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Black Drop2

最終更新:2017年04月23日 03:28

jelly

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二番星「あーぎゃいる」



「埋めちゃうの……?」
 硝子砂丘で拾った緑のちびすけ、みーぎゃが不安そうな表情で訊いた。
 黒砂蟲を退治したあと砂丘を東へ抜け、クロガネと呼ばれる山のふもとに俺たちは辿り着いていた。そこで死んでしまったみーぎゃの親と思しき大トカゲを埋葬したのだ。筋力には自信があったが、さすがにこの巨体を運んでくるのには骨が折れた。なんだってこのイキモノは人よりも背丈がでかいのだろう。みーぎゃも成長したら、こんなにでかくなるのだろうか。
「埋めたらおかあさん、元気になる?」
 まだ幼いこいつは死というものが理解できていない。どう答えたものかと困っていると、続けてちびすけが呟いた。
「おかあさん、どうして動かなくなっちゃったのかな…」
「それは……魂が遠いところに行ってしまったからさ」
 説明したところでたぶんまだ理解できないだろう。だからうまいこと言ってごまかすことにした。べつに間違ったことは言ってないはずだ。
「たま…しー? どこへ行っちゃったの?」
「ずっとずっと遠いところさ。海よりも山よりも空よりもずっと向こうに」
「どうして一人で行っちゃったの? ボクのこときらいになったの? うぁ…あぁ……おかぁ…さぁん…」
 宝石のような紅い瞳が潤んでいる。
 ああ! またこの目だ。こいつの紅い目を見るとなぜか心を鷲づかみにされたような、心臓を矢で射抜かれたような不思議な感覚に襲われるのだ。いかん、もう耐えられん。これが俗に言うキュン死するってやつなのか。くッそぉ、トカゲのくせに。なに、この時代にその俗語がもうあったのかだと。そんな細かいこと気にしてると、族長みたいに禿げちまうぞ。
「わかったわかった。いつか俺がいっしょにおまえのかーちゃん捜してやっから。だから泣き止めって、な?」
「ぐすっ……うん。約束だからね。ぜったいぜったいぜぇーったいだからね」
 まあ捜しても見つからないんですが。良くも悪くも子どもとは純粋である。
 だがこうも考えられる。うまく言ってこいつをずっと俺のもとに置いておけば、どんな化け物がでてきてもへっちゃらだし、狩りにおいてもけっこう役立つのではないか。なんたって、こいつには黒い砂蟲をやっつけたような不思議な力があるんだ。騙すようで少し悪いような気がしないでもないが、親のいないこいつを誰か保護してやらなければいけないのだから、べつに悪いことをしてるわけではないよな。
「ところでちびすけ。俺にはやらなきゃならないことがあってな。おまえのかーちゃんを捜してやる代わりに、ちょっと俺を手伝ってくれないかな」
「うん、いいよ。約束だからね」
 うぐっ、みーぎゃの純粋な眼差しが痛い。でも可愛らしいから許しちゃう。
「俺は隕石が落ちた場所を探してるんだ。うちの村のジジイが見て来いってうるさくてなぁ。空から来たとか言ってたけど、もしかしておまえどっちに落ちたか見たりしてないか」
「インセキ? 初めて聞くなまえ」
「あー……そうか。それじゃあ空から石が降ってこなかったか」
「みぎゃ! それなら知ってる。あかくておっきくてきれいだったよ。あっちの空から来てどんどんおおきくなって…」
 みーぎゃが空を指差して隕石が通った軌跡をなぞってみせる。それによると、どうやらそれは西の空から飛来して、このクロガネの山の向こうに飛んでいったらしい。
「へぇ。意外と近くに落ちてるのかもな。こりゃ思ったより早く帰れるかもしれんぞ」
「そしたら早くボクのおかあさん、捜しにいけるね!」
「お、おう。そうだな、頑張ろうぜ…」
 ああ、純粋な眼差しが痛い。


 そのまま砂丘を抜けると例の山の麓に着いた。この山は鉄がよく採れるためクロガネと呼ばれているのだが、山そのものは岩に含まれる鉄が酸化することによって赤い色をしている、はずだった。ところがいざ訪れてみると山は真っ黒に染まっている。本当の意味で黒ガネ山になってしまったわけだ。村で聞いた「山が染まった」という噂は嘘ではなかったらしい。
 この近くには鉄を採掘する者たちが集まってできたスサという集落がある。そこのやつらもさぞ驚いているだろうと思ってそこを訪ねてみると、山が黒くなったのとはまた別の騒ぎが起こっていた。
「生贄じゃ! 大蛇に生贄を捧げよ! さもなくば我らの命はないぞ」
 スサの長老と思しき白ひげを蓄えた老人が、高台の上で杖を振り回しながら何やらぶっそうなことを叫んでいる。
「イケニエだって」
「なんかヤバいとこに来ちまったかな…」
 隕石について何か聞けないかと立ち寄ったわけだが、とても話が聞けるような雰囲気ではない。というか怖い。
「よ、よし。なんか儀式に忙しそうな様子だから、お邪魔にならないよう俺たちはさっさと隕石を探しに行こうぜ」
「待って! ふりーど、あれ…」
 長老の演説に耳を傾けているスサの民が高台の前に集まっている。周囲にはやぐらが組まれ、掲げられた松明が暮れてきた空の薄闇をぼんやりと照らしている。その薄明かりがやぐらの上のほうに縛り付けられているものを照らし出している。それこそがみーぎゃの指差したものだった。
「ん? なんかあれ、ちびすけにちょっと似てるな」
 縛り付けられていたのはみーぎゃに似た少し大きなトカゲ。あれも羽が生えているようなので同種だろうか。俺が連れているのは緑だが、あっちで張り付けになっているのは赤い。なるほど、色違いというわけだ。
 それを見たみーぎゃは突然止める間もなく聴衆たちの足元へ潜り込んでいった。
「おい、何する気だよ」
 高台のすぐそばまで来てみると、みーぎゃは聴衆の一人の頭によじ登って熱弁するスサの長老にちょうど向かい合うところだった。突然の出来事に聴衆たちが驚きの声を上げる。
「わっ、なんだこいつ!?」
「見ろ。あの生贄のやつにそっくりだ。仲間に違いない」
「捕まえろ! そいつも生贄に差し出してやるんだ」
 うわぁ、ぶっそうなこと言ってら。どうやらあの赤い羽トカゲが生贄にされるらしい。とりあえず俺が生贄される可能性は低そうなのでひとまず安心するとして。さて、せっかく連れてきたみーぎゃが生贄に持っていかれては困る。やれやれ、ちょっと通りますよ、と聴衆を掻き分けてちびすけのもとへ向かうと、みーぎゃが「かわいそうだよ!」と叫んだ。
「なにもわるくないのにイケニエなんて!」
 長老が答える。
「お主があれとどういう関係にあるのかは知らんが……あの隕石が落ちた日以来、急に山が黒く染まり、続いて言葉を話す大蛇が現れてこの村を襲ったのじゃ。村の者がもう何人も犠牲になった」
 そして大蛇はこう言った。「我を神として崇めよ。その印として酒と生贄の血を捧げよ。さすれば村の者には手出しせぬことを誓う」と。そして同じ日にあの赤いイキモノが空から落ちてきた。大蛇と同じく言葉を話せるトカゲだった。
 隕石。黒く染まった山。そして村に不幸を運んできたしゃべる大蛇。このしゃべるトカゲも不吉な存在に違いない。彼らはそう考えたのだ。
「化け物とはいえ、所詮は獣じゃ。人の血と獣の血の違いなぞわかるわけがなかろうて。ならばちょうど良い。この不吉な赤いトカゲを始末するついでに、その血を大蛇に差し出してやる。これ以上、村から犠牲者を出すわけにはいかんからのう。実に合理的な考えじゃろうて」
「そんなひどい!」
「そういうお主もしゃべるトカゲじゃな。さてはお主も隕石が運んできた不吉に違いない。ならば良かろう。そこまで言うのなら、おまえさんが代わりに生贄になるかね?」
 いかんいかん。勝手に話を進めるんじゃない。それは俺のみーぎゃだぞ。あの赤いやつには悪いが俺にはこのちびすけの力が必要だ。こんな便利でしかも可愛らしいものをそう易々手放してたまるもんですかってんだ。
「あー。あのですねぇ、ご老体…」
 うまく場をやり過ごしてさっさと逃げ出そうと、俺は人ごみを割ってスサの長老の前に進み出た。すると待ってましたと言わんばかりに俺を指差してみーぎゃが言うのだった。
「だったら大蛇は退治するよ。……このふりーどがね!」
「へ?」
 長老が、スサの民が、そして期待の眼差しをもってみーぎゃが、それぞれの視線が俺の顔に集中する。
「ふりーどはイチバンのかりゅーどなんだよ。すごーいんだ。大蛇なんてらくしょーだもん。ね?」
 あ、あのぉ。みーぎゃサン? チミは何を言っているのかね。
「ほう、退治してくれると。この若造がか。じゃが、少し頼りなさそうじゃのう」
「もししっぱいしたら、そのときはふりーどをイケニエにあげるよ。でもその赤いこはボクがもらうよ」
「ふむ。うまくいけば大蛇が消えて、仮に失敗しても村の者を生贄に出さなくてよい。そして不吉な赤いトカゲもお主と共に去るか。どっちに転んでも悪い話ではないのう…」
 まてまてまてまてまて。当事者を無視してそんな勝手が許されるもんか。そんなものはただの口約束に過ぎない。それにちびすけはまだ幼い。契約というのは両者の合意が成立要件とはいえ、未成年の契約締結には保護者の同意が必要なのだ。よって、その話は無効である。というわけで俺は認めないぞ、そんなどっちに転んでも俺が困るような話は。
「ちょっとよろしいですか長ろ…」
「よかろう。その条件を飲もうッ!」
 人の話を聞けぇ!! くッそぉ、なんだってこう、どこの長老も身勝手な要求ばかりしやがるんだ。
 そのままスサの民たちは口々に要求してきた。赤いトカゲを引き渡すからには必ず大蛇をなんとかしてもらわなくてはならない。このままこっそり逃げられては困る。そこで、大蛇に捧げる酒と共にフリードをそのまま差し出してしまおうではないかと。もし大蛇を退治できる実力が本当にあるのなら当然生きて帰ることができるし、もしその実力に偽りがあっても、そのときは大蛇がこの男を引き裂いて生贄として受け取ってくれるであろうと。
 鬼だ。この村には鬼しかいなかった。血も涙もない……そうか、血がないから生贄になりたがらないわけか。
 なんて言ってる場合じゃなかった。スサの民たちは、あっという間に俺の身体を台車に縛り付けると、酒樽を一緒に載せて、さっそく大蛇の元へと送り出してしまった。一方俺はこの村のやつらの分まで涙があふれてきた。スサ……なんて恐ろしい村だ。おまえたちのことは忘れないよ、悪い意味で。


 台車は山腹の洞窟の前に停められた。どうやらここに件の大蛇がいるらしい。
「ほら約束のものだ。さっさと受け取れ」
 それだけ言うと、台車を引いてきたスサの者たちはあっという間に逃げ帰ってしまった。
「ま、待てぇ! せめて縄ぐらい解いてけよ。これじゃあ退治どころか、本当に生贄になるしかないじゃないか」
「みーぎゃがとってあげるの」
 下のほうから声が聞こえた。
 きつく縛られた縄に小さな芽のようなものが生え始めた。と思ったら、すぐにしおれて枯れてしまった。すると、なんと縄も芽と同じように干からびてぼろぼろになっていった。ここまで劣化してしまえばもう簡単だ。少し力を込めれるだけで縄を破ることができた。
「た、助かったぁ。しかし便利だな。そのおまえの能力」
「そのひもはくさのツルでできてるから。ヘビでしばられてたらダメだったよ」
 砂蟲のときは岩とツタを操っていたが、どうやらみーぎゃの能力は自然を操作するものらしい。
「みーぎゃ先生。大蛇もどうにかなりませんかね」
「みぎゃ…。イキモノはちょっとムリみたいなの」
 そう都合よくはいかないようだ。
 さて、肝心の大蛇はまだ姿を見せない。スサの者も逃げ出してしまったことだし、俺たちも逃げるなら今のうちだ。
「よし。俺にいい作戦があるぞ。ちびすけ、こっちに来るんだ」
 相手は所詮まだ子ども。うまくごまかしてこの場を離れよう。そう考えて、手を引いて一歩踏み出す。
 そこで少し違和感を感じた。あれ、なんかちょっとでかいな。それにこいつ爬虫類にしてはやけに体温が高いぞ。
「ボクこっちだよ」
 視界の外から声が聞こえた。
「おおう!?」
 振り返ると正面にみーぎゃがいる。じゃあ俺が手を引いていたのは……
「急に何をする!」
 あ、赤いほうだった。例の生贄にされかかっていたやつだ。
 ちびすけめ、こいつも連れてきていたのか。せっかく生贄から解放してやったのに、大蛇の穴ぐらまで一緒に来てしまっては意味がないだろうに。何者か知らないが、とりあえずこいつは赤いみーぎゃだから『あーぎゃ』とでも呼んでおくことにする。
 ちびすけと比べて色が違うほかには、あーぎゃ(仮)のほうがひとまわり身体が大きい。おとなの小型犬ぐらいの大きさか。まるっこいみーぎゃに比べて、少し鱗がごつごつしている。
 あーぎゃ(仮)はこちらを一瞥すると、不満そうに俺の手を払いのけた。
「無礼者め! ずいぶんと気安く触ってくれるではないか」
「なっ。助けてやったのに、なんか癇に障る態度だな」
「フン、私が何も知らぬと思うたか。城にあった文献で読んだとおりだった」
「城? 文献? 何の話だ」
「さっきの村のやつらを見て確信したぞ。キサマらが地上に暮らすという野蛮な種族だな」
 まあたしかに、さっきのあれについては擁護できない。
「おしろからきたの?」
「いかにもっ! 私はアーガイル。偉大なる火竜が国、ムスペルスの王女なるぞ。頭が高いわ、ひかえよ愚か者共め」
「あーぎゃいる?」
「ム。王女の名を間違えるとはなんと失礼な。同族でなければ容赦しないところだったぞ。私はアーガイルという。よーく、覚えておけ」
「あーぎゃいる! じゃあ、あーぎゃって呼ぶね。みーぎゃとおそろい」
「何度も言わせるな! 私は……」
「みーぎゃとあーぎゃ♪ みーぎゃとあーぎゃ♪」
「むぅ。これだからチビっこはきらいだ」
 結局あーぎゃに決まった。ムスペルスの王女あーぎゃ。というかメスなのね、こいつ。俺にはまったく見分けがつかない。
 しかしムスペルスとは聞いたことがない国だ。スサのやつらがこいつも空から落ちてきたと言っていたが、それが事実なら雲の上にも国が存在するということになる。にわかには信じられんな。しかも、その国のよりにもよってお姫サマが偶然そこに落ちてくるような、そんなうまい話があるわけがない。
「なるほどわかった。きっと落ちたときに頭を打ったんだな。かわいそうに」
「キサマ野蛮民族の分際で愚弄するか! 王族への侮辱は万死に値するぞ!」
「よしよし、お嬢ちゃん。俺が本当の記憶が戻るように協力してやるからな」
「ま、また馬鹿にしおって! おのれぇぇぇ、父上がこのことを知ったらキサマ、その首無事ではないと知れ!」
「ああっ、どうか命だけはお助けを……なーんて。おチビちゃんが凄んだところで、怖くもなんともないもんね」
「ぐぬぬ」
 自称王女サマは悔しそうに歯軋りしている。頭からは湯気が立ち上り、瞳の奥には炎が揺らめいている。みーぎゃのとは対照的な澄み切った青い瞳だ。そして燃え盛る炎を背景に、いかにも怒り心頭というご様子。おチビちゃんにしてはなかなかの迫力に、少しコゲくさいような錯覚までしてきた。
「キサマなんぞ消し炭になるがよいわ!」
 いや、これは錯覚なんかじゃない。燃えている。俺の頭が炎に包まれている! なんてこった。最近薄くなってきて、ただでさえ気になっていたというのに、このままでは全部なくなってしまう! ああもうお婿にいけない。
「おわぁあ! ど、どうなってんだ。まさか、おまえもちびすけと同じような能力を!?」
「ふふん。これは3日前に流星に触れて覚えた技であるぞ。昔から星には願いを叶える力があるというからな。この能力で私に逆らう愚か者共を従わせてやるのだ。どうだ、参ったか! 参ったなら参ったと言え」
 どうやらあーぎゃは火を操る能力を持っているようだ。自然を操るみーぎゃとはここでも対照的だ。ああ、俺にも水を操る能力とかあればいいのに。そうすれば生意気なお嬢ちゃんにぎゃふんと言わせてわれるんだが。
 なんてのんきに考えてるような場合でもなかった。火が身体に燃え移って、禿げるどころの問題ではすまなくなる。
 わかった、参った……と言いかけたそのとき。頭上から突然液体が降ってきて、炎を消してしまった。
 これはアレか。さては主人公補正か、それともご都合主義か。(髪の毛の)窮地に立たされて俺の中の眠れる才能が突如として開花し、今ここに覚醒したのだ。さすが村一番の俺。なんだ、やればできるじゃないか。
 炎を消したその液体はぬめりと糸を引きながら顔に垂れてきた。手で拭うと、それはスライムのように強い粘り気を伴って、どろりと指の間から垂れ落ちていく。なんじゃこりゃあ。うへぇ……こんな能力はいやだ。そんな俺を二匹のちびたちが驚いた表情で見つめている。見るな、こんな俺を見るなァーっ。
「馬鹿者! 何をぼーっと突っ立っておる!」
「ふりーど、うしろーっ!」
「ん?」
 振り返るとやつがいる。そこには件の大蛇がいた。牙を剥いて、大口を開けて。今にも運ばれてきた生贄を喰い千切らんとばかりに。大蛇の口腔が目の前にあり、先端が二股に分かれた舌がひたりと頬に触れる。生暖かい息が首筋にかかった。垂れてきたのは、そうか。大蛇のよだれだったのだ。
 なにこれ、頭だけで人よりでかいじゃねーか。まずいな。こんどこそ死んだわこれ。
 本日二度目の走馬灯が流れて意識が薄らぐのと同時に、あーぎゃとみーぎゃが光に包まれるのが見えた気がした。


To be continued...

二番星 落星

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