第6章 立ち回り考察
ダブルは「読み合い」のウエイトが大きいため、パーティ構築だけでなくこちらも重要となる。
だがこれは以下の考察文をただ読むだけよりも実際に経験して感覚として身に着けた方がいい部分でもあるため、最終的には実戦が第一である。
1.行動順から相手の動きを予測する
「行動順と縛り」の項で取り上げた通り、ダブルバトルは行動順によって縛りかそうでないかが決まる。ゆえに、味方を含めた4匹がどの順番で動くかの大まかな予測を立てておかなければならない。
それには「すばやさ」の種族値を覚えておくのが最も確実だが、最低でも自分のポケモンの「すばやさ」数値がいくつであるか、4匹のうち誰が一番素早そうかくらいは確認しておきたい。
その上で「縛り」「制限」の確認や、相手がどの技をどちらに使ってくるのか、身を守るのか、はたまた交代するのかの予測を行って自分の最終的な行動を決定する。
つまり、
- 場のポケモンの『すばやさ』の予測
- 行動順および『縛り』『制限』の予測
- 相手の行動の予測
- 自分の行動の決定
という順になる。
ランクバトルであればこれを45秒のうちに行う必要がある。慣れていないとすぐに時間切れになるので注意。
もちろん試合が進めばどちらが速いか遅いかも見えてくるので、それに合わせて情報も更新しなければならない。
第8世代では「すばやさ」を操作した場合即時反映となるため、たとえばそのターンに天候が書き換えられると「ようりょくそ」や「すいすい」は発動しなくなる。相手にこちらの「すばやさ」を落とす手段があるかどうかも押さえなければいけない。
毎ターンポケモンだけでなくトレーナーも情報集めという戦いを行うバトルであると言える。
2.コンボを決める/コンボを予測する
「コンボが強い」といえども、闇雲にコンボを決めようとして早々成功するものではない。場の見極めがあって初めて成立する。
たとえばこちら2体の行動順が相手2体よりも遅いとき、相手に片方でも倒されてしまったらコンボは成立しない。特にサポートと攻撃役とで分けているときに、攻撃役が集中攻撃などで倒されてしまったら悲惨極まりないことになる。
いつどこで成功させるか、成功しなかった時のリスク管理などはやはり実戦第一である。
少なくとも代表的なコンボ妨害要素(「ねこだまし」「ちょうはつ」「行動不能技」)は対処できるようにしておきたい。
逆に相手にコンボを使われそうな場合、見せ合いの段階で相手がどのようなパーティであるかを出来る限り判断することが重要となる。
例えば相手のパーティが、
「ニョロトノ キングドラ カミツルギ トリトドン ペリッパー サンダー原種」
の6匹だった場合、誰がどう見ても天候「雨」主体のパーティだと分かるので、これに合わせた対処が求められる。
第8世代であればここからダイマックスも予想することが重要となる。上記で言えば恐らくはキングドラまたはサンダー原種がエースとしてダイマックスを使うのではないかと考えられる。
「エルフーン+テラキオン」や「フシギバナ+コータス」など、主要な組み合わせとして名が知られている場合、それに向けての立ち回りを考えておくのも有効。
もちろん「引っ掛け」ということもあるので、予想を過信しないように。
3.「倒されてはいけないポケモン」「倒すべきポケモン」を見極める
相手の行動を読むにあたって重要なのが「倒されてはいけないポケモン」「倒すべきポケモン」の見極めである。
「まもる」を使って被弾を最小限に抑えながら立ち回ることが求められる。
例えば次のような場面。
【A】
ガオガエン、フシギバナ(バトル場)
ドサイドン(控え)
【B】
アシレーヌ、ヒートロトム(バトル場)
メタグロス(控え)
(互いに控えのポケモンまで分かっており、ダイマックスは消費済み非発動状態、HPは満タンかそれに近い状態とする)
A視点で「倒されてはいけないポケモン」はフシギバナである。今いる3匹の中でアシレーヌに有利なのがフシギバナしかいないためである。
相手の「倒すべきポケモン」はそのフシギバナを縛っているヒートロトムである。ドサイドンで倒せるが、「おにび」の可能性があるため安易に行動できない。
ここから、Aのフシギバナは「まもる」を選択し、ガオガエンが「バークアウト」または「すてゼリフ」でヒートロトムの火力を削ぐ、という行動が導ける。
B視点で「倒されてはいけないポケモン」はアシレーヌである。今いる3匹の中でドサイドンに有利なのがアシレーヌしかいないためである。メタグロスはドサイドンに対して五分である。
相手の「倒すべきポケモン」はそのアシレーヌを縛っているフシギバナである。フシギバナは後ろのメタグロスでもある程度対処できるが、ガオガエンにやや不利である。
ここから、Bのヒートロトムはガオガエンに「10まんボルト」などで攻撃し、アシレーヌは一旦様子を見るために「まもる」を使う、という行動が導ける。
4.特定の技の情報に注意する
「まもる」系列の技には成功率が設定されており、成功した次のターンは成功率が1/3にまで落ちてしまう。このため、これらの技を2回連続で使うことはリスクが高く、あまりそのような行動はなされない。
これによって何が起こるかといえば、「まもる」「みきり」「ダイウォール」を使った次のターンはこれらの技を使わない可能性が高いという情報が発生する。
特に縛られている側が「まもる」を使って縛りを解除できなかった場合、次のターンに交代しない限りそのポケモンの命はないも同然である。
よって、これらの技をいつ使うかに加えて、いつ使ったか(特に直前ターンに使ったかどうか)もよく確認する必要がある。
またありがちなミスだが、2ターンに1回「まもる」を使うなどという規則的な指示を出してしまうと、守るタイミングを読まれてそのターンに隣に集中攻撃されてしまう。相手に戦略が筒抜けになることほど致命的なことはない。
「このゆびとまれ」「いかりのこな」「サイドチェンジ」は上記と異なり連発しても失敗しないが、連発することで逆に不利になることも往々にしてある。
特に「サイドチェンジ」の場合、これを読まれて守りたかった味方を攻撃された場合、1ターン無駄にすることになる。
「今使ってきたらまずい」と相手が思うであろうタイミングで使うのが、これらの技を最も活用できる方法といえる。
このように、ダブルバトルは予測と読み合いの連続になる。
もちろん強力なパーティができて大体の相手に想定した動きができるのであれば、これに越したことはない。
最終更新:2023年08月06日 14:10