悲しき盲目の信頼

悲しき盲目の信頼 ◆MajJuRU0cM




夢だ。
随分と長く生きてきたが、これほどまでにそう思いたくなったことはないだろう。
私、蓬莱山輝夜は森の中を彷徨いながら考え事をしていた。
もちろん考えているのは、永琳により突然行われたこの殺し合い。一体どんな目的があってこんなものを開催したのか、長年一緒にいた私でさえまったく分からない。
そもそもあれは本当に永琳だったのだろうか。あまりにも私の知る永琳とはかけ離れている気がする。
思い出しただけで背筋が寒くなるような底冷えした眼と声。あれが永琳の本当の姿なのだろうか。
…でも永琳は、あんな非人道的な性格ではない。これだけは絶対だと言い切れる。
もっと温和で、月の民から追われることになっても私を守るためにいつも一緒にいてくれて。私のことをいつも一番に考えてくれて……。
気がつくと、頬に涙が流れていることに気づいた。
彼女がどうしてあんな催しを開いたのかなんて分からないが、きっと何か理由があるんだろう。でも

私は、永琳のあんな姿を見たくなかった。

私は一旦、一回り大きな木に凭れるように座り、ちょっとだけ泣いた。





「多分、私の為なんだろうな…」

闇夜に浮かぶ月を眺めながら、私は呟いた。誰に聞いてもらうでもなく、私自身がその事実を受け止めるために。
永琳がこんなことをする理由なんて、私の為以外にある筈がない。彼女はそういう性格でそれを一瞬も疑うことがない程、私は彼女を信頼している。

なら、私はどうする?

この参加者に私も選ばれていることから考えて、おそらく永琳は何者かに強要されてこのような行動を起こしているのだろう。つまり敵は蓬莱の薬をかき消すだけの力を持っているということだ。永琳が歯向かった場合すぐにでも私を殺すつもりなんだろう。…下手に私が歯向かえば永琳が殺されてしまう可能性もある。
どうする? どうすればいいの?
その答えは割と早く見つかった。



そうだ。ならばルール通りに動けばいい。



ここにいる者全てを殺し、堂々と永琳に会えばいいのだ。黒幕が何を考えているのかは分からないけど、ルール通りにしていれば何も問題はない。少なくとも永琳が殺される心配はない。
私がこの殺し合いに乗ったと知ったら永琳は…多分悲しむだろう。何故ならそれは、さっきの会場で見かけた鈴仙達も殺そうとしてるということなのだから。そして、せっかく築いてきた幻想郷での日常を壊すことになるのだから。
でも、もう決めた。これが私達が生き残れる唯一の方法だ。だったら、私はその道を突き進む。
輝夜はすっくと立ち上がった。
私はずっと永琳に甘えてきた。でも、今回は違う。私が助けるんだ。誰でもない私自身が永琳を救い出し、ここから逃げ出してやる。そのためには、何だってやる覚悟がある。
私は一つの決意を済まし、迷いなく森を歩いた。方向は地図の中心部。できるだけ参加者が集まる場所へ赴き、殺せるだけ殺す。
待っててね永琳。きっと、きっとあなたを助けてみせるから!!


【F-5 森林・一日目 深夜】
蓬莱山 輝夜
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式 アイテム1~3(輝夜は確認していません)
[思考・状況]基本方針;優勝して永琳を助ける
1. 中心部に向かい参加者を殺す
2. 鈴仙達には…会いたくないな
※蓬莱の力が無効化されているかもしれないと思っています。
※名簿を確認していません


00:生命遊戯 Lunatic 時系列順 02:resist break
00:生命遊戯 Lunatic 投下順 02:resist break
蓬莱山輝夜 25:月のいはかさの呪い(難題式)


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最終更新:2009年03月21日 00:50
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