atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
TPC@wiki
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
広告非表示(β版)
ページ一覧
TPC@wiki
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
TPC@wiki
広告非表示 広告非表示(β)版 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • TPC@wiki
  • 大いなる意志1A

大いなる意志1A

最終更新:2013年07月06日 01:54

jelly

- view
メンバー限定 登録/ログイン

第一章A「新しい旅立ち」


 この大樹大陸の歴史は争いの歴史ばかりだった。
 あるときは未知の物体ブラックボックスを巡って争い、またあるときは領地を巡って争った。この大陸にある三国、マキナ、フィーティン、ヴェルスタンドの関係はそれほど良いものとは言えなかった。
 機械文化に優れる国マキナ。都市国家マキナの飛行艇や潜水艇は人々の移動や貿易を活発にし、またその技術は兵器にもなり得た。
 軍事力と言えばこの国フィーティン。古来より代々続くこの王国は何よりも誇りを大切にし、自分たちこそが大陸の顔だと信じている。
 科学ならヴェルスタンドが一番。とくに精神からエネルギーを得る精神体技術は他二国には決して真似できないものだ。
 これらの三国はどれもが自分たちこそが最も優れていると信じ、事あるごとに対立しては戦争を起こしてきた。
 だが、そんな三国がともに力を合わせて脅威に立ち向かったことがあった。
 それが20数年前の事件「HiveMind」だ。
 ヴェルスタンドはかつて、精神体技術を兵器転用した精神兵器によってマキナに侵攻したことがあった。その精神体が暴走し「HiveMind」ではヴェルスタンドが壊滅的な被害を受けた。マキナやフィーティンの人々はこれまでの報いだ、とこれを座視していたが、そこに立ち上がった一人の男がいた。
 その男の名はガイスト。マキナ出身、ヴェルスタンドで科学者を務め、精神体を発明した男。
 彼は自身の発明した精神体が原因で戦争が起こり、祖国のマキナが被害を受けたことをいつも後悔していた。そして、この一件だ。彼の発明した精神体が暴走して、再び人々に被害を与えている。責任を感じたガイストは一人立ち上がり、独自にこの一件の調査を始めた。
 ガイストの熱意は次第に周囲を巻き込んでいき、ついに三国は互いに手を取り合いこの問題の解決に腰を上げるに至った。
 このまま放置すれば、いずれはマキナやフィーティンにも被害が及ぶ。これはヴェルスタンドだけの問題ではない。この大陸の問題だ。だからこそ、互いにいがみ合うのではなく協力し合うべきなのだ。そこで三国の連合軍が組織され、ガイスト指揮する連合軍はついに精神体の暴走を食い止めることができた。この一件によって、彼らは互いに協力することを学んだのだった。
 それから20数年の時が流れた。
 ここは大樹のふもとに設けられた三国協議の場、アルバール。「樹」を意味するこの公会議場には怒号が飛び交っていた。
 会議室には三国の要人たちが顔を連ねている。その視線は一人の白髭の老人に集中していた。
「何か言ったらどうなんだね。ヴェルスタンド大統領、ヘルツ殿」
「まったくだ。我々の納得できる説明をしてもらわないと、今日は帰れないでしょうな」
 ヘルツは精神体の暴走の一件にてガイストと知り合い、友として彼をサポートしたヴェルスタンドの医師だった。彼もまた大陸を救った英雄の一人として称えられ、今はこうしてヴェルスタンドの第108代大統領を務めている。
 今、大樹大陸には再び危機が迫っていた。
 過去にヴェルスタンドが精神体から生み出した精神兵器のひとつ、グメーシス。銀色の身体に鰭状の手。足はなく、流線型の身体からはすらりと尾が伸びる。それぞれの個体の胴体にはなぜか文字の刻印があり、グメーシスには「罪」の刻印があった。
 グメーシスには触れたものをなんでも塩に変えてしまう恐ろしい能力があり、精神体の暴走でもその能力は猛威を振るったものだった。
 あれ以来しばらくグメーシスの姿を見ることはなかったのだが、それが今になって突然現れて各地で人々を襲っている。刻印が異なるためこれらはグメーシス亜種と呼ばれたが、人々はグメーシスからすぐにヴェルスタンドを連想した。そしてこの問題を解決するために、三国の代表は急遽このアルバールに協議の機会を設けたというわけだった。
 だが残念なことに、マキナもフィーティンも今回の一件はヴェルスタンドに責任があると頭から決めつけている様子だった。
 ヘルツはただただ「今回の一件には一切関与していない」と否定するのみ。しかし、二国はこれをまるで信用しなかった。そう、まるで精神体の暴走が起こったあのときと同じように……。せっかく互いに協力することを学んだというのに、その思いは長い時の流れの下に埋もれてしまっていた。
 あれから20数年。さらなる技術の向上、大陸各地で開発が進み三国はより大きく発展したが、一方で荒地も広がって行き、マキナにおいては砂漠化まで進んでいた。そのせいもあってか人々の心も荒み、互いを信用することを忘れてしまったのかもしれない。
 マキナとフィーティンが責め立て、ヴェルスタンドは頑なに否定する。協議は膠着状態、まるで解決の目途が立つような様子ではなかった。
「これでは話にならん。重要なのは問題を解決すること。誰に責任があるかではない。そうだろう?」
 そこで見かねたフィーティンのウォーレン王が提案した。
「こういう場合は専門家の意見を聞くべきだと思うのだがどうだろうか」
 グメーシスは精神兵器、すなわち精神体に関連するものだ。亜種とはいえ、それには違いない。
 専門家とはもちろん、精神体の権威であるあの男のことだった。精神体の暴走を食い止めた彼なら今度もなんとかしてくれるかもしれない。
「そうですな。ウォーレン殿の言う通りだ。あの男をここに呼ぶべきです、すぐに!」
 マキナのガソイール首相もこれに賛成し、彼らは精神体について最も詳しい男ガイストを呼び立てた。
 しばらくして、マキナから一人の者がアルバールに到着した。が、それは彼らの期待した者ではなかった。


「ここだな。オレたちの力を必要としてるやつらがいる場所っていうのは」
 扉の前に丸い影が立つ。その視線の先に設えられた小窓からは、議論し合う大勢の姿が見えている。
『ええ。きっとガイストじゃなくてがっかりされるでしょうが、それを気にしてはいけませんよ。重要なのは問題を解決すること。私たちならきっとできます。さぁ、自分を信じて!』
 すると、丸い影の目の前にホログラムでできたモニタ画面……通称遠隔モニタが浮かび上がり、そこには彼を鼓舞するような言葉が表示される。
「ああ、わかってる。オレだってちゃんとしたガイストの仲間なんだ。何も心配することなんかないさ」
 そう言って扉を開けて会議室に入る。
 彼の姿を確認するなり、会議室は一瞬の静寂、続いて数多くの言葉が舞った。
 そんな一同を静めさせると、ひとつ咳払いをしてフィーティン王が訊いた。
「君は何者だね。私はガイスト殿を呼んだつもりだったのだが」
 これに丸い影が答える。それは人間ではなく機械だった。
「すまないがガイストは理由あって来れない。だからオレが代わりに来たんだ」
 機械はサボテンの形をしていた。
 サボテンの機械といえば、大樹大陸の者は誰もが彼のことを思い出す。彼とはすなわちキョクゲンダー。ガイストと共に精神体の暴走を食い止めた救国の英雄の一人、通称ゲンダーだ。しかし、この世界にそのゲンダーはもういない。なぜなら彼は過去の精神体との戦いでその身を犠牲にして、未来を人々に託して散って逝ったからだ。このサボテンはゲンダーではない。
 サボテンの姿をした機械は名乗った。
「オレは棘ゲンダー。かつての戦いで犠牲になったゲンダーを模してガイストに作られた。同じゲンダーじゃややこしいし、オレのことは棘(キョク)と呼んでクれ。ガイストもオレのことをそう呼んでクれた」
 ゲンダーは細長いサボテンの姿をしていたが、キョクは丸いサボテンの姿をしている。それ以外はゲンダーにとてもよく似ており、まさにゲンダーの弟と言えるような機械だった。ゲンダーとの面識はないが、キョクは彼を兄のように慕っている。
『それから、私はメイヴです。みなさん私のことはご存じですよね? 私たちがガイストに代わってサポートします』
 続いて遠隔モニタが自己紹介した。
 メイヴもまたガイストと共に大陸を救った英雄としてよく知られている。彼も機械だったが、メイヴはガイストが作ったものではなく、ガイストの先輩にあたるヘイヴ博士が発明したものだ。メイヴは過去の戦争で胴体を失ってしまったが、その部品のひとつに使われていたブラックボックスにデータが残っていたため、こうして遠隔モニタを通じてのサポートを行うことができる。ガイストはメイヴを直そうと努力を重ねたが、彼の技術だけではそれは叶わなかったため、今はこうして遠隔サポート専門の機械になっている。
 要人たちはやって来たのがガイストではなく奇妙な丸っこい機械だったので最初は不審に思ったが、メイヴの存在を知ってすぐに態度を改めた。かつての英雄であり超高性能なメイヴがいればもう問題は解決したようなものだと彼らを歓迎した。
「オレは? もっとオレにも期待の目を向けて欲しいんだが」
『みんなはあなたのことをまだよく知らないだけです。これから思い知らせてやればいいんですよ』
「……そうだな。なんたってオレはゲンダーの弟みたいなもんだ! すぐに誰もがオレの評価を改めるさ」
「ではメイヴ殿、それからキョクと言ったかね。さっそくだが、席について我々の会議に加わってもらおう」
 キョクとメイヴを一員に加えて会議は再開された。
 現在起こっている問題は、各地でグメーシス亜種が発生して被害を出していること。メイヴはこれまでに集めて来た精神体のデータをもとに様々なアイデアを提案していく。その鋭い指摘と意見に誰もが「さすがはガイスト殿と共に大陸を救った英雄だ」と感嘆の声を漏らした。一方、キョクは何のことを言っているのかよくわからなかったのでとくに発言をすることはなく、同じように押し黙っているヘルツの顔をじっと眺めていた。
(あれがヴェルスタンドの大統領か。たしかガイストの友達だっけ。ガイストって顔が広いんだな)
 ヘルツはぼんやりと明後日の方角を見つめている。周囲の声はまるで耳に入っていないといった様子だ。
(なんだか頼りなさそうだ。でもなんでだろう。あいつ、なんだか哀しそうな顔をしているな…)
 そのままキョクもヘルツも一切発言することはなく、議論は一応の結論を出した。
『そのグメーシス亜種というのは複数の種類が存在するようですね。私もいくつか確認していますが、どうやら他にもまだ別の亜種がいる様子。対策を立てるにはまず敵を知る必要があります。こんなところで文句ばかり言ってないで、亜種について調査してデータを集めるべきでしょう』
 そこでグメーシス亜種を調べるための調査団が結成されることになった。
 調査団は複数のグループに別れ大陸の各地へと赴く。メンバーはマキナ、フィーティン、ヴェルスタンドのそれぞれの兵士たちから組織され、互いの長所を活かす形で各国から同数ずつの人員を集めて構成される。
 メイヴの『直接確認してデータを収集したい』という希望もあって、キョクもこれに加わりグメーシス亜種の実地調査に臨む。彼らが所属するのは調査団のアルファチームだ。アルファチームはメイヴの提案でヴェルスタンド方面へと赴いて調査を行うことになった。曰く、精神体といえばヴェルスタンド。グメーシス亜種の発生源である可能性が高いから、という理由だ。
 その日は調査団の編成と準備に充てられ、翌日メンバーは出発に際して初めて顔を揃えることになった。


 地平線の向こうから太陽が昇り、大樹の陰を明るく照らす。空は快晴、絶好の調査日和だ。
 アルバール公会議場を背景に、キョクは地平線の向こうを見つめて意気込んでいた。
「さぁ、いよいよ始まるんだ。オレの冒険が! ゲンダーはメイヴと一緒に大樹大陸のあちこちを冒険して回ったという。次はオレの番だ。オレだって立派にやれるってことを、あの頭の固い連中に証明してやる!」
『その意気です、キョク。ですが冒険ではなくて調査です。遊びに行くわけではないので、そこのところはよく理解しておいてくださいね』
「わ、わかってるさ。オレはいつだって全力なんだからな」
『はいはい、期待していますよ。それにしても懐かしいです。ゲンダーと共に旅をしていた頃もこのあたりは通りました。たしか初めてレティスやブロウティスに襲われたときでしたか。まだ何もわからなくて必死でしたねぇ……そう、銃火器なんか持ち出しちゃって、思わずこの私もエキサイトしちゃったというものですよ。それにあのときのゲンダーの慌てようったらもう』
 過去の思い出に浸るメイヴを見てキョクは少し複雑な気持ちだった。
 さっきは「頭の固い連中に」とキョクは言ったが、実はそれだけではない。キョクは密かにメイヴにも自分のことを認めてもらいたいと思っていた。
 たしかにゲンダーは兄のように尊敬している。いつでもそれはキョクの憧れの存在だった。メイヴやガイストからよく話に聞かされていたので、会ったことはなくてもゲンダーのことはよく知っていた。しかし、一方で悔しくもあった。
 サボテンの機械といえばゲンダー。ゲンダーといえば救国の英雄。誰もがキョクを見るとゲンダーのことを思い出す。誰もがキョクを通して、彼ではなくゲンダーを見ている。メイヴでさえも時としてゲンダーとの思い出を楽しそうに語る。二言目には決まってゲンダーゲンダー。それがキョクには悔しかった。
(たしかにゲンダーのことは尊敬してるさ。でもオレはオレだ。オレはゲンダーの代用品なんかじゃない、オレはキョクだ! それをみんなに思い知らせてやる。今回の調査はそのための絶好の機会。このチャンスを無駄になんてするもんか)
 遠隔モニタを通して文字で自分の意思を伝えるため、メイヴは思ったことをなんでも表示してしまう。その遠隔モニタの出力装置はキョクの身体に搭載されているので、メイヴの考えていることはキョクにはなんでもわかる。しかし、キョクは内部スピーカーを通じて発音することで自分の意思を伝える構造なので、自分の内で思っているだけのことはメイヴには知られない。
 今もゲンダーの思い出を次々と表示する遠隔モニタを見つめながら、キョクは一人思うのだった。
(ゲンダーはもういない。メイヴの新しい相棒はオレなんだ。今度こそ、それをわからせてやる)
『さて、そろそろ他のメンバーも集まってくる頃です。しばらく行動を共にすることになりますから、きちんと挨拶をしておかなければなりませんね』
「ああ。そして認めさせてやるんだ。オレはキョクだってことを!」
『……ただの挨拶ですよ? 何もそこまで張り切るようなことではないと思いますが』
「あっ、いやその……そりゃだっておまえ、オレはいつでも全力だからな!」
『はいはい。暴走しない程度にお願いしますよ』
 また二言目にはゲンダーゲンダーと言われるのだろうか。そんなことを心配しながら、キョクは調査団員の合流を待った。


 しばらくして調査団のメンバーたち全員が顔を揃えた。
 調査団は三国それぞれの兵士たちで構成されている。小隊長を筆頭に隊員が数名、それを各国ひとつずつの三小隊。それらを合わせて調査団の一グループ。そこにキョクとメイヴを合わせたのがこのアルファチームのメンバーだ。
 三国それぞれの小隊長が代表としてキョクに挨拶しに近寄って来た。
 最初に口を開いたのはフィーティンの小隊長だ。
「やぁ。君がメイヴ君かい? 僕はイザール。英雄って聞いてたけど、ずいぶんと丸っこいんだね。そんなのでちゃんと戦えるのか心配だねぇ」
「……なんだか失礼なやつが来たな。オレはキョクだ。メイヴでもゲンダーでもない、キョクだッ!」
「何をそんなにムキになっているんだい? そうか、君がキョク君のほうだね。これは失敬」
『すみませんね、さっきからなんだか興奮しているみたいで…。私がメイヴです。どうぞよろしくお願いしますね』
「やあ、これがメイヴ君か。なるほど、英雄様は通信参加で安全なところからご助言なさるわけだ。でも理に適っている。僕はそういうの、嫌いじゃないよ」
 イザールは物珍しそうにキョクや遠隔モニタをじろじろと眺め回している。どうやら機械を見るのは初めてらしく、メイヴの名前を知ってはいても、彼も機械だということまでは知らない様子だった。
「なんだ。おまえは何も知らないんだな」
「それは仕方ないさ。僕はついこの間までフィーティン軍の音楽団に所属していたからね。兵器についてはまだ知らないことが多いんだ」
「なんだか頼りなさそうだな。こいつ大丈夫なのか」
『キョク、聞こえますよ。えー、なるほど。それがまたどうして小隊長に?』
 メイヴが訊くとイザールは黙って帯剣を抜いた。突然のことに驚いて、キョクや周囲のマキナ及びヴェルスタンド兵が警戒する。
「見たまえよ、この剣を。この反射……美しいだろう?」
『え? ええ……まぁ、刀剣は時に美術品として高い価値を持つこともありますからね。つまり剣に魅せられて兵士に転属したと』
「剣? 何を言っているんだ、そうじゃない。ほーら、見たまえよ。この剣に映った僕の顔を。ああ……なんて美しいんだろう……」
 そう言ってイザールは何度も剣の角度を変えたりしながら、ずっと刃に映り込んだ自分の顔を眺め続けていた。そしてそのまま自分の世界に陶酔してしまったので、彼からの挨拶はこれで以上になった。
「なんだか変なやつが来てしまったぞ。人選間違えてるんじゃないか?」
『まぁそう言わずに…。こう見えても戦わせてみたら実は凄いかもしれませんし、今回の目的はあくまで調査ですから』

 続いて名乗ったのはマキナの小隊長だ。
「Hey guys! 俺様がCoolに登場だぜ! キョクとメイヴとか言ったな。この俺が来たからには、もうNo problemさ!」
 一瞬の間を置いた後に呆れた様子でキョクが言った。
「おいメイヴ。なにかの間違いだよな? なんだよこの横文字だらけのやつ」
「What?」
『ははぁ、これはフィーティンの古い言葉ですね…。Um, it's nothing. He means well. Nice to meet you, bro. Welcome to our team』
「メイヴ、おまえもか…」
『So, who are you?』
「俺はエラキス! 出身はフィーティンだけど、今はマキナで飛行艇を操縦してる」
「おまえが? 機械が得意そうには見えないけどな」
「Pooh! 馬鹿にすんじゃねーぞ。さては俺の異名を知らないな? 聞いて驚けよ。俺様は泣く子も黙るあのガーネットスターだぜ!」
「ガーネットスター? なんだそれ」
「おまえこそ何も知らないじゃねーか。ガーネットスターと言えば、フィーティン最速の走り屋のことに決まってるだろ! マキナで俺の操縦技術が認められて飛行艇パイロットになったんだ。誰も俺の速さにはついてこれねーぜ!」
「なんだ暴走族か」
「Shut up! ガーネットスターをそこらのギャングやチンピラどもと一緒にすんじゃねえ! てめえ、あんまし調子に乗ってるとただじゃおかねーぞ!」
『Be calm, be calm bro. It's okay. We are team, so i look to you help for us』
「メイヴ、それわかりにくいからオレにもわかる言葉で言ってクれよ」
『When in Feetin, do as the Feetins do, right?(郷に入りては郷に従え、ですよ)』
「Ughhhhhh!」
 頭を抱えながらキョクは叫んだ。

 最後にヴェルスタンドの小隊長が自己紹介する。
「わたしはシルマ。メイヴ様、お噂はかねがね伺っておりますわ。それからキョク様、聞けばあのゲンダー様の後継機であられるとか。お二人が我らがチームに同行してくださるとは大変光栄です。従軍してまだ日が浅いため至らぬところも多々あるかと存じますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!」
 そう言ってシルマはしっかりと敬礼してみせた。
 また「ゲンダー」か……と内心思いながらも、やっとまともなやつが出てきてくれたとキョクは安心した。
『おやおや、お嬢さんですか。これはチームが華やかになっていいですねぇ』
「ちょっと表情カタいけどな」
『お嬢さん、リラックスですよ。そんな張り詰めた顔をしていたら、せっかくのべっぴんさんがもったいないですからね』
「ええ、善処致しますわ」
 再びしっかりと、こんどは笑顔で敬礼して見せるシルマを見て、エラキスは不満そうな顔で言った。
「Hey hey heeey. なんでこんなところに女がいるんだ? 俺はままごとをしにきたんじゃねーぞ」
 シルマはまるで相手にしない様子でこれを聞き流す。と、代わってその間にイザールが割って入った。
「待ちなよ、ブラザー。レディーには優しくするものだって、ママから教わらなかったのかい?」
「Huh? おまえは黙ってろよ! 男のくせにナヨナヨしやがって。乳臭いおまえこそママのおっぱいでもしゃぶってんのがお似合いだぜ」
「なっ、なんだと? この僕を侮辱したな! たかが暴走族の荒くれ風情が僕を何だと思っている? どうせ大した血筋でもないんだろう。それにその下品な話し方、田舎者の証拠だな! いいか、僕はイザール・レディアンスだぞ。あのレディアンス家の出なんだぞ。わかってるのか!?」
「Oh, do tell. だからなんだよ、このボンボン野郎。おまえが王様ってわけでもあるまいし。これだから金持ちってやつは…」
「貴様ッ、もう許さないぞ!」
「Come on BOY. Kiss my ass!」
 そのまま二人は周囲の目も気にせずに取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。そこでこんどは見かねたシルマが間に入る。
「ちょっとあなたたち! メイヴ様の前なのよ、やめなさい!」
「「ヴェルスタンドのやつは黙ってろ!!」」
 二人は声を揃えて怒鳴った。
 すると、それを聞いたシルマは豹変。鬼のような形相を近づけてドスの利いた声で言う。
「あなたたち、もう一回言ってごらんなさいよ。今なんて言いまして? わたしのことはなんとでも言えばいいわ。けどね、もし祖国のことを馬鹿にしようものなら……ただじゃおかないわ!!」
 シルマの背後で本当に雷が轟いたような気がした。一方で、喧嘩をしていた二人は空気の抜けた風船のように萎んでしまった。
「ご、ごめんよレディー…」
「Pfft...」
「わかればよろしいのですわ」
 言ってシルマは笑顔で振り返って、やりましたとでも言いたげにこちらに再度の敬礼を送る。心なしか、さっきよりもいい笑顔になっている気がする。
「ああ、オレもう既にこのチームいやだ…」
 キョクは両手で顔を覆いながらため息をついた。


 一通りの挨拶を終えると、調査団アルファチーム一行は一路北へ。ヴェルスタンドへ向けて出発した。
 移動はフィーティンの装甲車で行い、キョクたちの乗る車のハンドルを握るのはマキナのエラキスだ。
『エラキス、安全運転でお願いしますよ』
「All right, all right. あくびしてる間についちまうから心配すんなって」
「いや、そうじゃなクて…」
 言うや否や、物凄い勢いで装甲車が発進する。キョクは勢い余って車内を転げ回った。
 正面には道先を示す矢印が次々と表示される。半透明の遠隔モニタが前方に表示されているのであって、それがまるでフロントガラスに直接道しるべが現れているように見えるのだ。それを頼りにエラキスはハンドルを巧みに捌いて、ヴェルスタンドへの最短距離の道なき道を猛スピードで走らせる。彼らの車を先頭に三国それぞれの小隊員たちの乗る数台の装甲車を先導する手筈になっているが、エラキスの乱暴な運転に誰も着いて来れていない。
 一方、後部座席ではイザールがシルマに言い寄って”なかよく”やっている。あんなことがあったというのに懲りないやつだ。
 車は右に左に何度も揺れて、キョクは車内を何度も転がってはあちこちにぶつかった。
「こ、こんなことで大丈夫なのか?」
 滅茶苦茶な仲間たちにキョクは再びため息をついた。
 だが、これしきのことで諦めてはいけない。なぜなら彼らは大事な調査のためにヴェルスタンドへ向かっているのだ。それにキョクには、ゲンダーの代用品ではなくちゃんと「キョク」として自分を認めてもらいたいという目的もあった。
「オ、オレはクじけないぞ…。最後までオレは全力なんだ…」
『期待していますよ、キョク。私はあなたを信じていますから』
 旅立ちは前途多難。チームはばらばら。それでも彼らは行く。行かねばならない。
 こんな彼らの肩にも大陸の命運がかかっているというのだから。

第一章A 了

大いなる意志2A
「大いなる意志1A」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet
TPC@wiki
記事メニュー

◆ メニュー

トップページ
はじめに
プロフ
伝言板



文章作品庫
・ 『フローティア』
├ F0『黒い系譜』
├ F1『Black Drop』(完結)
├ F1『プランティア』(放置)
├ F2『ブラックボックス』(完結)
├ F3『魔法戦争』(進行中)
├ F4『竜の涙』(完結)
├ F4『メタディア』(放置)
└ F5『黒き果てに』(未定)
・ 個人作品
├ 「古代ゼリー文字」
└ 「イグリスのチラシの裏」
・ 旧作
├ 旧『BlackDrop』
├ 原作版『メイヴの謎』
├ 旧メイヴ続編『Hive Mind』
├ Hive Mind続編『大いなる意志』
└ 合作版『魔法戦争』
資料関連
・ 資料庫一覧
├ 作品時系列
├ 『メイヴ』合作メモ)
└ 参考資料
・ TPCメンバー向け
├ TPC定例出席録
├ 勲章システム
├ 外伝2 資料庫
├ 総合資料庫
├ リレー小説
├ リミット大戦
└ 編集練習、実験用ページ






記事メニュー2



◆ 更新履歴

取得中です。
最近更新されたページ
  • 1766日前

    トップページ
  • 2795日前

    魔法戦争65
  • 2795日前

    魔法戦争64
  • 2795日前

    フローティア3『魔法戦争』
  • 2803日前

    魔法戦争63
  • 2828日前

    魔法戦争62
  • 2841日前

    魔法戦争61
  • 2849日前

    魔法戦争60
  • 2849日前

    魔法戦争59
  • 2849日前

    魔法戦争58
もっと見る
最近更新されたページ
  • 1766日前

    トップページ
  • 2795日前

    魔法戦争65
  • 2795日前

    魔法戦争64
  • 2795日前

    フローティア3『魔法戦争』
  • 2803日前

    魔法戦争63
  • 2828日前

    魔法戦争62
  • 2841日前

    魔法戦争61
  • 2849日前

    魔法戦争60
  • 2849日前

    魔法戦争59
  • 2849日前

    魔法戦争58
もっと見る
ウィキ募集バナー
急上昇Wikiランキング

急上昇中のWikiランキングです。今注目を集めている話題をチェックしてみよう!

  1. 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  2. SDガンダム Gジェネレーションオーバーワールド 攻略Wiki
  3. 20XX @ ウィキ
  4. 役割論理専用wiki 
  5. トリコ総合データベース
  6. モンスター烈伝オレカバトル@wiki
  7. ファイアーエムブレム用語辞典
  8. NIKKEぺでぃあ
  9. 機動戦士ガンダム EXTREME VS. MAXI BOOST ON wiki
  10. ホワイトハッカー研究所
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. MADTOWNGTAまとめwiki
  3. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  4. 初音ミク Wiki
  5. ストグラ まとめ @ウィキ
  6. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  7. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  8. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  9. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  10. モンスター烈伝オレカバトル2@wiki
もっと見る
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. MADTOWNGTAまとめwiki
  2. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  3. フォートナイト攻略Wiki
  4. 首都圏駅メロwiki
  5. Last Z: Survival Shooter @ ウィキ
  6. まどドラ攻略wiki
  7. 駅のスピーカーwiki
  8. ちいぽけ攻略
  9. ソニックレーシング クロスワールド 攻略@ ウィキ
  10. 魔法少女ノ魔女裁判 攻略・考察Wiki
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. 【移転】Miss AV 見れない Missav.wsが見れない?!MissAV新URLはどこ?閉鎖・終了してない?missav.ai元気玉って何? - ホワイトハッカー研究所
  2. ブラック・マジシャン・ガール - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  3. 真崎杏子 - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  4. ブラック・マジシャン・ガール - アニヲタWiki(仮)
  5. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  6. 参加者一覧 - MADTOWNGTAまとめwiki
  7. 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
  8. ミッション攻略 - 地球防衛軍6 @ ウィキ
  9. 鬼レンチャン(レベル順) - 鬼レンチャンWiki
  10. リリーバイス - NIKKEぺでぃあ
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.