遺体の声
【聖線~アルベロ~教会廃墟の荒野~慈悲なる夢周辺】
遺体000_錐体_1
頭の上から、根の向こう側から足音が聞こえる。岩の向こう側から不規則な、耳障りな呼吸が聞こえる。あたりの芋虫が、ずるずるとこちらへ這ってくる音が聞こえる。
遺体000_アルベロ_1
祭壇の装飾の間、天井の中に隠れているあの小さな者どもは、一体何なのだ? 私が呼び掛けても、彼らはこちらにまったく興味を示さない。彼らはリボンに包まれており、そのリボンは不可視の弱い風に吹かれて、いつもはためいているようだ…… 時に彼らの泣き声が聞こえ、時に彼らの笑い声が聞こえてくる。 お前たちは一体何なのだ、ああ神の恩寵の産物よ!
【終わりなき黄昏山脈~ホンド~黙する悲哀修道院~怨嗟の縦穴周辺】
遺体000_黙する悲哀修道院_1
静寂に耳を傾けるのだ、我が息子よ。これこそが波打つ静寂だ。渓谷とこだまとが衰退する静寂、地面へと頭を垂れる静寂だ。
遺体000_怨嗟の縦穴_1
その通り、それは呻き声だ。この地の中心奥深くから、螺旋状に滑って進み、自身の反響音をも飲み込んでいきながら、青銅の浮彫で歪んだ音となってここまで届く。一つの罪、一つの嘆きから生み出された、三つの絡み合った喉から絞り出される泣き声だ。ここには光は届かず、届くのは冷たさと呻き声だけだ。
【オリーブの枯畑~山頂墓地~焦貌の聖女修道院周辺】
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力が弱まっていくのを感じる。滅びるよう罰を受けた私はここで、祈りの姿勢を強制されている。耳に聞こえてくるのは唯一、風に吹かれて揺れる、錆び付いた籠の音のみ。
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雪に覆われた奈落の底、この絶壁の上で、秘密の根は忍耐強い者が訪れる時を待っている……
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もうすぐだ。涙の氷に覆われた顔が、修道院がもう近いことを告げる。彼女たちは、壁の中で待ち受ける痛みを予言した。私は冷気に、慈悲を嘆願した。黄金の貌の修道女として生まれ変わるため、山頂に登らせてくださいと。
遺体000_山頂墓地_2
もう耐えられない。あの音……あの鳴り響く音が、私をどこまでも、地の果てまで追いかけて来る。 これは私への罰だ。この呪われた夢の、向こう岸へと渡る時が来たのだ。
遺体000_焦貌の聖女修道院_1
修道女たちは、地下に安置された二体の聖なる彫像に跪いた。どんな秘密が隠されているのだろうか……
彼らの目は生贄を、痛みを、血を欲し期待していた……
遺体000_焦貌の聖女修道院_2
壁の間に、我らが聖女の存在を感じます。聖女の暖かさ、未だに燃え続ける貌の暖かさ、彼女と我らの犠牲の象徴を感じます。 痛み、冷たさ、そして熱傷は我らが規則なのです。
【冒涜の貯水路~塩の残響周辺】
遺体000_冒涜の貯水路_01
このあたりにあるはずだ……鐘は一向に鳴り止まない。あの鐘の音は、夢の中でも聞こえてくる。あたりを掘り続ける私の手は傷だらけだ。ここらにあるはずだ……あと傷一つ分だけ……近くから聞こえるんだ……
遺体000_冒涜の貯水路_02
誰も彼もが通り過ぎる……
※謎解きヒント
遺体000_冒涜の貯水路_03
半分は戻らない……
※謎解きヒント
遺体000_塩の残響_01
地中の道は人を惑わす。これは、これらのトンネルを苛むまやかしだ。 風が哭く音や波が唸る音は聞こえて来るのに、風や海はどこにも見当たらない……マストの頂点にある青い炎でさえ、我らの手を焼くことはない……
【鋼鉄なる樹~静寂の中庭周辺】
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鉄の樹の一番高い枝には、聖なる光が染み込んでいる。その輝きは壁をも貫いて彼女が眠る広間まで届き、私の目を紫色の暗闇で覆い隠している。
遺体000_静寂の中庭_1
この聖なる床の上であれば安全だ。足音も恐怖の声も、聞かれる心配はない。奇蹟は、木から落ちるオレンジが音を立てないことを望んだ。柱や壁の間を吹き抜ける風の音だけが聞こえるようにと……そして今、私の耳に聞こえてくるのは、奇蹟による罰を受ける者たちの恐ろしい悲鳴だけ。私は辛抱強く待つだけだ。
【万母の母~禁書の図書館~眠れる画廊周辺】
遺体000_万母の母_1
終わりなき苦悶の礼拝堂を通りかかった私は、そこに入ることに臆してしまった。淑女は今でも、ここに連れてこられたあの日と同じく、痛みに叫んでいるのだ。「生ける奇蹟だ!」と彼らは言った。奇蹟は彼女の望みを叶え、そして私たちは その終わりなき試練を見ながら、彼女に祈りを捧げる。
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私は大司教が発掘される様子を見ました。葡萄酒で大司教の骨を清め、その骨に絹や黄金を着せる様子を、私はこの目で見ました。 この世のものとは思えない美しい宝石を大司教の顔に乗せ、額に口付けをしている人々を見ました。指輪を嵌めさせた大司教の手に、彼らが口付けをするのも見ました。人々は大司教の名を呼びながら彼を担ぎ上げ、歩いてるように見せるため、彼を揺り動かしていました。
遺体000_万母の母_3
大いなる香炉は、一体どれほどの祈りを欲しているのだ? この揺れはいつ収まるんだ? 再び立ち上がることはできるのか? 頭を低くして……目を閉じて……祈る……決して立ち上がってはいけない
遺体000_禁書の図書館_1
彼らの声が聞こえる。禁じられた書物を読む囁き声が聞こえる。その囁き声は反響し、私の頭に入ったが最後、消えることを拒んでいる。私は好奇心に殺されるだろう。まず最初に狂気に殺されなければの話だが。
遺体000_禁書の図書館_2
扉は私を欺き、先へ進もうとする私を拒む。私を偽らないのは壁だけだ。壁の向こうに、この地から抜け出せる道があるはずだ……
遺体000_眠れる画廊_1
私は恐ろしい。木の枝で作った女性の腕に幼子を置いた瞬間、あの幼子はぴたりと泣き止んだのだ。その女性が母親であるかのように。
あの木の枝の人形には、何か命があるのではないか。あの木の枝の人形は、暗闇で幼子をあやしているのではないか。
遺体000_眠れる画廊_2
今宵は月が、長い法服を身にまとい夜闇を照らしている。そして雄牛がその月を、草花と影の間から眺めている。
遺体000_眠れる画廊_3
忘却の彼方へと消えていった作品、この壁の餌食となった作品こそ、この世で最も価値ある禁じられた芸術なのだ……
遺体000_眠れる画廊_4
ありえない……あの絵画に描かれた蝋燭に火が灯り、そして部屋が明るくなったのだ……私の頭がおかしくなってしまったのか?
※謎解きヒント
【大聖堂~聖禁の壁周辺】
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そこには橋の守護者として直立する、金属の樹があった。黒く腐食したその樹は、聖下と奇蹟との最後の交わりの象徴であった。夢の向こう側へと旅立つその時まで、私はこの終わりなき黄昏を見つめながら、ここで待とう。
遺体000_聖禁の壁_2
鉄格子の間から、彼が近付いてくるのが見えた。その胸からは炎が噴き出し、彼を焼いていた。そしてまた空中から炎が生まれ、彼の皮膚を溶かすのだ。彼は炎と共にあり、炎は彼と共にあった。
遺体000_聖禁の壁_3
上へ下へ、上へ下へ……痛みよりも、寒さよりも煩しいのはあの軋む音、あの錆び付いた仕掛けの忌々しい床から絶え間なく発せられる、あの軋む音だ。
そんなに使いたくなるものなのだろうか?
※謎解きヒント
遺体000_聖禁の壁_4
「Videte Ne Quis Sciat」
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夢の中で、彼は私に話しかけてくる。彼の言葉には音がないのに。 夢の中で、彼は私を見つめてくる。彼の目は銀でできているというのに。
【哀悼と破滅】
遺体000_哀悼と破滅_1
漆黒の大理石のように、水は静かで真っ黒だ。私の顔は暗闇の鏡のような水に映し出され、私はその凝視から逃げ出すことができない……
【Cエンド関連】
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Cエンド情報へ ※リンク先はCエンド(真エンド)のネタバレを含みます
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最終更新:2023年01月15日 16:26