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ブラックボックス6

最終更新:2016年10月21日 05:12

jelly

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第6章「Escape Plan(脱出!ガイストクッペル)」



 遡ること数分前。
『ところでゲンダー。このエレベータはどこへ向かっているんですか』
「ああ、慌ててたから適当に押してたんダった。これからどうする?」
『悩むまでもないでしょう。最上階へ行き情報奪取、からの脱出です』
 こういう経緯で二人は最上階へとエレベータで昇ってきた。
 あの男が乗り込んできたのは、それが最上階へ到着したちょうどそのときだった。
「なんダ、おまえは!?」
 男はひどく驚いた様子で、しかし少し意外そうな表情もしていた。
 怪訝に思いながらもゲンダーは右腕を突きつけて再び問いかけた。
「名乗れ。おまえは何者ダ?」
 怪しい素振りを見せたらいつでも汁千本をお見舞いしてやるつもりだ。
 しかし男は怯まず、逆に懐からスタンガンを取り出して突きつけ返した。
「まさか僕のことを知らずに来たのか。ここがどこかも知らずに? だとしたら、とんだ間抜けがいたものだな」
「なんダと?」
 むっ、として睨みつける。
 すると男も負けじと睨み返してきた。
「いいだろう。僕はガイスト。このラボの、そしてこのドームの責任者だ」
「ガイストぉ? おまえなんか知らん。いきなり入ってきて何ダ。おまえは敵なのか。違うのか」
「その言葉、すべてそっくりそのままお返しする。おまえは何者だ。大統領の刺客じゃないのか」
 両者ともに一歩も引かず、狭いエレベータ内で睨み合う。
『まあまあ二人とも、どうか落ち着いて』
 メイヴがなだめた。
 するとガイストは遠隔モニタを見るなり、ゲンダーのことはそっちのけで、物珍しい様子でメイヴをじろじろと眺め始めた。
「これは…!? へぇ……すごい。ホログラム技術の応用か。立体映像を映すものだという先入観に囚われて、まさか平面にして文字をホログラムにするなんて思いつかなかった。これなら場所も取らないし、紛失する心配もない。これいいなぁ……ウチもペーパーレスにしてみるか」
「おい、オレを無視するなよ」
「静かに。しかしこれはどうやって出力してるんだ? 本当にどこにでも表示できるのか。あはは、すごいぞこれ!」
 研究者のさがなのか、さっきまでの緊張感を忘れて、まるで新しい玩具をもらった子どもようにはしゃいでいる。
『お気に召したようでなによりです』
「こっちが本体か。思ったより場所を取るんだな。機能のわりにやけに大きいけど、何か他にも機能があるのかな」
『遠隔モニタはあくまで補助装備に過ぎませんからね。私の可能性は無限大ですよ?』
「おおっ、返事が返って来た。特定の言葉に反応して定型文を返すだけじゃなさそうだ。しかも冗談まで言うとは、一体どんなアルゴリズムを組めばこんなことが……」
「おい、聞けって」
 ゲンダーはイライラしながら、楽しそうな様子のガイストを見つめた。
 とりあえずこの男に敵意がないことだけは確かなようだ。
 しばらくして、興奮冷めやらぬ様子で今度はガイストのほうから訊いてきた。
「それで君たちは何者なんだ。マキナから来たのか? 少なくともこの技術力の高さ、ヴェルスタンドからの刺客じゃないことだけは確かなようだが」
「オレはゲンダー。こっちはメイヴ。マキナから来たんじゃない。これからマキナへ行くんダ」
『私たちはヘイヴの作品です。ガイスト博士、私の顔に見覚えがあるのではありませんか?』
 言われて初めて合点がいった様子で、ガイストは笑みを浮かべた。
「そういうことか、師匠の! どうりですごいわけだよ。それじゃあ彼は無事だったのか。今はどこに?」
『理由あって今は会えません。私たちは彼の頼みで、マキナのスヴェン博士を訪ねるところです』
「へぇ、先生のところにか。それがどうしてこんなところに…」
『私の中にはブラックボックスと呼ばれる装置があります。そこに入っている情報をスヴェン博士に届けるためにマキナを目指しているのですが、変な兵器に襲われたりブラックボックスが暴走したりと、まあ色々ありましてね』
「ちょっと待ってくれって。なぁ、メイヴ。そんなにベラベラ話しちまって大丈夫なのか。それで師匠? 先生? こいつはヘイヴとはどういう関係なんダ」
『これは失礼しました。データベース内に彼の情報があったもので。私だけ理解してるのはズルいですよね』
 メイヴは遠隔モニタにガイストについての情報を表示してくれた。

 彼の名は、ガイスト・ズロィドゥーフ。
 ヴェルスタンドではかなり有名な科学者で、精神体技術を開発した、精神体研究の第一人者である。
 同じくヴェルスタンド出身の科学者ヘイヴの弟子にあたり、ヘイヴの親友であるマキナのスヴェン博士の教え子にあたる。

「ふーん。ヘイヴの弟子か。ってことは、すごいやつなのか。ちょっと変なやつダけど」
「よくしゃべるサボテンに変とは言われたくないね」
「オレのことは珍しくないのか? メイヴ以上に色んな話ができるぜ。アドリブも任せとけ」
「いや、いい。君の台詞はいまひとつ知性に欠けているように感じる。それはともかく、君たちがヘイヴの作った機械だとわかって安心した。実は僕はヴェルスタンドの大統領から命を狙われていてね。これからマキナへ身を潜めるところだったんだ。君たちがマキナへ向かうならちょうどいい。僕について来ないか」
 逃げるくせにやけにエラそうだな、とゲンダーは思ったが、目的地が同じなら断る理由はない。
 それにスヴェン博士といえば、ヘイヴの遺言でメイヴを届けるべき相手とされている人物だ。目の前にそのスヴェン博士の知り合いがいるというのなら、彼を頼ったほうが捜す手間も省ける。
「おまえについていけば、スヴェン博士に会えるか?」
「当然だ。行方不明になっていた師匠の発明品だぞ。これを見たら先生だって安心するはずだ。師匠のことでは先生が誰よりも心配していたからな。断られたって無理やり引きずっていくつもりだ」
「なんか気に障る言い方ダが、まあいい。道もわからないことダし、よろしく頼む」
「お安い御用さ。その代わり、もし大統領の刺客が襲ってきたら君が僕を護ってくれよ。これでお互い様だろう?」
 ガイストのいう『プランB』に従って、三人はエレベータで降った。
 このドーム、ガイストクッペルというらしいが、その地下に非常用の脱出ルートが隠されているらしい。
 ヴェルスタンド国内は地下に路線が張り巡らされており、その上を小型のカプセル型の乗り物が行き来する。少人数用の地下鉄のようなもので、主要な都市や区画を繋ぐための交通機関であるが、それと同じものをこっそりドームの地下にも設置してあるのだという。なお、こちらは他の路線とは独立したマキナへの直通ルートになる。
「ずいぶん準備がいいんダな」
『まさにご都合主義的ですね』
「ルートヴィッヒは……この国の大統領は後ろ暗い噂が多くてね。このドームが建つときに、こっそり作らせたんだ。研究のために必要なものだと言ってね。いつかこんな日が来ると思っていたよ」
 それにしても準備が良すぎるものだ。ヘイヴの研究所の脱出用シャトルといい、科学者というのはみんなこうなのだろうか。ゲンダーはそう思った。とは言ってもヘイヴとガイスト以外の科学者に会ったことはなかったのだが。
 メイヴはそれに対してただ一言『ロマンですよ』とだけ答えた。
 きっとまたメイヴのデータベースにしかない情報があるのだろう。しかし、さすがにロマンだけじゃ説明になっていないじゃないか、とゲンダーは言いかけたが、突然エレベータを襲った振動がそれを遮った。
「何ダ? 着いた……にしては様子がおかしいな」
「エレベータが止まった。電気系統をやられたか? また大統領の刺客の仕業か!」
 電気系統。思い当たる節があった。そういえば、爆発した霧の装置の部屋のすぐ隣が発電室だったな、と。
 爆発は少し前に収まったはずだが、その影響で崩落か何かが起きて発電機が損傷を受けたのかもしれない。
 心当たりがないこともなかったが、とりあえずゲンダーは黙っておくことにした。
「し、刺客ダって? それは大変ダな」
『エレベータのシステムに接続しました。非常用モードに切り替えますから、手動で扉を開いてください』
 言うよりも早くメイヴは手を打っていた。早速ガイストが扉に手をかけるが、
「だめだ、開かない。さっきの衝撃のせいか、扉が変形してしまっている」
『破壊しましょう。しかしこの至近距離では私の武装では我々も吹っ飛んでしまいます。ゲンダー』
「合点承知ダ!」
 エレベータの内扉に向かって汁千本を放つ。
 扉は粉々になり、正面には壁が現れた。
「なんダぁ!? これじゃあ出られんじゃないか」
 エレベータが止まったのは、階と階の境目だった。もちろんこういう事態に備えて、エレベータは天井の一部分が開くようになっており、人間ならそこから脱出することができる。小柄なゲンダーも問題ないだろう。しかし、メイヴの2メートル近い体柱はそこからは出られそうにもなかった。
「メイヴを置いていくわけにはいかない」
「同感だ。遠隔モニタに高度な会話システム。これは絶対に先生に見せてやりたい」
『まあまあ。私のことは大丈夫です。すぐに打開策を計算しますから』
 そう言ってメイヴは頭からアンテナを取り出すと、まずは周囲の地形を測定し始めた。
 するとすぐにセンサーに反応があった。その結果を見て、メイヴは早急に二人に警告した。
『これは!? ゲンダー! ガイスト! すぐにエレベータ内に戻ってください!!』
 ガイストに持ち上げられて天井の窓から頭を覗かせていたゲンダーは、何事かと周囲を見回した。
 至って怪しいところはない。
『上です! すぐに戻ってください』
「上ダと?」
 見上げると上でも崩落が起こったのか、このエレベータ目がけて大きな瓦礫が落ちてくるのが見えた。
「なぜ上から!? くそッ、破壊してやる」
 汁千本を乱射するも、勢いを増して降って来る瓦礫には効果がなかった。
『無駄です。一発一発の威力自体はそれほど強くありません。瓦礫の落下エネルギーには劣ります』
「ちッ」
 ゲンダーが頭を引っ込めると間髪いれずに瓦礫の塊がエレベータを直撃した。
 ワイヤーがミシミシと厭な悲鳴を上げる。
「まさか」
 バヅン、と激しく弾けるような音が低く響き渡った。
 続けざまに襲ってくる浮遊感。祈り虚しく、ワイヤーが切れたエレベータは地の底へと急降下する。
「ま、待て! おまえたちは機械だから大丈夫なのかもしれないが、僕はどうなるんだ!」
『任せてください。完全にとは言えませんが、多少の衝撃は抑えてみせます。二人とも私に近寄って』
 メイヴはガイストの前後左右上下六方に囲むように遠隔モニタを出現させる。そしてそれらを頂点にして電磁シールドを展開。正八面体の光の壁がガイストを覆った。続けてゲンダーにも同じ処理を施す。
『最後に私にも電磁シールド展か……しまった、メモリ不足!? 至急、仮想メモリの構築を開始し…』
 次の瞬間、支えを失った鉄の籠は、地の底に激しく叩き付けられた。


 ヴェルスタンド首都ゲーヒルン。ヴェルスタンド軍第壱基地。
 レーダーには研究所地区ヒュフテの一角が映し出されている。
 いくつかのドームの存在が確認できるが、照準はそのうちのひとつをしっかりと捉えている。
 精神体技術を応用したレーダーは、そこに存在する精神の発する波紋を正確に捉える。対象の精神パターンを分析したデータさえ手元にあれば、捉えた精神波が誰のものであるかさえわかる。つまり特定の対象の居場所を特定できるのだ。
 攻撃対象:ガイストクッペル。ガイスト博士の精神波を捉えた場所がすなわちガイストクッペルだ。たとえ光学迷彩でドームを丸ごと隠してしまおうとも、そんなことは関係ない。
「標的に命中しました」
 兵士が報告する。
 それを受けて、黒服の男は命令を下した。
「よーし、もう一発いけ。完全に瓦礫の山にするまで続けるんだ。ヘルマン大佐?」
「はッ。おまえたち、聞いたな。これは大統領直属の命令である!」
「そうそう。俺からの命令は大統領の命令に同義だぜぇ」
 男の名はフリードリヒ。
 ヴェルスタンド軍大将。その胸には大きな勲章がいくつも輝いているのが見える。
「撃てィ!」
 号令を受けて続け様にミサイルが発射されていく。
 ヴェルスタンドの基地から撃ち出されたミサイルは金と銀の歯車の国旗が刻印されている。これはヴェルスタンドの白と紫に彩られた国旗ではない。戦敵国マキナのものだ。
「擬装抜かりなし、っと。いいか、兵士諸君。これは『事故』である。敵国マキナからミサイル攻撃を受けた。しかし敵国からの妨害工作によりレーダーに不具合が起こり防衛線を突破されてしまった。敵弾はヒュフテの『無人の』ドームに落ちた。幸い死者に怪我人はなし。しかし我が軍はマキナには屈しない。最新兵器『鯰』を導入しての報復行動に移る予定……っと、まあそんな感じでよろしく頼むぜ」
 明日には同様の内容のニュースが国内に流れている手筈になっている。
 これで邪魔者のガイストは消える。そして報復というマキナに攻撃する口実もできる。ついでに最新の精神兵器の実地試験も行える。一石三鳥だ。
 マキナ側は当然否定するだろうが、敵国の言葉など誰も信じないだろう。
「いやぁ、こりゃあまたひとつ勲章が増えてしまうかもしれんなぁ。こまったこまった、けっこう重いんだよ、コレ。ひとつわけてやろうか、大佐殿ー?」
「は、はぁ…」
「それじゃ俺はアドルフ様のところへ戻るがな。おまえたち、引き続き頼むぞ。マキナの腰抜けどもが、万が一しかけてくるかもしれんからなぁ。まあ来たる決戦に備えてせいぜい気でも引き締めておくことだな。ワハハハ…」
 高笑いしながら傲慢な男が去ると、一人の兵士がふと呟いた。
「こんな作戦、本当にいいのかなぁ。そりゃたしかにマキナは昔からの因縁がある国だけど、こんな騙し討ちみたいな方法なんて。ましてや自国の領土にミサイルを飛ばすなんて。上の考えることはわけがわからないよ」
「おい貴様…」
「あっ。す、すみません大佐。つい…」
「いや、たしかにおまえがそう思うのも無理はない。昨今の作戦内容が倫理観を欠いているのは誰もが感じていることだろうと思う。だが将軍は上官であるうえに大統領の従兄弟でもある。我々には逆らうことなど到底できんよ……」
 その言葉に誰も何も言うことができなかった。
 沈黙の中、大佐が見つめるレーダーの画面には瓦礫の山と化した、かつてのガイストクッペルが映っていた。


 ガイストクッペル0番ラボ、地下5階。
 発電室のあった部屋には、瓦礫に押し潰された、ひしゃげた鉄の籠が落ちている。
 傍にはふたつの光でできた正八面体が転がっており、その光は役目を終えた蛍光灯のように点滅しながら徐々に輝きを失うと、電磁シールドは消滅した。どうやら中にいたゲンダーは無事のようだ。
「いてて…。メイヴのやつ、無茶しやがって。あれだけ装備が充実してて、エアバッグとかはなかったんダろうか」
 墜落の衝撃でガイストは気を失っているが、こちらも目立った外傷は見られない。
「またここに戻って来ちまったか。くそっ、また真っ暗になってやがる」
 せっかく起動させた発電機も、例の爆発のせいか壊れて再び電力を生み出さなくなってしまった。
 今はゲンダーの持つホログローブと、もうひとつ、メイヴ本体が発する光の薄っすらとした明かりだけが頼りだ。
 メイヴはうつ伏せに転がったまま動かない。
「大丈夫か、メイヴ」
 返事はない。
 回転させて顔を見てみると、なんとメイヴの憎たらしいスマイルが割れてしまっている。また、よく見ると胴体のあちこちもヒビが入ったり、へこんだりしている。そのうちの数箇所は、メイヴの暴走の際にゲンダーがへこませたものではあったが、今はそんなものなど気にならないと思えるほど、全体の損傷がひどく見るも無残な有様だった。
「メイヴ!? どうした、大丈夫か! くそぅ、なんてこった…」
 気を落とすゲンダーの背後から、ようやく意識を取りもどしたガイストがメイヴの様子を覗き込む。
「うう……頭が痛い。だが、あれでよく無事だったものだ。それで、どうした。何があった?」
「メイヴの馬鹿やろう…。オレのせいダ。オレたちを助けるためにきっと無理をしたんダ。そのせいで自分を守る余裕がなかったに違いない。メイヴの忠告を聞いてすぐに頭を引っ込めていれば、メイヴ自身もシールドを張る時間の余裕があったかもしれないのに。オレが悪いんダ。オレのせいなんダ……」
 暗くてお互いの表情はわかりにくかったが、ゲンダーが落ち込んでいるのは顔を見なくてもよくわかった。
 しかしガイストは同情することはなく、言葉には出さなかったが、その代わりに驚いていた。
(こいつ、機械のくせに落ち込んでいるのか? 機械なのに感情があるというのか!? 頭はあまり良くなさそうだが、こっちもこっちでメイヴとはまた違う意味ですごいぞ。さすが師匠の発明品、只者じゃない)
 ゲンダーの価値に気がついたガイストは、初めてゲンダーをただの機械ではなく、同行者の『一人』として認めた。
 そして安心させるように、なだめてこう言った。
「ゲンダー、心配はいらない。エレベータ内で話してくれた説明によると、メイヴはブラックボックスを管理するためにヘイヴが作ったのだろう。もしメイヴが破損しているならブラックボックスが暴走しているはずだ。だが、そんな様子はない。つまりメイヴは無事だ。もちろんブラックボックスも壊れてしまっているなら話は別だが……」
「じゃあ、まダ希望はあるんダな! よかった…」
「マキナに行けば先生がいる。機械は先生の専門だ。メイヴも直せるかもしれない。それに…」
 そのとき再びドームを振動が襲った。
 爆発のあった地下5階に今、ガイストたちはいる。つまり、この振動の原因はここではない。
 上から瓦礫が落ちてきたことから考えても、上のほうで何かが起こっているに違いなかった。
(オレのせいダと思っていたが、そうじゃなかったのか)
 ガイストには心当たりがあった。
 大統領は自分の命を狙っている。そしてあの男がやりそうなことを考えれば、ドームが攻撃を受けていると考えるのがしっくりくる。
 事実、ガイストクッペルはフリードリヒの命令によって、ヴェルスタンド軍からのミサイル攻撃を受けていた。
 メイヴさえ元気なら、すぐに各種センサーやレーダーなりを起動させて攻撃の正体を特定、二人に教えてくれただろう。しかし今メイヴは動けない。
「さては生き埋めにするつもりか。とにかく今はここから脱出するのが先だな」
 そのとき、またドームを振動が襲った。数えて三発目のミサイルが直撃したことになる。
「でもここは地下ダぞ。どうやって」
「忘れたのか? 脱出用のレールはこの地下にあるんだ。ついてこい!」
 倒れたままのメイヴを二人掛かりでなんとか起こすと、メイヴを押して例の霧の装置の部屋のほうへと進み始めた。
 メイヴ本体の底の台座には車輪がついている。起こすことさえできれば、重かったがなんとか動かすことはできる。
 上方からはガラガラとどこかで何かが崩れるような音が何度か聞こえてきた。この通路も、いつ崩れるかわからない。
 崩れ行く研究所からの脱出。ゲンダーは、ヘイヴの研究所を飛び出したときのことを思い出していた。
(あのときは会ったばかりのメイヴは変なやつダと思っていた。まあ、変なのは今でも否定しないが、ひとつ違うのはメイヴへの信頼ダ。ここに来るまでにメイヴは何度もオレを助けてくれた。日数で言えばそんなに経っていないかもしれないが、ずっと一緒にいたから過ごした時間ではずいぶん長く付き合ってるようにも思える。今では、もうメイヴはかけがえのない仲間ダ。ダから、今度はオレがメイヴを助けるんダ。そのためにマキナへ行く!)
 通路を抜けて霧の装置の部屋に出た。
 爆発した装置はすでに原型を留めておらず、装置の部屋も灰と煤で真っ黒になっており、まだ焦げ臭さが残っていた。
「これはひどい! これも刺客の仕業か。僕のこれまでの研究の苦労をよくも踏みにじってくれたな。許せん」
「お、おう。そうダな……全部その大統領ってやつが悪いんダ、うん…」
 まずガイストは、散乱する破片や垂れ下がる焼け焦げたパイプの残骸を取り除きながら床を探り始めた。
「ゲンダー。そのホログローブをこちらへ」
 床面を照らすと、煤と埃でわかりにくかったが、正方形の溝があることに気がついた。よく見ると小さな取っ手もついている。
 ガイストが取っ手をつかみ、持ち上げると床はハッチのように開き、その中からは基盤のようなものが顔を覗かせている。床の下にあったので、爆発の影響は免れたようだ。
 基盤にはさらに一筋の溝があり、ガイストは懐から一枚のカードを取り出すと、その溝にそれを通した。
 すると霧の装置があった奥の壁面が音を出してスライドした。隠し扉だ。
「いざというときのために鍵は常に持ち歩いていたんだ。ついに使う日が来るとはな」
 次に二人は部屋に散らばる装置の破片や残骸を片付けて、メイヴの通れる道を整え始めた。
「なぁ、あの隠し扉の先には何があるんダ」
「言っただろう。脱出用のレールさ。さすがに刺客のやつらも、あれには気がついてないはずだ」
「でもあの扉、穴が空いてるぜ。誰か侵入して待ち伏せしてるってことはないダろうな」
「扉は壁に隠されていた。そして周囲の壁にもあちこち穴が空いている。装置が爆発したときにできたものだろう」
 ゲンダーの言うように、隠し扉には穴が空いていた。それも小さな丸い穴が。
 たしかにあの程度の大きさの穴では、人が通り抜けることは不可能だ。
「ダけどあの穴。どこかで見覚えがあるような…」
 そうこうして、あらかたガラクタを片付け終えた。
 二人は再びメイヴを押して隠し扉へと歩み寄る。
 するとそのとき、扉の小さな穴から何かが勢いよく飛び出してきた。敵の仕掛けた罠か、それとも弾丸か。
 否。飛び出してきた銀色のそれは見覚えのある顔に向かって「グメぇ~」と鳴いた。
「グメー! おまえ、生きてたのか」
 それはグメーシスと名付けたあの生き物。
 爆発の中心にいたので消し飛んでしまったかと思われたが、あの赤や青の球体とは違って霧を媒体としないためか、爆風を受けてもどうやら平気らしい。携えている『罪』の球を含めて全くの無傷の姿でグメーシスはそこにいた。
「こいつは……G-メイシス!? 待て、ゲンダー。そいつに触れるな。危険だ」
 精神体を研究していたガイストは当然、G-メイシスのことは理解している。
 レティス、ブロウティスともに、これら精神兵器はガイストが自衛目的で研究の末に生み出したものだからだ。Gとは研究コードを表す文字であり、ガイストのイニシャルでもある。
「大丈夫ダ。こいつはオレに懐いてる。襲ってはこないぞ」
「な……懐く!? それは兵器だぞ。たしかに精神体から生み出された存在ではあるが、懐く?」
「何を驚いているんダ。おまえが作ったんダろ?」
「メイシスは偶然できた産物なんだ。精神体工学上、論理的な説明がまだ確立できていない。つまりまだわかっていないことが多い。自我のようなものを持ち、プログラムの指示に従わない傾向も強い。しかし懐くなんて……。自我があるのはわかっていたが、そこまで高度な思考演算が可能なのか。もしや基となる精神体の残留思念が存在して何かしら影響を…」
「何を言ってるのかわからんが、別に珍しいことじゃないダろ。オレダって自分で考えて動くぞ。グメーも同じさ」
「失敗作かとも思っていたんだが、おまえやメイヴを見た後では考えを改めざるを得ないな。兵器としては扱い辛いが、そうか。おまえ、さっき『生きていたのか』と言ったな。そうか……生き物、か。僕は新たな生き物を生み出してしまったのか?」
 ガイストはの前に浮かぶグメーシスを見つめた。
 するとグメーシスのほうも、つぶらな瞳でこちらを見つめ返した。
 それはもはや、ただの精神エネルギーをこね合わせたものではない。明確な意思を持ったひとつの存在だ。
「G-メイシス。いや……グメーシス、か。いい名前をつけてもらったな。まだこいつも研究の余地があるみたいだ。兵器ではなくグメーシスとして」
「そういうことなら同意してくれると考えていいよな。こいつも連れて行くぞ。こっちダ、グメー」
「グメっ」
 一声鳴くと、グメーシスは二人のあとに続いて隠し扉の奥へと消えていった。


第6章 了

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