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  • メルキュール小編

メルキュール小編

最終更新:2013年03月03日 05:06

jelly

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Metadia05「メタディア小編:メルキュールの誘惑(R-18)」


 諸兄はメルキュールという名のメタディアを知っているだろうか。いや、知らなくても恥じることはない。
 なぜならそれは最近発見されたばかりの、比較的新しいメタディアだからだ。知っての通り、近年メタディアは以前にも増して活発になりつつある。だからこそ、ここ最近では見たこともない新種のメタディアが次々と見つかっている。そして中には攻撃的だったりして危険なやつもいるということを忘れてはいけない。
 そもそもメタディアとはなんなのか? 諸説あるらしいが、そんなことは俺はどうでもいい。
 だがそのメタディア『メルキュール』だけはどうしても気になって仕方がなかった。
 先に言っておこう。メルキュールも危険なメタディアのひとつだ。そして俺は以前、そのメルキュールに襲われたことがあった。
 だけど、俺はそんな危険なメルキュールをあろうことか気に入ってしまったのだ。
 馬鹿だと思うなら笑えばいい。だが敢えて言おう。俺はメルキュールが好きなんだ。
 では、どうしてそんなことになってしまったのかを、順に追って説明していこうと思う。


 それはまだそう遠くない昔……いや、むしろ最近だ。それはまだ年内の話だった。
 敢えて名前は伏せさせてもらうが、俺はシレスティアルに住む風竜だ。普段は不要な雷雲を払ったり、雨が少ない地域に雨雲を運搬するような仕事をしているが、その日はたしか有給を取って地上の癒島に観光に行っていたときだ。
 東のほうでは大蛇が出たとかで騒ぎになっていて観光は断られてしまったので、俺は予定を変更して西にある鳴都という港街に立ち寄ることにした。
 地上には水でできた海があって、そこでは魚というイキモノが泳いでいるらしい。知識としてそういうことは知っていたが、本で読んだだけで実際に見るのは初めてだった。だから俺は心を躍らせて鳴都へ向かった。
 だが実際に鳴都に着いてみると、これがひどい有様だった。
 天候は荒れて、波は大きくうねり、強風が街の窓を叩きつけている。同じく天候を整理する仕事に携わる者としては腹立たしくて仕方がない。一体、ここらは誰が天候整理を担当しているのだろう。おかげで俺の休暇は台無し、空は荒れ模様、そして俺の心も大シケ大嵐だ。
 最初はそう思っていた。
 だが今では、東の大蛇騒ぎにも、鳴都の悪天候にさえも感謝している。それがなければ、俺はあれに遭遇しなかったのだから。
 鳴都の店は悪天候のせいでどれも閉まっていた。そこで仕方なく俺は海辺をなんとなく散策することにした。魚の市場は見られなかったが、せめて初めて見る「水の海」だけでも眼に焼き付けておこうと思ったからだ。
 海岸沿いをしばらく旋回していると、少し離れた先に閃光と雷鳴を見つけた。そのとき俺は地上からそう遠くない位置を滑空していたはずだ。それにしては、その稲光はずいぶん低い位置で見えたような気がした。
 こんなところで雷が発生するのはおかしい。誰かうっかり雷雲でも落としたのだろうか。
 そう思って、地上に降り立ち光が見えた方向へ歩き始めたときだった。
 再び雷鳴が聞こえたかと思うと、その瞬間に視界が真っ暗になった。眼が焦げ付いたのかと一瞬不安に思ったが、そうではない。なにやら黒くてべとべとするものが俺の顔にへばりついていた。粘液状のそれは、ねっとりと糸を引きながら足下に落ちた。
 その黒い塊は艶のある光沢を発しながらびくびくと蠢いている。最初はそれを気味が悪く思って海に投げ捨ててしまった。するとそれは溶けるように海の中へ消えていった。顔についたべとべとも水で簡単に洗い落とすことができた。
 これが俺とメルキュールとの初めての出逢いだった。
 後で知ったことだが、その黒い液体こそが新種のメタディアであるメルキュールなのだそうだ。強い魔力を帯びており、不用意に触ると魔力中毒になる怖れもあるという危険な存在らしい。見たところただの黒いどろどろだが、これも歴としたメタディアの一種で、ちゃんと自分の意思で行動することができる。わかりやすく言えば、生きた黒い粘液だ。
 そんなことは知らずに、ただこの奇妙なものがどこから飛んできて俺の顔にぶつかったのだろうと、そのときの俺は気になった。そして、その原因を作ったやつに文句のひとつでも言ってやるつもりだった。せっかくの休暇を台無しにされたのだ。きっとストレスが溜まっていたのだろう。
 だが、俺はその後知ることになる。文句を言うよりもストレスの発散になるものが俺を待っていたということを。


 メルキュールは海岸沿いの茂みの向こうから飛んできた。ということは、この先にその原因があるはずだ。そう考えた俺は、その茂みのほうに向かった。そこは適度な木が生えそろっていて、ちょっとした森のようになっている。
 その森の中で俺はその原因を探していた。するとそのとき、再び雷鳴とともに目の前にメルキュールがべちゃっと降って来た。それもひとつではない。周囲に黒い液溜まりができるほどの大した量だった。
 世の中には奇妙な天気というものがいくつかあることが知られている。例えば魚が空から降って来たとか、夏なのに空から氷の塊が降って来たとか、そういう類のものだ。だがタネ明かしをしてしまうと、そういうのは大抵が天候管理をミスった竜たちが原因だ。だから俺はそういう異常気象の類はまるで信じていなかった。
 だが俺にはわからなかった。こんな黒いものがどうして降ってくるのか、それも雷鳴とともに。
 仕事柄なのか、俺はその黒い物体に興味を持ってしまった。それが俺の運命を変えたのだ。
 目の前に散らばったメルキュール。黒いスライムのようなそれは、それぞれが重なり合って混ざり合って、まるでひとつの大きな黒いスライムのようになっていた。もちろん、そのときの俺はメルキュールなんて知らなかったから、恐る恐る目の前の黒くて大きな蠢くどろどろに触ってみた。
 そっと左前足でそれに触れる。と、表面に手を当てているだけなのに、黒い粘液はずぶずぶと俺の手を呑み込もうとしているではないか。そのまま流れに身を任せていると、肘のあたりまでがその黒い粘液に呑み込まれてしまった。メルキュールの中はぬるぬるべとべとしていて少し不快だったが、上下左右あらゆる方向からリズミカルに適度な強さで締め付けるような、そのぜん動運動は少し心地が良くも感じた。
 面白いと思った俺は、こんどは両前足をその黒いスライムに突っ込んでみた。
 さっきと同様に、両手がずぶずぶと粘液の内側へと独りでに運ばれていくような感覚。両腕を伝ってぬるぬるとした粘液の感覚が身体に届き、背筋に言いようもないようなぞくぞくした感じが走った。
 そのままずぼっと音を立てて両手を引き抜く。指と指の間には黒い粘液が纏わりつき、糸を引きながら地面に向かって垂れている。指を開こうとすると、ねばっとした弱い反発感と共に、黒い薄膜が指の間に広がりまるで水かきのようになった。もう一方の前足の指で、その膜をそっと突いてみると、それはぶるんぶるんと面白いように振動する。
 なぜかはわからないが、俺にはそれがとても面白かった。まるで子どもの頃に戻ったような、そんな楽しさを感じた。例えばそう、意味もなく粘土をこねたり、泥溜まりに腹からダイブしてみたり。そんな無邪気な楽しさだ。
 こんどは前足を両方とも地面に戻して、馬蹴りのような体勢で両後足を黒い粘液に突っ込んでみる。
 素足でぬかるんだ泥を踏みしめたような、ぞくぞくとした感覚。太腿を伝わるこのにゅるにゅるとした感じ。それが気味が悪くもあり、そして心地よくもあった。尾は上に曲げて汚れないようにしていたが、いつの間にか先端が粘液に捕まっていたようで、気が付くとすでに根元近くまでが呑み込まれていた。
 さすがにこれ以上はまずいか、と両手に力を入れて尾と両後足を引き抜こうとする。が、先に両前足を突っ込んだのがまずかった。黒いぬるぬるに覆われた両手はずるりと滑り、逆にその勢いで腰のあたりまで粘液の中に飛び込んでしまった。
(これはまずい……!)
 そう思って焦ってもがくが、メルキュールはここぞとばかりに身体をくねらせて正面から俺を包み込もうとしている。慌てて前足をいくら動かしても、身体の半分以上が粘液に呑み込まれてしまっていて、地に届かない手は虚しく空を切るだけだ。頼みの綱の翼もすでに粘液で真っ黒べたべたになっていて、うまく羽ばたかせることができない。
 そのまま俺は成す術もなく、黒い沼の中に全身を引きずり込まれてしまった。


 メルキュールはべとべとした粘性のある液体状の生き物だ。だから、その内部にはもちろん空気なんかない。
 粘液の中にすっぽりと呑み込まれてしまった俺は、もちろん息ができなかった。苦しさにもがいて、なんとか顔を外に出そうとするのは当然の反応だろう。しかし、俺が竜族だったのが不幸なのか、翼や尾が粘液に絡め取られていて、いくらもがいても身体は前進せず、むしろずるずるどんどん奥のほうへと引きずり込まれてしまう。
 そしてとうとう息苦しさに耐えきれずに、俺はメルキュールの中で口を開いてしまった。
 粘液の中で口を開けば当然、口の中に粘液が流れ込む。重くねっとりとした黒い液体がどんどん体内に入っていき、肺の中を黒くべとべとにしていく。口からも鼻からも、留まることなく粘液が流れ込み続ける。そして朦朧とする意識の中で俺は「溺れるってこんな感じなのか」とぼんやり考えていた。
 空には浮島に川や湖があるが、水の海はない。雲でできた海が広がるだけだ。ほとんどの竜は泳ぐという経験がほとんどない。そして俺もそうだった。
 しばらくそのままぼんやりしていたように思う。それは5分だったのか、あるいは1時間だったのか、具体的な時間ははっきりしないが、短くはない時間だったはずだ。そこで俺はふと疑問に思う。俺は黒い粘液に溺れたはずだ。なのにどうして俺はまだ生きているのだろうか、と。
 いくら泳いだことがないからといって、窒息すれば死ぬことぐらいは知っている。今、俺の肺は黒くてべとべとになっているはずだ。なのに今はまるで苦しさを感じない。これは一体どういうことなんだろうか。
(息が……できる? もしかして、この黒いやつ。俺が溺れないように直接肺に酸素を供給してくれているのか?)
 確信はない。だが他に原因が思い付かなかった。そして、メルキュールが俺を生かす理由もわからなかった。
 まぁとりあえず、生きているのだから良しとしよう。俺は細かいことにはこだわらない性分だ。
 そして、他に出来ることもなかったので、そのまま今自分がどうなっているのかを確認してみることにした。
 まず全身はメルキュールの黒い粘液の身体の中に完全に呑み込まれている。尾も翼も四肢さえも、コールタールで塗り固められてしまったかのように、ぴくりとも動かない。身体をよじることもできないし、首もまわらない。そして、その全身はメルキュールのぜん動運動でしっかりと、なおかつソフトに、そしてゆっくりとマッサージされ続けている。
 鼓動の音が大きく響いて聴こえる。これは俺の心臓か、それともメルキュールのものか。その鼓動は粘液のぜん動に合わせて、とくん、とくん、と脈打っている。そしてそれが脈打つのと同時に、身体を包み込む粘液はぬるりと全身を撫でた。そのたびに身体中をそっと指が這うようなぞくぞくした感覚が駆け巡る。
(あれ…? なんだこれ。おかしいな、不思議と嫌な感じは……しない)
 とくん、と脈打つ。ぞわり。
 再び、とくん。ぞわぞわっ。
 そのうちに、とくにそのぞくぞくした感じが強い場所があるのがわかってきた。
 ひとつは後頭部から首筋、そして両肩にかけて。まるで鼓動に合わせて耳に息を吹きかけられているような……
 そう、耳だ!
 なんと鼓動と共に、黒い粘液は耳からも体内に入り込みつつある。それがこのぞくぞく感の正体だった。
 そしてもうひとつは……
(そういえば、さっきから何やら腹が張ってきているような感じはしていたが……まさか)
 口から入り込んできた粘液は真っ先に肺を満たしてしまった。そして溢れ出した粘液はそのまま胃の中へ。腹いっぱいに黒いぬるぬるをごちそうされた。だが胃というものはよくできていて、異物が体内に無闇に侵入しないようになっているらしい。具体的には胃の出口付近には異物の侵入を感知すると、きゅっとその口を閉じてしまう部分がある。そうして腸を通じて体内に異物が吸収されるのを防ぐようになっているのだそうだ。
 だが今張っているこの腹というのはもちろん下腹部のこと。腸。ハラワタだ。
 つまり俺が何を言いたいかわかるな。ええい、まどろっこしいのはナシだ。
 単刀直入に言うと、黒い粘液はなんと肛門からも、遠慮なしにぐいぐいと体内に侵入して来ていた。この腹の中いっぱいに詰まっている黒いどろどろは上からではなく、下から入って来たものに違いなかった。
(う、うぐ。こ、これは……)
 再び粘液が脈打つ。と、それに合わせてにゅるりと口から、鼻から、耳から、そして肛門から粘液が入り込む。
 粘液に外からも内からも閉じ込められて、身体はぴくりとも動かせない。そこに黒い粘液は、鼓動が響くとともに喉を、耳を、そして腸壁を擦りながら、これでもかと体内に潜り込んでくる。
 脈打つとともに自分では全く動かすこともできない身体がびくびくと動いた。
(う、嘘だろ!? まさかこんなところで…! こんな状態で!?)
 それを否定するかのように、歯を食いしばってリズムよく連続して押し寄せる感覚に耐える。
 すると、それに対抗するかのように脈動の速度が見る見るうちに早まっていった。
 メルキュールが攻めに出たのか、それともやはりこの鼓動は自分自身のもので、つまり刺激を感じて……
 さっきとは別の意味で意識が朦朧とし始めた。
 鼓動はどんどん高まっていく。それに合わせて黒い粘液が刻むリズムも加速。より強い刺激が、ぞくぞくとした感覚が全身を襲う。一度脈打つごとに、背骨の中をこのぬるぬるの黒い粘液が昇っていくような感覚。目からは火花と涙が出た。その涙はいつも通りの色だったのか、それとも周りの粘液と同じ真っ黒だったのか。そんなことを考える余裕はもうどこにもない。
 さらに刺激は脈動のたびにどんどん強く重く深くなっていくような感じさえする。背筋の底に、ずしん、ずしんと響くようなその一鼓動。ひとつ脈打つごとにじわじわと、背骨の脊椎の骨をひとつずつ、刺激が昇っていくような錯覚。それは腰に、背に、首に、響く。
 そして最後の一鼓動。
 ついにそれは脳髄に到達し、そして爆発して――果てた。
 ぬるぬるでどろどろでべとべとでぐちゃぐちゃだったのは、全身を締め付けるこの黒い粘液だけではなかっただろう。
(て…。てくに、しゃ、ん……)
 ただの黒い液体だというのに。ちょっと粘ついてぬるぬるしているだけの液体に過ぎないというのに。
 ……発情期じゃなかったというのに。


 力尽きた俺の身体はまだ黒い粘液に弄ばれていた。
 身体の外側からも、そして内側からもぎっちりと締め付けられて、だんだん疲れて痺れが回り始めた。
 今も粘液は腸壁を刺激し続けているのだろう。だがもう痺れて何も感じない。何もわからない。
 そのうちに全身の感覚がわからなくなってきた。身体が溶けて粘液と同化しているのではないか。そんな感じさえする。
(だが、それも……わる、く……ない…)
 そのとき俺はとてもリラックスしていた。まるでまどろみの中にあるかのような心地よさ。痛みも苦しみも疲れも、何も感じない。ただただ、黒い海の中で静かなさざ波に身を揺られているような。ここには騒音も雑音もない。あるのはただ脈打つ鼓動の音だけ。
 こんなに居心地がいいのなら、ずっとここにいるのも悪くない。
 そしてそのまま、まどろみに身を任せるままに、安楽の海にどっぷり身を沈めようとしたそのときだった。
――ドクン
 と、大きく重く、そして力強く、ひとつ脈打った。
(…………!?)
 すっかりと弄ばれてしまった下腹部からは、俺も雄であるということをしっかりと証明しているその肉塊が垂れ下がっている。
 黒い粘液はそれをにゅるりと捩じるように締め付けた。
 それを合図に、しばらく安静化していた鼓動は再び動き始める。そしてそれに合わせて、粘液の体内への流入も再開された。
(ま、待て! もう……無理だ! これ以上入ってこられたら腹が……内臓が破裂してしまう!!)
 そう叫んだつもりだった。が、喉の奥の奥までみっちりと詰まった粘液はそれを許さない。そうはいかない、とでも言いたげに、さらに喉の奥の奥の奥にまで侵入を試みようとする。喉から出たのは声ではなく、ほんのわずかに体内に残っていた空気の気泡と、ごぽごぽという音だけだ。
 肛門からの粘液も、さらに奥へ奥へと密度を増しながら、きつくきつく押し入ってくる。
(む、無理だ無理だ無理だ! もう入らない! さ、裂ける……)
 再び波となって押し寄せる刺激と痛みに意識が混濁する。
 同時に粘液は他に侵入口がないかと探るかのように、身体のあちこちを撫で回し始めた。その一触一触に全身がびくびくと震えて応える。しかし、身体中の穴という穴はすでに黒で満たし尽くされていた。ただ、残ったその一点だけを除いては。
 ずるずると蠢く粘液はその先端をまさぐり、その穴を見つけると左右に押し広げつつ一気に入り込もうとする。
(まさか! そんな!? そこは……無茶な…!!)
 激痛と共に尿が逆流してくるかのような違和感、そして圧迫感。尿意が爆発的に高まっていき、今にも溢れ出してしまいそうな寸前にまでそれは高まる。膀胱は悲鳴を上げた。だがそんなことはお構いなしに粘液はずるずると身体の芯へと這い上がってくる。歯がぞわぞわとして今にも抜け落ちてしまいそうな不安定感。あるいは腰の骨が砕けてしまいそうな衝撃。全身から真っ黒な冷や汗がどっとあふれ出す。
 緊張は一気に昇り詰めて、ついに身体の芯の奥の底に「ひたり」と触れる。
 その瞬間に何かが切れたような気がした。何かの一線を超えたような気がした。何かが弾けたような気がした。
「ヒぎャぅ……ッ!!?」
 押し潰れたような奇妙な声が腹の底から微かに聴こえた。
 その音を聴きながら、黒い渦の中にありながらも意識が真っ白になって失神した。


 以降のことはほとんど記憶にないが、それでもなお侵入しようとする粘液に全身が押し潰されて弾け飛ぶような夢を見た気がする。意識の外のほうでは激しい雷も鳴り響いていたかもしれない。
 どうやって黒いべとべとのがんじがらめから脱出したのかは全く覚えていない。が、次に気がついたときには、ただ例の茂みの中で一人、裸で横たわっていただけだった。……もっとも、もともと裸ではあったが。
 こんな経験は初めてだった。
 後に蠢いていた黒い粘液の正体はメタディアのメルキュールという生き物だと知った。この体験をオブラートに包んでマイルドに、さりげなーく知り合いの竜に話してみたが、「魔力中毒の見せた幻覚だろう」と鼻で笑われてしまった。
 だが確かにあの感覚は幻覚ではなかった。あの刺激は、痛みは偽物ではなかった。……はずだ。
 それ以来、どうしてもあの刺激が忘れられない俺は、地上を見下ろしてはまた例の黒い粘液に包み込まれることを密かに思い描いている。あんなに大変な目に遭ったというのに、それでもまだ、どうやら俺はあの刺激を欲しているようだった。いや、あるいはもっとそれ以上のものを……
 あのひんやりとした、ぬるぬるした、べとべとでねばねばの、身も心も締め付ける、真っ黒で魅惑的な液体。それは今はもう俺の身体を締め付けてはいないが、どうやら俺の心はまだそれにぎちぎちに締め付けられたままでいるらしい。
 そして今、ついに俺は再びメルキュールを探して、そのぬめりけの中に飛び込むという愚かな計画を立てている。
 明日から数日間の休みを確保した。今度は心の準備もできている。あとはメルキュールの粘液だけだ。
 念のため、いざというときのための記録と書き起きも、こうして残した。あとはペンを置いて明日に備えるだけだ。
 ああ、メルキュールの誘惑が俺の心をがっちり掴んで離さない……


※この日以降、この日記の筆記者は消息を断ちました。
 何か情報をお持ちの方は、シレスティアル気象台までご連絡ください。

Metadia05 END

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