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ブラックボックス4

最終更新:2016年10月09日 00:11

jelly

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第4章「G-Mehsys(グメーシス)」



 地下3階へ向かってみる。
 その言葉を最後にゲンダーとの通信は途絶えました。遠隔モニタの表示可能領域を超えたようです。
 滅多なことはないはずですが、万が一という場合もあります。たとえどんなに可能性が低くても、ゼロでない限りは絶対にないとは断言できませんから。
 この旅にゲンダーは必要不可欠である、と私は考えています。
 仮に敵対する勢力が立ち塞がろうととも、戦力的には私の装備だけでも事足りる計算になります。
 しかし、ゲンダーには私にはない『何か』がある。
 データベースにはこうありました。

◆ゲンダー[Gendar] 型式:Hv-110423 オーナーID:Heyve Prodizy
 自走式サボテン型機。研究助手及び護衛を用途とする。
【搭載機能一覧】
 永久波動形整流子原動機
 総合処理機関 Gendar-Core 2.0GHz 64bit
 拡散型波動衝撃波(通称:汁千本)
 簡易波動衝撃砲
 展開型電磁障壁
 自己修復機能β
 仮想領域及び補助記憶領域(ある程度の機能追加又は外部データ参照による一時使用が可能)
【備考】未知のバグあり。詳細不明。現時点では通常動作に影響なし

 ふむ。性能としてはまずまずですね。まぁ、私のほうが数倍は優れていますが。
 それはさておき、この未知のバグというもの。これがその『何か』を引き起こしているのではないでしょうか。
 赤と青の球体。ゲンダーの見つけた資料によるとレティスとブロウティスでしたか。それらとの戦いで、明らかに効果のない悪手であるはずの手段から、意外な突破口をゲンダーは見つけ出してしまったことに私は驚きを隠せません。
 ゲンダーには性能以上の『何か』がある。機械を超越した『何か』がある。
 私はその『何か』の正体が知りたい。
 だからこそ、ゲンダーを失ってはいけない。そう判断しました。
 可能性がゼロでないなら、私がそれを限りなくゼロに近づければいい…。
 さて、何かゲンダーのためにできることはないものでしょうか。
 滅多なことはないはずですが、なぜかいやな予感がするのです。データベースにある最も近い表現を借りるなら、「胸騒ぎがする」というやつでしょうか……。


 連絡の途絶えたゲンダーの身をメイヴが案じていた頃、ゲンダーは自分の身を案じていた。
 暗黒の地下四階の中、落としてしまったホログローブの薄明かりを目指して、ふらふらと吸い寄せられてしまった光球。それはどうやらゲンダーの目当てのものではなかった。
「グメェェェェーッ!!」
 球は不気味な叫び声を上げた。
 ホログローブかと思われた球はひとりでに宙に浮かび、ふよふよとその場を漂っている。
 球には『罪』という文字が刻印されている。ゲンダーには意味はよくわからなかったが、何か不吉なもののように感じた。
(ば、馬鹿言え。球が宙に浮かぶなんてそんなもんあるわけ……いや、あったか。例の赤と青の球体。でも、こいつはそのどちらでもない白い球。しかも、鳴き声を発したぞ。生き物か!? しかしこんな球みたいな……しかも文字が刻印されてるような生き物なんてあるか?)
 暗闇のせいで球の正体はよくわからない。
 が、それでも目を凝らしてよく観察すると、球の左右に鰭のようなものが一対あるのが確認できた。
(手? 球を持っている……生き物か?)
 そこから視線を上に向ける。
 何か理由があってのことじゃない、なんとなくだ。
 いや、もしかしたら無意識のうちにその気配を感じてのことだったのかもしれない。
 とにかく見上げた先には別の光がふたつあった。
 ぎょろり、と。
 それは瞬きもせず、じぃっとこちらを凝視していた。目玉だった。
(!!!!!)
 思わず叫びたくなるのをなんとか堪えて、じりじりと後ずさった。
 何かで聞いたことがある。獣というものは、相手の隙を突いて襲ってくるものだと。つまり視線を外すのはまずいってことだ。目をそらしたその瞬間、襲われる。
 だから、敢えてこちらからも睨み返してやる。そしてそのまま十分に距離を取って、逆に相手が隙を見せたときに一目散に逃げる。助かる道はこれしかない。たぶん。
 ゲンダーは後ずさった。そして謎の目玉が隙を見せることを祈った。
「うわっ!?」
 しかし油断した。正面にばかり気を取られていたせいか、何かにつまづいた。先に隙を見せてしまった!
「や、やばい。万事休すか」
 ごろり。と、そのとき足を取られたその何かが、尻餅をついたゲンダーの目の前に転がってきた。
 思わず手を触れると、それは蒼くぼんやりとした光を発し始め、そこで初めてそれが失くしていたホログローブだとわかった。
「くそォ! スリープモードかよ! そんなの見つけられるわけねえダろ!!」
 ホログローブには赤い点と重なるように黄色い点が映っている。疑う余地もなく目の前に居る何かだ。
 自分の球の青い光が、白い球の持ち主の姿をぼんやりと闇の中に浮かび上がらせる。
 その全体像は見えなかったが、球を抱えた蛇のような頭のおそらく生き物。体色は黒いような気がする。
 得体の知れない存在は相変わらず不気味だったが、全くの正体不明ではなくなった。もちろん何者かはわからないままだが、それでも幽霊でないことはたしかだ。もう何も怖くない。
「く、来るなら来い! 襲ってくるなら、こっちダって汁千本で応戦してやるぜ!(でも、できれば襲ってこないでくれぇ)」
 気休めに過ぎないがホログローブを盾にしながら、片腕を突き出して汁千本発射の体勢を構える。
 すると黒い生き物は、
「グメぇー」
 と一声鳴くと、こちらに興味を失ったのか、何事もなかったかのようにゲンダーの脇をすり抜けて去っていった。
 ゲンダーはその姿を振り返ることもせず、しばらくそのまま硬直していたが、ようやく空気の抜けた風船のように萎んで力なくその場にへたりこんでしまった。
「ふへぇ……し、死んダかと思った…」
 あれはなんだったのか。なぜあんなものがここにいるのか。
 よくわからなかったが、ゲンダーは直感した。ここはやばい。何かある、と。
 こんな気味の悪いところはさっさと脱出するに限る。そうだ、オレはここを脱出するためにこんな暗闇の中を彷徨っているのだ。と、目的をやっと思い出したところで改めて発電室の探索を再開することにした。
(それにしても、なんで急に見逃してくれたんダろう。オレも球を持ってるから仲間と判断されたのかな)
 たしかにあの白い球と同じぐらいの大きさではあるな、と手元のホログローブに目を落とすと、赤い点の周囲にはたくさんの黄色い点があり、四方八方から「グメぇー、グメぇー」という鳴き声が聞こえて来た。
「うわぁ……一匹じゃねえのかよ…」


 ホログローブの明かりを頼りに不吉な地下四階を彷徨うこと幾時間。
 ようやく階段を見つけたゲンダーは、一目散に地下五階へと駆け下りた。
 ここに来るまでに何度かあの「グメぇー」と鳴く白い球の生き物が視界をよぎっていった。ホログローブには黄色い点がうじゃうじゃしていて、見ていると頭がどうにかなってしまいそうだった。
 地下四階に発電室があるかを探すような余裕はまるでなかったが、早いところここを抜けてしまいたかったのだ。もちろん、あの「グメぇー」が下の階にいないという保証なんて何もないのはわかっているとしても。
『……ダー。聞こえま…か…ゲン…ー。応答してくだ…い、ゲンダー』
 階段を下っていると再びメイヴの遠隔モニタが現れ、下るほどにノイズも取り除かれていった。
「メイヴ!! よかった。てっきり通信が途絶えたものかと…」
 あとでからかわれそうなので口に出しては言わなかったが、メイヴの声が届いてゲンダーは内心すごくほっとしていた。それがたとえ音声のない文字列だけだったとしても、仲間の存在が身近に感じられるというだけで、こんなにも人というのは安心できるものなのだ。いや、ゲンダーは機械だったか。
『ええ、私もそう思っていました。上がってきたのですか?』
「いや、オレは下りたぞ。今は地下五階にいるはずダ」
『そうですか。通信限界かと思っていたのですが、それは間違いのようです。地下四階で何かあったのですか? 音声も届かなくなってしまって。地下四階全体に何か通信を阻害するような要素が存在している、ということでしょうか』
「それなんダが……メイヴ。おまえは幽霊っていると思うか」
 ゲンダーは地下四階で見かけた白い球の生き物のことを話した。
『幽霊ですって? そんな非科学的なものが存在するわけないじゃないですか』
「やっぱり訊くんじゃなかった」
『黄色い点で表示されたんですよね。それならば、それは実体がある存在だということになります。つまり科学的に説明がつく存在ってわけですよ。少し興味深いですね。調べてみたい気もしますが、私は下に降りられないので…』
「わかってるよ。早く電気を復旧させるから」
『エレベータの前でずっと待ってるんですからね!』
「はいはい…」
 これ以上地下へ続く階段はもうなかった。この地下五階がこの施設の最下層らしい。
 ここまでの階はいくつかの部屋がある広いフロアだったが、地下五階は違って一本の細い通路が真っ直ぐ伸びているだけで、扉に区切られた部屋というようなものは全くなかった。
 真っ暗なのは上の階と同じだが、幸いこの階には黄色い点はうろついていないようだ。
 それでも恐る恐る慎重に通路の奥へと進んでいくと、突き当たりにようやく最初の扉が見えてきた。
 扉を抜けるとそこには、重厚そうな黒い機械がずっしりと部屋いっぱいに広がって佇んでいる。
「ずいぶんとでかくで立派な機械ダな。もしかして、こいつが?」
『黒くてでかくてご立派ですって? ゲンダー、一体何がそそり立っているんですって♂』
「そそり…?? 何の話ダかわからんが、たしかにレバーみたいなものがあるな。どれ、ためしに引っ張ってみるか」
『アッー! っと、どうやらそれビンゴのようですよ』
 レバーを引くと発電機は唸りを上げて、脈打つかのように動き出した。
 ごうんごうん、と重い振動を響かせながら、それは建物全体に電気を供給し始め、さっきまでの暗闇が嘘のように明るくなった。
 ようやく周囲が把握できるようになって、この発電室にはさっき入ってきた扉のほかにも二つの扉があるのが見えた。さらに、そのうちのひとつはエレベータであるとすぐにわかった。電力が復旧するや否やそこからメイヴが降りてきたからだ。
『あー、退屈で死ぬかと思いましたよ。まったく何時間待たせるつもりですか』
「ヘイヴの研究所の奥でずっと眠ってたやつが何いってんダ」
『あのときはゲンダーが扉を開けるまで電源が入ってませんでしたからね。さて、それでは上へ戻って適当な端末をハッキングしてみますか。……と、言いたいところなんですが』
「まダ何か問題が?」
『あなたの言っていた白い球の生き物、気になりますねぇ。私はあの赤い球や青い球の同類なんじゃないかと考えますが、もしそうだとしたら、次に対峙したときに備えてデータを仕入れておきたいところですね。ほら、あなたが見つけた資料にあったでしょ。三番目の兵器の情報が』
 ゲンダーが地下一階の資料室でたまたま見つけた紙切れに書かれていた情報のことだ。青がG-ブロウティス、赤がG-レティス。そしてもうひとつ、黒い兵器の存在が示唆されていたはずだ。
 メイヴは遠隔モニタにゲンダーが読み上げていた紙切れの内容を再現してみせた。

◆G-メイシス
 黒い外見をもつ天真爛漫な兵器
 主な構成成分は現在調査中
 物質世界に存在しないにも関わらずG-メイシス自体が通過した物質に影響を及ぼす効用を確認
 自我が強すぎるためか指示を無視したり逃げ出そうとする傾向が見られるため要厳重管理
 ※研究員が何人か犠牲になっている。管理には細心の注意を払うこと

「なるほど。そういえば、白い球を持ってた生き物の身体は黒かったような気もしたな」
『どうです。流れて消えてしまう音なんかより、こうやって文字で記録したほうがずっと便利でしょう?』
「まダ言ってんのか、それ。でもオレが見た紙切れには図も載ってたんダよなぁ。どんな姿ダったかな。持ってくればよかったな、あの紙切れ。それじゃ、地下一階に戻る?」
『いえ、地下四階へ向かいましょう。直接見たほうが早いかと』
 メイヴの提案でエレベータに乗り込み、地下四階で降りた。
 あれほど真っ暗で恐ろしかったのが、いざ明るくなってみると至って普通のフロアだった。
『それで、そのグメーちゃんはどこにいるんですか?』
「ちょっと待ってくれ」
 ホログローブを確認すると、表示されているのは赤い点がひとつ、それから緑の点がひとつだけだった。
「いないぞ。……消えた? 明るくなったから、いなくなっちまったのか。でもどこに?」
『ゲンダー。こんなことは言いたくないんですが、本当に見たのですか。暗闇が怖くて幻を見たってことは…』
「そんなわけあるもんか! あんなハッキリした幻なんて聞いたことないぞ」
 暗闇の中で存在しないはずの光球を錯覚するとは考えにくい。もちろん目の錯覚という可能性も否定できないことはないが、事ゲンダーに至っては機械であるのだから、目の錯覚などというものが起こるはずもないのだ。
 それに球の上に浮かんでいたふたつの目玉。その目に見つめられたときの背筋が凍るような感覚。忘れたくても忘れられない。
 それから球には『罪』という文字が刻印されていた。その文字の意味するところはわからなかったが、すごく不吉な感じがしたこともよく覚えている。
 こんな細部まではっきりした幻なんてあるものか。
 あまりにもゲンダーが必死に訴えるので、それならばとメイヴはホログローブの精度を強化してみることにした。
『動体センサーをより正確にしてみましょう。インストールに少々時間がかかりますが』
「かまわない。オレもグメーの正体がはっきりしないと、どうにも落ち着かないからな」
 メイヴがホログローブの機能の更新に集中しているため、ここで一度会話が途切れた。
 数分で終わるものかと思っていたが、意外と時間がかかるものらしく、痺れを切らしたゲンダーは明るくなった地下四階を歩き回ってみることにした。
 あのグメーに遭遇したのはどのあたりだったろうか。暗かった上に滅茶苦茶に走り回ってしまったせいで具体的な位置はわからないが、とりあえず探せるだけ探してみよう。そう考えて、エレベータを降りた先の通路を曲がったところですぐにゲンダーは目を疑った。
「げッ!! なんなんダ、こりゃあ…」
 一見するとここはごく普通のフロアだ。まっすぐ通路が延びていて、それぞれ左右の扉から部屋に分かれる構造になっている。
 しかし、明るくなってみて初めて気がついたが、このフロアの壁には円形の穴が空いていた。それも無数に。
 壁がまるで虫に食われた葉っぱのようになっている。
 穴の断面は滑らかで、何かで切断したり穿孔したような形跡はない。突然、壁のその部分だけが消滅してしまったかのように、奇怪な円形があちこちに出来上がっているのだ。
「何をどうすればこんなことになるんダ……!? おい、メイヴ。これを見てくれ」
『こちらも見てほしいものがあります。ホログローブの更新が完了したのですが…』
 ホログローブには、更新の合間に新たにスキャンしたのだろう、地下四階を中心とした周囲の立体地図が表示されており、二人の位置を表す点のほかに白い点がいくつも地図上を動き回っている。
「これは…?」
『この白い点は過去にここであった動きを表示しています』
「なんダって! そんなことができるのか」
『ものが動くということは、必ずその現象が周囲に何らかの影響を及ぼしているということです。つまり、何かが動けば必ずそこには痕跡が残るんですよ。たとえそれが機械だろうが幽霊だろうが、ね。そこで試しに、その痕跡をもとに以前そこであった動きの軌跡を描画する機能をつけてみました。まあ、30分前ぐらいまでが限度ですけどね』
「よくわからんが、すげぇ! ただセンサーを正確にしたってレベルの進歩じゃないダろ、それ」
 予想の斜め上をいくメイヴの成果に驚きながらも、白い点の動きを目で追っていく。すると、それぞれの点はフロアの地形をまるで無視するかのように、壁を突き抜けて動き回っていることがわかった。
 地図が間違っているのか。それともセンサーがうまく作動していないのか。いや、そうではない。
 ゲンダーが見つけた壁の穴を立体地図に反映させてみると、白い点はすべてその壁の穴を通過していたのだ。
『ちなみにこの壁の穴がいつできたのかもわかりますよ。それも一種の「動き」ですからね』
 痕跡によると、壁の穴は時間とともに徐々に増えていったようだ。穴の増加を地図上でシミュレートして白い点の動きと重ね合わせてみると、
「白い点が壁を通過すると同時に穴ができているぞ! どうなってるんダ」
『この軌跡をゲンダーの見たグメーの動きだと仮定するなら、どうやらグメーには何か壁に触れただけで穴を空けてしまうような能力が備わっているということになります。いや、穴の断面からすると、穴を空けるというよりは、触れたものを消滅させてしまう能力とでも言うべきでしょうか』
「まじかよ。そんなおっかないやつなのか。触れられなくてよかったぜ」
『あくまで仮定ですけどね』
 しばらく白い点の軌跡を観察していると、ひとつだけ違う動きを見せる軌跡が現れた。
 それは壁を通過することはなく通路に沿って、しかしかなり速いスピードで滅茶苦茶に動き回っている。
『やや、これは新手ですね。動きから別の個体であることがわかります。しかしすばしっこい…』
(あ、これ……たぶんオレ、ダよな…?)
 言うまでもなく恐怖に駆られて走り回っていたときのゲンダーの軌跡だった。メイヴが言うように全ての動きに痕跡が残るというのなら、ゲンダーの動きが表示されるのもおかしなことではない。
『こいつは厄介かもしれませんね。動きにまるで法則性がありません。もしこいつに遭遇してしまったら、対処は相当難しいと思いますよ。一体何をしてくるか、わかったもんじゃない』
「お、おう。そうダな…」
 しかし恥ずかしいので、ゲンダーはずっと黙っておこうと心に決めた。


『まあ、こんなところですね。グメーは触れたものを消滅させる能力を持つ可能性がある。これがわかっただけでも大きな収穫です。強いて言えば、あのすばしっこいやつの正体がつかめなかったのが気に入りませんが…』
 あれからメイヴは、あれこれ手を尽くしてゲンダーの軌跡の正体を突き止めようとしていたが、残された痕跡からは幸いなことにゲンダーにまでたどり着くことはなかった。
「ま、まあ、いいじゃないか。オレたちの目的はここから脱出してマキナへ行くことなんダ。そうダろう?」
『仕方ないですね。全てが終わってから、また戻ってきて個人的に調査することにします』
「(勘弁してくれ…) それよりもほら、もっと大事な仕事があるじゃないか。このドームの正体を突き止めてくれ」
『そういえば、そうでしたね。さて、中枢は最上階か、それとも最下層か…』
 どちらに向かうべきかと、ホログローブの地図に目を落とす。
 軌跡のシミュレーションを終了して、現在の状況表示に戻す。と、動体センサーは新たな動きを察知したらしく、ゲンダーとメイヴを表す点のほかに、ひとつの黄色い点が動いているのが見えた。
 黄色い点はこの地下四階のゲンダーたちの周囲を回るように移動している。
「こいつは! 壁をすり抜けてる。きっとグメーに違いない!」
『ふむ。どうやらあちらも私たちを観察していたみたいですね』
 すると察知されたことを察知したのか、黄色い点は地下四階の床をすり抜けて地下五階へと逃げていった。床をすり抜けた地点へ急ぐと、たしかに床には今出来たばかりの穴が空いている。
「追うぞ!」
 黄色い点を追って下の階へ。
 どうやら相手は発電室の奥の扉を抜けていったらしい。わかりやすく、扉にもまるい穴が空いている。
「ええい、まどろっこしい!」
 こちらもご丁寧に扉を開けてやる余裕はない。汁千本で扉を乱暴に吹き飛ばして、その奥へと駆ける。
 電力は戻ったはずだが、通路はあえてそうしているのか薄暗かった。そして突き当たりの扉も破壊する。
 たどり着いたのは狭くて小さな部屋だった。
「どこダ!?」
『見当たりません。確かにセンサーはこの部屋にいると示しているのですが…』
「そうか。……しかし、この部屋はなんダ?」
 室内は円形で、中央にある円柱状の機械が部屋の大部分を占めている。
 機械からは多数のパイプが伸びていて、その配線はどこへ繋がっているのかわからないが、室外へと続いていた。パイプの継ぎ目からは、ところどころ紫色の霧が漏れ出している。
「グメェェーーッッ!」
 そのとき、聞き覚えのある声が響いた。
「あいつの声ダ!」
『ゲンダー、あれを』
 メイヴの示す先を見ると一段と濃い霧の固まりがあった。そしてそれは、その中央からだんだんと白い霧に変わっていき、中からグメーの姿が現れる。
「グメぇ~っ」
 間違いない。暗闇の中で見たあいつだ。『罪』と書かれた球もちゃんと持っている。
 グメーはこちらを見て一声鳴くが、すぐに他の場所から出る霧に飛び込んでいった。
「何をやっているんダ、あいつは」
『あの霧、見覚えがあります。私たちを襲ってきた光の球、G-レティスとG-ブロウティスが発生したあの霧ですよ』
「あいつが触れると白くなって……無害化しているのか?」
 白くなった霧は時間とともに霧散して消えていった。
『なるほど、霧がありませんね』
 しかし、グメーが去った場所からは再び紫の霧が吹き出している。
 グメーが右側の霧を浄化すると、左側に紫の霧が溜まる。左側の霧を浄化しに行くと、右側は再び霧に包まれる。こうしてグメーは何度もあちこち行ったり来たりを繰り返していた。
『キリがありませんね』
「冗談言ってる場合か。なんとかできないか?」
『中央の機械が発生源のようですね。ですが、アクセスしてみないことにはわかりません』
 発生源に歩み寄ると、ゲンダーたちに反応したのか、紫の霧からは例の赤と青の光球が現れた。
「やはり出やがったな! メイヴ、武器をくれ。残らず灰にしてやる」
『中央の機械を吹き飛ばすと、爆発的に霧が発生して窮地に陥る可能性があります。それよりももっといい考えがありますよ』
 そう言ってメイヴは細長い道具を取り出してゲンダーに渡した。
 道具は本体のパーツから長く棒状のノズルが伸びており、先端にはラッパのように開いた筒が取り付けられている。
 ゲンダーは左手に本体、右手にノズルを持ち、盾と槍を携えた中世の兵士さながらずっしりと構えて霧の前に立ちはだかる。
「よし、こいつで……っておい、メイヴ! これは掃除機じゃないか!!」
 いかにも、メイヴが寄こしたのはごく平凡な掃除機だった。強いて言えば、軽くて丈夫でコードレス。持ち運びには不便しない。それでいて吸引力は変わらない、どこかで聞いたような素敵な掃除機だ。
『答えを教えてくれたのはあなたですよ、ゲンダー。霧さえなくせばいいのなら、ミサイルもレーザーも要りません。さあ、あなたが時間を稼いでくれる間に私に任せておいてください』
「で、でもよぉ。それこそこれもキリがないんじゃあ…」
 グメーとゲンダーが必死になって、慌てふためきながら右へ左へ霧の対処に追われる中、メイヴは憎たらしいスマイルで涼しい顔をしながら、中央の機械に触れる。
 一見して何もないただの鉄の筒のようにも見えるが、メイヴは迷うことなく側面のある部分の留め具を外す。すると、側面のカバーが外れて機械の操作版が顔を覗かせた。
『ザルですね。では失礼して…』
 メイヴはアームを引っ込めると、そこから代わりに伸びてきたコードを操作盤に接続した。
『セーフティロックを解除しました。さてと、どうやら上の端末とは別ネットワークが構成されているようですね。中枢まではアクセスできませんが、この機械内の情報に限れば抜き放題ですよ』
「わかったから、早くやってくれ」
 忙しなく駆け回るゲンダーが急かした。
 いつものように複数の遠隔モニタを開き、データを写し取っていく。データによると、ここは紫色の霧を発生させる施設の一部で、他の研究所の地下にも同じようなものがいくつかあるらしい。他には霧の特性、精神体の特性などの情報が見て取れる。
『ほうほう、なるほど。ゲンダー、その子はG-メイシス。例の資料にあった第三の兵器です。精神体を基にして精製されるもののようで、はっきりとした自我を…』
「解説はあとでいい! 早く霧をなんとかしてくれ」
『やれやれ、落ち着きのないやつですね、まったく……おっと、見つけましたよ。ここをちょっと書き換えてやれば…』


 SYSTEM CALL
 CALL DEVICE:M4043
 Control Code Key System
  Mindarium Supply > unavailable
 ALERT! CRITICAL ERROR

 >ダミー暗号を送信

 CHECK...

 INITIALIZATION SYSTEM
 #0021 #0022 #1081
 FORMAT ENGAGED

 PROGRESS:ALL GREEN

 Wait...78%


 遠隔モニターに文字が流れていき、やがて霧の放出は止まった。
『まあ、ざっとこんなもんですよ』
「つ、疲れた…」
『さて、データによるとですね。そのG-メイシスは――』
「なあ、それ聞くのあとじゃダメかな…」
 メイヴの講義をうんざりした様子で聞くゲンダー。一仕事終えて満足した様子のグメーは静かにゲンダーに寄り添って、内容は半分も理解していないだろうが、一緒になって耳を傾けていた。
 そんな様子のグメーを見てメイヴは言った。
『ずいぶんと懐いてますね』
「こいつヘンな球もってるダろ。もしかしたらホログローブを持ってるオレのこと、仲間ダと思ってるのかもしれない」
『それに共に霧に立ち向かった戦友ですからね。害もないようですし、どうでしょう。一緒に連れて行っては?』
「こいつを? 危険じゃないか」
『たしかに触れられないのは厄介ですが、扱いを間違えなければ強力な武器にもなりますからね。というわけで、さっそく名前をつけましょう。参考文献:はじめてのペットの飼い方 上巻より』
「なんダそりゃ。えーと……名前か、そうダなぁ。G-メイシスっていうんダっけ? こんな型番じゃ可哀相ダし、ぐめーと鳴くからグメーシスと呼ぶことにしよう。よろしくな、グメーシス」
「グメぇ~」
 G-メイシス改め、グメーシスも名前をもらって喜んでいるように見えた。
『手に入ったデータは霧と精神兵器関連だけのようです。精神体というものがあるんですね。こちらも説明しましょうか?』
「も、もういい。中枢にはアクセスできなかったんダろ? それじゃあ、やっぱり最上階のほうが正解なんダよ。上に行こうぜ」
 少なくとも怪しげな霧はこれで片付けた。もう何も心配する必要はないはずだ。
 グメーシスを引き連れて、霧の装置の部屋をあとにするゲンダー。しかし、しばらく歩いてからメイヴが着いて来ていないことに気がついた。
「……メイヴ?」
 何事かと踵を返す。
「どうかしたのか、メイヴ」

 プロコトル確立
 制御デバイスに侵入
 システムに異常を確認

『こ、こいつはやられました…。ま、まさか私が逆にハッキングされる、な、ど…』
 遠隔モニタには膨大な量の文字が現れては流れていく。それも先程とは比べ物にならない速度でだ。
 何が起こっているのかゲンダーにはわからなかったが、ただ事ではないということだけはわかった。
「メイヴ!?」
『は、速すぎx1FFる。とても00x3E487間に合DECODEわ20%な#3412い000一体1010{ex7t-0v0023}何者Enabled221…』
 文字の氾濫に呑まれて次第にメイヴからの返答は埋もれてしまった。
 さらに機能を停止させたはずの霧の装置が再び動き出し、前にも増して紫の霧が溢れ出す。
 反応するかのようにグメーシスが飛び出していくが、いくら飛び回っても精製される霧の速度に追いつかない。
 霧からはG-レティスとG-ブロウティスが次々と出現して、瞬く間にゲンダーたちを包囲してしまった。
 咄嗟に振り返り、とにかくまずは退路を確保しようとするも時すでに遅し。今通ってきたこの部屋でただひとつの入口にはいつの間にか防壁が降りており、いくら汁千本を撃ち込んでもびくともしない。閉じ込められた。
「ば、万事休す……一体何がどうなってんダぁぁあああ!?」


第4章 了

ブラックボックス5
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