夜空に輝く太陽 ◆MajJuRU0cM
殺し合いの地。
様々な参加者が少なからずの緊張を持ってこの遊戯に参加する中、霊烏路 空はのほほんと歩いていた。
「良く分からないけど、私の力を試す絶好のチャンスだわ!」
…つまりはそういうことだ。
殺し合いの
ルール説明。あれを空はまったく理解していなかった。というよりちゃんと聞いていなかった。
主催者のことも、何か偉そうな奴が喋ってるな~、ぐらいにしか思っていなかったものだからこの状況の重要性など分かる筈もない。
だから会場にいた大勢の参加者のことしか、空の興味を惹くものはなかった。
「よ~し! あの時は巫女やら何やらに色々邪魔されたけど、今回こそ私の力で『警告します。禁止区域に抵触しています。30秒以内に退去しなければ爆発します』うおうっ!!!」
突然の声に驚き一歩退く。
…それ以上待っても聞こえない。
「何よ誰よ驚かそうとするの『警告します。禁止区域に抵触しています。30秒以内に退去しなければ爆発します』わあっっ!!!」
一歩踏み出し、また一歩退く。
端から見れば、それはとても奇怪な行動だった。
何度かそんなことを繰り返し、空はようやく理解した。
「なるほど。ここに入ると首輪が爆発、か」
地図を見て、首輪を触って、ふんふんと頷きながら空は理解した。
そして唐突に疑問に思った。
「あれ? 何であそこは入れないんだろ?」
それは禁止エリアの丁度中央に位置する建物。
それをじっと見つめて、ふいに空は思った。
あの建物に行きたい
その気持ちは別に何か考えがあってのことではない。ただあの建物が気になる。それだけだ。
だがそれだけで空が動く理由には事足りた。そして、それができないことに不満を覚えるにも事足りた。
その時、妙案を閃いた。
(そうだ。私の力であの建物を吹き飛ばしちゃおう。あれがなくなれば行きたいとも思わないし。さすがは私、頭いいな~)
それは別に妙案でも何でもなく、単なる憂さ晴らし。だが前述したように、空は気まぐれで動くのだ。
「よ~し、見てなさいよ」
宙へと躍り出て、目標の建物を見下ろす。
何だか空を飛ぶだけで体力が消耗してるような気がするが、そんなことも気にしない。
今気にするのは、あの建物を壊して自分の力を誇示することだけ。
空の右手に光る砲台の射出口から、みるみる内に真っ赤なエネルギーが湧き出てきて
「核融合の力で、吹き飛びなさい!!」
それを建物目掛け、発射した。
「……あれ?」
命中したはずだ。なのに建物はまるきり無傷だった。
まるで球場の見えない壁に覆われているかのように、建物の周りに地面を抉る穴が円上に広がっていた。
「おっかしいな~。ちゃんと当たった筈なのになぁ」
腕を組み、考える。どうしてあの建物は壊せないのか。これでは自分の力を示せないではないか。
あの建物を壊すにはどうするか。考えて考えて、答えが出た。
「そっか。なら、もっともっと強~い力をぶち当てたらいいんだ!」
空らしい単純な発想。
その発想が正しいと信じて疑わない空は得意気な顔で第二射を放つべく力を溜めた。
「うぅおおおおぉ!!!! 八咫烏様に感謝を!!! 究極の核融合にてフュージョンをおおおぉ!!!」
気合を込める叫びと共に、さらに射出口から真っ赤なエネルギーが姿を現す。だがそれは先程とは全く違う淡く光る小さな太陽。
「ニュークリア………」
右手を掲げ、そこから巨大な恒星を生み出し、空は叫ぶ。
「フュージョン!!!!!!」
その太陽は、建物目掛けて一直線に放たれた。
「……ぜぇ……ぜぇ……」
正真正銘全力全開の一撃。
周りの木々は倒れ伏し、しかし、建物だけは無傷だった。
「……も……いい」
力を示すことがこんなに疲れるものだとは思わなかった。
空はくたくたになりながら地面へと舞い戻り……地団駄を踏んだ。
「むきーーー!!! 悔しい悔しい悔しいーーー!!!!」
普段なら何てこともない行動だが、今は体力が限界に近い。たったそれだけでくらりとバランスを崩し倒れ伏した。
「……ちょっと……寝よ。……んでから……また……挑戦…………」
空は言いながら、襲ってくる睡魔と闘うこともなく完敗した。
何故ここが禁止エリアに指定されているのか。何故あの城に攻撃が届かないのか。空は疑問にすら思わない。
主催者も殺し合いに参加している現状で、どうしてここを禁止エリアにする必要があるのか。どうしてここを守る必要があるのか。
空は、疑問にすら思わない。
【E-1 一日目・深夜】
【霊烏路 空】
[状態]疲労(大)
[装備]なし
[道具]支給品 ランダムアイテム1~3個(確認してません)
[思考・状況]基本方針;自分の力を試す
1. Zzz……
2. まずはあの建物をぶっ壊す!
※現状をよく理解してません
【備考】
※ZUNの城には結界が敷かれてあります
※周囲5マスに爆音が響きました。
最終更新:2009年04月10日 04:13