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  • 魔法戦争14

魔法戦争14

最終更新:2017年07月03日 22:18

jelly

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Chapter14「魔剣は血を吸い魂を喰らう」



 傭兵ヴォルスタッグは、妖しく輝くオーラをまとった剣を手に、己が対戦相手にあいまみえる。彼は雇われの剣士であれど、剣の戦いにおいてはいついかなるときも礼儀を重んじ、それを心に忘れない武人だった。

 対する相手はユミル国のフレイ王子。一国の王子がなぜこんな辺境の浮島なんかにいるのか。そしてなぜその王子と剣を交える必要があるのか。
 きっと何か深い事情があるのだろう。そして、それは傭兵の自分には関係のないことだ。ただの雇われの剣士には知る必要のないこと。
 だから余計な詮索はしない。ただ自分にできることは、雇い主であるトロウと名乗る男から渡されたこの剣を片手に、黙って言い渡された任務を遂行することだ。

 フレイ王子は、自ら相手になると言った。
 なるほど、華奢でひ弱そうに見えるが、それでもやはり王子である。
 望んで戦うことを選ぶその決意たるや見事なり。未来の君主たる度量の大きさをすでに持ち備えているのか。と、ヴォルスタッグは感心していた。

 しかしそう思ったのも始めだけで、すぐにその期待は裏切られた。
 せっかく始めた戦いをフレイ王子は中断しようとしているのだ。

「ま、待ってくれ! すまないが少し待ってくれないか。準備がまだ……」

 ヴォルスタッグは落胆した。
 王子とは言えど、その顔はまだ幼く、そしてあどけなさが残る。
 所詮はまだ子どもか。臆病風にでも吹かれたのかもしれない。
 おそらく実戦は初めてなのだろう。そしていざ真剣を見て怖くなったわけだ。

 それはひどく侮辱されたような気分だった。
 剣の道とは清く尊く、義と礼をもって武を重んじるものである。たとえ子どもであろうとも、軽々しく剣を扱うものではない。
 フレイのどっちつかずの態度は、ヴォルスタッグを苛立たせた。

「待ったなし、問答無用だ。一度始めた戦いを無闇に中断するのは礼儀に反する。うぬも男子なれば、男に二言はないはずだ。さあ、構えよ!!」

 戦いを促すも、それでもフレイは剣を構えようとしない。
 ヴォルスタッグは怒った。これは侮辱だ。剣を侮辱している、と。

「どうした。来ないのならこちらから行くぞ。覚悟せい!!」

 言って剣を振り上げると、駆け寄り距離を詰める。
 まだためらっているというのであれば、否が応にも剣を抜かざるを得ないようにしてやる。剣の道とは甘くはないということを、身をもって教えてやるのだ。

「ぬうん!」

 ヴォルスタッグは袈裟懸けに斬り下ろした。
 剣を抜き受け止めなければ、これは致命傷になる。いくら臆病者でも、これなら半ば反射的にでも剣を構えることになるだろう。そう期待していた。

 しかし、フレイはひらりと身をかわすと、無様にも背中を見せて逃げ出したではないか。これはさらにこの傭兵を怒らせることになった。

「戦いの最中、相手に背を見せるとは何事か! 笑止千万、愚かにも程がある!」

 怒りの感情が、剣を握り締める手の力を強めていく。するとそれに呼応するかのように、剣をまとうオーラがより一層輝きを増し、赤々と炎のように光り出した。


 一方、フレイもただ怖くて逃げ回っているわけではない。
 剣を抜けだって。その剣がないのだから、どうしようもないではないか。
 護身用の剣を一振り持ってはいたが、それは以前セルシウスに譲ってしまった。

(セルシウスに? そうか、剣はそこにある!)

 幸か不幸か、偶然にも今ここには負傷して動けないセルシウスがいる。もしかしたら、あの剣をちょうど今も持っているかもしれない。
 フレイもただ闇雲に逃げていたわけではない。それに賭けて、フレイは攻撃をかわしながら、セルシウスを休ませている船のほうへと向かっていたのだ。

「おのれ、戦いを投げ出すとは許さぬ! こっちを向けぃ!!」

 そのときヴォルスタッグの怒声が後ろから聞こえてきたかと思うと、小さな火花が飛んできて、フレイの目の前に落ちるとそれはわっと燃え上がり始める。火花は炎の壁となってフレイの行く手を遮った。
 驚いて振り返ると、なんとヴォルスタッグの剣が炎のように燃え盛っている。

「これは一体!? おまえはただの傭兵じゃないのか」

 剣の道を歩みながら、魔法まで扱えるなど聞いたことがない。
 魔法が重視される世の中において、魔力に優れるならわざわざ剣を生業にする理由などあるはずもなく、それなら傭兵なんかやらなくとも、もっと他に活躍の道があるはず。魔剣士などというものは、異端もいいところだ。

 ヴォルスタッグは剣を一振りなぎ払うと、再び火花が飛び散り周囲を燃やした。いまや二人は炎の壁が作り出す円の中に囲われている。これでもう逃げ場はない。どちらかが倒れるまで戦いは終わらない、決死のリングだ。

「愚か者め。剣への侮辱は万死に値する。死んで詫びるがいい。介錯は我輩がしてやろうではないか……」
「ま、待て! たしかヴァルトは竜姫の居場所を教えろと言っていたな。もしかしたら僕はそれを知っているかもしれないぞ。僕を殺してしまったら、困ったことになるんじゃないか?」
「我輩はトロウという男に雇われた。ヴァルトの部下ではない。奴に加勢しろとは言われたが、奴の任務を手伝えとまでは言われておらぬ。知ったことではない」

 ハッタリも効果はなかった。この傭兵には戦うことしか見えていないようだ。
 後ろを振り返ると、炎の壁のすぐ向こうにセルシウスが横たわっている。あと一歩だ。あと一歩さえあれば、そこに剣があったかもしれないのに。

「死ねぃ!」

 ヴォルスタッグが剣を振るうと、四方八方に火花が飛び散り辺りを焼き尽くす。
 これでリーチ差によるアドバンテージもなくなってしまった。剣がない以上は、魔法で応戦するしかないが、呪文を詠唱する時間がかかる分、むしろ不利なのはこちらのほうだった。

(むこうに呪文を唱えているような様子はない。ということは、あの剣も魔具か)

 魔力を込められた道具、魔具。
 これさえあれば、誰でも簡単に手軽に魔法を扱うことができる。呪文も不要なので、隙を見せることなく次々と魔法を放つこともできる。
 しかし道具に込められた魔力を使い切ってしまえばそれまでだ。再び魔力を込めない限りは、魔力の剣はただの剣に戻ってしまう。

 では魔力が尽きるまで逃げ回るか。いや、それも難しい。
 傭兵が剣を振り回せば振り回すほどに炎が舞い、次第に足元を火で埋め尽くしていく。時間がかかるほどに逃げ場は狭くなっていく。ゆっくりはしていられない。

「やるしかない、か。せめてあの剣をあいつの手から奪えれば……」

 相手は傭兵だ。そして魔具に頼っている以上、やはり魔法は使えない可能性が大きい。つまり武器を奪ってしまえば、敵の戦力は格段に落ちる。

 フレイは舞い散る炎の間を駆け抜けながら呪文を唱えた。
 走りながらでは精神を集中できない。十分な威力を発揮することはできないが、敵の足止めさえできればそれでいい。倒すのではない、敵の無力化が目的だ。

 ヴォルスタッグは炎を撒き散らすだけで、直接斬り込んではこない。足場を埋め尽くす火のせいで動き辛いのは、相手のほうも同じことだ。懐に攻め込まれないのであれば、まだこちらも魔法を放つ準備をするだけの余地はある。

 右舷に迂回しながら敵への距離を詰める。剣を振り回すことに夢中で、相手は足元が疎かになっている。そこが狙い目だ。
 フレイはヴォルスタッグの足元の地面を隆起させると、一気に押し上げて傭兵を空中に投げ出した。
 体勢を崩されては、それも空中ではさすがに剣を振り回せないだろう。今のうちに一気に敵に近寄る。そして地面に倒れた隙に剣を奪ってしまう算段だ。

 しかしヴォルスタッグは空中で身体を一回転させてあっさりと体勢を整えてしまうと、腕を振りかぶって意外にも剣をこちらに投げつけてきたではないか。
 剣は真っ直ぐにフレイを狙って飛んできたが、自分の足元の地面を隆起させて壁にすることでこれを受け止めた。

「まさか自分から武器を手放すなんて。しかしこれは好都合だ」

 岩壁に突き立った剣にフレイは手を伸ばした。そしてその柄に触れたとき、奇妙な感覚がフレイを襲った。

――奴ハ丸腰ノ人間相手ニ剣ヲ振リ回スヨウナ男ダ。礼儀ヲ欠イテイルノハ奴ノホウデハナイカ。ナンテ卑怯ナ

「……!?」

 まるで直接脳内に声が語りかけてくるようなこの感覚。

――許セナイ、卑怯者ハ許セナイ

 しかもその声は自分の声に非情によく似ていた。

――僕ハ平和ナ世界ヲ目指スンダ。ソノ世界ニ武器ナンテイラナイ。剣士モ傭兵モ居テハナラナインダ

「これは……僕の……心の声、なのか?」

 そして心の声は言った。

――殺シテシマエ

――仕掛ケテキタノハアチラダ

――ソウトモ、コレハ正当防衛

――必要ナ犠牲ダ

 悪魔の声が心に直接囁きかけてくる。
 そして洗脳されたかのように、虚ろな目でフレイはその剣を両手で握る。

――殺セ!!

 そして気がついたときにはもう、ヴォルスタッグの目の前に立って、力いっぱい剣を振り下ろしていた。
 なんのためらいもない。そのときの心境はまさに無そのものだった。ただ目の前の敵を倒す。殺す。抹消する。それだけだ。




「……はて、我輩は一体何をしていたのか」

 ヴォルスタッグは困惑していた。
 ここは一体どこなのか。どうしてこんなところにいるのか。
 傭兵募集の知らせを受けて、トロウという男に会ったところまでは覚えている。だがそれ以降の記憶はどうも曖昧で、はっきりしなかった。

「む!?」

 ただひとつだけ、はっきりしていることがある。
 今まさに、燃え盛る剣を持った一人の青年が駆け寄り、その剣を振り下ろそうとしている。状況は今ひとつ飲み込めなかったが、相手に敵意があることは確かだ。

 さっと飛び退いて振り下ろされる剣を難なくかわした。
 燃える剣は青年の体格にはいささか大きすぎるようで、明らかに剣に振り回されている。それを避けるのはさして難しいことではない。
 そして青年の背後に回り込むと、腕を回して羽交い絞めにして動きを封じた。

「待て待て! これは如何いうことだ。我輩にはさっぱりわからぬ。なぜ我々は戦っているのだ。まずは落ち着け! 剣を収めてくれ」

 しかし青年はそれには応えず、ただ暴れるだけでまるで正気ではない様子だ。
 そこでヴォルスタッグは、青年の手から無理やり剣を奪い取った。
 すると、

――殺セ!

 そこで再び彼の意識は、闇へと堕ちていった。




 突然、全身から力が抜けて、フレイは膝をついて地面に倒れこんだ。

(なんだ? 今、一体僕は何をしていた?)

 上体を起こして振り返ると、そこには燃える剣を振り上げた傭兵の姿が見える。

「うわっ!!」

 地面を転がってフレイはなんとか振り下ろされる剣から逃れた。
 顔のすぐ横の地面に振り下ろされた剣先が刺さっている。危機一髪だった。
 急いで起き上がると、すぐに傭兵から距離をとって、それから考えた。

 そうだ、あの剣だ。
 あの剣に触れたとき、奇妙な声が聞こえて、そして意識が遠のいた。
 あれはどうやらただの剣でも魔具でもなさそうだ。

(そういえば聞いたことがある。魔剣と呼ばれる呪われた剣があると)

 魔剣。それは悪魔の剣。
 一度手にすれば、人間の限界を超えた魔力を手に入れられるという。しかしその剣には呪いがかかっており、手にした者は精神を蝕まれ、血に塗れた非業の最期を遂げるとも、破滅の道を歩むとも言われている。

「あの剣が原因か。それなら、あれさえ破壊してしまえばいいわけだな」

 どっちにせよ、敵の手から剣を奪う作戦に変わりはない。
 同じ手が通用するとは限らないが、再びフレイは呪文を唱えながら走り出した。

 炎の円の中を回りながら、しかし今度はヴォルスタッグを狙わず、手当たり次第に地面を隆起させて、岩の柱をいくつも生やしていく。
 これは敵の飛ばす炎を防ぐ防火壁にもなるが、別の目的もある。

 岩柱が何本も並び、円の中はまるで岩の迷路のようになった。
 ヴォルスタッグはフレイの姿を見失っている。当のフレイは、岩柱のひとつの上に立ってそこから下の様子を窺っている。ここからなら敵の位置もよくわかるし、炎に足場を奪われるような心配もしなくていい。
 身を乗り出して見下ろすと、右往左往しながら必死にフレイを捜しているのが見えた。そして怒りに任せて明後日の方向に怒鳴り散らしている。

「またそうやって逃げるつもりか、臆病者め。姿を見せて戦え!」

 魔剣は傭兵の怒りを象徴するかのように、激しく燃え上がっている。

「どうやらあの魔剣は、怒りの感情を増幅させるみたいだ。一体誰があんなものを作ったのか知らないけど、そんな危険なものを放っておくわけにはいかない」

 フレイは詠唱を始めた。
 ここなら敵に攻撃される心配はない。たっぷりと時間を使って、十分に集中して全力を発揮することができる。
 ずいぶんと長い呪文を唱え終えると、炎の円に重なるように地面に黄色く光る魔方陣が現れた。

「大地の精霊よ。その奥に秘めたる鎮めの力を解き放て!」

 すると魔方陣の上だけを対象とした局所的な範囲に微弱な大地の脈動が生じた。つまりは小さな地震である。
 フレイの実力では大した地震は起こせない。魔方陣を展開して範囲を広げれば、さらに力が分散してその威力は弱くなる。

 だがそれでいい。
 この地震は攻撃を目的としたものではない。それにあまり大きな揺れを起こしてしまえば、岩柱が倒壊して自分にも危険が及んでしまうからだ。

 揺れを感じたヴォルスタッグは足を止めて身を伏せた。そして頭上を見回して、岩柱が崩れて落ちてこないかと警戒している。これこそがフレイの狙いだった。
 立ち止まって足元の注意を怠っている今なら、再び足元の地面を隆起させて突き上げる隙がある。そして今度は周囲にたくさんの壁があるのだ。
 再び空中に投げ出された傭兵は、今度は体勢を整える余地もなく壁にたたき付けられた。そして思わず手から剣が落ちるのをフレイは見逃さない。

「今だ!」

 落ちる剣の四方にある壁から岩の拳が飛び出すと、剣の刃を挟み込むようにそれらは一点に向かって突撃した。

 呪われた魔剣であろうと、折れてしまえばただの剣だ。
 土煙が舞いまだ様子はわからないが、手ごたえはあったつもりだ。

「やったか?」

 しかし折れたにせよ、できなかったにせよ、剣はその後地面に落ちるはずだ。
 そんな音が聞こえただろうか。いつまで待っても音がしないのはおかしい。

『……よかろう。我を破壊しようというつもりなら、我が直々に相手をしてやる』

 そのとき予期しない音が聞こえた。
 これは一体誰の声だ。直接脳内に響いてくるようなこの声には覚えがある。

 ようやく土煙が晴れた。
 するとそこには例の剣が浮かんでいる。
 剣が浮遊するだけでも奇妙なことなのに、声はどうやら剣が発しているようだ。

「おまえは一体?」
『我は魔剣ティルヴィング。言わば、この剣に宿る思念のような存在。剣が折られては我は消滅してしまう。己の身を守るために戦うのは当然の行為だろう?』
「そんなまさか! 剣に意識があるだなんて、そんなこと……!!」
『何もおかしいことはあるまい。生き物も精霊も、そして我も意識の上ではすべて同じ。精神体という、ただひとつの存在だ』

 魔剣ティルヴィングは音もなく宙を舞い、その切っ先をフレイに向けた。

『誰かを殺すなら、自分も殺されても仕方がないと心得よ。やられる前にやるのが我が信条。さあ、来ないならこちらから行くぞ!』

 ティルヴィングは真一文字に空を切り裂き、フレイの立つ岩柱へと突撃する。
 岩柱は丸太のように切断されて、見る見るうちに低くなっていく。

 フレイは隣の岩柱の側面を隆起させて橋を作ると、その上に飛び移って隣の柱へと避難した。
 だがそれも無駄なこと。魔剣はすぐに飛んでくると、フレイの移った柱もハムでもスライスするかのように切り裂いてしまう。さらに魔剣は先回りして、他の柱も次々と輪切りにしてしまった。

 崩れる足場に巻き込まれないように足の置き場を選びながら、ときには新たに魔法で足場を作りながらフレイは必死の思いで、なんとか地面に着地した。
 そのとき疾風が顔の横を通り抜けると、頬からは一筋の血が垂れた。

『遅い遅い。貴様の首を刎ねることなど我には朝飯前のようだな』
「くっ……。相手が速すぎる。まるで物理法則を無視するかのように飛んでくる。それに岩の壁も簡単に切り裂いてしまう。僕の力じゃ手も足もでない……」
『そうだなぁ。もし貴様が我の新たな持ち主になるというのなら、今回は許してやってもよいぞ。我も不死身じゃない。誰かを殺してその血を吸わなければ、我も力を維持できないし、剣が錆びてしまえば我としても困る。メンテナンスをしてくれる主が必要だ』
「それはできない。僕が望むのは血の流れることのない世界だ」
『ならば別の主を見つけるまでだ。そして貴様は死ぬがよい』

 再び魔剣ティルヴィングが燃え上がり、刃先がこちらをにらみつけた。
 依然として周囲は炎の壁で囲まれている。大地の魔法ではあの刃を受け止めることができない。そして相手が速すぎて、逃げ続けるのももはや限界だ。

(……ど、どうする!?)

 剣を受け止めるには、やはり剣が必要だったのだ。
 短剣を手放したことを今になって後悔しても遅い。
 盾があればもっといいが、もちろんそんな都合のいいものなどない。
 所詮は魔道士。硬い守りを貫く魔法は鎧には強くても、打たれ弱さが仇となって武器には弱いのは、もはや宿命なのか。

(こんどこそ絶対絶命だ。くそっ、剣だ。剣さえあれば……!)

 追い詰められたフレイは為す術もなく、拳を握り締め、歯を食い縛り、そして目を閉じた。

(ここまでか――)




「おいおい。鎧もつけずに丸腰で剣相手に挑むなんて、よほど度胸があるのか、それとも頭が残念なのか。お兄さん、死ぬ気ですか?」

 また知らない声が聞こえた。
 今度は一体何の思念が現れたんだと半ば呆れていると、急に気温が下がって寒気を感じるようになり、続いて辺りを囲む炎の壁が消えてしまった。
 わずかに粉雪のようなものが舞っている。

「これは……氷の魔法か?」

 そしてカランと音を立てて、足元に何かが飛んできた。
 蒼い柄の剣だ。装飾の一切ない地味な剣だが、よく手入れされていて、その刀身は装飾など不要だと言わんばかりに輝きを放っている。

「その剣を使われよ! ……なんてな。あまりにも危なっかしくて見てられない。ここからは俺も参加させてもらうぜ」

 声の主のほうへ振り返ると、立っていたのは蒼い鎧に身を包んだ剣士だった。


Chapter14 END

魔法戦争15
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