聖遺物






亜麻糸の布/幻罪の織布

(亜麻糸の布)時折微かに震えては理解不能な物音を立てる、使い物にならない布切れ。堕落の外套にその身を隠す奇蹟たる苦痛は、ありふれた物質にその痕跡を残すことがある。
(幻罪の織布)熱の懺悔を聞き届けた、黄色い布。苦悶する魂を感じ取ると震え出し、命持たぬ者の声に耳を傾ける力を持ち主に授ける。

=伝承=
「熱に浮かされていた彼は、隣に誰かが腰を下ろしたことに気が付かなかった。彼の額を覆う白い布を、手が優しく叩いた。その布の柔らかさは素晴らしく、薄い紙のように、光が通り抜けるほどであった。布は熱による汗を吸い取り、彼はその気持ちよさから、つい眠りに落ちてしまっていた。布が汗を吸い取り切った時、修道女は立ち上がってその布を手に取り、修道院長に手渡しながらこう述べた。『これがあれば、彼の懺悔は認められるでしょう』」



永遠の砂血

奇蹟的な力を秘めた血。この聖遺物を手にした者は不可視の足場が視認できるようになり、足場が実体をもってその姿を現す。
奇蹟とは深遠なるものにして、人間が理解できるものではない。持ち主の足の周りを渦巻くこの血に関しても、その起源を知る者はいない。

=伝承=
「この袋を手に取り、砂で満たしなさい。そこに、この恐ろしい傷から流れる血を注ぎ、砂を深紅に染めなさい。この乾き切った大地を進むための道筋を、導きを求める者たちに示しなさい。さあ、ここから去るのです。私は祈りを捧げなくてはなりません。私はもうすぐ、父なる神を痛ましく抱擁する、根の樹液の一部となるのですから……」



切断された手/導師の清廉なる御手

(切断された手)壊れた鈴を固く握りしめている、切断された手。時折、痙攣を起こしては震え出す。堕落の外套にその身を隠す奇蹟たる苦痛は、ありふれた物質にその痕跡を残すことがある。
(導師の清廉なる御手)完璧な保存状態の聖遺物。この御手が必要だと感じた時、不滅の筋肉と腱とが連想して微かに振動を始める。周囲に神秘を感じ取ると、手にしたベルが鳴り響いて持ち主にその存在を知らせる。
結局のところ、城壁は好奇心という危険を抑え込むことはできないのだ。

=伝承=
「……周囲に鳴り渡る、世にも恐ろしい地響きを耳にした彼らは、最悪の事態が発生したと悟った。導師を探すため、洞窟の最深部に向かう彼ら。しかし彼らの視界は巨大な土煙で遮られてしまい、捜索作業は困難を極めた。導師の名を叫ぶ彼らだったが、返答の声が聞こえることはなかった。こうして数日が経過し、土煙もついに消えた。彼らの目の前には、地滑りによる壊滅的な惨状が広がっており、希望がないように思えた。しかし突然、涙を流す彼らの耳に聞こえてきたのは、遠くから彼らを呼ぶ声だった……」



ドルフォスの銀肺

光り輝く銀で保存加工された肺。無数の線細工が施されている。枢機卿ドルフォスは鍋にスプーンを入れて溶かし、銀の調合薬を作ることで俗世の嫉妬からの逃避を試みた。毒の瘴気から持ち主を守ってくれる。

=伝承=
『ドルフォスの告白――その3』
法服に何の意味があるのか。指輪の金に何の価値があるのか。装飾に使われる銀の純粋さこそが、奇蹟の恩寵をその身に宿しているのだ。銀は鑑賞するものではない。体の外部に身に付けるものでもない。銀は、内部に身に付けるべきなのだ。銀よ、我が肉体を、我が皮膚を飾りまえ。



奇形の卵/孵化した奇形の卵/結合の三舌

(奇形の卵、孵化した奇形の卵)見るのも悍ましい、毛に覆われた卵。その毛でできた殻が、中に潜む深遠な謎を人々の目から隠している。破られた約束の残酷さがアルタスグラシアスを生み出し、奇蹟たる苦痛が彼女の悲哀に肉体を与えた。
(結合の三舌)誓いを破ったことにより一つと化した三枚の舌。そこから紡がれる言葉は、クヴストディアを形作るものにのみ聞き取れる。その言葉は昏睡状態にある根を起こし、持ち主が先に進めるよう道を生み出すだろう。

=伝承=
(奇形の卵、孵化した奇形の卵)私たちの声を、逃げようと止めどなく絡みつき成長を続ける私たちの舌を、この卵の中に閉じ込めましょう。私たちが欲して焦がれた、自由の結び目。残り火の温かさで孵化するその時まで、私たちの髪がこの卵を冷たく、包み続けることでしょう。
(結合の三舌)これらは怪物より産まれ出でた、三枚の舌である。三つの声を響かせる三枚の舌。三つは調和し、一つとなって声をあげる。三枚の舌は一つに結びつけられた。この舌の存在を感じ取った根は、三姉妹の髪の毛のように、成長し捻じれゆく。



金糸の布地

満月の夜にしか動かないという糸車で作られた薄い生地。不死への願いを込めて織られている。初子より授かった贈り物であり、底無き深淵へと降りる能力を悔悟者に与える。

=伝承=
絵画が完成したことを伝えると、母なる神の信者たちがやって来て、絵画を持って行ってしまった。絵に覆いを被せた彼らは、無言で絵を運んで行った。私は母なる神のため、来る日も来る日も絵を描き続け、聖人たちの人生を表現してきた。しかし彼らの態度はまるで……この最後のキャンバスを、誰にも見せたくないようなものだった。作者である私でさえ、飾られている場を見たことはなく、そもそも飾られているかも知らない。彼らからの依頼は、この作品が最後であった。

※関連人物:ホジネロ/天使(月光の子どもたち)
※関連エリア:眠れる画廊


泥剥ぎの爪

教団の創始者であり信奉者に安心を与える、偉大なる巡礼者の聖遺物。彼の足がその歩みを止めることはなく、クヴストディア全土を巡礼して回ったという。この聖遺物には彼の強い決意が封じ込められており、沼であれ湿地であれ、持ち主は楽々と歩み続けることができる。

=伝承=
「……かの指爪は、マルティル・ニカノール自らが剥ぎ取ったものである。黙って涙を流す信奉者の目前で残酷な拷問を受け、地中に生き埋めにされた彼が、拷問の痛みに耐えつつ爪を剥いだのだ。恐ろしい現場を目の当たりにし、嘆き悲しむ信奉者たちがその場を後にしていく中で、その爪を土の中に見つけたのは最後に残った信奉者であった。彼の名前はわかっていない。彼は自身の服の一部を破り、その布で指爪を包み込んだ。その日の夜、ニカノールを異端だと糾弾した宗派の教会へと足を運んだ彼は、指爪を教会内部のレンガの中へ隠し、教会を後にしたのだった……」











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最終更新:2023年01月15日 16:23