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  • 魔法戦争38

魔法戦争38

最終更新:2017年09月08日 23:24

jelly

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Chapter38「風竜は舞戻る2:そして風向きが変わった」



 炎や氷が顔をすぐ横を飛んでいく。
 振り上げられた剣は、わたしの目の前の地面をえぐった。

「ううっ……」

 しかしそれでも、わたしは両手を広げて両足でふんばりつつ、思わず目をつぶってしまいながらも、身を呈してヴァルトと呼ばれた風竜をかばった。

 叩きつけられた剣を持ち上げながら、その主の勇者は怒鳴った。

「おい、ゲルダ! 危ないだろ、急に飛び出したりなんかして! そこをどいてくれ。そいつは敵なんだぜ。しかも今倒さなきゃやばいことになる」

 わたしは目をつぶったまま、首を横に振った。

「ゲルダ! 何をしてるんだ、下がっていろと言ったじゃないか!」

 フレイの声も聞こえてきた。
 後ろにいるのはトロウの手下で、アルヴのことを報告される前に今ここで倒さなければならない。そういうようなことを叫んでいる。
 それでもわたしは、ぶんぶんと首を振る。

「どういうことなんだ。説明してくれ」

 恐る恐る目を開けると、フリードが怖い顔をして目の前に立っている。その背後には、わたしと後ろにいるヴァルトをにらみつけるフレイたちが横に並んでいる。
 わたしはヴァルトの目の奥に見た、その憂いを帯びた色のことを話した。

「ま、待ってよ、みんな……。何か事情があるんだよ。この竜、何か困ってるような悩んでるような……そんな様子なんだよ。話だけでも聞いてあげてよ!」
「突然何を言い出すんだ!? 君がヴァルトの一体何を知って――」

 そのときヴァルトは翼の先の鉤爪をわたしに近づけた。それを見たフレイは、血相を変えて「危ない!」と叫びながら駆け出した。
 しかし鉤爪はわたしを傷つけることはなく、そっとわたしの頭をなでた。

「……そうか。おまえは優しいやつだな。オレ様は半分は諦めてたんだがなァ」

 それまで黙り込んでいたヴァルトがやっと口を開いた。
 その様子を見て、フレイたちはようやく攻撃の手を止めてくれた。
 しかし警戒するような姿勢は崩さず、見張るようにヴァルトをにらんでいる。

「これは一体……。何がどうなっているんだ?」
「オレ様は今回はトロウの命令でここへ来たわけじゃない」

 その理由をヴァルトは話し始めた。




 ヴァルトは悩んでいた。
 トロウの命令でフレイたちを襲ったのはいいが、何も成果をあげられず引き返すことになった。その後、トロウから二度目のチャンスを与えられたが、クエリアによって氷付けにされてしまい、これも失敗した。
 このままトロウの元へ戻っても何もいいことはない。それにトロウは「もう一度だけチャンスを与える」「こんどこそ失敗は許さない」と言っていた。にもかかわらず失敗してしまった自分がどんな目に遭わされるのかとヴァルトは恐れた。

 そしてその不安は現実になる。
 今後どうするべきか悩んでいたヴァルトは、フレイヤと遭遇したあともそのまま例のドローミの島で考え込んでいたが、そこにとある竜が現れたのだという。

「キシシシ! 見つけたゾ。おまえがヴァルトだな?」
「あァん? なんだおまえは。オレ様はチビには用はないぜェ」

 ずいぶん身体の小さな竜だった。以前対峙したことのある竜の姿に戻ったクルスや、セルシウスに比べれば、それはまるで子どものようだ。

「オレは第三竜将イフリート! トロウ様から伝言があるゾ。えーっと」

 小さな火竜は水晶球のようなものを取り出した。
 すると、その球体はトロウそっくりの声でしゃべり始めた。

『ごきげんよう、ヴァルト。おまえのような役立たずはもう要りません。不要なごみは処分するに限る。だからどうぞ消し炭になってください。さようなら』

 一方的にしゃべり終えると、球体は割れて粉々になった。

「……だってよ! だからオレがおまえを粛清しに来てやった。キシシ! じっとしてろよぉ~。そうしたら苦しまずに消してやるゾ」
「ちッ、やっぱりそう来たか。おい、チビ助。そんなちっこいナリでこのオレ様に敵うつもりなのかァァァ? 今ならまだ許してやる。さっさと失せなァ!!」
「見た目だけで判断すると痛い目に遭うゾ。おまえの弱点はよく知ってる!」

 小さな翼でハエのように飛び上がると、イフリートは自分の身体よりも大きな炎を吐いた。炎は蛇のようにうねり、ヴァルトの身体を包み込む。

「がッ……!? か、火竜だとォォォ! おまえのような小さな火竜がいるのか。それにムスペのやつらとは臭いが違うじゃねェか!」
「オレはトロウ様に実力を認められて”火竜になった”のさ! おまえをここで殺すためにね! これがオレの最初の任務だ。そしてオレはもっとエラくなる!」
「火竜になったァァァ!? おまえは何を言ってんだ。くそッ、こんな炎!!」

 ヴァルトは激しく羽ばたいて炎を消し飛ばそうとした。
 しかし羽ばたけば羽ばたくほどに炎はより激しく燃え上がり、大蛇のようになった炎は大顎を開いてヴァルトを炎の渦に呑み込もうとしている。

「なんだ、この火!? ちっとも消えやしねェェェ!」
「キシャシャシャ! オレの炎の息は特殊だゾ。この身体はトロウ様からいただいた特別製でね。その炎は風を受ければ受けるほどに強くなるゾ!」
「畜生、やっぱり火竜は苦手だァァァ!」

 炎をまとったままヴァルトは空高く飛び上がった。
 そしてそのまま急降下して風圧で炎をかき消そうとしたが、炎はますます激しく燃え上がりその勢いを増していった。

「おっと、トカゲみたいに逃げ出すのか? 無駄だゾ! その炎はどこまでもおまえを焼き尽くす。骨すらも残さない。まさに消し炭になるまでね!」

 勝利を確信しているのか、イフリートは追っては来ない。
 ヴァルトはそのまま空を飛び続け、どこかに雨雲はないかと探した。
 どんな炎だろうと水の前には無力のはず。この炎を消すには水を探すしかない。

 ニヴルヘイムまで飛べば、あそこにはたしかフヴェルゲルミルの泉があったはずだが、今やあそこはトロウの手下のエーギルが占領している。だからそこへ向かっても、こんどはエーギルに消されることになるだけだ。

 熱さに耐えながら飛んでいると、上空に巨大な積層雲を見つけた。黒く威圧感さえ感じさせる雲で、あれが嵐雲なのは間違いない。ヴァルトは迷わず雲の中に飛び込んでいった。
 雲の中は雷と強風の吹き荒れる大嵐で、叩きつけるように大きな雨粒が暴れまわっている。暴風によって一度は炎がさらに激しく燃え上がったが、やがてその炎は大雨によって消えていった。

(なんとか助かった。だが、こんどはなんとかしてここから脱出しねェと)

 嵐雲の中は雨と雷と暴風が渦を巻いており、荒れ狂う天候が方向感覚を狂わせてしまう。今自分がどっちを向いているのか、どっちから来たのかもすでにわからなくなってしまっている。

(こんなところで遭難して死んじまっちゃ、逃げてきた意味がねェぞ。どうする)

 暴風雨の中を吹き飛ばされそうになるのを必死に耐えながらさまよっていると、暗い雲の中に蒼く光るものが見えた。よく見ると、氷竜が嵐の中を飛んでいく。雨水を受けて氷竜の鱗が光っているのだ。

(あいつはもしかしてニヴルの? なぜこんなところに)

 氷竜はこの嵐の中を迷うことなくまっすぐ飛んでいく。しかも何かの魔法か、あるいは加護を受けているのか、暴風をまったくものともせずに飛んでいく。

 これは地獄に仏、とヴァルトはその氷竜のあとに続いた。しばらく行くと、やがてたどり着いたのがこの隠れ里アルヴだったというわけだ。




「――そこで偶然おまえたちを見かけた。今やオレ様もトロウに追われる身だ。だから同じくトロウに追われているおまえたちの力を借りようと思った。敵の敵は味方って言うからなァ」

 そこでヴァルトはひとつ、小さなため息をついた。

「だが……まァ、都合の良いことを言ってるのは承知だ。二度も敵として戦ってんだからなァ。素直に受け入れてくれるとも思ってねェ。だから拒否されたんなら、そのまま別の空域にでも姿をくらませるつもりだった。風竜は気まま、一所に留まらない性分ってなァ……。まさかいきなり攻撃されるとは思わなかったが」

 その話を聞いて、わたしはヴァルトをかわいそうだと思った。
 死にそうな目に遭ってやっと逃げてきたのに、ここでも敵だと思われて危うく倒されそうになってしまうなんて。そんなのあんまりだ。

 フレイたちは黙ってヴァルトの話を聞いていたけれど、誰も何も言わなかった。
 そのままヴァルトも黙っていたので、代わりにわたしが言った。

「ねぇ……助けてあげようよ。困ってるみたいだよ」

 でもフレイたちは納得しなかった。

「フレイ様、騙されないでください。これは敵の罠かもしれません」
「そうじゃな。証拠がない以上、そう易々と信じるわけにはいかん。さっきの話にしても作り話かもしれんし、私たちの懐に潜り込んでトロウに情報を漏らす魂胆かもしれんしのう」
「だな。隙を突いて後ろからいきなり掘られちゃかなわんぜ」

 仲間たちは口々にこれは罠だ、ウソだとフレイに言った。
 でもわたしは今の話がウソだったなんてとても思えない。
 ヴァルトは悲しそうな目をしていた。もし本当に罠だったとして、わたしたちをおとしいれようとしている人があんな目をするだろうか。

 きっとヴァルトは自分の居場所を失って、そこで敵だったとはいえ見知った顔のフレイたちを見かけて、そこに自分の居場所を求めたんだろう。それなのに、事情を説明する間もなく攻撃されて、きっとショックだったに違いない。だから、あんなにも悲しそうな目をしていたんじゃないだろうか。

 わたしはそんなわたしの考えをフレイに話した。
 それでもフレイは首を横に振った。

「ゲルダの言うことも一理ある。だけど何かあってからじゃ遅いんだ。僕たちだけじゃない。アルヴのみんなにも迷惑がかかる。せっかく竜人たちが手に入れた平穏を僕たちが壊してしまうわけにはいかない」
「なんで? どう見たって困ってる人がいるのにフレイはそれを見捨てるの!?」
「ヴァルトは敵だったんだ。たとえ万が一でも罠の可能性があるなら、それを見過ごすわけにはいかない。アルヴの情報を渡さないためにも絶対に見逃せない」
「敵だったから? でも今は敵意はないんだよ? 本当に敵だったら、やられる前にきっと反撃してたはず。でもヴァルトはしなかったよ」
「だからと言って……。ゲルダ、どうしてそこまでヴァルトの肩を持つんだ」
「違うよ! わたしはただ……そんなつもりじゃなくて!」

 わたしは、風竜(ヴァルト)だから肩を持っているんじゃない。
 元敵(ヴァルト)がわたしたちとは異なる立場だから肩を持っているんだ。

 外の世界には竜人差別がある。それは、外の世界で勢力の大きい人間や竜からみて、竜人が異なる種族だから。異なる存在だからだ。
 自分たちと違うから。だから差別する。迫害する。

 そんな世界はわたしは嫌だ。
 誰もがが手を取り合って平和に暮らせる世界を見たい。それがわたしの夢だ。
 自分たちとは違うから敵? 敵だからやっつける?
 ――そんなの間違ってる!

「わたしたちと違うから? だから敵なの? 敵だから信じないっていうの? そんなの差別するのと同じことじゃない」
「いや、それは違うよ。トロウはこの世界の人も竜も支配しようとしているんだ。そのトロウの仲間だったんだから、敵の味方は敵じゃないか」
「たしかにトロウは悪者かもしれない。でもヴァルトがイコール、トロウってわけじゃないでしょ? ヴァルトが支配を望んでいることにはならないよ」

 敵の味方だからきっと悪いやつ。そう決め付けるから、敵対することになる。
 実際に直接本人にそうなのか、と確かめたわけでもないというのに。
 そうやって何でも勝手に決め付けるから、迫害が生まれるんだ。

「フレイは言ったよね。今の外の世界は望む世界じゃない。だからこれから、自分たちの望む世界に変えていくんだって。フレイは敵と戦うことを望んでいるの?」

 そう聞くと、フレイははっとした様子で少し自信なさげに答えた。

「……! そ、それは……違う。僕だってできることなら戦いは最小限にしたい。そもそも僕が旅立ったのは戦争になるのを防ぐためだった。だけどもはやトロウを倒さない限り平和は訪れない。だからこれは必要な戦いなんだ……」
「でもヴァルトを敵とみなして戦うのが必要とは限らない。少しぐらい信じてみてもいいんじゃないかな。だって、相手を信じる心がないと、誰もが手を取り合える世界は絶対に生まれないよ。互いに信じ合ってるからこそ共存ができるんだから」
「それは……たしかに信じられたらいいけど。せめてヴァルトが敵じゃない確証みたいなものがあればいいんだけど……」

 フレイの心は揺らいでいる。説得するにはもうひと押しだ。
 そこでわたしは、ヴァルトにさっきの話はウソじゃなくて本当なんだと証明できるようなものは何かないのかと聞いてみた。

 炎の魔法を受けて体力こそ消耗していても外傷を負ったわけじゃない。だからさっきの話が事実だという物理的な証拠はない。しかし自分がトロウとはもう繋がっていないことを示すことはできるかもしれない。と、ヴァルトは言った。

「目に見える証拠じゃなくて悪いがな。ひとつトロウの秘密を教えてやる。おまえ何か茶色い石コロをトロウに持たされていないか?」
「石コロ? そういえば……城を抜け出すときにトロウに襲われて……そのあとに助けてくれた人がお守りだと言って小さな栗色の石をくれたけれど……」

 そう言ってフレイが石コロを取り出す。
 それを見てヴァルトは確信したようにうなづいてみせた。

「そいつだ! それはラタトスクといって、専用の呪文を唱えることで同じ石を持っている者の様子を見ることができる代物でなァ。竜将たちは連絡用に同じものを持たされているが……どうやってかは知らんが、やはりトロウはおまえにもそれを持たせていたみたいだな。ずっとそれを使っておまえを監視していたってわけだ」
「なんだって!? ……そういえば大神殿に行ったとき、僕たちは何らかの方法で監視されていたことを知ったんだ。アルヴ内では効力を発揮しないらしいけど、まさかこの石が原因だったのか」
「納得してくれたか? これだけ重要な秘密を漏らしたんだ。これでもオレ様がまだトロウの手下だと思うかァ?」
「ううん……。話の筋は通ってる、か」
「もしオレ様を受け入れてくれるなら、もっとトロウについて知ってることを話してやってもいい。今後はおまえの指示に従うから、戦力として扱ってくれてもかまわないぜ。どうだろうか、悪い話じゃねェと思うんだがァ……」

 フレイはしばらく考え込んでいたが、やがて決心して仲間たちに武器を下ろさせて、魔法を鎮めさせた。

「そこまで言うならわかった。こちらとしてもトロウを止めるための戦力は多いに越したことはないからな。僕たちと共に行動してもらおう」

 ただし、とフレイは付け加えた。
 まだ完全にヴァルトのことを信用したわけじゃない。だからあくまで見張る意味も兼ねて、とりあえずは味方として扱うことにするだけだ、と。

「みんな、それで異論はないな?」

 いくつか反対の声も上がった。それでも最終的にはフレイの決定にみんなが合意する形で落ち着くことになった。
 まだあまり信用していない空気があるのは気になる。それでも一応はフレイが、そしてその仲間たちが納得してくれたことにわたしは安心した。

「わかってくれてありがとう、フレイ。それからごめんね。いきなりわがままを言っちゃって。でもどうしてもわたしには、あれは正しい方法だとは思わなかった。だから……」

 せっかくフレイの旅の仲間にしてしまったのに、いきなりこんな出過ぎたまねをしてしまって申し訳ない気分になったけれど、フレイはそんなわたしの肩にそっと手を添えてくれた。

「気に病むことはないさ。間違ったことは言ってない。それに君のおかげで気付くことができた。そもそも僕は戦争を防ぎたいと思ってこの旅を始めた。なのにいつの間にか僕は、トロウを倒すことだけに躍起になっていたみたいだ」
「フレイ……」
「僕は一度こうだと思い込んだら、ついついその一点に向かって突っ走っちゃうタイプでね。だからゲルダ。また僕が大切なことを見失っていたら、そのときはまたこうやって、それを僕に教えてくれないか?」

 わたしにはフレイの求めるようなトロウと戦う力もないし、魔法だって大したことができるほどの腕前はない。
 だけどわたしなりの方法でフレイをサポートすることはできる。

 だって二人で誓ったんだ。
 わたしたちで誰もが手を取り合って平和に暮らせる世界を作っていくんだって。
 そのことだけは、わたしは絶対に忘れないし見失わない。
 もしフレイが道を見失いそうになったら、わたしがそれを教えてあげる。
 それが、わたしなりにできることだ。

「もちろんだよ。いつでも任せて」

 わたしは肯定の意味でフレイに抱きついた。
 するとこんどはフレイもしっかりと抱きしめて返してくれた。

 これでわたしの役割がわかった気がする。
 わたしはわたしにできることをやればいいんだ。
 だから、これから頑張ろう。フレイのために。そしてわたしたちの夢のために。




「……あァ~。その、おまえらな。お熱いところ悪ィんだがなァァァ」

 不意にヴァルトが話しかけてきた。そのせいでフレイは慌ててわたしから離れてしまった。なんかまた赤くなってるし。
 ああもう、せっかくいい感じにまとまったと思ったのに!

「なんなの? 今いいところだったのに」
「いや、すまねェな。ゲルダと言ったか。おまえには礼を言っとかねェといけないと思ってなァ。おまえがフレイを説得してくれたおかげだ。恩に着るぜ」
「わざわざそんなことで? 別にあなたのために説得したんじゃないんだから! 勘違いしないでよね」
「お、おう……!? そ、それはすまなかったなァ。まァこれからはオレ様もよろしく頼むぜ。それじゃあとりあえずオレ様はこれで……」

 ヴァルトはなぜか少し動揺しながら歩いて離れていった。
 まったくもう。わたしにはフレイがいるんだから邪魔しないでほしいな。
 さて、改めてフレイといい感じの続きをしようかな。と振り向くと、フレイは少し困惑したような顔をしていた。

「どうしたの?」
「ええと、ゲルダ。ちょっと前から思ってたんだけど、やっぱり君の発言はときどき誤解を招くような気が……」
「え? なんで? なにが?」

 わたしには何のことだか、さっぱりわからなかった。
 ただ正直に、わたしの夢みる世界のためにフレイを説得したのであって、ヴァルトのためとかそんなんじゃないって言っただけのつもりだったんだけどなぁ。


Chapter38 END

魔法戦争39
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