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魔法戦争30

最終更新:2017年07月24日 22:26

jelly

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Chapter30「オットーの愛4:もっとも強くて美しい魔法」



 気がつくと俺はヒルディスヴィーニ号の上で倒れていた。
 はて、おかしいな。俺はすべての力を使い果たして空の底に落ちたのではなかったのか。それとも、ここは現実世界によく似たあの世なのだろうか。

 起き上がって自分の姿を見ると、人間のオットーに戻っていた。
 俺は魔法で風竜に変えられてしまったはず。それが元に戻っている。ということはやっぱり俺は死んだのだ。あの世に飛ばされて、魂は本来の姿に戻ったわけか。

 隣を見ると、セッテが静かに眠っているのが見えた。

「――――!!!? ば、馬鹿な!! 俺はすべての力を使い果たしてまで、おまえを助けようとしたんだぞ!? それなのに、それなのにおまえがここにいるということは……」

 だめだった。俺はセッテを助けることができなかった。
 そういうことに違いない。結局、元人間の竜では魔力が足りなかったのだ。

「すまない。俺のせいでおまえまで……本当にすまない……」

 すべて俺のせいなのだ。そもそも俺がたまたま見かけた天馬を追ってフレイヤ様に会ったせいで俺は竜に変えられて、別行動をしていたセッテと遭遇することになり、その結果としてセッテが空から落ちたのだ。
 だから俺が余計なことさえしなければ、弟が死ぬことはなかった。

「きっとおまえは俺を怨んでいるだろう。いつも俺はおまえに厳しくしてきたが、それはおまえのためを思ってのつもりだった。おまえは俺よりも魔法の才能があるし、俺にはできないことができる。だから、それをもっと伸ばしてやろうと思って厳しくしてきた。それなのに、そんなおまえの夢を、将来を、すべてを俺が奪ってしまったんだ……。すまない。すまない。すまない。全部俺が悪いんだ……」

 涙があふれて止まらなかった。死ぬのは俺だけで良かったのに。
 頬を伝った涙が一滴、セッテの顔に落ちた。

「……うう。しょっぱいっす」

 するとセッテが目を開けた。
 奇跡か。セッテが生き返ったのか!
 いや、それは違う。ここはあの世なのだから、ただセッテの意識があの世に到着しただけのこと。つまり、本当にセッテは死んでしまったのだ。

 俺はセッテにすがって泣きながら詫びた。
 セッテは訳がわからないような顔をしていたが、それでも俺は謝り続けた。

「ううーん。兄貴が竜になったと思ったら、こんどは延々と謝ってくるっすよぉ。なんなのこの夢。なんだか気持ち悪いから二度寝するっす!」

 そのままセッテは深い眠りについた。
 レスト・イン・ピース。愛する弟よ、安らかに眠れ。

 目を閉じた弟に祈っていると、生意気そうな声が聞こえてきた。

「なあなあ、あの馬鹿はさっきから何やってるんだ?」
『しィッ、静かに。面白いんだから、もうちょっとそのままにしとこうよ』

 振り返るとそこに水竜と黒猫がいる。
 なぜあいつらがここに? まさかクエリアたちまで死んだというのか!?

『あっ。ほらー、見つかっちゃったじゃないか。ユーのせいだからね』
「いや、おまえのせいだろ。おまえのテレパシーは離れてても届くし」
『ま、いっか。ほらみてよ。あいつまだ「わけがわからないよ」とでも言いたそうな顔してるよ。ニヒヒヒ!』

 本当に「わけがわからないよ」と言いたい。またしても俺の記憶は混乱しているということなのだろうか。これは夢なのか、現実なのか。猫がしゃべっているので夢である可能性は高い気がする。

 そのまま呆然としていると、ヒルディスヴィーニの船室からピンクの少女が顔を出した。そういえばセッテといっしょにクエリアの背中に乗っていたな。たしか、ぬいぐるみの魔女だと名乗っていたような気がするが。

「あら、オットーちゃん。気がついたのね。お加減はどう?」

 小さな魔女は俺が意識を取り戻したことに気がつくと、これまでに起こったことを説明してくれた。




「ちょっと、オットー! 何やってるのよ!!」

 落下していったセッテを追って風竜のオットーが飛び出していったそのとき、フレイヤは思わずそう叫んでいた。それをクエリアは聞き逃さなかった。

「オットー? あの緑のやつの名前がどうして急に出てくるんだ。そういえば、さっきの風竜、なんとなくあいつに雰囲気が似てたな。何か関係あるのか?」

 すると風竜の正体に気付いていた黒猫は、『そんなことも気がつかなかったのかい?』と、少し小馬鹿にしながらそれをクエリアに教えた。
 ニンゲンのくせに竜に変身できるのかとクエリアが驚いていると、こんどはプラッシュが代わって答えた。

「彼一人の魔力じゃ到底無理ね。でもあの魔女の実力なら、その程度はできるかもしれないわね」

 そう言って、空中に浮遊しながらオットーの消えていった下方の雲を眺めているフレイヤを指差した。

「あいつも魔女だって? オットーが竜になりたいってあいつに頼んだのか」
「ううん。契約を交わしたのならその痕跡が残るものだけど、そういったものはとくに感じられない。それにあの緑の子には魅了の魔法もかかっていたから、たぶん操って強制的に変えたんじゃないかしら。なかなかハードなプレイみたいね」
「むう? よくわからんが、つまりあいつは敵なのか」
「さあね。あたしにはわからないわ。クエリアちゃんが決めたら?」
「じゃあ、やりたいようにやっちゃうもんね。疑わしきはこれでも食らえ!」

 油断していたフレイヤはクエリアの氷結魔法であっさりと拘束された。
 もちろん、その程度の拘束から脱出することなどフレイヤには朝飯前だったが、そこにプラッシュが手を加えた。氷ごとフレイヤをぬいぐるみに変え始めたのだ。

『ねえねえ、聞こえる? ミーはよくわかんないんだけどさ。ユーって悪い魔女なの? クエリアが攻撃したから、ミーもご主人サマもそれに倣ってみたんだけど』

 すると凍ってしゃべれないフレイヤは、テレパシーで返事をよこした。

『いきなり何をするの! 馬鹿なの? 死にたいの!? この私を誰だと思っているのかしら。私はヴァルキュリアの長フレイヤよ。聞いたことがないの?』
『ミーもご主人サマも、ずっとバウムヴァルにいたから知らないなぁ。すごいの? ばるきゅりやって。あんまり強そうな名前には聞こえないけどね。ニヒヒ!』
『……よろしい。まずはあなたから死にたいようね。待ってなさい。すぐにこんな氷なんて破壊して……ってなによこれ! どうして魔法が使えないの!?』
『魔法が使えないだって? 当然じゃないか。だってユーはもう魔女なんかじゃない。ただのかわいいぬいぐるみさんなんだよ?』
『ぬ、ぬいぐるみィ? 何をふざけたこと……んむッ!? むぐぐぐぐぐッ!!』
『おっと、もう綿でお腹いっぱいかな。まだまだオードブルなんだけどなぁ』

 本当はプラッシュが外から魔封じの呪文を上乗せしているのだが、当然それをフレイヤに教えてやるようなことは黒猫はしない。そういったものを利用して煽り倒していくのが言葉攻めの基本戦略だ。

『どうしたの? ほらほら、もっと頑張って足掻いてみせてよ。魔法には自信があるって顔してたでしょ。頑張れば、ちょっとぐらい魔法がひねり出せるかもよ? あっ、でも急いでね。早くしないとユーは完全にぬいぐるみになっちゃうよ。そうしたらもうユーは二度と! 一生! 永遠に! 元には戻れないんだからねぇ~。ニッヒヒヒヒヒヒ』
『うぐぐ。こ、こんな魔法、す、すぐに打ち消して、や、る……』
『あ、そうそう。この魔法なんだけど、ご主人サマが独自に開発した魔法だから、反転とか解呪とかの魔法は無意味だよ。じゃあ、残り時間3分だけどせいぜい頑張ってね。かわいいぬいぐるみになったら、ミーもナメナメしてあげるからさぁ』

 そんなやりとりを横で聞いていたクエリアは「おまえ、楽しそうだなぁ……」と皮肉を垂れた。
 一方その間に、プラッシュは自分に変性魔法をかけてこちらも竜に変身すると、急降下してオットーとセッテを救出に向かったのだった。

 プラッシュはオットーとセッテを回収して上まで戻ってきた。そして黒猫がテレパシーを応用してフレイヤの記憶を読み、このヒルディスヴィーニ号の存在を知って、石化したセルシウスを助けに来たところで現在に至る。




「ええっ! セッちゃん石になっちゃったんすか!」

 プラッシュの説明を聞いていたセッテは驚いた声を上げた。
 おまえ二度寝したんじゃなかったのか。

「石化のような呪いの類は厄介でね。術者が倒れても治らないから、ちょっと特別な手順を踏んで時間をかけて治すものなんだけど……でも、そこは心配ご無用よ。なんたってあたしは変性魔法のプロフェッショナルですもの!」

 一度ぬいぐるみ化させて元に戻せば身体が再構成されて、たとえどんな病気だろうか呪いだろうが、きれいさっぱり治ってしまうのだという。
 今は治療中(=ぬいぐるみ化進行中)らしく、ころころふわふわした火竜のぬいぐるみをプラッシュが持ってきてみせてくれた。それは丸っとしていて、つぶらな瞳が輝いていて、なんというか本当に……可愛らしい。

「こ、これがあのセルシウスだというのか」
「やっべ! ぐうかわっす! もうセッちゃん大好きっす! レプリカください」

 それからプラッシュはもうひとつぬいぐるみを取り出して見せた。
 青くてごつごつしている。あれは……氷の結晶だろうか。ひょっとして。

「フレイヤちゃんよ。凍らせたままぬいぐるみにしちゃったせいね」

 プラッシュが言うには、フレイヤにも何か呪いのようなものがかけられていたらしく、彼女の様子がオットーの知るものとはまるで違ったのも、その呪いが原因だということがわかった。
 呪いをかけた犯人は言うまでもなく、あの漆黒の魔道士トロウだろう。

「その呪いも、ぬいぐるみになったら治るんすね?」
「ええ、そのつもりだったんだけどね。なぜかぬいぐるみ化が完了するまえに、呪いが解けちゃってたのよ。不思議なこともあるものね」
「ほぇぇ。そりゃ不思議っすね」

 その後しばらくして、プラッシュはぬいぐるみ化の魔法を解除し、セルシウスとフレイヤ様は正しく意識を取り戻し、元気になり、そして健康になった。
 しかし記憶だけはプラッシュの魔法でも元通りには直せないらしく、しばらくトロウの呪いで洗脳状態にあったフレイヤ様は困惑を隠せない様子だった。

「ごめんなさい。よく覚えてないのだけど、私のせいで迷惑をかけたようね……」

 洗脳の解けたフレイヤ様は、以前のような大人しい雰囲気を取り戻していた。
 操られていたときの強気な彼女も、意外な一面を見たようで新鮮ではあったが、やはりフレイヤ様はこうでなくては。これでこそ俺のあこがれの女性だ。

「それにしても、なんで呪いが解けたんすかね。フレイヤ様もしかして自力で? やっぱり魔力に優れてる人は一味違うっすねぇ」

 セッテはそう関心してみせたが、フレイヤ様は首を横に振った。
 はっきりと覚えているわけではないが、あのとき誰かの声が聞こえたらしい。いや、声というよりは心、あるいは念のような、漠然としたイメージだったそうだ。
 それが具体的に何と言っていたのかまではわからない。ただそれは優しく、温かく、とても安心できるようなものだったという。
 その後フレイヤ様は雷に撃たれたような衝撃を感じて、いつの間にかヒルディスヴィーニ号の上で俺たちに心配そうに見つめられている自分に気付いたらしい。

「ふたつのイメージがあったわ。ひとつは温かいもの包まれるような感覚。優しさに満ちていて、それが凍り付いていた私の心を解きほぐしてくれた。もうひとつは大切な何かを失わずにすんでほっとしたような感覚。それはなぜかはわからないけれど、急にフレイのことを私に思い出させたの。なんだったのかしらね……」

 それを聞いて、俺とセッテは思わず顔を見合わせていた。
 実は俺たちはそれに非常によく似た感覚をすでに体験していたのだ。

 落下するセッテを追いかけていったあの時。
 弟を見失ってしまい、もう二度と会えないのではないかと怖くなったが、無事にセッテを見つけることができてほっとしたあの感覚。そして俺の腕の中で姿の変わってしまった俺を見て、それでも兄と呼んでくれたこと。
 それはまさにフレイヤ様のいう、優しく温かく安心できるものだった。

 セッテも同様の夢を見た気がすると言った。

「その夢には竜が出てきて、それをなぜか兄貴だと思ったんすよ。それがとてもほっとするような感じで。夢の兄貴、いつもよりかっこよかったんすよねぇ」

 そこで俺たちの話を聞いていたプラッシュが納得するような素振りを見せた。

「なるほど。それはきっとこの世でもっとも強くて美しい魔法の力ね」
「魔法なんすか! トロウの呪いを跳ね飛ばすなんて、その魔法は一体!?」

 するとプラッシュは俺とセッテを交互に見ながら笑みを浮かべた。

「それはLOVE……すなわち、愛よ」

 兄弟の互いを尊重しあう想い。美しき兄弟愛。
 それが愛の魔法となって俺にかけられた竜化の魔法を打ち消した。
 さらにその愛は遥か上空まで届き、フレイヤ様の呪いまで解いてしまったのだ。

「愛の魔法は誰にでも使える魔法なの。しかも魔力を一切必要としない。ただし、それを使いこなすためには本当に強くて優しい心が必要だわ」
「まじっすか! 愛の力すっげぇ」

 あのとき、俺はセッテを見つけられて本当によかったと心から思っていた。
 あそこでセッテが俺を兄貴と呼んでくれたから、俺も自分を取り戻すことができた。そのことがとても嬉しかった。

 竜になって自分を見失っていたにも関わらず、俺はセッテのことは忘れていなかった。自分の意識とはまた別の心の奥底にある感情が、落ちていくセッテを絶対に助けなければ、と俺を奮い立たせてくれたのだ。
 だから俺はセッテを見つけられたし、自分を取り戻せたのだ。

「それが愛の力……なのか」

 セルシウスは俺に教えてくれた。
 誰に何と言われようと自分のやりたいようにやれ。それが本当の自分なのだと。
 あのときの俺は、魔女のしもべでも風竜リンドヴルムでもない。まぎれもなく俺自身、本当のオットーそのものだった。

 石化とぬいぐるみ化から解放されたセルシウスは疲れた様子でぐったりしていたが、俺がその顔を見つめているのに気がつくとセルシウスは笑みを返してくれた。

 俺は本当の俺になることができた。それはセルシウスのおかげでもある。
 これでリンドヴルムの名に恥じぬ強い心を持つことができたのかもしれない。
 セルシウス――ありがとう。




 それから俺たちはフレイヤ様のヒルディスヴィーニ号でそろってアルヴへと戻ることにした。
 セッテとクエリアはぬいぐるみの魔女と黒猫を新たな仲間として迎え、そしてセルシウスと俺はフレイヤ様をトロウの手から救い出すことができた。
 この成果にはフレイ様もきっと喜んでくれるに違いない。

 フレイヤ様は船首に立って行く先を見つめている。
 その後ろ姿を今、俺は見つめて立っていた。

 誰に何と言われようと自分のやりたいようにやれ、か。
 セルシウスには本当に大切なことを教えてもらった。
 今こそ勇気を出すときだ、オットー!

 俺は一歩前に踏み出して、フレイヤ様の隣に立った。

「あの、フレイヤ様……」
「あら、オットー。どうしたの?」
「じ、実はあなたにお話したいことがありまして」

 そしてプラッシュは言っていた。愛こそもっとも強く美しい魔法だと。
 俺自身とセッテ、そしてフレイヤ様をその魔法で救った今なら、もう一度その愛の力を借りることができるかもしれない。
 さあ、恐れるな。今こそ自分の想いを伝えるときだ。

「フレイヤ様。私は……その……」

 いや違う。そうじゃない。偽りの自分で本当の自分を隠すのはもうやめだ。
 私ではない。俺が本当のオットーなのだから。だから俺は言った。

「フレイヤ様! お、俺は幼い頃から、フレイ様やセッテと共に四人で過ごしたあの頃から、ずっとあなたのことをお慕いしてきました。従者ごときが出過ぎたことを言っているのは百も承知です。しかし、俺はこの想いをどうしてもあなたにお伝えしたかった! だからどうか、最後まで言わせてください」

 深く息を吸い込む。ふぅっと一気に吐き出す。
 俺は俺、俺は俺……よし。

「フレイヤ様! もしよろしければ、ご迷惑でなければ……この俺とお付き合いしていただけませんかッ!!」

 勢いで最後まで言い切ってやった。幼い頃からずっと心にひた隠しにしてきた、本当の俺の気持ちをついに言葉にして言い切ってしまった。
 さあ、やるようにやった。あとは野となれ山となれだ。

 俺はフレイヤ様の返事を待った。
 どんな言葉が返ってくるのか、期待と不安を入り混じった感情でそれを待ちながら、思わず目をつぶってしまいながらも、それを待った。

 沈黙が流れる。それはすごく長い時間だったようにも思える。
 しかし、そのとき温かいものが俺の手に触れた。

 目を開けると、フレイヤ様は俺の両手を取ってこう言った。

「ありがとう、オットー。いつもあなたは自分よりも他人のことを気にかけてくれていたわね。セッテのことを時には厳しく、時には優しく見守り、そしていつもフレイのことを誰よりも先に一番に守ろうとしてくれた」
「……はい」
「そして、あなたは私のこともそんなふうに大切に想ってくれていたのね。それを素直に話してくれて私は嬉しいわ。でも……」
「で、でも!?」

 冷や汗が流れる。全身にぞぞっとした感覚。フレイヤ様に握られている俺の手はきっと汗でびっしょりになっているだろう。

「でもあなたの言うように、私は王女であなたはただの従者。きっと周囲からは反対の声が多く挙がることになるはず。それはきっととても大変な道のりになるわ」
「は、はい……。そのとおり、です……」
「だから……」

 ごくりと生唾を呑み込む。
 だから……? やはり……? 色んな想像が脳裏に浮かんでは消えた。
 緊張しながら俺はフレイヤ様の次の言葉を待った。

「だから、私を愛してくれるのは嬉しいけれど、それは同時にあなたを辛い目に遭わせることになるかもしれない。この愛はきっと障害だらけになるでしょう」
「フレイヤ様……」
「オットー。それでもあなたは、私を愛してくれますか?」

 そうだ。フレイヤ様は王女。ユミル国の誰もが大切に思っているお方だ。それを俺なんかが愛することをみんなは許してくれるだろうか。

 フレイ様やセッテはきっと俺たちを祝福してくれると信じている。しかし、他の宮廷魔道士たちは良い顔をしないだろう。身の程を知れと諭されるに違いない。
 ヴァルキュリアたちも黙ってはいないだろう。とくにあのブリュンヒルデとかいう女はフレイヤ様を妄信していた。もしこのことを知ったらあの女は、俺のことを殺しに来るかもしれない。冗談抜きで。
 それに陛下はなんと仰るか。もしかしたら激昂して、俺を宮廷魔道士から外し、さらには国外追放などということもあるかもしれない。

 それは正直なところ、とても怖かった。
 が、それでも俺は思った。ここで逃げるのは男らしくない。それにそれは自分の気持ちに嘘をつくことになる。俺は本当の自分を隠すのはもうやめたんだ。

 俺はオットーだ。そして俺はリンドヴルムでもある。誰に何と言われようと、俺は俺のやりたいようにやる。それが竜というものだ。
 リンドヴルムのように強い心を。勇気を持って。そして決意を見せろ。

――だから俺は言った。


「それでも俺は、フレイヤ様。あなたを愛しています」


 すると彼女はにっこりと笑った。

「それを聞けて安心しました。私も幼い頃から、あなたのことを本当の兄のように慕っていました。ですがある日気がついたのです。私はあなたのことをそれ以上に気にかけていたのだと。いつも城であなたを見かけるたびに、つい目で追ってしまう私がいました。そしてその気持ちは本物だと今、私は気がつきました」

 そう言って彼女は俺を抱きしめてくれた。

「オットー。私もあなたが好きです。これからは私のことも守ってね」
「もちろんです、フレイヤ様」

 俺はそっと彼女の背中へと手を回した。

「ひゅーひゅー! おアツいっすね、お二人さん!」
「これがラブってやつか! わたしもいつかさいきょーの愛を手に入れるぞ」
『ニヒヒヒ~。いいぞ、もっとやれ』

 外野がうるさいが、今の俺にはそんなものは何も気にならなかった。これがもっとも強くて美しい魔法の力というものか。
 そして俺は心に誓った。

――フレイヤ様。俺はこの世のあらゆる障害から、あなたの笑顔をお守りします。


Chapter30 END

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