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  • 竜の涙25

竜の涙25

最終更新:2012年06月16日 08:12

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Chapter25「この決定は揺るがない」


 バルハラ王宮、玉座の間。
 対峙するは翠と黒。
 一方は仲間たちの想いを背負って。一方は亡き師の遺志を背負って。
「勝つのは俺だ! ティルを絶対に救って見せる!」
「いいや、俺だ! 魔竜は絶対に封印して見せる!」
 魔竜ティルを巡って父と子がぶつかり合う。
 リシェはただその戦いを固唾を呑んで見守ることしかできない。
 リクが跳躍、飛びかかる。ゼロは後方に飛び下がりそれをかわすと、拳で床を叩きつける。
 床は粉々に割れて粉塵が舞う。部屋が揺れて足が取られる。
「うわっ…!」
 リクの一瞬の隙をゼロは見逃さない。
 気がついた時には既に背後に回っており、勢い良く拳を突き出した。
 すると突然リクの姿が消えた。いや、消えたのではない。上だ。
 後方に宙返り、ゼロの背後を取る。
「ほう……やるな。だが、甘い!」
 目の前でゼロの姿が消えた。
 上か。いや、いない。すでに後ろか。そこにもいない。
「どこに消えたんだ!?」
 部屋の中にはたしかにゼロの気配がある。しかし、姿はどこにもない。
「おまえは砂漠で何を見ていたんだ? おまえも俺の戦いを見ていたはずだろう」
 足下から手が伸びてきてリクの両足をがっしりとつかむ。
「床下!?」
 砂漠でゼロは砂に潜って魔竜ストラグルの背後を狙う戦法を取っていた。
 それは砂が柔らかかったからできた芸当かというと、実はそうではなかった。
 砂はいくら掘ろうとも次から次へと崩れ落ちて、掘る穴をあっという間に埋めてしまう。
 またタネリミが砂中にトンネルを掘ったときのように特別な道具などを使ったわけではなく、ゼロは素手だ。
 素手で乾いた砂を掘り進むことは、物理的には難しい。
 それを可能とさせていたのはすなわち、物理的ではない力。
「俺はついに完成させたのだ。格闘と魔法の融合をな!」
 ゼロの両手には大地のオーラが宿っていた。土の魔法を拳にエンチャントしたのだ。
 エンチャント、それは魔力をものに宿らせる属性付与の魔法。ウェイヴがストラグルと戦ったときに見せた戦法もそれだ。
 属性付与はかなり高度な魔法。ただ対象に魔法をかけるだけでいいというような単純なものではない。
 例えば槍に炎を属性付与しようとしても、生半可な実力の持ち主では加減が効かず、槍が炭になるだけだろう。
 ウェイヴのものよりは劣っていたが、ゼロの属性付与はかなりの完成度を誇っていた。
 土の属性付与により、大地の加護を得ることでゼロはどんな地面であろうと自在に掘り進むことが可能なのだ。
「それが例え乾いた砂であろうと、大理石の床であろうとな!」
 勢い良く床から飛び出し、そのまま重力と遠心力に任せてリクを床に叩きつける。さらに着地と同時に拳を打ち付ける。
 咄嗟に横転して回避する。ゼロの拳はさっきまでリクの頭があった場所を砕いた。
「どうやら本気みたいだな。けど、俺だって負けられないんだ!」
 リクの転がった先には、壊れた玉座が。玉座を持ち上げ投げつける。
 ゼロは着地の衝撃で動きに一瞬の隙ができている。回避する時間はない。ならば――
 ゼロは空いたほうの手を飛び迫る玉座に向けて広げる。手には大地のオーラ。
 すると突然床が脈打ったかと思うと、床の大理石が砕け再構成されて石の盾を成し玉座を防ぐ。玉座は砕けて四方に散った。
「椅子を投げつけるとはとんだ悪役レスラーだな。凶器はありか、面白い。俺もそのほうがやりやすい」
「何言ってんだ! これは戦争だと言ったのは親父だろ、これは試合なんかじゃない! 俺は真剣だ!」
「ああ、勝つか負けるか! その二択しかない! そして勝ったほうが正義になるのだ!!」
 言って玉座の間に立ち並ぶ大理石の柱に拳をぶつけるゼロ。拳は容易に柱を砕き、そして倒した。
「おまえもわかっているなら、卑怯だなどとは言わせんぞ。これが俺の戦い方だ!」
 身の丈を超える柱を軽々と振り回すゼロ。
 振り回される柱は周囲の柱を次々と砕きながら玉座の間を瓦礫で埋めていく。
「ぬぅぅうううん!! どうした、もっと攻めてこい!」
 これでは迂闊に近寄ることさえできない。が、それならば近寄らなければいい。
 目には目を、歯には歯を。同等のリーチで攻めればいい。柱には柱だ。
「それぐらい俺だって!」
 ゼロが砕き倒した柱を持ちあげて同様に振り回す。
 跳躍、抜刀ならぬ抜柱、縦に柱を打ち付ける。対してゼロは柱で周囲を薙ぎ払う。
「な、なんて戦い方するんだこいつら! これじゃオレが瓦礫に埋もれてしまうよ!」
 慌ててリシェが王宮の間を飛び出した。
 壁や床は砕け、天井は崩れ落ちる。玉座の間はもはや原型をとどめていなかった。
 脱出したリシェの背後で天井が落ちて、玉座の間は瓦礫に埋め尽くされた。


 王宮外部では本隊と天竜親衛隊の攻防がまだ続いていた。
「ウィルオンが倒れたぞ! ゼロ様はあの偽物の首を御所望だ。討ち取れ!!」
「偽物ですって! なんと無礼な! ここが空でなく、海上だったらこんなやつらあっという間に…」
 王宮内にリクを進ませる時間を稼ぐために自ら囮になり気を失ったウィルオン。
 その周囲に円陣を組んで庇いながらの攻防は容易なものではなかった。
 ラルガ、ヴァイルはそれぞれ離岸竜、土石竜を食い止めるのに精一杯。残るウィザと少数の兵だけで見動きの取れないウィルオンを守らなければならない。
 火砕竜の対応に向かったナープたちは空中の飛竜兵につかまってまだ戻ってこれないようだった。
「む、いつの間にか味方がピンチになってるのだ。なぜ早く言わない、タネリミ君!」
「マスターが周りを見てないだけです。それ、いっちょいっときますか」
 アットローからミサイルが撃ち出される。
 それは土石竜に命中したがまるで効果がないようだった。
「マスター、効きません!」
「何ィ! こうなったら……寝返っちゃおうか」
「尻の軽い男は嫌われますよマスター。簡単に諦めないでください」
「じ、冗談なのだ! ミサイルがだめならレーザーだ。タネリミ君、プラズマ砲を準備したまえ!」
 アットローから光線が撃ち出される。
 それは土石竜の厚い甲殻に弾かれ、何度かヴァイルをかすめた。
「ええい、余計なことを。邪魔をするな、鉄の魚め!」
「なんてこった。こんな大変なときにタネはかせまで来るなんて! あれをあしらえるのはウィルオンだけだ。お願い、目を覚ましてよ! ウィルオン!!」
 ウィザがいくら呼びかけてもウィルオンは意識を取り戻さない。
 そのとき王宮の上部が音を立てて崩れた。
 瓦礫が本隊のいるところにも落ちてくる。
「皆の者退け、退け!! ウィルオン様を避難させるのです!」
「あそこは玉座の間のあるあたり…。リクは大丈夫なの!?」


 屋上や外壁が崩れ落ちて、王宮の間があった場所は瓦礫の山になっていた。
 そこからすぐ下には戦いを続けている本隊の様子がよく見える。視線を上に向ければムスペ兵とバルハラ兵だ。
 瓦礫の山が少し動いた。隙間から手が現れる。
「ふ……はっはっはははは!!」
 手の主は瓦礫を押しのけて、瓦礫の山の上にその姿を現す。
「ちょうどいい。戦うには狭すぎると思っていたところだ」
 ゼロが嗤う。
 続けて瓦礫の中からリクが姿を現した。
「何がおかしい…。俺は真剣なんだ。真面目に戦え!」
「真面目だとも。リク、おまえと戦うのは本当に楽しいな」
「楽しいだと? 何言ってるんだ! 戦争を楽しむなんてどうかしてる!!」
「ふ。戦争なんて手段に過ぎない。俺が戦うことが楽しいんじゃない。おまえが相手だから楽しいんだ」
「何を言ってる?」
「今まで俺は息子であるおまえと、こうして何かを競い合ったことはなかったからな。ああ、実に楽しいぞ。そうか、これが父親というものか!」
 ゼロとリクの境遇は似ていた。
 共に早くに母親を失い、これまで父親はあまり自分に関心をもってくれなかった。
 どちらも心にいつも寂しさを抱えていた。
「馬鹿にするな! 遊んでるんじゃないんだ! これはティルの未来がかかってるんだよ! そして国の運命がかかってるんだよ! それが楽しいだって!? いい加減にしろ!!」
「そんなものは知ったことか。俺はただ、純粋に! オーシャン様の遺志を継ぎ、その無念を晴らしたいだけなんだ! 魔竜を封印することだけが俺の目的で! 生きる意味だ!!」
 その寂しさを埋めるかのように、ゼロはオーシャンに固執し、リクはティルに固執した。
 そういう意味ではこの親子は非常によく似ていた。
「俺とおまえは似た者同士だ。なぜ俺たちは戦う? 互いに自分の信じるもの、守りたいものがあるからだ」
「違う! 俺は親父とは違う!!」
「自分の意志を貫き通したいなら勝って見せろ。この俺を超えて見せろ。父親を超えて見せろ! できるものならな!!」
 リクとゼロが同時に走る。
 互いに右の拳を突き出す。それは正面からぶつかり合った。
 大地の魔力を宿す一撃から、リクには振動が走る。一方でゼロは涼しい顔だ。
 両者ともに後ろへ飛び退く。
 すっとゼロの姿が視界から消えた。
 上ではない。背後でもない。もう同じ手は喰わない。
 足下から生えるゼロの両手を握り、瓦礫の中から引き抜くと、振り上げて背面へと身を反らせて投げ飛ばす。
 しかし、投げるよりも前にゼロの姿は崩れて瓦礫に変わった。土の魔法、ゴーレムだ。
 今のは身代わり。ならば本物のゼロは……
 咄嗟に反転。するとすぐ目の前にはゼロの右膝。
 屈んでこれをかわし、ゼロの脚をつかむ。そして瓦礫の地面に叩きつける。
「ぐぅっ……よくわかったな!」
 だが、ただで転ぶゼロではない。そのままリクの足を払い、転んだリクに馬乗りになる。
 ゼロが右の拳を突き出す。それをリクは左腕で受け止めて外側へと払いのける。続けて来る左の拳を右腕で払いのける。
 この二発だけではない。何度も拳と腕の応酬が続く。リクは繰り出される攻撃を全て防いでいた。
「ほう。面白い技を使うな。誰に教わった?」
「親父以外の誰かさ!」
 蹴り上げてゼロの支配から逃れる。そしてすぐに飛び起きて体勢を整える。
 素早くゼロが距離を詰め殴りかかる。しかし、それよりも早くリクは掌底をゼロの顎に打ち込む。
 ゼロがよろけた。
 だがゼロはにやりと笑う。と、次の瞬間には腹部に重い一撃を受けていた。
 リクがよろける。目が眩む。
「や、やるじゃねぇか。ますます面白い……!」
「うぐ……ッ!」
 かすむ目で正面にゼロの姿を捉える。
 右手には沈みゆく大きな太陽が見えた。
 その下方には仲間たちがまだ戦い続けている。よく見ると苦戦しているようだ。
 あちこちで激しい戦いや爆発の音が聞こえる。
 魔法の応酬やアットロー号からの流れ弾を受けて王宮は何度となく揺れる。崩れるのは時間の問題だった。
(早く決着をつけなければ…!)
 ゼロが駆ける。それに応えるようにリクが走る。
 夕陽を背景に二人の影が重なりかけたそのとき、ちょうどその影を巻き込むかのようにして爆発が起きた。アットロー号からの流れミサイルが着弾したのだった。
 両者ともに吹き飛ばされ瓦礫に叩きつけられる。
 目がかすむ。頭がくらくらする。足が重い。
 リクもゼロもふらついた足取りで、しかし眼に宿る闘志は失われぬままに互いに近寄った。
「ティルは……渡さない……!」
 リクの一撃がゼロの左頬を殴り飛ばす。
「俺を超えてみせろ……リク……!」
 ゼロの拳がリクの下顎を突き上げる。
「俺は勝たなきゃならないんだ……!! ここまで共に闘ってきた仲間のためにも、ティルのためにも!!」
 よろけながらも、再びリクの一発が次はゼロの右頬に打ち込まれる。
「ぐぶっ…。そ、それでいい。やはりおまえは俺の息子、俺によく似ている! 戦え、己の信じるもののために!!」
 鳩尾にゼロからの強烈な一突き。
「げほっ…。俺は……親父とは……違うッ!!」
 リクの攻撃。
「何が……違うと……言うのだ!!」
 ゼロの反撃。
「俺は…! 親父が持っていないものを……持ってる!!」
 返す一撃。
「それは一体……なんだというんだ……!!」
 腹部に鋭い痛み。
 両者睨み合い、一呼吸置いて同時に拳を突き出す。
 互いの腕が交差し、互いを殴り合う。
「それは……大切な仲間だ!!」
 リクとゼロは互いによく似ていた。
 しかし、ひとつだけ違うところがあった。
 ゼロが慕うオーシャンはもういない。リクが信じる仲間はいつでも傍にいる。
 それがゼロにはない、リクだけが持つものだった。
 夕陽を背後に立つ二つの影。そのうちの一方が膝をつき、そしてついに倒れた。
 そしてもう一方の影も疲れ切った様子で、大の字になって仰向けに倒れる。
「これが俺の想いだ! わかったか……親父ィ…!!」
「うぐっ……なんて重い一撃だ! まさか俺がおまえに敗れるなんて……甘かったのは俺だったようだ。成長したな、リク」
「今さら親父面すんじゃねぇ…」
「ふっ、反抗期か…。やっぱまだガキだ、な…」
 ゼロは自身の生きる意味はオーシャンだと言った。
 しかし、この戦いの中でゼロは新たな、そして本来の生きる意味を見つけていた。
(これが父親というものか。悪くないものだな)
 強くなった我が子を見て微かに笑みを見せると、ゼロは気を失った。
 戦いを制したのは、リクだった。


 意識を取り戻していたウィルオンが叫ぶ。
「ゼロはリクが討ったぞ! 降伏しろ! ゼロは倒れたぞ!!」
 戦いの終結の知らせはすぐに戦場に知れ渡った。
「ゼロ様が討たれたぞ!!」
 バルハラ兵は次々に武装を解除して降伏した。
「おめでとうございます、ウィルオン様! 我々の勝利です!! ゼロのやつめから城を取り戻しましたよ!」
「ずいぶんボロボロになっちまったけどな。こりゃ、新しく建て直したほうが早いんじゃないのか」
「皆よくやってくれた! 皆の力があったからこその勝利だ。これは我々の勝利だ!」
 王宮の前に仲間たちが集まり、一同は勝利を喜び合った。
「やった! ボクたちの勝ちだって!」
「な、なんとかなったな。オレほんとのこというと怖かったんだ」
「やったのだ! これでご褒美はいただきだね!」
「すごく絶好調です! 頭に秋がやってきました! ついに努力が実って大豊作です!」
「これでようやく長かった戦いが終わるんだな。そうだろ、リク?」
 ナープが問う。
 しかし、リクの表情はまだ晴れなかった。
「…まだだ。俺たちの戦いはまだ終わってないんだ」
 決着はついた。ゼロは倒れた。
 ティルの運命をリクたちは勝ち取ったのだ。
 だが、肝心のティルは姿を眩ましたまま、そのまま行方不明のままだった。
「この勝利を最も分かち合いたい仲間の姿がここにはない。どこに行っちまったんだ、ティル……」
 せっかくの勝利の賑わいの中に暗い影を落とすリク。
 勝利の喜びが重い空気に変わろうとしたそのときだった。
 頭上から声が降ってくる。
「おーい、大ニュースだぞ! ムスペまんじゅうの特売よりもビッグなニュースだぞー!」
 姿を確認するまでもなくすぐにわかった。サーフだ。
 ティルの捜索に向かっていたサーフたちが帰って来たのだ。
「へへへ、これは朗報だよ」
「ティルが見つかっただって!? 本当か! すぐにいくぞ!!」


 ティルが発見されたのはニワ大陸という無人大陸にある密林奥地の洞窟の中だった。
 かつてリクたちがペンシルロケットに飛ばされて辿り付き、メタメタやリシェと初めて出逢ったあの島だ。
 はやる気持ちで木々を掻き分け、サーフの案内で密林を急ぐ。
 しばらく行くと、目の前に高くそびえ立つ岩山と、その上から流れ落ちる滝に辿り付いた。
 滝の裏には、水に反射した光に照らされて蒼銀色に岩が輝く洞窟があった。
 そしてその中でリクたちは捜し求めていた姿をついに見つけることができた。
 蒼銀色の魔竜はそこにいた。
 魔竜は静かに呟く。
「……ここならもう絶対に誰にも見つからないと思ったのに」
 呆れたように、しかし満更ではない様子でそう言った。
「よかった…。おまえが無事で本当によかった……!」
 リクは魔竜の大きな腹に顔を埋めた。
「無事? どういうこと?」
「おまえ、もう思い残すことはないなんて言ってたじゃないか! てっきり俺は……!!」
「そ、そうだっけ。誤解させるようなことを言ったのはごめん。でも、もう二度と誰にも会うことはないと思ってたから…」
 あの夜、ティルは考えた。
 リクが父親と戦わずに済む方法を。仲間を哀しませない方法を。これ以上争いを起こさない方法を。
 当初ティルは自ら封印されることですべての原因である魔竜の存在を消そうと考えていた。
 だが、それではリクたちが哀しむということを知った。
 そこでティルは消息を絶つことで間接的に魔竜の存在を消そうという結論に辿り付き、こうして誰も知らないような島の奥地に身を隠し、このまま二度と誰の目にも触れずに静かに過ごすつもりだったのだ。
「馬鹿やろう…。そんな悲しいことさせるもんか。おまえがどこへ行こうが俺は絶対に見つけ出してやる。たとえそれが地獄の底だったとしてもな!」
「いろいろとごめん。でも、よくここがわかったね」
「サーフたちが見つけてくれたんだ」
 得意そうにサーフが胸を張ってみせる。
「ここが誰にもわからない場所だと思った? へへへ、ここ知ってたんだよね。まぁ、ボクもここはボクだけの秘密基地だと思ってたんだけどね」
「秘密基地? そんなことやってたのか」
 ナープが睨む。
「ただボクが蔦に絡まってるだけだと思ったら大間違いだよ! ちゃーんと世界中を廻ってたんだからね。こういう良い感じの場所を見つけるためにさ」
「結局遊んでたんじゃないか! 父さんが無事見つかったからよかったものの…」
「いいじゃない。そのお陰でこうしてティルが見つかったんだから」
「まぁ、今回だけは大目に見てやるよ」
「なんだよそれー。一応、ボクのほうがナープより年上なんだぞ! 兄ちゃんなんだぞ!」
「ああ、はいはい。わかったわかった」
 じゃれ合うサーフたちをよそ目に、リクと共にここへ駈けつけていたリシェやウィザもティルとの再会を喜んだ。
 ゼロとの戦いは終わった。
 オーシャンを心の支えにしていたゼロは、戦いを通してリクという新たな生きる意味を見つけた。これでゼロがもうティルの封印に固執することもなくなるだろう。
 これで今度こそ本当にティルを救うことができた。これでまたティルと過ごすことができる。
 そう信じてリクは心から再会を喜んだ。
「魔竜が見つかったか。うむうむ。サーフよ、見事な働きだった。ご苦労ご苦労」
 そこに水を差すかのように、滝を潜って一頭の火竜が姿を現した。
 ムスペの火竜王セルシウスだ。
「しまった、火竜王を忘れてた!」
「ティルを連れていく気!?」
 仲間たちが口々に訊く。
 セルシウスはその全てをケツァル殿との約束だからの一言で一蹴した。
「くそっ、せっかくゼロに勝ったのに!」
「そんな! そんなのってないよ! せっかくハッピーエンドって雰囲気だったのに!」
 慌てる仲間たちとは対称的に、落ち着いた様子でリクがセルシウスの前に歩み出た。
「前にも言ったはずだ。ティルは渡さない。どうしてもというのなら、俺が相手になってやる。ムスペ兵でも火竜王自身でもかかってこい」
 真っ直ぐにセルシウスの目を睨みつける。
 その目には恐れなどない。ただあるのは強い意志のみだ。
「リクだけに任せるわけにはいかないな。ティルを大切に思う気持ちでは僕だって負けていないつもりだ」
「ボクだって! 今ここにはいないけど、きっとウィルオンだって同じことを言ってくれると思うよ」
「こ、怖いけどオレだって戦うぞ!」
 仲間たちは次々と協力を申し出た。そこに迷いの色は一切ない。
「ほう。友情とはいいものだな。思わず私の若い頃を思い出したものだ」
 火竜王は懐かしそうに笑う。
「……だが」
 そして真剣な面持ちで言い切った。
「リムリプスは封印する。この決定は揺るがない」
「くっ…!」
 身構えるリクたち。困惑するティル。
 険悪な空気は重くのしかかる。
 そんな空気を払いのけるかのように火竜王は言った。
「ただし」
「……!?」
 この場にいる誰もがセルシウスの次の言葉を待って沈黙し、固唾を呑み、耳をそばだてる。
「猶予期間を与えようではないか。しばらく様子を見させてもらう。本当にリムリプス……いや、”ティル”が危険な存在なのかどうかは、私が直接確認したものではない」
 言って、セルシウスは真っ直ぐにリクの目を見つめる。
「リク、おぬしは言っておったな。必要とあればこの俺がそれを証明して見せる、と。その言葉を信じさせてもらうことにした。とりあえず期限は定めないことにしておこう。もしティルが本当に危険な存在であるとわかったら、そのときは私も容赦はしないので覚悟しておいてほしい。だが、そのときが来るまではどのようにしてもらってもかまわない」
「セルシウス……!!」
 リクは驚いて目を見開いた。
 その目をしっかりと覗きこんでからセルシウスは言った。
「敢えてもう一度言おう。この決定は揺るがない!」
「……ありがとう」
 リクの目には自信と決意の色が見えた。なかなかよい目だ。
「礼を言われるようなことは何もしておらんがな。リクよ、私の期待を裏切るでないぞ」
 一呼吸置いてから火竜王は振り返って滝の向こうに声をかけた。
「さて。これでよろしいかな、3代目ケツァル殿」
「異論はない。俺……じゃなかった。私からも感謝します」
「うむうむ。では、私は失礼させてもらうよ。戦乱で荒れたバルハラをなんとかせねばな」
 火竜王は朗らかに笑いながら滝の向こうへと消えた。
「あ、そうだった。俺も行かなきゃ。ティル、また遊びに来いよ! それじゃあまたな!」
 滝から首から先だけを覗かせながら言って、ウィルオンも飛び去って行った。


 その夜。
 空には銀色の満月が輝いている。
 ニワ大陸にある小高い丘の上に、リクとティルは並んで座っていた。
 そんな二人を空から満月が明るく照らしている。
 気を利かせてか、仲間たちはリクとティルを二人きりにしてやるために静かに去っていた。
 月を見上げながらリクが言う。
「本当によかった。まだ夢みたいだ」
 初めてリクと出逢ったあのときの姿で、ティルも月の向こうに何かを見ながら言う。
「僕もまだ信じられない。もう二度と誰とも会わないつもりでいたから」
「そうはいかないぜ。もしまたおまえがいなくなってしまったとしても、必ず絶対確実に見つけ出してやる。俺から逃げられると思うなよ」
「それは大変だ。それじゃ、おちおちトイレにもいけないね」
「なんだそりゃ。それじゃまるで俺がストーカーみたいだな」
「あははは! やーい、ストーカー! つかまえてごらん!」
「なんだと? よーしつかまえてやる! 待ちやがれぇー!」
 丘をティルが駆け、その後をリクが追う。
 リクはあっさりとティルをつかまえると、二人はそのままじゃれ合い、笑い合い、そして横に並んで仰向けに転がって月を真上に眺めた。

 銀色のしずくが月に照らされて輝く。
 それはぽつりと落ちる。ひとつ。またひとつ。
 竜の涙はとても価値があるものだ。優しい竜は滅多に涙など見せない。
 なぜなら、その涙が誰かを心配させてしまうかもしれないから。
 自分が原因でまわりの者たちが哀しむことが堪えられないから。
 だから竜は悲しみの涙を決して誰にも見せようとはしない。
 しかし、そんな竜が隠さない涙がひとつだけある。
 それは嬉しさの涙。見る者の心を温かくする涙だ。
 なぜなら、自分が原因でまわりの者たちが幸せになれることが竜たちにとっての幸せなのだから。

「リク…」
「うん?」
「ありがとう」
 そして魔竜は寄り添った。最愛の友へと。


Fin

フローティア4『竜の涙』
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