打った剣である天ノ村雲ノ剣の硬度は並大抵どころか、多少優れた程度の剣を防ぐことは容易い。

しかしローブの男が持っている剣は持ち主によっては世界を滅ぼすことも可能な邪剣と、それに対抗するために作られた同等の力を持つ聖剣。
単純計算で世界を二回滅ぼせるパワーは触れた天ノ村雲ノ剣を粉々に叩き割り、ミケの両腕を肩の付け根から切断した。

「ミケ!?」
「俺の腕がや、やぁだああああああああああああ――」

腕を両断されたことで肩口から噴水のように血が噴き出したミケはパニックに陥るも、すぐにローブの男の鋏状に交差した二本の剣で首を落とされた。
首のなくなったミケの死体から吹き出した血ははやてと博士の体を赤く汚し、絶句させた。


【ミケ・ザカリアス@進撃の巨人 死亡確認】




「ミケ!! おのれ、貴様何奴!?」
「あなたはいったい……」

突然現れてミケを斬殺したローブの男に、天魔王は激昂し、はやては驚く。
天魔王はまだしも、敵か味方かわからないことにはやてたちは戦々恐々だったが、彼女の問いかけに対して男は優しい笑顔を投げかけながら、はやてと博士の拘束を剣で解き、裸体のはやてには纏っていたローブを渡して被せた。

「僕の名前はアナキン・スカイウォーカー。大丈夫、君たちの味方だよ」

それだけ言うとアナキンは巨大なデミーラに向けて走っていく。

「ミケを殺したな?! 許さんぞアナキン!! 渾身のメラゾーマに焼かれて死ぬがよい!!」

天魔王はアナキンが現れるより前に邪悪な祈りで魔力を全回復し、最大級の威力を持つメラゾーマで焼き尽くさんとする。(本当はマダンテを使いたかったが肝心のブリーフ博士が近くにいるのでそれはできない)
しかしメラゾーマの炎柱はアナキンのフォースによって弾かれ、ダメージを与えるには至らなかった。

「馬鹿な!?」
(天魔王オルゴ・デミーラ……せめて若返る前の僕だったら容易く倒せたろうに、ピーク時の肉体と邪剣と聖剣を取り戻した僕に当たったのが運の尽きだったな!)

今のアナキンはソウルエッジとソウルキャリバーによって何倍もフォースを強化されており、首輪も外れていない天魔王の魔力に抗うことも可能だった。
マダンテのような最大威力の技ではないとはいえ、こうも簡単に防がれたことに天魔王も驚きを隠せない。
しかも天魔王の不運はこれだけに留まらない。

「ならば麻痺攻撃で……って変身が解けたーッ!? こんな時に時間切れ!?」

首輪が外れていないことが枷になり変身の制限時間により真の姿から人間形態へと戻ってしまい、弱体化したデミーラ。
魔力が大幅にダウンし、もうマダンテなどの強力な技を放つことができない。

「これで終わりだ!」
「まだ終わらないわよ、この天魔王の野望は絶対にィ!!」

双剣を持って突撃していくアナキンと、優れた肉体から繰り出される正拳突きで仕留めようとするデミーラ。
剣と拳が交差し、どちらかからの血が噴き出して地面に溢れる。
軍配が上がったのはどちらか一方のみ。


「がふッ……」
「僕の…勝ちだ」


デミーラの拳はフォースの見えない壁で阻まれてアナキンの眼前で止まり、デミーラの肉体は二つの剣で胸を串刺しにされた。
アナキンに剣を引き抜かれて力なく地面へと倒れていくデミーラ。天魔王の年貢の納め時である。

一方、死にゆく天魔王は確かに見た。

アナキンの黒いスマイルと、どこかで見たような黒づくめの男の面影を。


(そうか、あなただったのね、ダース・ベイダー……あなたなら支給品の制限回数や変身の制限時間を知っていてもおかしくない。
不自然だったさっきの事故や、タイミングが良すぎる救援……裏で糸を引いたのがあなただったら合点がいく……)

天魔王は直感でアナキンの正体が旧主催であるダース・ベイダーであることに気づく。
そして一連の出来事にアナキンが関わっていることにも……

天魔王は最後までアナキンの掌で踊っていたことを悔いつつも、ソウルエッジに魂を喰われたことで野望と共に肉体はドロドロに溶けて潰えるのだった。


【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7 死亡確認】




――時は天魔王軍と狸組の交戦中まで遡る――


伊豆諸島基地をXウィングで発ったアナキンだったが、どこの対主催組織に行くか決めあぐねていたところ、最終的に決定したのが狸組だった。

「それはどうしてです、ベイダー卿?」

その考えについてデイパックの中のニャル子は質問する。

「ブリーフ博士は今は亡きビアン博士並の科学者だ。
彼の頭脳が予言の謎を解き明かすために必要になるかもしれない。
なんとか手元に置いておきたい」

知力だけなら現存の主催陣営でジャック、ココ、メフィラスも高いが、ブリーフ博士には遠く及ばない。
狸組に正体を悟らせないようにその知能を利用できれば、科学的な面から予言の謎を解き明かせる可能性がある。
またブリーフ博士はこのロワで二番目に首輪解除方法を見つけた対主催で放置すると解除して欲しくない者の首輪まで外してしまう危険があったが、逆に手中に収めることで首輪解除できる対主催を管理してしまおうと考えついたのだ。
これからテルミと戦うために、首輪を外して制限のなくなった対主催の戦闘力が必要かもしれず、殺し合いを停滞させたり世界に害を及ぼす者以外は外してもいい頃合というのがアナキンの判断である。
首輪を外せる博士自体を手土産にすることで他の対主催とも接触しやすくなるだろう。
もちろん自分の正体に気づかれたりしたら狸組には消えてもらうが。

(狸組は確かギンガスパーク持ってましたよねえ……もしアレが手に入ることがあれば真尋さんを憎っきココの手からウヒヒヒヒヒヒ……)
(ニャル子ェ……僕のフォースの力でおまえの悪だくみが丸聞こえだぞ。
まあ、僕の正体やテラカオス計画を最後まで黙っていたら褒美としてくれてやるか)
「では、決まったからにはさっそく行きましょう」
「はいはい」

ニャル子としてはスパークドールとなっている真尋をココの手から取り戻す算段として狸組のギンガスパークを手に入れたいと考えていたが、心の声を聞けるフォースの力によってアナキンにはバレバレであった。
そしてアナキンとニャル子を乗せたXウィングは首相官邸のある千代田区に降り立った。

そして遠巻きから狸組と天魔王軍との戦闘を隠れて見ていたアナキンとニャル子。

「天魔王デミーラ……今の僕の戦闘力なら勝てない相手ではないけど、後でテルミとの戦いに備えて消耗は抑えたい。
それにこの戦況なら狸組が十中八九勝てるだろう。
ニャル子を差し出せば主催の一員を捕まえたとして狸組に取り入ることもできるかもしれない。
だが、もし正体がバレた時に狸組から総攻撃を受けて無駄な消耗をすることも面白くない」
「じゃあどうするんですか?」
「僕が偶然を装ってピンチの時に現れた救いのヒーローと思い込ませるために、演出として狸組には壊滅寸前になってもらう」
「うわ、悪い顔……」

戦況は狸組勝利目前であり、もうすぐデミーラの首が殺生丸によって撥ねられる寸前でアナキンはフォースを使用。
殺生丸のミスによる事故に見せかけて彼の手から天ノ村雲ノ剣を離し、偶然飛んでいったように見せかけてフォースで誘導してマミゾウの胸を刺す。
結果的にマミゾウとタロウは死に、殺生丸も真の姿を見せたデミーラによって殺され、優勢だった狸組は一気に窮地に陥る。

アナキンは主催陣営ゆえにはやての着ていたタヌキスーツの地蔵化に回数制限があることや、首輪の外れていないデミーラの変身制限時間があることも知っており、狸組のピンチとデミーラの変身の時間切れが迫った時を見計らってアナキンは出陣する。

そして見事に最小限の労力でデミーラを討ち、狸組を救い出して信頼を得ることに成功する。
ギリギリまで追い詰められていたはやてと博士の目にはアナキンの勇姿は英雄のように映っただろう。

だが、二人は知らない。
全てはアナキンが二人から信頼を得るために行った演出に過ぎない、一番『狸』を演じたアナキンにだけが勝者として利益を得るマッチポンプ劇場であることに。



――時は現在に戻る――



「マミゾウさん、みんな……ごめん……守ってあげられなくて」

地面に膝をつき、亡くなった三人の仲間に謝罪の涙を流すはやて。
三人の遺体は先のマダンテで消失しているので墓すら立てることができなかった。

「いや、君のせいじゃないよ。僕がもっと早くたどり着いていれば悲劇は防げたろうに……」
「アナキンざん゛……うわああああああああああん」

悲しみと自分の不甲斐なさによりはやての顔は涙と鼻水でグショグショだった。
そんな彼女にアナキンは優しく胸を貸して抱きつかせ、気の済むまで泣かせてやることにした。
ついさっき会ったばかりだが、はやてにとってアナキンは窮地の時に自分と博士を救った彼は恩人に他ならず、大敗とミケにsenkaさせられたことによる精神不安定補正により、なおさらアナキンが輝いて見えていた。



(あ~あ、見事に悪い男に騙されちゃってますねえ……)

その茶番を端から見ていた真実を知るニャル子ははやてを鼻で笑った。
そんなニャル子に話しかけたのはブリーフ博士である。
ちなみにニャル子はアナキンに捕まっているという設定なので体にロープが巻きつけられている。

「君は特務機関員のニャル子だね?」
「ええ、そうですよ。今はアナキンに捕まってこの様です。
主催が安倍に交代していなければ機密保持のために今頃ベイダー卿に殺されているでしょう」
「よければ、主催の目的についてなにか教えてくれまいか?」
「言っときますけど、私はかけがえのない人であり将来のダーリンの真尋さんを人質に取られているから仕方なく主催に従ってただけで、他に知ってることはありません。
他の特務機関員の情報なら狸組はとっくに握っているでしょうし」
「そうか……」

ニャル子ならば主催の目的も見えてくるだろうと思ったが、情報を何も持っていないことに落胆するブリーフ博士。もちろん、ニャル子が主催陣営の目的を知らないのは嘘であり、アナキンの正体がベイダーだと教えなかった。
喋れば、戦闘力のほとんどを失った狸組ではアナキンを止めることもできずに間違いなく殺されるからだ。

(まあ、真尋さんが人質に取られているのは嘘じゃないし)



「博士、僕は対主催の一員として首輪を外せるあなたがここにいると聞いて馳せ参じました。
これから危険なマーダーやベイダーや安倍と戦うためにも首輪を外して欲しい」
「わかった、外してあげよう」

そして、情報交換(大半はアナキンは既に知っている)の後に、アナキンの首輪も外された。
この時、ブリーフ博士がもう少し冷静であれば首輪が偽装であると見抜けたかもしれないが、彼もまた仲間と娘の多くを失ったために精神的なダメージを受けており、偽物を見抜くことができなかった。

「ありがとう、博士。これで百人力だ」
「儂とはやてくんを救ってくれた例じゃよ……しかし、殺し合いの手がかりになるかもしれなかった官邸が戦いで跡形もなくなってしまったな」
「これでは食人鬼の腕から何かを抽出する機材も回収できそうにないですし、どうすれば……」
「一先ず、有名な対主催組織に合流するのはどうかな? 聖帝軍イチローチームはまだ健在なハズ」

今後の方針を話し合う三人だったが、三人とは離れた位置で企むニャル子がいた。

(頼みますよシャンタッ君、ギンガスパークを回収してください! オナシャス!)

アナキンは三人で話し合っている間にシャンタッ君に使える支給品の回収を命令した。
ほとんどが戦闘の過程で消失してしまったが、もしギンガスパークが残っていればニャル子の真尋救出の夢が見えてくる。

そのためにマジマジとシャンタッ君の作業を見ていた。

「みー、みー」

そして、瓦礫の中からシャンタッ君は何かを見つけた。
瓦礫の下にあったのはマダンテの熱で溶けたビニールになったスパークドールと、辛うじて無傷だったギンガスパークだった。

(やったあああああああああああ!! あれさえあれば真尋さんをココのNTRから解放できる!
後は隙を見て逃げ出すチャンスと奪うチャンスがあれば……)

ひょっとしたらギンガスパークも消失しているのではないかと恐れていたニャル子だったが、無事を確認できて心の中でガッツポーズを取る。
後はどうにか脱出と簒奪のチャンスを伺うだけであった。



ズガンッ ズガンッ



「みィ!?」
「へ?!」

そこへ無情の発砲音が聞こえたと思いきや、銃弾がシャンタッ君の頭を吹き飛ばし、ニャル子の胸に大きな風穴を開けた。

「なんじゃ?!」
「敵襲だ!」
「DMC狂信者……!」

銃声が聞こえてアナキンたちが振り返るとそこには頭のなくなったシャンタッ君と、胸から夥しい血を流して倒れるニャル子。
少し離れた位置からこちらを狙撃したと思わしきモブ狂信者がいた。


「生贄がいたぞー! SATUGAIせよレ○プせよ!」

獲物を見つけた一人のモブ狂信者が仲間を呼ぶと、数分も立たない内に蟻のようにモブ狂信者が集まっていき、アナキンらに銃弾を浴びせる。
幸いにもアナキンのフォースで防がれたために銃弾が三人を貫くことはなかった。

(厄介な……モブ程度なら簡単に全滅させられるが戦っている内にテルミを呼び寄せる危険がある。
戦力が整わない今は逃げた方が良さそうだ)

フォースと剣で銃弾を弾きつつ、アナキンははやてとブリーフ博士を説得してある場所へ連れて行こうとする。

「今後の為にも無駄な戦いをするわけにも行きません!」
「では、どうするんです?」
「この先に僕が隠した戦闘機があります。それに乗って逃げましょう!」

速度に優れたXウィングに乗ればモブ狂信者を振り切ることも可能だろう。
一先ず、隠した場所へ逃げることにするが、そこへ待ったをかけるブリーフ博士。

「じゃがアナキンくん、ニャル子くんはどうするのかね?」
「非情ですが、あれは連れて行ったところでろくな情報はない……それに、あの傷じゃもう助からない」
「しかし……」

元は主催の手先とはいえ倒れたニャル子を置いていくことに難儀をしめす博士だったが、そこへはやてが進言する。

「彼女は可愛そうですが、今は置いていくしかありません。
マミゾウさんたちに続いて私たちが死ぬわけには行きません。
特にこの殺し合いの鍵を握るかもしれない……あなたは」
「はやてくん……わかった、不本意だが、従おう」

はやての言葉により博士も重い腰を上げてアナキンの意見に従う。
アナキンはシャンタッ君の集めた闇のルビーやギンガスパーク、その他諸々の不明支給品をフォースで吸い寄せた後に、二人を連れて狂信者軍団から逃げ出す。

一方、置いて行かれたニャル子は一部のモブ狂信者に囲まれていた。
皆殺気だっており、今にも大量出血で動けないニャル子を殺そうとしている。
致命傷なれどなんとか助かりと願ったニャル子は、ダメ元でモブ狂信者に懇願する。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!」

もちろん、それは無駄な足掻きであった。

「「「SATUGAIせよ、レ○プせよ!!」」」
「アアアアアアアア!(発狂) 助けてベイダー卿!真尋さぁーーーん!!」



数分後、跡形もなく消えた首相官邸のあった場所には、一人の銀髪少女の生首が名状しがたきバールで串刺しにされて放置されていた。


【ニャル子@這い寄れ!ニャル子さん 死亡確認】




ニャル子を囮にすることで結果的に追っ手の数を減らしてXウィングにたどり着いた三人は、さっそく乗り込んで飛び立ち、千代田区から脱出する。
(ちなみにXウィングは一人乗りだが、博士とはやてをR2-D2を載せる上の部分の穴に乗せることで解決した)
その時、一つの地下から現れた眩い閃光が巨大な神樹を貫き、叩きおった。

――ぐああああぁああああぁあああ!!!

「なんじゃと、あれは……」

ブリーフ博士が驚くのも束の間、間髪入れずに都庁の世界樹に向けて同じ閃光が地下から放たれる。
何かの力で世界樹に閃光が当たることはなかったが、二度にわたって放たれた閃光にブリーフ博士は何かを確信する。

「間違いない、あれは……」
「どうしたんです、ブリーフ博士?!」
「あれはベジータくんの技の一つ、ファイナルフラッシュじゃ……あそこにベジータくんはいる!」
「なんですって!?」

ブリーフ博士は信頼している男にして娘の夫、サイヤ人のベジータがいることをエネルギー弾の形から確信する。
しかしおそらく対主催であろうベジータがなぜ同じ対主催の都庁を攻撃しているのか?

「まさか多くの参加者と同じく風評被害に騙されて都庁を攻撃しているのか……」
「それなら止めなアカン! アナキンさん、すぐに都庁に向かって!」
「それはダメだ。都庁は今、狂信者たちに囲まれていて対空砲火が激しい。
この戦闘機の性能じゃ確実に撃ち落とされてしまう」

はやての提案を拒否したアナキンだが、弾幕を突破して都庁にたどり着けないのは嘘ではない。
それはエースパイロットであるゼクスが乗るエピオンすら突破できないレベルであり、強行突入は危険を伴う。
撃ち落とされた際はアナキンとはやてなら大丈夫だろうが、一般人であるブリーフ博士の命の保証はないだろう。

「すまないが現状は無理だ……あの包囲網を突破できる戦力を手に入れるまで後回しにするしかない」
「くッ……ベジータくん、頼むから都庁は味方だと気づいてくれ」
「都庁のみんなも無事でいてや……」

アナキンの操る戦闘機の上で、博士とはやては遠くから都庁の参加者の無事とベジータの誤解が晴れることを信じるしかなかった。
だが、運命はかくも残酷であった……




二日目・13時00分/東京・千代田区上空】

【八神はやて@魔法戦記リリカルなのはForce】
【状態】ダメージ(中)、魔力消費(中)、精神不安定、非処女、全裸にローブ一枚、死んだ仲間たちへの深い悲しみ、首輪解除
【装備】アナキンから借りたローブ
【道具】基本支給品一式、夜天の書@魔法少女リリカルなのは、携帯電話、USBメモリ
【思考】基本:死んだ仲間たちや赤い翼のMSのパイロットの為にも主催を倒す
0:今はアナキンに従い、ブリーフ博士を守る
1:主催者打倒のため、情報と仲間を集める
2:TC値に謎の物質に、まだまだわからんことばかりやな……
3:恩人であるアナキンを全面的に信頼
4:みんな、守れなくてゴメン……
5:タヌキスーツ、お気に入りだったのに
※主催側が大災害について何か関与していると考えています(細かい部分は分かっていません)
※PSP版の技も使えます。
※カオスロワちゃんねるより、風鳴翼の情報を少し入手しました
※アナキンの正体に気づいていません


【ブリーフ博士@ドラゴンボール】
【状態】精神疲労(大)、白衣が血で真っ赤、深い悲しみ、首輪解除
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、機材一式、風鳴翼の右腕
【思考】基本:対主催
0:今はアナキンと行動を共にする
1:TC値と謎の物質の調査のために、自分以外の科学者とも合流したい
2:対主催参加者と出会えたら、首輪を外す
3:都庁に放たれたあのビームはベジータくんのものだが……一体何が……
4:恩人であるアナキンを信頼
5:亡くなったブルマや殺生丸くんたちのためにも技術者として戦い続ける
※首輪解除が可能となりました
※風鳴翼の右腕は四条化細胞とナノマシンの塊です。うまくいけば抽出できるかもしれません
※現在所持している道具では抽出不可。どこからか調達するか設備のある場所を訪問する必要があります
※情報交換により、風鳴翼(テラカオス・ディーヴァ)の能力の一部を知りました
※情報交換により、謎の物質(ナノマシン)の存在および危険性を知りました
※アナキンの正体に気づいていません


【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【状態】疲労(微小)、若返り、ジェダイ風衣装、首輪解除
【装備】邪剣ソウルエッジ&聖剣ソウルキャリバー@ソウルキャリバーシリーズ
【道具】支給品一式、四条化細胞入りカプセル、Xウィング・ファイター@STAR WARS、ライトセーバー@STAR WARS、闇のルビー、ギンガスパーク@ウルトラマンギンガ、大量の不明支給品
【思考】基本:世界を救うためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:更にどこかの対主催勢力と合流し予言の調査及びユウキ=テルミの討伐
1:対主催への信頼を得るためにブリーフ博士を利用する
2:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは消す
3:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
4:ユウキ=テルミを殺す前に、テラカオスや救済の予言について知っているなら吐かせる
5:いざという時は四条化カプセルで新たなテラカオスを作る
6:合流する対主催グループはイチローチームか聖帝軍が妥当か?
※タイムふろしきで若返ったのでピーク時の姿と力を取り戻しました
※現状の戦力や装備では狂信者によって都庁に仕掛けられた包囲網を突破できません
※この時点ではまだテルミの死を知りません
最終更新:2017年09月06日 12:45