ロザリオ





【聖線~アルベロ~教会廃墟の荒野~慈悲なる夢周辺】


鳩の頭蓋骨

コレットとして加工された鳥の頭蓋骨。脆い見た目ではあるが、悔悟者の防御を少しだけ強化してくれる。

=伝承=
あの日の朝、火刑のための薪に火がつけられた。聞く耳を持たない宗教裁判官たちに向かって囚人が必死に嘆願を続ける中、一羽の白い鳥が天より舞い降り、囚人の肩に止まった。鳥は囚人と共に炎に燃やされ、やがて灰になった。


感謝の印

寄付へのお礼として受け取ったごく普通のビー玉。傷だらけのガラスはどうやら、空になった胆汁のフラスコ瓶と共鳴するようで、フラスコ瓶の中身がなくなると悔悟者の力を強めてくれる。

=伝承=
長いこと閉ざされていた教会が、ついにその門戸を開く。もうすぐ、この地を覆う沈黙にも終わりが訪れる。門からは新しい光が差し込み、信者席にあるボロボロのタイルや湿った木々からは埃が舞い上がるだろう。これで、すべてが完璧になる。準備はすべてできた。私は祭儀の子なのだ。これは私に与えられた使命なのだ。

※関連人物:ルウドヴィコ


封印されたルビー

ルビーの核が閉じ込められている水晶玉。宝石は異国の地の輝きを発しており、ガラスを嵐のような光で満たしている。奇妙なエネルギーが持ち主に揺るぎない決意を与えることで、胆汁のフラスコ瓶を飲んだ後しばらく、剣から電撃を放つことができる。

=伝承=
貴重で価値のあるものについてもまた、同じことが言える。非常に貴重なものは他の者に見せびらかしたり晒したりせず、父なる神に捧げるためだけに残しておかねばならない。そうしてこそ、宝物は至高の祝福を受けられるのだから。その存在を誰にも知られないよう、この宝石の輝きを覆い隠そうではないか。



宣告の口蓋垂

口蓋垂を装備していると、周囲のオブジェクト破壊時に一定確率で償いの涙を獲得できるようになる。

=伝承=
『聖下エスクリバーの布告』
「聖別軍という名を授けよう」と聖下は仰った。「鎧の下の肉体には、私自らが清めた油で聖別された包帯を巻きなさい。私が彼らを守るのと同様に、聖別軍には万母の母を守る使命を与えよう」



朱蝋の小玉、朱蝋の中玉、朱蝋の大玉

(朱蝋の小玉)溶けた蝋でできた、色あせた深紅色の小さな玉。身に付けて祈りを捧げることで、持ち主の生命力をを少しだけ強めてくれる。
(朱蝋の中玉)深紅色の蝋を集めて作られた球体。その核には太古の祈りの残響が鳴り響いており、持ち主の生命力をそこそこ強めてくれる。
(朱蝋の大玉)鮮やかな深紅色の蝋でできた、大きな玉。中では先祖からの祈りが唸りをあげており、持ち主の生命力を大幅に強めてくれる。

=伝承=
教会堂はもはや、静寂に包まれた場ではなくなった。個室からは痛みを訴える悲鳴が、壁を貫いて聞こえてくる。ベッドでうずくまっていた年寄りの修道士は、自分の番が来たと悟りベッドから立ち上がると、机の上をちらりと見た。そこには、修道会に入る前の思い出の品が置かれていた。彼はせめて、穏やかな思い出に包まれながら、奇蹟を迎えたかったのだ。思い出の品の中でも、特に思い入れがあったものは小さな蝋の玉であった。今となっては埃まみれのそれは、式典の際、蝋燭からこぼれる蝋を集めて作ったものだった。



虚ろなる真珠

中が空洞の色あせた球体。真珠層はまったく残っていないが、青みがかった光沢を微かに残している。周囲のオブジェクト破壊時に熱情を生み出す。

=伝承=
「彼もやられたようだ、兄弟よ。奇蹟が壁の中に入ってきた」と修道士は恐怖しながら述べた。
「その板でこの部屋を塞ぐのを手伝ってください」と、年下の修道士が答えた。
巨大な木製の扉の向こうからは、悲鳴と扉を叩く音が聞こえてくる。その扉の下からは小さく丸い物体が、こちらへと転がってきた。


苔の硝子瓶

苔の入った小さな瓶。中には小さな白い花が揺らめいており、毒に対する耐性を持ち主にいくらか授ける。

=伝承=
灰の交じった風が私たちを打ちつけていた。そのひどさは息をするのもやっとのほどで、教会区内から動けない私たちは湿らせた布で扉や窓を覆っていた。息苦しさに、私たちは窒息しそうだった。そしてあの運命の夜、誰かが扉を叩く音がした。そこにいたのは一人の女性だった。彼女は無言のまま、真珠のような白さの苔が付いた一切れの布を床に置いた。疑惑のこもった目で見つめる私に、彼女はその苔を自らの鼻孔にこすりつけて見せた。そして彼女は踵を返し、去っていった。私は希望を込め、修道士たちにこのことを詳しく話した。私たちは彼女に倣い、苔を鼻にこすりつけてみることにした。その後間もなく、私たちは普通に呼吸ができるようになったのだ。鉛色の灰交じりの空が元の青色を取り戻すまでの間、私たちは恐怖を感じることもなく平穏に過ごすことができた。



石灰岩の小指

『裸足の巡礼者』の石像から欠け落ちた足の指。この小指が、彼の行く手を阻む小石を退けてきた。回避距離が伸びる。

=伝承=
そして導師はこうも続けた。「真に謙虚な巡礼者は、巡礼中は両手を背中で組み続けなくてはならない。巡礼者にとって唯一大切なものは、足だからである。これは、私たちの規律である」




【終わりなき黄昏山脈~ホンド~黙する悲哀修道院~怨嗟の縦穴周辺】


ペルペチュアの防具

深紅色の布でできたリボン。丁寧に丸められており、古来の油の匂いを未だに残している。聖別軍の戦士は頑丈で重い鎧を身に付けていたが、その内部の肉体は、保護作用のある油で清められたこのリボンで包みこまれていたという。かつての持ち主の強い決意が、稲妻の攻撃への耐性を授けてくれる。

=伝承=
「エズドラス、だって?」と兵士は聞き返した。「あの男は妹の死に耐えられなかった。彼は今でも、妹が隣にいるように話しかけ続けている。まるで言い争っているような時もあった。でも彼は、とっくの昔にどこかへ消えて、いなくなってしまったよ」

※関連人物:エズドラスペルペチュア


石灰岩の薬指

『裸足の巡礼者』の石像から欠け落ちた足の指。この薬指は良き時代を忘れないよう、彼の相棒の記憶を携えている。回避後の行動不能時間が減少する。

=伝承=
導師はいつものように私たちを集めて、こう教えてくださった。「真に謙虚な巡礼者は、その歩く地面から決して目を離してはいけない。これは、私たちの規律である」



鉄顎の王冠

鉄で作られた婚約指輪。炎の中に何度も投げ入れられたことにより、真っ黒になってしまっている。三つの顎の歯が、その小さな王冠のような形を愛らしく生み出している。ひとつになった悪意と欲望がこの指輪に力を与え、悔悟者の攻撃によって生み出される熱情の量を上昇させる。

=伝承=
「ここの神聖なる平和の壁の中で祈りを捧げていると、時々、包帯を巻いた剣を携えた淑女様の存在を感じるんです。闇に身を包み、音を立てることも無くじっと待っている淑女様ですが、両目を覆うその黄金の兜の奥から、呼吸の音が聞こえてくるんです。それと、祈りを延々に捧げているような囁き声が聞こえることもあります。しかし、淑女様がここに入ってくる様子や、ここから出ていく様子は見たことがありません。淑女様は一体何を、誰を待っているのでしょう?」

※関連人物:拘束の苦悶クリサンタ


髪の結び目

三人の強い絆で結ばれている、絡み合った髪の毛。その結び目は頑丈でロザリオとしても使用でき、その不屈の力が持ち主の攻撃を強化する。

=伝承=
第四:聖なる繋がりを目前にした我々信者たちは、奇蹟の賜物であるその物体に跪き、それを崇拝の対象として扱うことにした。我々はその神聖さを敬い、祭壇を作りその卵を安置した。しかし数日後、暗く寒々としたある日の夜、教会の中で眠りについていた神父の耳に大きなうめき声が聞こえてきた。それは三つの声だったが、まるで一つの声にも聞こえたという。我々が到着した時、卵はそこから姿を消していた。それ以来、私はありとあらゆる地に赴き、ありとあらゆる魂と会話し、卵の在処を探している。



伽藍鳥の彫像

緑青色のアクアマリンで表面が覆われた、青銅製のロザリオの球。伽藍鳥は雛鳥に自らの血を飲ませて育てるという。胆汁のフラスコ瓶を飲んでいる際、いかなる危害からも持ち主を守り抜く。

=伝承=
この胸から血を流しましょう。流れる赤い血で、空腹の者を満たすために。血よ、流れ出でよ。死せるこの大地に血が流れ、奇蹟のその目の前で祝福を授けるために。そしてこの地で休む者たちが、夢の向こう岸、永遠なる行進の道にて生きてゆけるために。血よ、流れ出でよ。



【オリーブの枯畑~山頂墓地~焦貌の聖女修道院周辺】


凍ったオリーブ

終わりなき冬に閉じ込められた夏の果物。監獄と化してしまったオリーブの木からできた実であり、その凍り付いた油が、体力の尽きかけた持ち主の防御を強化する。

=伝承=
地獄に落ちた者たちが、恐ろしい見た目の虚ろな金属の彫像に向かって、凍り付いたオリーブの道を歩み進んでいく。神に見捨てられた彼らは、そこで死んでいくのだ。ジェミノはその歩みを止め、雪の下にまだ残っていたオリーブの実に目を留めた。彼は周りに気付かれないようにその実を拾い上げると、その手をしっかりと握りしめた。本来であれば、まったく大切なものではないと知りながら。

※関連人物:ジェミノ


聖なる火葬の燃えさし

忘れ去られた埋葬を通じて結晶化した燃えさし。どこかの異国の、篝火の熱を宿しているという。持ち主の精神を和らげ、防御能力を上昇させる。

=伝承=
とある教区民の集団が聖歌を歌いながら、隊列を組み墓地に向かって歩みを進めていた。何度も何度も繰り返されるその祈りの声は、墓地に近づくにつれて次第に眠りを誘うような囁き声へと変わり、徐々にリズムも失っていった。彼らが墓地に到着した時には、静寂だけがその場を包んでいた。シャベルを手にした葬儀屋が、冷たい土を棺の上へと被せていく。そこに故人の娘だと思われる、フードを被った少女が近づき、熱を放つ燃えさしを投げ入れた。燃えさしは光を放ちながら、穴へと落ちて行った。土は止まることなく穴を埋めていったが、少女の燃えさしの輝きは驚くことに、冷たい土の上からでも目視できたという。


博識なる石灰眼

写字生アラヴァロズの眼球。隠された真実を暴き出し、多くの者にその真実を垣間見せた。冷徹なる観察眼をもってして、敵の生命力を露わにする。

=伝承=
彼の体はもはや動かず、口からは後悔の叫びをあげながら、彼の皮膚は徐々に白くなっていき、しまいには石灰岩と化した。完全な石像と変わり果てる直前、彼が最後に流した涙が片方の眼球を柔らかくし、石化から救った。その眼球は地面へと落ち、残った体は石像となった。その後、私たちは石灰岩でできたその体を慎重に運び出し、大聖堂の地下室へと移動させた。その部屋は、禁じられた石像が数多く保存されている場所だった。その石像が眠ることを誰にも悟られぬよう、私たちは像に大きな布を被せた。その石像が、奇蹟による罰を身に受けた大写字生だと知られぬように。

※関連エリア:眠れる画廊


純潔の数珠玉、罪過を背負いし数珠玉、罪過に穢れた数珠玉、真なる罪過の分銅

(純潔の数珠玉)用途のない、簡素なロザリオの球。傷一つないその表面は、熱情に溢れる指で汚されていない。
(罪過を背負いし数珠玉)持ち主の罪過を吸収した数珠玉。内部では黒い染みが回転している。その染みを直接視認することは難しいが、数珠玉に触れた時の冷たさが、その存在を物語っている。ロザリオとして身に付けることで、身に積もる罪過を代わりに背負ってくれる。この数珠玉がその純粋さを残している間は、だが。
(罪過に穢れた数珠玉)持ち主の罪過を複数回にわたって吸収した数珠玉。中心部では黒い螺旋が渦巻いており、神の怒りに震え揺れ動いている。ロザリオとして身に付けることで、身に積もる罪過を代わりに背負ってくれる。この数珠玉がその純粋さを残している間は、だが。
(真なる罪過の分銅)持ち主の罪過を限界まで吸収し、黒く染まり切ってしまった数珠玉。その内部には罪過の嵐が閉じ込められており、過去の過ちに共鳴して轟音を響かせている。
告白者の石像はかつて、このような数珠玉を身に付け、過ちを悔いる教区民から罪過を収穫していたという。

=伝承=
「あなたに、あなただけに、渡したいものがあります……」ロバの歩みを止めさせた修道士に流浪の民は告げた。彼女が見せたのは奇妙な美しさをたたえた、白い石だった。「これは海底の暗闇から産まれ出でたものです。この無垢さ、穢れのない白さ、純潔たる輝き……あなたのロザリオにこれほどふさわしい、純潔なものがあるでしょうか?」


沈黙した鈴

中身が空っぽの鈴。奇妙な力を周囲に感じ取ると、不思議にも、小さな音を立てると言われている。魔法攻撃への弱い耐性を持ち主に授ける。

=伝承=
絵画と彫像で溢れかえる彼を待ち受けていたのは、思いがけないものだった。薄汚れた布の下から現れた大理石の男性像は、彼に何かを差し出しているように見えた。その冷たい、大理石の手の中には、光沢を放つ物体が鎮座していた。それは林檎ほどの大きさの、銀色の光をまとった形のない果物で、おいしそうな見た目をしていた。空腹だった彼はそれを手に取り一口噛みついたが、痛みに鋭い叫び声をあげた。その果物はなんと、金属でできていたのだ。混乱しながらも、彼は近くにあった石を掴むと、全身全霊でその果物を打ち砕こうとした。すると果物に小さな亀裂が入り、濃い赤色をした液体が流れだした。彼はためらうことなく、その液体を口にした。その味はまるで、血のようだった。

※関連エリア:眠れる画廊


墓石の欠片

なぜか雪山で発見された、陶器の厚板の一部。村の住民が乾燥地帯を離れ、凍えるような山脈に登ることは稀であるはずなのだが、この墓石は紛れもなく、アルベロの住民のものである。持ち主に落下への耐性を授け、落下後の行動不能時間を短縮してくれる。

=伝承=
アルベロにある墓地は、アルベロそのものよりも古い歴史を持っているという。教会ができるよりも前に作られたとも言われている。この荒廃した地において墓地はすべてから切り離された存在であり、不浄なものとされていた。このことを知った教会は、墓をすべて掘り起こし、遺体を周囲にばらまいた。死者の遺体を集め、彼らを再び墓地に埋葬するための組織、正墳墓教団が設立されたのはこの時であった。私は教団の設立以来、この粘土でできた墓石の欠片を肌身離さず身に付けている。

※関連エリア:正墳墓教団(アルベロ)


青蝋の小玉、青蝋の中玉、青蝋の大玉

(青蝋の小玉、中玉、大玉共通)溶けた蝋でできた、くすんだ紺碧色の小さな玉。拷問を受けた狂信者の悲鳴が、未だに内部でこだましている。持ち主の熱情を少しだけ強めてくれる。

=伝承=
教会堂はもはや、静寂に包まれた場ではなくなった。個室からは痛みを訴える悲鳴が、壁を貫いて聞こえてくる。ベッドでうずくまっていた年寄りの修道士は、自分の番が来たと悟りベッドから立ち上がると、机の上をちらりと見た。そこには、修道会に入る前の思い出の品が置かれていた。彼はせめて、穏やかな思い出に包まれながら、奇蹟を迎えたかったのだ。思い出の品の中でも、特に思い入れがあったものは小さな蝋の玉であった。今となっては埃まみれのそれは、式典の際、蝋燭からこぼれる蝋を集めて作ったものだった。



金仮面の欠片

何年も前に壊れた、金色の仮面の欠片。黒炭の貌の修道会に所属する修道女たちは、焼け焦げたその顔を決して見せてはいけないという誓いを立てており、かつても持ち主の強い信念がこの欠片にも染み込んでいる。炎への耐性をいくらか獲得する。

=伝承=
第二:長年の月日が流れ、彼女もほかの人々と同様に、年を老い始めていた。しかし火傷だけは時の流れを感じさせず、沸騰した油が肌に触れた、その瞬間と同じくらいの生々しさを保っていた。傷は未だに焼けただれ、煙すら立ち上っていた。彼女は奇蹟の産物であるとされ、教会からは聖人として認められた。こうして彼女は、焦貌の聖女として知られるようになり、やがて彼女の名を冠した修道会が設立された。修道会に所属する修道女たちはみな、アウレアと同様に、顔の一部分を焼かなくてはいけないという規律が生まれた。治まらない火傷の痛みを和らげるガーゼを隠すため、彼女は黄金の仮面を身に付けている。



封印されたサファイア

サファイアの核が閉じ込められている水晶玉。宝石は異国の地の輝きを発しており、ガラスを嵐のような光で満たしている。奇妙なエネルギーが持ち主に揺るぎない決意を与えることで、処刑後の少しの間、剣から電撃を放つことができる。

=伝承=
自身を俗世から隔絶しようとした者、自らの選択によって自身を閉じ込めた者のもとには余すことなく、奇蹟による祝福が訪れるだろう。その身を何に捧げるのか、人の子は選ばねばならない。奇蹟か、世界か、二つに一つなのだ。この修道院にいる間、この言葉を覚えておきなさい、修道女よ。

※関連人物:焦貌の聖女/アウレア
※関連エリア:焦貌の聖女修道院


黄金糸の数珠玉

液体の黄金を編み込むことで作られた上質な糸の珠。触れるとベタベタしている。この奇蹟のより糸は、錬金術師や学者であれば誰もが欲しがるものである。繊維の一本一本に編み込まれた情熱が神聖なる胆汁のフラスコ瓶へと浸透し、その使用速度を速めてくれる。

=伝承=
私の目の前で奇蹟が起きた。私は、床に横たわっている彼女を見つけた。その顔色は死んだように青ざめていたが、同時に穏やかで安らかな表情でもあった。彼女の隣には、黄金で覆われた四人の女性が横たわっていた。その黄金は光を放っており、部屋の中はまるで火が灯っているかのようだった。様子を見守る私の耳には、五つの心臓が脈打つ鼓動が聞こえてきた。ゆっくりと拍動するたその心音は調和し、一つの音となって部屋に反響していた。

足元の床は一面、黄金の糸で覆われていた。恐らく、目の前に横たわる四人の黄金の体と繋がっているものだろう。私は糸の一部を摘まみ上げ、数珠玉を作った。これがあれば、私の証言を皆が信じてくれるだろう。




【冒涜の貯水路~塩の残響周辺】


銀の葡萄

ロザリオの球に加工された果物の実。聖職者の虚栄心を象徴している。その冷たい頑丈さは持ち主にも影響を与え、防御を大幅に強化する。

=伝承=
ドルフォスの告白――その2』
もっと多くの、できるだけ多くのロザリオを溶かさなくては。私にはあの銀が、あの美しい曲線美が必要だ。銀の純潔さは私の肺を、内外から飾り立ててくれる。呼吸をするたび、奇蹟の恩寵がこの体を貫く。銀の純潔さは私の胃を、内外から飾り立ててくれる。食事をするたび、奇蹟の恩寵がこの体を養い育て行く。銀の純潔さは私の目を、内外から飾り立ててくれる。目を見開くたび、私は奇蹟そのものを目の当たりにするのだ。



灯火の淑女の光

ランタンの形に作られた鉄製のアミュレット。湿気と硝石のせいで錆び付いてしまっている。船外に放り出されたとしても灯火の淑女に見つけてもらえるようにと、多くの船乗りが身に付けていたという。かつての持ち主が捧げた熱情溢れる祈りが未だに染み込んでおり、フラスコ瓶が空になった時、すべての防御を強化してくれる。
哀れな悪党にとっては意味のない代物であった。荒れ狂う海に対しては身を守る術など無きに等しく、また灯火の淑女は盲信など気にも留めないからだ。

=伝承=
「あの嵐を生き残ったのは俺も含めて十人程だった。夜の海面は黒くて冷たく、波も立たない。体が冷えたらいけねえからって、俺たちは必死に泳いだ。運がいいことに流木を見つけた俺たちは、それにしがみ付いて体を休めた。俺たちは大声を上げてお互いが無事かどうか、どこにいるかを確かめようとしたんだが、声が変に反響するせいで音がくぐもっちまって、どこから声が聞こえてくるのかさっぱりわからなかったんだ。そしてその声も少しずつ消えていって、この凍えるような闇が俺たちの墓場になるんだって俺たちは悟った。だがその時、薄暗い霧の中から突然白い光が現れて、俺たちの目の前を照らし出したんだ。そしてランタンの付いたボートに乗った若い男が、俺たちをひとりまたひとりと、水の中から引き揚げてくれた。俺たちを陸地まで送り届けたその男は、何も言わずに去って行っちまった。あの人の名前も何も知らねえけどよ、これだけは言えるぜ。あの夜、あの若い男が助けてくれたことを、俺たちは一生忘れねえ。
この話が嘘だって言うなら、俺のことを叩き殺してくれても構わねえぜ!」

※関連伝承:帰港のミラブラス
※関連人物:灯火の淑女


琺瑯詰めの炎

この上なく純粋に白い炎を閉じ込めた、光沢のあるメダル。外洋に現れる眩い光を捕らえるため、こういった宝石はかつて、船のメインマストによく吊り下げられていた。奇蹟との繋がりを強めてくれる効果を持っており、祈詞をより早く使えるようになる。

=伝承=
マストの頂点から、青白い炎が燃え上がった。時に白く、時に青く、その色を変化させながら燃え続ける炎は、まるで荒々しく舞い踊っているかのようだった。その勢いは、私たちを襲った恐ろしい嵐を前にしても、まったく弱まる気配がなかった。この炎は、父なる神が天から私たちの船に向け、御指を差してくださったことで生まれたものだった。激しく燃える炎は夜闇を切り裂いて、嵐の外へと私たちを導いてくれた。




【静寂の中庭周辺】


石灰岩の親指

『裸足の巡礼者』の石像から欠け落ちた足の指。この親指が、彼が通った道に痕を残してきた。空中での攻撃回数の上限が増える。

=伝承=
最後に導師はこう言われた。「真に謙虚な巡礼者は、独りで巡礼しなくてはならない。孤独の巡礼によってこそ、私たちは絶えず瞑想を続けることができ、奇蹟のこの地において巡礼が何を意味するか理解できる。これは、私たちの規律である」言い終えると導師は立ち上がり、静かに私たちをじっと見つめた。その後、導師と会うことはなかった。



棘のシンボル

茨でできた加護のシンボル。老いにより硬くなってしまった手で、辛抱強く作られた。このような道具を作るには、強く揺るぎない信念が必要であり、その思いは棘だらけの表面に染みこんでいる。敵との接触時のダメージを軽減してくれる。

=伝承=
私は生き物の中に、未だ閉じ込められている。外からはその唸り声が聞こえ、雷鳴のような心臓の鼓動が聞こえる。眠りについた私の夢に奇蹟が姿を見せ、私に話しかけてきた。私が淑女の腕の上で横になっているのは、それが理由だ。しかし奇蹟はその後再び、より実体を持って現れた。目を覚ました時、私はもはや私ではなかった。動かない体に閉じ込められた、囚人と化したのだ。その体は終わりなき怒りと、終わりなき痛みで満ちていた。眠れる体の中で、私は起きている。

※関連人物:慈悲を施す者



【万母の母~禁書の図書館~眠れる画廊周辺】


神聖なる紫水晶

お香の強いアロマを発している宝石。万母の母で使用している香炉は宝石やロザリオで埋め尽くされており、煙をもってして宝石や球を清め聖別している。この紫水晶はその中でも特に一級品であり、中に込められた祝福が、魔法攻撃への強い耐性を持ち主に授ける。

=伝承=
宝石、貴石、金、ありとあらゆる財宝を宝箱から出し、彼を聖別しましょう。今日、私たちはこの聖人に衣服を与え、彼の肉体を天へと捧げるのですから。
※関連人物:埋葬の大司教メルキアデス


若き石工の木輪

小型の木製車の破片。悲惨な事故によって、不幸にも師と引き離されてしまった見習いが身に付けていた。彼を包み込んだ石と漆喰は彼の叫び声を掻き消し、助けを求める彼の嘆願を奇妙な残響として閉じ込めた。残響はその思いを留めたまま、この壁の中に染み込んでいる。解放を求める哀れな若者の願いが染み込んだこのアミュレットは、身に付けた者の移動速度を上昇させるという。

=伝承=
「義父上、壁は動きませぬ。
ここにある知識が外に逃げ出すことを図書館は望んでいない。禁じられた書物や太古よりの秘匿を求め訪れる者を、図書館の通路は惑わし閉じ込める。図書館の番人である物言わぬ修道士たちはこの事実を知っているのです。そして彼ら自身もまた、図書館の力によって捕らわれた者たちであり、本棚の間を彷徨い続けています。ここでは、満たされることのない知識欲が人々を永遠に苛み続ける。いつの日かあなたがこの手記を読み、私の死について、自らを責めないことを祈っています。ここに閉じ込められた言葉もまた、それを願っているのですから」



琥珀の眼球

眼球の形になるよう、繊細な技術で彫られたロザリオの球。暗闇の中で光るようだ。稲妻が直撃した聖なる木には、傷一つついていなかった。その樹脂は稲妻が逃げることを許さず、稲妻は琥珀の核に今なお閉じ込められている。電気攻撃への強い耐性を持ち主に授ける。

=伝承=
これぞ初めての凍り付いた樹、私たちが祈りを捧げる樹であり、その変形した青白い凍った幹に、悲哀に溢れながらも敬虔な、顔が見て取れる樹であった。ある日、その幹の谷間から樹液が滴り、目を形作った。黄金色の、とても輝かしい樹液……琥珀の眼球……



ミウラの闘牛の深紅なる心臓

非常に獰猛な闘牛の死体から見つかると言われている、奇怪極まりない遺物。統治者の卵とも呼ばれている。所有者の苦しみを感知するとその表面が揺れ動くという性質を有しており、体力が少なくなった際の攻撃速度を上昇させる。
曇った眼の中で煌めいたその輝きは、異質なる不可視の太陽の日食による反射光であった。ありとあらゆる国境を超えてその名を轟かす、とある傑作が残した消えることのない印である。

=伝承=
「すべてに感謝いたします、我が主よ」


枝編みの結び目

円を描くように編み込まれた数珠玉。表面は塗料で薄く保護されており、長年の摩耗から数珠玉を守ってきた。とある母親が編み込んだもので、彼女の祈りと祝福とが込められている。その祈りの力で、持ち主に毒への耐性を授ける。

=伝承=
火刑の直前、焚き火の元へと連れていかれる母親の腕から、宗教裁判官が赤子を取り上げた。彼女は泣き叫び、自らが燃やされる様子を赤子に見せないよう、嘆願した。遠くから母親を眺める、その赤子の目元の目隠しは涙で湿っていた。処刑の様子を見ようと、焚き火の周囲は人々が取り囲んでいた。人々は口々に、彼女のことを魔女と罵り、異端だと大声で叫んでいた。炎が焚き火の山を舐め始めた時、母親は周囲の人々に心からのお願いをした。赤子が寂しがらないよう、母親の大きさと姿を模した人形を木の枝で作り、その腕に赤子を置いてほしい、と。人々はその願いを受け入れ、人形を作り、泣き叫ぶ赤子をその腕に抱かせた。赤子はその瞬間、ぴたりと泣くのを止めたという。奇蹟はまたしても、その慈悲を知らしめたのだった。

※関連人物:放棄の末裔エスポシト



【大聖堂~聖禁の壁周辺】


キルセの焦玉

不正なる火刑の残滓を彫刻して作られた、小さなロザリオの球。キルセの皮膚に達することのなかった、柔らかい残り火が未だに燃えている。キルセの力が込められており、炎への強い耐性を持ち主に授ける。

=伝承=
『キルセの伝説』
恐ろしい炎に体を包まれたキルセは、その耐え難い痛みに悲鳴を上げた。しかしキルセの体を燃やしていたのは平凡な炎ではなく、奇蹟の炎であった。その炎は体が灰になるまで彼を焼き尽くし、そして炎の奇蹟によって彼は、宗教裁判官たちの目の前で甦るのだった。何度も何度も、終わることなく悲鳴を上げながら燃やされるその様は、筆舌に尽くしがたい拷問であった。篝火の息子であるキルセは、贖罪がこうなることを知っていて、それを受け入れたのだった。

※関連人物:炎による復活者キルセ


聖煙の小球

視認がほぼ不可能な開閉機構の付いた、半透明の小さな真珠。万母の母が使用している、巨大な香炉から漏れ出す煙を閉じ込めておくのがこの道具の本来の用途である。しかしこの球体には何か別のものが閉じ込められている。敵に攻撃をすると、奇蹟的な力によって胆汁のフラスコ瓶を満たしてくれる。しかし奇蹟は気まぐれであり、フラスコ瓶が満たされることは非常に稀である。

=伝承=
「……人々がいなくなったあと、彼女は焚き火へと近づきました。焚き火からは未だに煙が立ち、異端者を焼け焦がしていました。彼女は滑らかな手つきで、目に見えないほどの小さな錠を開け、宝石で飾り付けられた真珠を二つに分離させました。彼女はその真珠を灰色の煙に掲げると、そのまま再び閉じました。煙が逃げることのないようにとの願いを込めて……」


【告白者の像】


崩星の残り火

忘れ去られた坑道の、奥深い裂け目で見つかった未知の鉱物。その表面は存在しない光を反射しており、哀れな魂はその迷宮に捕らわれ、正気を失ってしまった。
攻撃時に獲得する熱情が増加する。

=伝承=
見つけた! あれは星の光だったのだ! この凍り付いた暗闇の中で、何かが光っている。
人々が言っていたことは本当だった。星の光がここから出たいと……天に戻りたいと……私たちを呼んでいたのだ。だがそれは不可能な話だ。この光は、私だけのものなのだから……


鱗の金貨

爬虫類の脱皮した鱗で覆われた、不気味な黄金の円盤。表面に浮き彫りになっている鉤爪の彫刻は、強欲の象徴とされている。攻撃時に獲得できる償いの涙の量が増加する。

=伝承=
このページを、そこに描かれた絵を見よ……馬が聖書を読み、猿が司教の服を身にまとい、人々からは爬虫類が崇拝されている。あの囁き声が聞こえるか? 修道士たちがこのページの、この本の危険を我々に訴えているのだ。この本は、元あった場所に戻さねばならぬ。

※関連エリア:禁書の図書館


反螺旋の貝殻

砂浜で見つかった、本来はありえない螺旋を持った貝殻。その螺旋の中には、痛みにあふれる歌の残響が閉じ込められており、持ち主の苦しみに合わせて激しさを増す。全属性の攻撃に対する耐性をいくらか授ける。

=伝承=
彼女にとって、その貝殻はとても大切なものだった。その貝殻の螺旋は不思議にも反転しているため、貝殻を耳に近付けると、波が遠くへと引いていく音が聞こえるのだと彼女は詳しく説明した。正気とは思えないその告白を目の当たりにした彼女の両親は、貝殻は呪われた物体であり、魔女の仕業による産物だと考え、貝殻を彼女から奪い去り崖から投げ捨ててしまった。必死で探したにも関わらず、彼女がその貝殻を再び見つけることはなかった。



【2周目贖罪】


痛み苦しむ心の聖骨箱

内部には果たされた贖罪の証が留められている。未だ経験したことのない痛みで持ち主の心を切り裂くことにより、安全を確保している間、胆汁のフラスコ瓶が持ち主をしばらく回復し続ける。

=伝承=
犯した罪への赦しを得おうとするならば、罪人は痛みで心を貫き、清らかなる恩寵によってその魂を浄化しなければならない。罪人と父なる神を和解に至らせる浄化の恩寵は、この贖罪の痛みによってこそ導かれるのだから。道を切り開くのは、心の底からの悲嘆のみなり。 ※「得おう」→原文ママ



熱く燃える心の聖骨箱

内部には果たされた贖罪の証が留められている。燃えるような信仰心で持ち主の心に火を付けることにより、熱情を時間と共に回復する。

=伝承=
犯した罪への赦しを得おうとするならば、罪人はその貌を鉄の仮面で覆わねばならない。罪業には個性も、所有者も、声も必要ないからだ。父なる神は我らそれぞれが抱える罪によってのみ、我らを区別している。つまり悔悟の仮面は、父なる神と和解するための第一歩なのだ。 ※「得おう」→原文ママ



嘆き悲しむ心の聖骨箱

内部には果たされた贖罪の証が留められている。持ち主の心に真なる罪過の重荷を背負わせることで、胆汁のフラスコ瓶を熱情の純液を溜めこむ容器へと変化させる。

=伝承=
犯した罪への赦しを得おうとするならば、罪人は贖罪を自ら選び、父なる神との和解が訪れるその時まで、その罪を携えたまま咎の道を歩み続けなければならない。咎の道はそれぞれの罪人によって異なり、また贖罪を選んだ罪人のみが歩めるものだ。そうして咎の道は大いなる傷を目の前にして、罪人自らの体に刻まれた傷痕として罪人の記憶に残っていく。罪人が罪業を打ち破るには、これ以外に方法はない。 ※「得おう」→原文ママ








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最終更新:2023年03月26日 09:27