Dear your friend ◆g33OtL8Coc
東京大学をはじめとして著名な日本の頭脳が集結し、かつては文豪たちも暮らしたという場所。
「文の京」の名は形のみに非ずと言わんばかりのこの場所に、一つのマンションがある。
この聖杯戦争に呼び出された一組の主従がここを拠点としている事を、まだNPC達は知らないだろう。
マンションの一室にいるのは一組の男女。
流れるブロンドが眩しい少女は、シャワーを浴びたばかりなのか寝間着に身を包んでおり、
その傍にいるのは黒い帽子に学生服という装いの少年である。
―――少女の名は「
マエリベリー・ハーン」。少年の名は「ライダー:
十四代目葛葉ライドウ」。
彼らこそ、このマンションに住まう一組の主従なのである。
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「”ルーラーからの討伐依頼”、ねぇ……」
ベッドに腰掛けたメリーは茶封筒に入った通達を、今時随分古風だと思いながら読んでいた。
バーサーカーとそのマスター、
ジョーカーの討伐。報酬に令呪一画と希望する情報提供。
どうやら討伐対象となった彼らは、相当の妨害行為を働いているらしい。
「そんなだったら、最初から呼ばなければいいのに」
通達をテーブルに置きながら、メリーは思わずつぶやいた。
そう思うのも無理からぬことだ。この通達を出すなど、
普通ならば「自分は反乱者を入れてしまうほど管理の出来ていないバカです」と言うようなものだ。
『確かにな。支障をきたすような要素は最初から除外する。
聖杯戦争という大それた事をするのならば、そのような当たり前の行動を怠っているのは不自然だな』
そんなメリーの呟きに反応したのは、ライドウではない。ライドウと共にいる黒猫、ゴウトだ。
彼らはメリーに通達を渡す際に、既に内容を把握していたようだ。
ちなみに当のライドウは、台所でなにやらしているらしい。
『だが、一概にそう決めつけるのもいかんな。
奴らが何を目的としているか、その動機を考えるというのも脱出への近道かもしれん』
「”彼を知り己を知れば百戦殆うからず”って言いたいの?」
『我らのしようとしている事次第では、この通達に載るやもしれんからな』
「その冗談は笑えないわよ」
可能性は否定できないけれどと、メリーは小さく付け足した。
と、台所からライドウがやって来た。
手には盆を持って、その盆の上にはカップが一つ。
暖かそうな湯気を出しているのは、どうやらホットミルクらしい。
「どうぞ」
「ありがとうライダー。気が利くわね」
「夜も遅いのでコーヒーではないが」
「そうね。明日も大学に行かなくちゃいけないもの」
渡されたカップを冷ましながら、メリーはミルクを一口飲んだ。
加熱されたことで引き出された甘みが口に広がる。ミルクの熱が体の芯から温めるような感覚を覚える。
これが天然物の味なのねと、彼女は一瞬だけだが至福の時を感じた。
『ちょうどいい。この討伐依頼の通達が何を意味するか、少し考えるとしようか』
「捜査会議か?」
『まぁ、そういったところだ』
ライドウの問いに、ゴウトは話を続けた。
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『ジョーカーのような不安因子を入れてまで聖杯戦争を行うとしたら、どのような可能性が考えられるか。
我ならば、主に三つを挙げる』
「順番に聞こうかしら」
『一つ目は、本当に偶然召喚してしまったまま開始した場合。有体に言えば、愚かとしか言えん事故だな』
「流石にそれはないと思いたいわね」
まだ湯気が立つカップを持ちながら、メリーは苦笑した。
『あくまで可能性だがな』
黒猫は続ける。
『二つ目は、必要な材料として召喚した場合。』
「材料?」
『聖杯戦争の形をとって、何かしらの儀式を行うために我らを呼んだという事だ。そうなれば、彼奴らのような輩も呼ぶ理由が出てくる』
「いわゆる”陰陽思想”を儀式に取り込んだと?」
ライドウが静かに呟く。それは気付くものが見れば、何かを思い出すような感じだった。
『そういう事だ。均衡を保つことにより、儀式を円滑に進める事を狙いとしているやもしれん。
その場合は、他に理性的な者たちも呼ばれている可能性がある』
「具体的には何をするつもりだと思うの?」
『そこまでは分からん。判断するにも、まだ材料が足りなすぎる』
それもそうねと、メリーはカップを前にある小さなテーブルに置いた。どうやら飲み終わったらしい。
「でもそうなると可能性は二つだけじゃないの?」
『いや、三つ目の可能性がある。正確に言えば先の二つを合わせたものだが』
「二つを合わせた?」
『聖杯戦争に何者かの介入があるという事だ』
「”何者かの介入”って……黒幕みたいなのがいるって事?」
『おそらくは、だがな。しかしそうなれば説明がつく点もある。
このお尋ね者も、主催者とは別の何者かが思惑のために入れたのであれば納得できる』
「でもその説が正しいとなると、さっきの二つの時より面倒な事になるわ。
脱出するんだったら、その黒幕さんまで相手しないといけないんですもの」
メリーは一つ溜息をついた。憂鬱になりそうなのも無理はない。
唯でさえ答えがあるか分からぬ脱出と言う選択を実現するために、二回もラスボスを倒さなければならないかもしれない。
「マスター、落ち込まないでほしい」
そんなメリーに声をかける者がいる。ライドウだ。
「例え幾度の苦難があっても、自分はマスターと共にいる」
口少ない彼が、静かにメリーに告げた。
きっと気が沈まぬよう思ってくれたのだろう。
メリーはライドウの眼に、初めて会った時に見たあの輝きを見た気がした。
そんな彼の気遣いが、なんだかうれしかった。
「ありがとうね。ライダー」
「……」
メリーのそんな感謝の言葉に、ライドウは顔を隠すように帽子のつばを触った。
と、先ほどのホットミルクも効いてきたのか、メリーは眠たげに欠伸をした。
「とりあえず、今日はもう寝るわ。大学に行かないと怪しまれそうだし」
『一応聞くが、討伐依頼はどうする?』
「乗る気はないわ。リスクも大きそうだし、殺し合いも真っ平だもの」
お休みねライダーと言うと、メリーはベッドに横になった。
程なく、その呼吸は心地よさそうなリズムを刻むようになっていた。
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マンションの屋上。「文の京」と言われるこの場所も、21世紀の不夜城の顔を持つらしい。
輝く夜景を見つめるのは、先ほどまでメリーと共にいたライドウとゴウトだ。
すると、その夜景の中を飛ぶものがいる。
鳥に見えなくもないが、その影は大きく、人間の子供ほどもあるようにしか見えない。
そうこうしている間に、影は屋上にいるライドウ達の元に着陸した。
影の正体は、一人の少女だった。
赤色の服に手袋を身に着け、その髪はまるで羽のように広がっている――いや、これは彼女の羽根なのだ。
彼女の名は「モー・ショボー」。ライドウの宝具「悪魔召喚皇」にて召喚した仲魔の一柱である。
「たっだいまー、ライドウ! 偵察終わったよ!」
戻ってきたモー・ショボーは、機嫌がよさそうだ。成果を持ってきたという事だろう。
疾風属の彼女は「偵察」のスキルを持つ。宝具の効果により魔力消費の殆どない事も含め、索敵と相性がとてもいい。
「状況の報告を」
「えっとねぇ、マスターの友達は家に引きこもってるみたい。代わりにサーヴァントが出てったのがちょっと見えたよ」
どうやらモー・ショボーは、蓮子の事を監視していたらしい。
「キャスターの可能性は減ったか」
『構えた陣の中にこもるキャスターの基本からは外れているな。しかしこれで確定したわけではない。
キャスターでなくとも洗脳できるサーヴァントはいるだろうしな』
「更なる調査が必要だな」
「だったらさぁ、もう少し監視する? 私はまだまだいけるよ」
話し合う二人に、モー・ショボーが提案する。
自身にまだまだ余裕がある事をアピールするかのように、宙に浮きながらくるくると回る。
「頼めるか」
「ライドウが良ければいくよ~」
「なら、引き続き監視をしてくれ。次は
宇佐見蓮子のサーヴァントの方を頼む」
「わ~い、おつかいだ~!!」
クルリと一回転すると、モー・ショボーは再び宵闇のなかへと溶けていった。
『……ライドウ、一ついいか?』
再び屋上に二人だけとなったとき、ゴウトがライドウに尋ねた。
『先ほどの捜査会議のときといい、まさかとは思うが』
「何か」
『うぬはもしや、「星命」の事で未練を感じてはおるまいな?』
”安倍星命”―――かつてヤタガラスの情報部に所属していた悪魔召喚師であり陰陽師でもある少年。
ライドウにとって初めてともいえる、同年代の友達でもあった少年。
帝都を地獄へと変えた秘密結社”コドクノマレビト”の首謀者だった少年。
……そして、ライドウ自身が手にかけた少年である。
「……」
『ライドウ、分かっているだろうが……うぬが取った行動は、帝都を護るという目的に対し何も間違ってはいない。
仮にも友であった者をを殺めた事を悔いているのであれば』
「安心してほしい。自分も、その事が間違っているとは思っていない」
ゴウトの言葉を遮るように、ライドウが答える。
「自分も帝都守護を担う”ライドウ”の名を授かった者。自身の行いが過ちであるとは思っていない」
だが、と彼は続ける。
「マスターには、自分と同じ道を歩んでほしくはない。友を敵とし、刃を向けるような事を、マスターにはさせたくないだけだ」
ライドウのその言葉に、ゴウトはそうかと頷いた。
『ならば、我はもはや何も言うまい。やはりお前はライドウだな。
出来る限り、宇佐見蓮子が潔白である証拠を見つけないとな』
「あぁ」
そして二人は屋上のドアへと向かう。部屋で眠るメリーの元へ戻るために。
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夢だ。自分は今夢を見ているのだろう。
その光景を見たとき、彼女――メリーは真っ先に思った。
これまでも夢を通し、不思議な里や人工衛星、深き地の底へ行ったこともある。
そんな彼女にとって、どんな夢を見るのも慣れたものであった。
けれど、同時に思った。これは何処かへ向かうための夢ではないと。
これはきっと、自身のサーヴァントの記憶なのだと。
夢の中で、様々な場所にいるライダーを見た。
全てが赤い町中のときもあった。銀色の床と海の広がる黒い虚空の時もあった。
かと思えば金色の球が浮かぶ場所もあった。
だが、その全てで、彼は何者かと戦っていた。
ある時はいつか会いたいと思っていた神様と戦い、ある時は巨大な目玉を相手に、
ある時は大きなイナゴ、挙句の果ては戦艦と戦っている様まであった(流石のメリーも、戦艦相手に戦う彼の姿には唖然とした。)
サーヴァントとは過去未来現在に亘って英雄と言われる者たち。
なるほど、彼もまたその一員として、何もおかしくはないのだとメリーは勝手に納得していた。
……けれど、ただそれだけじゃなかった。
そこは街だった。地震か、それとももっと禍々しい力で建物が壊された街だった。
いつか見た大正時代の東京。赤レンガや西洋建築と、古来からある和が融合した華やかな街並みはそこにはない。
空は暗雲が覆いかぶさり、その穴から巨大な獣が現れる。
獣はその大きな口を開け、何か、命にとって大切な何かを全て吸い取らんとしているようだった。
そこに彼は、ライダーはいた。
ライダーの目の前にいるのは、メガネをかけた一人の少年だった。
メガネの少年は声高らかに何かを叫んでいる。終末を望む者の声、世を変えんと恐るべき力を手に入れた者の声に聞こえた。
その少年へと、ライダーは走り寄る。その手には鞘より抜いた己が刀を構え、そして……
一瞬だった。少年の身体にその刃が通ったのは一瞬の出来事だった。
けれど、メリーは確かに見た。そのときのライダーの顔を。
憎き敵を討つものの顔ではない。かつて語らい、傍らにいた友と別れるときの、悲しい顔だった。
(ライダー、あなたは……)
メリーには分かる。ここはライダーの記憶の世界。
だから、彼がその少年を友として、どれほど大切に思っていたのか痛いほどわかる。
自分にとっての蓮子のように、共にいる時間がどれだけ輝いていたのかを。
(だから、私と一緒にいてくれるのね……)
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【B-1/文京区・マンション(メリーの部屋+屋上)/1日目 深夜】
【マエリベリー・ハーン@東方project】
[状態]健康、睡眠中
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]やや多め(親役NPCからの仕送りが多い)
[思考・状況]
基本行動方針:蓮子と再会して、脱出する。
1.蓮子に会いたい。けれど今は会うべきじゃない。
2.明日は大学に向かう。
3.殺し合いはしたくない(襲われたら応戦はするつもり)
4.ジョーカーについては関与しない。
[備考]
※夢により、ライダーの記憶を知りました。
※聖杯戦争に介入者がいる事を疑っています。しかし、今のところ手掛かりはありません。
※
ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。他の情報や精度については、後続の書き手さんにお任せします。
【ライダー(十四代目葛葉ライドウ)@葛葉ライドウシリーズ 】
[状態]健康
[装備]赤口葛葉、コルトライトニング
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:メリーが蓮子と再会できるように護る。
1.モー・ショボーに蓮子のサーヴァントを監視させる。
2.メリーは全力を持って護る。
[備考]
※聖杯戦争に介入者がいる事を疑っています。しかし、今のところ手掛かりはありません。
※蓮子のサーヴァントがキャスター以外である可能性を考えています。確信には更なる情報が必要です。
※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。他の情報や精度については、後続の書き手さんにお任せします。
最終更新:2015年10月06日 03:46