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  • 魔法戦争23

魔法戦争23

最終更新:2017年07月17日 01:02

jelly

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Chapter23「フリード遠征2:黄金大好きファフニールさん」



 最強の槍グングニルと最強に美人なヴァルキュリアのお姉さんを手に入れた俺たちは、グニタヘイズをあとにして一度、拠点のアルヴに向かうことに決めた。

 お姉さんとの戦いで大事な剣が折れてしまったので、今の俺は丸腰だ。もちろんグングニルはあるがこれは投擲槍、つまり投げるための槍(ジャベリン)だ。
 突いたり斬ったりできる槍(スピア)の扱いには心得があるが、こういう投げ槍には慣れていない。それこそ投げやりな戦い方になっちまうかもな。なんつって。

「拠点に戻るまでに敵に遭わないとも限らないもんなぁ。まあ、いざとなったらこんどはクルスに戦ってもらうか。さっきは完全に観戦決め込んでたし」
「なんじゃ。もしかして武器を失ったことを気にしておるのか」
「俺は魔法はからっきしだからな。こういう槍にも慣れてない」

 もともと俺は二刀流の剣士なのだ。槍はちゃんと訓練したわけじゃない。
 折れた剣グラムとは別にもう一本ノートゥングという剣をもっていたが、そういえば前に魔剣と戦ったときにフレイに貸したままだった。
 グラムをじっと見つめていると、クルスがこう提案した。

「だったらファフニールのところにある剣をもらっていけばいい」

 あん、なんだって?

「あやつは金銀財宝に目がなくての。ここはファフニールの家でもあるが、むしろあやつがどこかから集めてきたお宝を溜め込んでいる宝物庫である役割が大きい。剣の一本や二本ぐらい探せばすぐに見つかるじゃろう」

 なるほど、暗くて最初は気がつかなかったが、洞窟の奥を覗き込んでみるとそこには大量の金貨やら宝箱やら、いかにも絵に描いたような宝の山があった。

「だけど、それ勝手に俺がもってっちゃっていいわけ?」
「これだけたくさんあるんじゃ。二、三本ぐらい剣がなくなっていてもわかりはせんじゃろ。構わん、私が許す。好きなのを選んでもっていけ」

 あの、それ泥棒って言うんじゃないですか。

 しかしクルスは、ファフニールは宝そのものよりも宝を集めることのほうに興味があるので、少しぐらいもらっても問題はないという。集めた財宝を使うでもなく無意味に溜め込んでいるのが何よりの証拠であるとも。

「せっかくの財宝をこんな辺境の洞窟に眠らせておくのはもったないじゃろう? どんなに価値があるものでも、こうして腐らせていては無駄の極みじゃ」

 それはごもっともだ。こういうのは溜め込めすぎずに適度に使ってやらないと、世の中の経済っていうのは回っていかないものだからな。
 というか竜の社会にお金って概念は存在するんだろうか。……いや、たぶん存在しないんだろうな。竜の考え方だと力ずくで奪えって感じあるし、ファフニールも財宝そのものよりも集めることに関心があるのだから、守銭奴というよりはむしろコレクターに近いのかもしれない。

「じゃあお言葉に甘えて力ずくで奪わせてもらおうかね」

 納得したところで俺は宝の山に手を伸ばした。
 これはクルスがいいって言ったんだからな。俺は別に悪いことはしてない。盗むとかそんなんじゃない。竜の文化っていうのはこれが普通なんだ、うん。

 背中に這い登る罪悪感を振り払い、金貨の山をかき分けて剣を探す。
 それにしても、こういう宝の山の図ってやけに金貨ばっかりだよな。世の中こんなにコインだらけなのか。もっとあるだろ、価値のあるお宝って。古代の壷とか、貴重な化石とか、歴史ある絵画とかさ。それじゃ地味で絵にならないってか?

 しばらく黄金の波をかき分けて、なんとかその中から数本の剣を発見した。
 刀身が金や宝石でできている芸術品としての剣や、装飾の豪華な儀式用の剣がほとんどで、武器としてはまったく役に立たないようなものが多かったが、その中で二本だけ武器として使えそうな剣を発見できた。

「これには派手すぎる装飾もないし、長さも重さも申し分ないな。どれ、鞘から抜いて刃もよく見てみよう」

 ふたつあった剣のうち片方に手をかけたそのとき、洞窟内に大声が響いた。

「貴様、何者だッ! オレの宝を盗もうとはいい度胸だな」

 振り返ると洞窟の入口に怒り狂った地竜が立っている。あれがファフニールか。
 どうやらお帰りらしい、それも最悪のタイミングで。

「待て待て、これには深ぁーいワケが……。おい、クルス。なんとか言ってくれ」

 事情を説明してもらおうとクルスの姿を捜したが、さっきまでそこにいたはずのクルスの姿がそこにはなかった。
 え、ちょ、まじかよ。なんで肝心なときにおまえはいないんだ!?

「えーっと。俺はクルスの知り合いで……。知ってるよな? 地竜のジオクルス」
「それがどうした。あいつの名を出せば許されるとでも思ったか。あいつの知り合いだろうが、そうでなかろうが泥棒は泥棒だ。この卑しいニンゲンの盗賊め!」

 まずい。この状況はどうみても俺が悪者にしかみえない。
 あいつニンゲンとか言ってるよ。人間じゃなくてニンゲン。それが意味するとことはひとつ。敵意満々だ。

「な、なんでもないです。見てただけです。んじゃ、俺は帰りますんで……」

 そっと剣を戻して去ろうとすると、ファフニールは予想外なことを言った。

「待て。その剣が欲しいのか? だったらくれてやる。持っていけ」

 あれ、意外と話がわかるやつなのか。さっすがクルスの友達。身体も器も大きいってわけだな。いよっ、社長! 太っ腹!

「そうおっしゃるなら、それじゃあお言葉に甘えて……」
「ただし条件がある」

 出た、ただし条件がある。
 ああそうだろうな。世の中そんなに甘くないよな。
 ファフニールは戦って俺が勝てればその剣はくれてやると続けた。まあ、そうなるような気はしていたさ。ぶっちゃけ、よくある展開ってやつだ。

「ははーん。さてはあれだろ? ただ宝を溜め込むだけではつまらない。刺激が欲しい。だから自分を楽しませろ、とかそんなんだろ。俺にはわかってんだぜ」
「何を寝ぼけたことを。そんなものどうでもいい。ただオレの宝に勝手に触れたニンゲンを八つ裂きにしたいだけだ。どうせニンゲン如きが勝てるとは思ってない」

 なんてこったい。こいつ血も涙もない鬼だ。いや、竜か。
 どうやら本当に力ずくで奪うことになりそうだ。

「墓ぐらいは作ってやる。オレは優しいからな。だから安心して死ぬがいい!」

 ファフニールはこちらへと走ってくると、鉤爪のある大きな腕を振り回した。
 とっさに剣をひとつ取り身を屈めてそれをかわすと、背後で金貨がさらわれて宙を舞う。
 金貨の雨に身を隠しながらファフニールの背後へと回り込むと、鞘を抜き捨ててその背中に斬りかかった。
 しかしファフニールの黄金の鱗は、いともたやすく剣を弾いた。

 なんて硬さだ。金属の金は柔らかく、金の剣なんてものは鉄の剣相手でも簡単に曲がってしまう。だからそんな剣は観賞用の芸術品にしかならない。しかし、この金の鱗は鍛えた鋼すら用意に跳ね返してしまうようだ。

 それにしても全身金ピカとは、なんて派手な竜なんだ。
 あの鱗を持ち帰って売れば、なかなかいいお金になりそうだ。
 なんて妄想しても、傷ひとつつけられないんじゃ考えるだけ無駄か。

「それで終わりか? 所詮ニンゲンの力なんてその程度だな。貴様はオレには絶対に勝てないぞ。どんな強い武器を手にして、どんな頑丈な鎧をまとおうと無駄だ」

 たしかにこの剣ではあの金竜を斬ることはできない。
 だがどんなに硬い鱗を持つ竜にも弱点があることを俺は知っている。

「くっ。おまえの言う通りだな。どうやらさすがの俺も一人で竜を倒すのはキツいみたいだ。降参だぜ……。俺の負けだ」
「ふん。やけに諦めがいいんだな」
「俺も覚悟はできてるぜ。でもせめて苦しまないように死なせてほしい。例えばそうだなぁ。丸呑みにでもしてくれれば助かる」
「馬鹿め。そんなことを言っておいて、おおかた貴様は腹の中から剣で切り裂こうとでも考えているのだろう。その手には乗らんぞ」

 ばれたか。だが俺の狙っている弱点はそっちじゃない。

「丸呑みになどしてやるものか。まずはその頭を粉々に噛み砕いてやる」

 ファフニールが頭を下げてきたのを確認。そうだ、俺はこれを待っていた。
 跳躍。そして金竜の大きな顎を飛び越えて頭の上に乗る。

「なにっ! 貴様、何をしている!?」
「いやー。俺、一度でいいから竜の頭の上に乗ってみたくてね」

 そのまま後頭部を駆け上がり、下がった首の上に立つ。
 竜には首筋に逆鱗というものがあるらしい。「逆鱗に触れる」という言葉もあるが、それは竜がこの逆鱗に触れられると怒り狂うという逸話からきている。
 ではなぜ竜は逆鱗に触れられると怒るのか? それは逆鱗が触れられたくないものだからだ。それを触れられるのを嫌い、それゆえに竜は怒り狂う。
 ではなぜ触れられなくないものなのか? 考えるまでもない。

「それは逆鱗こそが、竜の最大の弱点だからだぜ!」

 首の上にうつ伏せになって、手で逆鱗の位置を探る。場所がわかればあとはこの剣でひと突き。これは効果的なはずだ。誰だって喉は急所だからな。
 しかし、いくら探しても逆鱗は見つからなかった。
 あ、あれぇ? おかしいな。俺の読んだ文献が間違っていたのか。

「何を遊んでいるのだ? もしやオレを猫か何かと勘違いしてはいないだろうな。喉をなでたところでオレの機嫌は取れんぞ」

 そしてファフニールは首を大きくひと振り。振り飛ばされた俺は金貨の山の上に落ちた。ここに尖った王冠とかがなくてよかったぜ。
 しかし逆鱗がないとは、さてはガセ情報だったか。おのれ許せん、いつかあの文献の著者を訴えてやる。
 それはともかく、こうなったら別の弱点を攻めるしかない。プランBだ。

 どんなに硬い鱗を持っていても、全身ガチガチじゃ動けなくなってしまう。だから鱗というのは、部位によってその大きさや密度を変えることで硬さを調節している。つまり、関節部分や腹部は比較的柔らかいのだ。そこを突く。

 金貨の山の上に飛ばされたのは幸いだった。この黄金の海の中に隠れて、やつの不意を突くことができる。
 ついでに取り損ねたもう一本の剣も回収できるぜ。さっきは突然攻撃されて、片方しか拾えなかったからな。

 身を隠しながら、もう一本の剣を手にして抜刀。すると黒い刀身は鞘から自由になった途端、禍々しい紅のオーラをまとい始めた。

――チカラガ欲シイカ

――竜ヲモ圧倒スル、絶対ナルチカラガ欲シイカ

 突如、脳内に声が響いた。

「げっ、まずい。まさか魔剣か!?」

――我ガ名ハ、魔剣ダーインスレイヴ。我ガ主トナレ

 そのまま、俺の、意識は、遠、のい、て、いっ…………。




「馬鹿者どもが! お主ら、なぜいきなり殺し合いを始めとるんじゃ!!」

 クルスの怒鳴り声が聞こえて、はっと我に返った。
 どうやらツタの魔法で俺やファフニールの動きを封じたようだ。その際に手から剣を落としたので、意識が魔剣の呪縛から解放されたらしい。

 隣を見ると傷だらけのファフニールがふてくされた顔をしている。魔剣の威力のなせる業か多少の出血はしているようだが、それでもかすり傷程度でファフニールはピンピンしているように見える。どんだけ硬いんだよ。

 一方、俺はというとその返り血を浴びて服や鎧が赤くなっている。嘘だろおい。俺は赤より蒼が好きなんだ。洗濯したらちゃんと落ちるよな?
 あとは足に鈍い痛みが。しばらく魔剣に操られて戦っていたようだが、どうやらこの魔剣は俺より戦いのセンスがなかったらしい。借りた身体を傷物にしてくれやがって、この責任は取ってもらうからな! まあ、かすり傷なんだが。

「おい、クルス。どこ行ってたんだよ。おまえがいなかったせいで、俺はあらぬ疑いをかけられるはめになっちまったんだぜ」
「まあ、ちょっと……花を摘みにな」
「トイレかよ」
「ええい、デリカシーのないやつじゃのう……。それで一体何があった?」

 聞かれて俺は事の経緯を説明した。
 要はファフニールのほうからいきなり襲ってきたのであって、俺はただ応戦しただけだ。いくら言っても話を聞かないあいつが悪い。
 対してファフニールの言い分は次の通りだ。

「こいつが悪いのだ。オレのコレクションに勝手に触るから制裁を加えたまでだ」
「はあぁ。まったく相変わらず小さいやつじゃの。どうせ使っとらんじゃないか」
「それは違う! いいか、コレクションというのは使うためのものではない。新品だからこそ価値があるのだ。未使用だからこそいいのだ。触れれば汚れる! 垢がつく! それでは価値が下がってしまう」
「お主は馬鹿じゃな。洞窟の奥に積んでおくだけのものに価値も意味もあるか」

 そして地竜たちは口喧嘩を始めた。ははあ、喧嘩するほど仲がいいってやつか。

「やはりおまえとは気が合わんな。なぜオレの価値観が理解できない」
「理解するつもりもないし興味もない。はっきり言わせてもらうと、くだらんな」

 ……あれ?

「もう限界だ。今日こそは白黒つけてやる。オレのほうが正しいとな!」
「忘れたのか? 今のお主は私に拘束されておるのじゃ。なんなら、そのまま絞め殺してやってもよいのじゃぞ?」
「抜かせ! この程度のツタ、へでもないわ! 返り討ちにしてやる!!」
「よかろう……来い! 馬鹿は一度死なねば治らんようじゃからのう!!」

 ちょっと待てちょっと待て。なんでそうなるんだ。

 ファフニールはあっさりとツタの拘束から脱すると、牙を剥いてクルスに飛びかかった。対してクルスはうごめく触手の如く大量のツタを出現させて、向かい来るファフニールを受け止めて動きを封じる。
 再び身動きが取れなくなったファフニールだが、ならばと大地のブレスをクルスに向けて発射。硫黄のような香りとともに濁った霧が噴出され、少し遅れて連続的な爆発が起こる。
 正面からもろに爆発を受けたクルスはしかし平気な顔をしていて、反撃にツタをきつく締め上げた。

「ぐああぁぁっ! や、やめろ! 俺も拘束してることを忘れるな、死ぬッ!!」

 拘束に締め上げだと。俺は攻めるほうが好きなんだ。マゾ属性はない。
 これじゃ俺の二枚目キャラが台無しじゃないか。
 ああ、再び俺の意識は遠のいていく……。

「おっと、忘れていた。すまんの」

 クルスが指を鳴らすと、洞窟内を埋め尽くしていたツタが一瞬にして消えた。
 同時に俺の脳内に浮かんでいたお花畑も消えた。あ、危ないところだった……。

「最初のおまえの言葉をそのまま返してやる……。なんでいきなり殺し合いを始めてるんだ。おまえら知り合いじゃなかったのか?」
「もちろん知り合いじゃぞ。ずいぶん長いつきあいになるのう」
「うむ。オレとジオクルスはもう何度も殺し合った仲だからな」
「どんな仲だよ……」

 よく殺し合うほど仲がいいと言うだろう、とクルスは笑ってみせた。
 いやいや、そんな格言聞いたことないからな! それ仲いいって言わねえよ!

 ともあれ、ようやくクルスが事情を説明してくれたので、晴れて盗賊の疑いはなくなった。

「ジオクルスの知り合いだったか。ならばそう言ってくれればよかったものを」

 いや、言ったんですが、それは……。

 そのまま続けてクルスはトロウと共に戦う仲間としてファフニールを勧誘した。そもそもこんな辺境へ来た当初の目的はそれだったのだ。忘れてたけど。
 ファフニールは黙って話を聞いていたが、あっさりとそれを断った。

「悪いがトロウとは戦えない」
「何? なんか理由でもあるのか」
「それは――オレが第四竜将ファフニール様だからだ!」
「な、なんだってー!?」

 竜将の肩書き、つまり奴はトロウの手下だったのだ。
 この展開、まさかもう一度こいつと戦えって?
 ただの剣じゃこいつには歯が立たない。かといって魔剣に操られるのはもうごめんだ。こうなったら竜に対抗できるのは竜しかない。
 そこで期待の念を込めてクルスの顔をじっと見つめた。
 クルスは少し面倒くさそうな顔をしながらもファフニールに尋ねた。

「……あー。まあ、お主のことだからなんとなく予想はついておるが……。ファフニールよ。お主、トロウとはどういう関係なんじゃ?」

 するとファフニールは嬉々とした表情で答えた。

「全然知らん。だが力を貸せば財宝をくれるという話でな。前金にそこの金貨をひと山もらったんだ! 残りの財宝をもらうまではトロウを裏切るわけにはいかん」

 ああなるほど、そういうことね。世の中、竜も傭兵をやる時代になったのか。
 なんだ、そういうことなら安心したぜ。しょせん金で雇われているだけなんだ。だからあいつは別にトロウに忠誠を誓ってるわけじゃない。ならば手はある。

「だったら俺があんたを雇うってのはどうだ? ちょうどいいものがあってな」

 そう言って、俺は腕にはめている金の腕輪を掲げた。
 これはドローミのところで手に入れたあの無限増殖する腕輪だ。たしかドローミのやつはこれをドラウプニルとか呼んでいたか。こいつに刺激を与えると、どんな魔法がかかっているのかは知らないが、しばらくこの腕輪は分裂し続けるのだ。
 腕にはめている間は分裂しないようだが、外して床に叩きつけてみると、すぐにひとつがふたつ、ふたつがよっつ、と爆発的に金の腕輪が増え始めた。
 そんなドラウプニルの腕輪を見るなりファフニールは目の色を変えた。

「ふぁッ!? お、黄金が! 次から次へとあふれてくる! ま、まさかおまえ、いや、あなたは……神か? 黄金の神なのか!!」

 おっと、思った以上の喰い付き。金銀財宝に目がないと聞いたときから、これはもしやと思っていたのだ。持つべきものはお宝だな。ちょろいもんだぜ。

「俺か? 俺は蒼き勇者フリードだ。この無限の黄金をくれてやる。だからトロウなんかより俺たちの仲間になれ。絶対にあっちよりいい条件だと思うぜ?」
「無限の……黄金……!! こ、これはたしかに……見逃すわけにはいかんな! 黄金神様! ほ、本当に仲間になれば、これをオレにくれるのか?」
「ああ、もちろんだ。だが断る、なんて言ったりするなよ」

 現金なやつめ。しかし黄金の神と呼ばれるのもなかなか悪い気分ではない。やれやれ、また俺の呼び名がひとつ増えてしまったな。俺ついに神になったよ!

「だが迷うな」
「ナニッ!?」

 なるほど、そういうパターンできたか。
 この俺が最も嫌いなことのひとつは、売れそうになった商品を客がベタ褒めしていたにも関わらず、やっぱりNOと言われることだ。
 この欲張りめ。これ以上、こいつは一体何を望むというんだ。

「無限の黄金は欲しい。だがトロウとの約束の財宝も欲しい。オレは一度目をつけたものは絶対に諦めないのだ。たとえどんなに時間がかかろうとも、たとえどんな手段をつかったとしてもな」

 さっきまで泥棒泥棒とか言ってたやつが何か言ってやがる。
 しかしトロウに対して忠誠心が欠片もないことには変わりない。なんとか説得して味方につけられればこいつは役に立つはずだ。
 さて、どうやってうまいこと言い包めたものか……と考えていると、答えが出るよりも先にクルスがひとつ提案をした。

「ならばこうするがよい。まず、お主は私たちに協力してドラウプニルの腕輪を手に入れる。それからトロウの手下のふりを続けて奴からの報酬も手に入れる。そのついでに私たちには奴の情報を流せ。その情報をもとに私たちはトロウを倒しに行くので、お主もそれを手伝え。そして最後に奴を殺して、奴の持つ財宝は全部お主のものにすればいい。どうじゃ、悪い話ではなかろう?」

 こっちはこっちで、さらっとひどいことを言ってやがる。
 しかしスパイに使うのは、たしかにいい作戦かもしれない。なんせ俺たちはトロウのことをよく知らない。せいぜいフレイから並みの人間じゃ手も足も出ないほどやばい魔法を使うと聞かされた程度だ。
 正直なところ、俺はさっさと攻め込めばいいのにと思ってるぐらいだが、敵の戦力がわからないまま突っ込むのは馬鹿のやることだ。だからこそ情報が欲しい。

「なるほど、いい条件じゃないか。もし俺だったらクルスの話に乗るね。そこんとこどうだい、ファフニールさんよ」
「うむ。非情に魅力的だ。しかし、おまえらでトロウに勝てるのか? オレは直接見たから知ってるが、あいつは確かに魔力だけは化け物級だと思うぞ」

 トロウが倒せなければ財宝が手に入らないし、スパイがばれれば報酬ももらえない。全部欲しいファフニールはまだ迷っている様子だった。
 ええい、どこまでも欲張りなやつめ。だったらダメ押しだ。

「わかった。それならトロウの情報は買ってやることにしよう。何か情報をひとつ持ってくるたびに、こちらからも報酬を出すぜ(たぶんフレイの懐から)」
「ドラウプニルの腕輪。トロウからの報酬。おまえらからの報酬。そして最後にトロウの財宝を根こそぎか……!」
「さらに、もしあんたがトロウにトドメを刺したのなら追加報酬を上乗せする」
「よし、乗った!!」

 ふっ、落ちたな。
 こうして金に目が眩んだ黄金大好きファフニールさんは、まんまとトロウを裏切って俺たちの側についたのだった。やっぱりこいつ守銭奴じゃねーか。




 まだ増え続けていたドラウプニルの腕輪が洞窟を埋め尽くしそうになったので、それから俺たちは追い出される形でファフニールの洞窟を後にした。
 すでに洞窟の入口は黄金の壁でみっちりと埋まっている。これ以上、溜めておく場所もないのにどうするつもりなんだと聞いてみると、ファフニールは大地を隆起させて新しい洞窟をすぐ隣に作り出した。

「なければ作ればいい」
「便利だな、大地の魔法。いっそ黄金も魔法で作っちまえばいいのに」
「それはだめだ。自分で簡単に作れてしまったら価値がなくなるだろう」
「じゃあ簡単に分裂する黄金はいいのかよ……」

 ともあれ、これでようやくひと仕事終わった。天馬のお姉さんと黄金の竜と立て続けに戦ったせいか、気が抜けるとどっと身体が重く感じた。たとえ勇者だって疲れるのさ。
 まずは拠点に戻ってひと息つこう。捕虜にしたお姉さんと天馬の治療もしなければならないし、スパイをさせる前に一度ファフニールを仲間に紹介しておく必要もある。さあ、クルスに乗せてもらって一時帰還だ。

 そう思って一歩踏み出そうとしたが足が動かない。
 ……あれ? そんなに疲れてんのかな。
 再び足を動かそうとするが、やはり動かない。というか感覚がない。
 そういえば、魔剣に操られて戦っていた間に足を負傷していたんだった。かすり傷だったはずだが、もしかして思ったより傷が深かったのか。
 嫌な予感が頭に浮かぶ。ま、まさか神経をやられて……? 一生歩けないなんて俺は嫌だぜ!? 片足の勇者だなんて終わってる。剣士としては絶望的だ。

 顔面蒼白になりながらうろたえていると、感覚がない感覚が徐々に足から上へと上がってきているような気がしてきた。感覚がない感覚? なんかややこしいな。
 その感覚のない感覚は、足からふくらはぎへ。そして太腿へと昇っていく。おい待て。まだ上がるのか。このままいくとつまり……こ、股間も? やめてくれ! 俺からそっちの剣まで奪わないでくれ!

 じたばたしながら慌てていると、冷めた目でクルスがこっちを見ている。
 見るなっ! そんな可哀想なものを見るような目で俺を見るんじゃない!

「……何やっとるんじゃ、お主」
「これからの人生に絶望していた」
「そうか。足元は明るそうに見えるがな」

 そう言ってクルスが指差す俺の足元は……いや、俺は脚は黄金色に輝いていた。まじかよ、俺の未来は黄金色?
 じゃない。よく見ると俺の脚そのものが黄金になっている。

「ああ、そういえばオレの触れたものは徐々に黄金になるのだ。オレはこの魔法が好きでな。おまえが死んだら、黄金像として洞窟に飾るつもりだった」

 そう笑いつつファフニールが呪文を唱えると、すぐに脚は元通りに戻った。
 金ピカ好きだけあって悪趣味なやつだ。まあ、俺のようないい男を飾りたくなる気持ちもわからんでもないが。

「俺の絶望を返してくれ……。ああ、いや、絶望はいらんな。絶望した時間をか」
「ほれ、茶番は仕舞いじゃ。さっさと拠点に戻るぞ」

 グニタヘイズ上空の罠の魔法をファフニールが解除して飛行準備完了。
 俺はクルスの背中に乗って出発準備完了。っと、そのまえに捕虜にしたお姉ちゃんもクルスに乗せて連れて行かないと。
 洞窟の外にレギンレイヴの姿が見えなかったので、俺はどうしたのかとクルスに聞いた。

「はて。ツタで拘束して、そのへんに転がしておいたはずじゃが……」

 放っておいたので逃げ出してしまったのだろうか。いや、彼女は足をくじいて歩けないはずだ。それに天馬もひどい怪我をしているので飛んで逃げるはずもない。
 まだ近くにいるはずだ、と周囲を捜索すると馬も彼女もすぐに見つかった。

 ……変わり果てた姿で。

 まるで縄で緊縛されたかのような痕が身体中に残っている。こ、これは……一体どこのどいつが、どういったお楽しみをやっていたんだ。実にけしからん。

 だが俺には心当たりがあった。
 そういえば洞窟の中でクルスとファフニールが喧嘩をしていたときに、クルスのやつはツタを思いっきり締め上げていた。
 で、こいつらを拘束していたのもクルスのツタだ。ということは犯人は……。

 犯人(クルス)の姿を見るなり、ぐったりした状態のレギンレイヴは呻き声を上げた。

「お、おのれ地竜め……! 捕虜にすると言っておきながら殺しにかかってくるとは、やはり竜は信用できない……。お、覚えておけ……」

 よかった生きてた。しかしなるほど、こういうところから誤解が生まれて種族間対立が深まるんだな、と思わずにはいられない俺であった。
 地竜の相手はもう疲れた。俺には水竜のお譲ちゃんぐらいがちょうどいい。


Chapter23 END

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