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魔法戦争39

最終更新:2017年09月17日 00:36

jelly

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Chapter39「風竜と風使い1:監視される者」



 合流した仲間たちが一度顔合わせを終えると、ヴァルトの乱入という騒ぎはあったものの、それぞれは再び更なる味方を求めて方々へと出発していった。

 あれからヴァルトはアルヴで大人しくしている。フレイ様はあいつを戦力として数えて我々の一員とすることに決めたが、俺はまだヴァルトのことを信用したつもりは全くない。
 まだ信用できない以上、あいつを自由に行動させるわけにもいかない。監視の目が必要だ。そこで俺は、他に心当たりのある味方になってくれそうな知り合いもいなかったので、アルヴに残ってヴァルトを見張ることをフレイ様に申し出た。

「わかった、オットーになら安心して任せられるな。僕はアルヴの街にいるから、万が一何かあったら、すぐに知らせてほしい」

 フレイ様は二つ返事で承諾してくれた。
 すると同様にヴァルトのことを気にしていたのだろう、クルスも共に残って監視に加わると言い出した。

「腐っても竜じゃからな。もしあやつが裏切って暴れ出したとしたら、お主一人で食い止めるのはちと厳しかろう。だから私も力を貸してやるぞ」
「それは助かる。クルス殿がいてくれるなら心強いからな。頼りにしている」

 そうと決まれば、さっそく行動開始だ。俺はクルスを伴いヴァルトのところへと向かった。
 当のヴァルトはというと、我々の一員に加わったとはいえ、とくに役割を与えられているわけでもないので、アルヴの街のはずれのほうでぼんやりとしていた。
 そんなヴァルトに声をかけると、驚くような素振りも見せず、想定通りだとでもいうような反応をみせた。

「やはり監視しに来たってわけか。おまえらが来ると思ってたぜェ。おまえらとは腐れ縁ってやつだからなァァァ」
「ほう? わかっておるのなら話が早い。ならば、さっそく聞かせてもらおうか。お主の真意とやらをのう。一体何が目的だ。スパイか? フレイの暗殺か?」
「チッ、人聞きの悪いことを言ってくれるぜェ。いきなり尋問ってわけかい。何度聞かれても同じだ。オレ様はトロウに捨てられ消されそうになったんだ。第三竜将を名乗るおかしな火竜に襲われて、とても勝ち目がなかったんで逃げてきた。そこでたまたまこの隠れ里にたどり着き、おまえたちを見つけた。それだけだ」
「はてさてその話、どこまで本当かのう。私はお主が襲われるのをこの目で見たわけじゃない。それにたまたまアルヴにたどり着いた? 出来すぎた偶然じゃな」
「出来すぎていようが、実際にそうなのだから仕方ねェだろうが」

 この隠れ里アルヴは、ここへたどり着く方法を知らない者は絶対にたどり着けないようになっているのだと、この地を治める神竜アルバスは言っていた。
 それはアルバスや、彼に仕える巫女たちの魔法による結界の作用によるものだ。だからいくら意図的にアルヴを探しても、見えない力がそれを阻害する。

 しかしこのアルヴには、訳あって自分の居場所を追われてここにたどり着き、そのままここに住み付いたワケありの住人たちも存在する。
 そう、トロウという居場所を失った今のヴァルトと同じような境遇の者たちが。
 彼らだってアルヴへ至る方法など知らなかったはずだ。それなのに彼らはここへたどり着いた。これはアルバスの説明に矛盾している。

 ヴァルトは嵐雲の中でアルヴへと向かう氷竜の姿を偶然見かけて、そのあとに続くことでここへたどり着いたという。
 あるいは結界による見えない力は運命にまで干渉して、真に求める者にはアルヴへと至る道を開くというのだろうか。

「このまま言い合っていても埒が明かない。クルス殿、ここはひとつヴァルトには行動で示してもらおうと思うのだが、どうだろうか」
「ふむ。というと?」
「我々の一員に加わる以上は、ただ遊ばせておくわけにもいくまい。そこでヴァルトにも役割を与えようと思う。本当に我々の仲間になるつもりなら、与えられた任務をきっちりとこなすはずだ。それを積み重ねることで、ヴァルトには自らの手で信頼をつかみ取ってもらう」
「なるほど。至極当然の道理じゃな」

 クルスはもちろんのこと、ヴァルト本人もこの提案に賛同した。
 自分は拾ってもらった身、ここでは一番の下っ端のようなものだ。だからどんな任務だろうがやってみせよう、と。

「これは面白い。さぁーて、それでは何をやらせるかのう~」

 疑いが晴れない以上はヴァルトを一人で行動させるわけにはいかない。こっそりとトロウにこちらの状況を報告されるようなことがあっては困る。だから、味方の勧誘にヴァルトを向かわせるわけにはいかない。
 では今の我々に他に必要なことはなんだろうか。

 最初はアルヴの周辺を警護させることを考えた。また今回のように敵陣の誰かがアルヴにたどり着いてしまうようなことがないとも限らないからだ。
 しかしこの案は却下だ。アルヴは雲で出来た土地で、その場所は常に一定ではない。だからこそその位置の特定を困難にしているのだが、その周囲に警護の者を置いたのでは、かえってアルヴの場所を外部に知らせてしまうようなものだ。

 次に身の回りのことを世話させることを考えた。
 これからさらに仲間が増えていけば、食料の調達や調理ができる者が必要になってくる。人数が増えれば、専属の者を置かないと片手間では間に合わないだろう。

 それに今はアルヴを拠点にしているが、またいずれ移動する必要が出てくることもあるだろう。そういった場合は、グリンブルスティとフレイヤ様のヒルディスヴィーニ号が拠点になる。仲間それぞれに部屋を用意する必要があるし、そうなれば船内の掃除や備品の管理も誰かがやらなくてはならない。
 グリンブルスティはこれまでどおり自分がやるとしても、ヒルディスヴィーニは大きな船なので、俺一人では手が回らないし、複数人の手が必要になるだろう。

 しかしこれも却下だ。身の回りのことをやらせるなら、なおさら信頼のおける者でなければならない。もし食料や料理にこっそり毒などを混ぜられれば致命的だ。そもそもあの風竜に調理や掃除のような細かい作業ができるとも思わない。

 考え方を変えよう。風竜は飛ぶことに特化している。だからその能力を最も活かせるのは、もちろん空を飛ばせることだ。何かを運ばせたり収集させたりするのが向いているのだろうが、信用できるまでは食料を集めさせるわけにもいかない。
 しかしこの何かを集めさせるという考えは悪くないと思う。
 ならばヴァルトに任せるべき仕事は――

「ヴァルト。おまえには資材を集めてもらおうと思う」
「資材ィィィ? 資材と言われてもわからん。具体的には何のことだ」
「木材や金属を集めてほしい。知ってのとおり、この空ではそういったものは貴重だ。味方の数が増えれば荷物も増えるだろう。だから木箱や収納棚のようなものを用意したいし、またいつか船を修理するようなこともあるかもしれない。それにそういった資材は大地の魔法の媒体にもなるから、備蓄しておけばフレイ様やクルスの魔法においても役に立つはずだ」

 媒体がなければ大地の魔法は力を発揮できない。アルヴのように雲ばかりの土地や、ニヴルのようにすべてが氷でできている場所では、それは全くの無力だ。
 しかし木製や金属製のものを身に着けていれば、それを媒体にして多少は大地の魔法が使えるようになるはずだ。
 もちろん媒体に使えばそれは消耗されていくので、備えは十分に必要になる。飛行力に優れる風竜なら、そういったものの収集には適任だろう。

「貴重だからといって、全然見つからない程のものでもない。いくつかの浮島には木が生えているところもあるし、剣や槍などが流通する程度には金属も採れる。そういえばたしか、ドローミの島にはどっちもあったな。まずはあそこから資材を運んできてもらおうか」
「チッ、ただの運び屋かよ。まるでガキの使いじゃねェか」
「不満か? 別に構わないんだぞ。嫌ならずっとアルヴに閉じ込めておくまでだ」
「フン、言ってみただけだ。やらないとは言ってねェだろ」
「それならさっそく出発しろ。トロウともう繋がっていないと確信が持てるまでは我々が同行する。くれぐれもおかしな気は起こさないことだな」
「……こいつめ。ニンゲンのくせにずいぶんと上からものを言ってくれる。ああ、わかった。監視だろうが何だろうが、勝手にしろ」

 悪態を吐きながらもヴァルトは翼を広げて飛び上がった。
 向かう先はドローミの島。あそこには森もあったし、ドローミの残したくず鉄が山のようにある。大地の魔法にかかれば加工は苦労しないので、くず鉄でも豊富な資源として期待できる。
 地竜のクルスの背に乗ると、すぐに俺たちもヴァルトのあとに続いた。




 雷雲を抜けアルヴの領域外へ出る。
 きっと本気を出せば風竜は俺たちを置いて飛び去ってしまうこともできる。ましてクルス曰く、地竜はどちらかといえば飛ぶことを得意としていないらしいので、そうしようと思えばヴァルトは簡単に逃げ出すこともできる状況にあった。
 しかしヴァルトはそうしない。速度を抑えてクルスと並行するようにしてドローミの島へと飛んでいる。少なくとも今は大人しく従うつもりらしい。

「ま、みすみす逃がすつもりなど毛頭ないがのう。すでに仕掛けは施してある。いざとなれば、私がひとつ指を鳴らすだけでいつでもあやつを動けなくしてやれる」
「さすがクルス殿。それも大地の魔法で?」
「いや、ちょっとした魅了魔法の一種じゃな。ああいう思考が単純なやつは催眠にかかりやすいといったところかのう」

 精霊魔法だけでなく精神魔法まで扱えるのがクルスの心強いところだ。
 これまで会ってきたどんな魔道士も竜も、精神魔法を扱える者はほとんどいなかった。味方のうちで他にそれができるのは、変性の魔法に秀でたフレイア様やプラッシュ殿。あと、あの念波で話しかけてくる黒猫ぐらいのものだろう。
 つまりクルスはより上位の難しい魔法を使いこなせるということだ。そういう後ろ盾があるからこそ、安心してヴァルトを泳がせることができる。

(……いずれボロを出すに決まっている。俺はずっと目を光らせているからな)

 そう思いながらクルスの背中の上からヴァルトのほうをじっと見つめていると、視線に気付いたのかヴァルトのほうから俺に話しかけてきた。

「そういやァ、前に話したラタトスクのことなんだがなァ」

 ラタトスク。トロウが監視するための媒体に使っていたという栗色の石だ。

「前にも言ったが、竜将はそれぞれそのラタトスクを持たされている。この意味がわかるか?」

 ラタトスクを持たされている意味。それはおそらく、トロウが手下の竜将たちと連絡を取るためだろう。あるいはその動きを把握するための監視も兼ねているのかもしれない。
 その石を持っている者の行動はトロウには筒抜けと言ってもいいだろう。アルヴの中では結界の力で効力を発揮しないそうだが、そういえば今はアルヴの外だ。

「――!! ま、まさか。すでに現状をトロウに知られている!? ヴァルト、貴様……! やはりスパイが目的でッ」
「いや待てって! オレ様が言いたいのはそういうことじゃねェ! いくら監視の石でもしゃべってない頭の中のことまで読むような能力はねェよ! ……ええと、つまりだなァ。オレ様が言いたいのは……確かに今のこの状況はトロウに見られているかもしれねェ。すなわち、おまえらとオレ様が仲良く並んでるこの状況をだ」
「それが何だというんだ」
「もしオレ様がまだトロウの命令で動いてるなら、敵であるおまえらと戦わずにこうして並んでるってェのは、明らかに命令に背いてるわけだろ。だから……オイ、最後まで言わせる気かよ! いい加減わかれよ」

 つまりヴァルトは、トロウに見られているかもしれない状況でトロウの命令に反することをやってみせている。だから自分はもうトロウの命令で動いてはいない、と言いたいらしい。

 それを聞いていたクルスは、しかしそういう作戦かもしれない。演技の可能性もある。と、首を横に振った。

「チッ、どこまでも頭の固いやつらめ。だったらもう言わねェよ。ほら、さっさとドローミの島へ行くぜ。置いてかれんじゃねェぞ!」

 目に見えて機嫌を悪くした様子のヴァルトは、速度をクルスに合わせるのをやめて、一気に先へと飛び去ってしまった。魔法の効果範囲外に逃げられては困る、とクルスは慌ててその後を追いかけるのだった。




 しばらくしてドローミの島に到着すると、ヴァルトは逃げることなくそこで我々の到着を待っていた。それから「遅い」だの「監視役のくせに情けない」だの散々悪態をついてみせたが、それ以外のことには文句も言わずに素直に資材の収集にあたった。

 ひとたびヴァルトが羽ばたけばその風圧で木々はなぎ倒され、さらにはまるで角材のように整った形、大きさで資材が積み重なって山を作っていく。

「ほぉー。お主、その図体でなかなか器用なモンじゃのう」

 クルスが感心した声を上げた。
 俺の目にはただ大きな翼でヴァルトが羽ばたいているだけに見えるが、どうやら木をなぎ倒すと同時に風を巧みに操って、風圧と衝撃波で木の表面を削って加工をも行っているらしい。

「ふん。クルス、おまえとの勝負はまだついていないことを忘れんなよ。オレ様はいつかおまえにぎゃふんと言わせてやるために、風の扱い方を特訓してたんだぜ。今のオレ様は以前よりもずっと自在に風を操れる。もう暴走なんてしねェ」
「そいつはいい。その特訓とやらが意外な形で役に立ったではないか。これは私が魔法で加工するよりもずっと早いんじゃないか? 良かったのう、ヴァルト。これに関してはお主の勝ちということでいいぞ」
「チッ、うるせェ。こんなので褒められても、ちっともうれしくねェぜ」
「ほーぅ。そうかそうか。少しうれしそうな顔に見えるのは私の気のせいかの!」
「うるせェ馬鹿。黙ってろ」

 そう言いながらもヴァルトは淡々と着実に木材の山を築いていった。それは僅かずつではあるが、俺たちのヴァルトへの信用する心も積み上げていった。

 これまでにヴァルトは怪しい素振りを何ひとつ見せることはなかった。これは敵に塩ならぬ資材を送る行為。ともすれば、結果的に敵を助ける行為だ。
 もし本当にこれが罠なのだとしたら、ここまで協力的な態度を取るとは考えがたい。もし本当にこれが演技なのだとしたら、ヴァルトはずいぶんな演技派だ。

 しかし奴の性格を考えると、ヴァルトは裏表がなく単純というか馬鹿だ。ウソをついたり不意打ちをしたりするよりも、ただただ真正面からろくに作戦も立てずに突っ込んでいくようなタイプだ。
 それは資材集めの間に交わした会話からもよくわかった。

「――ところでヴァルト。そのラタトスクなんだが、さっきの話しぶりからすると今も持ってるわけだな。トロウと手を切ったのなら、なぜ捨ててしまわない?」
「ふん。そんなもん、捨てられるんならとっくに捨ててるぜェ」
「けどそうしない。何か理由でもあるのか」
「フレイは直接、石コロのままで渡されてたみたいだが……オレたち竜将はラタトスクを体内に埋め込まれてんだよ。なんだかよくわからねェ魔法でな。まったく、気持ち悪ィったらありゃしねェぜ」
「体内に……それはたしかにぞっとしない話だな」
「はァ? ゾッとするだろうがよ! 石を埋め込むなんてトロウのやつ正気じゃねェぜ! 冗談じゃねェ。変な病気とかにならないかと怖くてしょうがねェぜ」
「……ヴァルト。『ぞっとしない』というのは、怖いという意味の『ゾッとする』とは全く別のことばだ」
「うるせェ。そんな小難しいこと知るか。とにかくオレ様はあのトロウの奴が心底嫌いになったぜ! 石コロもそうだし、ちょっと失敗したぐらいで消されそうになるし、面白いものを見せてやるってんで手を貸してやったのに、何ひとつ面白いことなんてねェじゃねェェェか! この恨みはいつか倍にして返してやる」
「……おまえの気持ちはわかったが、今もトロウに見られてるかもしれないって話だろう。さっきのそれ、全部聞こえてるんじゃないか?」
「知るかよ、そんなもん。だったらわざと聞かせてやる。おい、トロウ! 聞いてんだろ、てめえ。今に見てろよ。絶対に仕返ししてやるからなァァァ! オレ様はおまえの嫌いなフレイ側についてやるぜ、ざまあみろ! 今はまだ敵わないかもしれねェけどな。そのうち仲間を集めてもっと戦力をつけてユミルに攻め込んで行ってやる! いいか、これは宣戦布告だァァァ! 覚悟しとけ。こいつは戦争になるぜェ。今にきっとユミルとアル――」
「おい馬鹿!! これ以上勝手にこっちの事情をしゃべるはやめろ!」
「痛ってェ! なんで殴るんだ、この野郎ォォォ!」




 ひと悶着あって、せっかく集めた資材をほとんどだめにしてしまって、クルスの力ずくの仲裁によってようやく落ち着いてから思った。

 少なくともヴァルトには芝居をうつこともウソをつくこともできなさそうだ。
 トロウについて思っていることも、おそらくあれが本心なのだろう。

 喧嘩を経て友情が芽生える、なんていうのは出来過ぎた話で、あんなものは所詮フィクションの中だけだろうと思っていた。しかし本音をぶつけ合ったからなのだろうか。なぜかはわからないが、今はヴァルトのことを信じてみてもいい、という気持ちが俺の中に芽生えていた。

 クルスのツタに拘束されて逆さ吊りになった状態で、俺とヴァルトは顔を見合わせた。

「ハァ……ハァ……。ヴァルト。お、おまえのこと、俺はますます目が離せなくなったぞ」
「……うぐぐ……。なんだよ……まだ疑ってんのか。この石アタマめ」
「いや、そうじゃない。もう監視はしない。だが俺はおまえのことが放っておけなくなった。また勝手に暴走して、あることないことしゃべられては困る」
「あァん? 暴走してねェよ。オレ様は特訓したんだからな」
「魔法のほうはな。だがおまえは短気だ。感情のほうが暴走する。おまえを見てると誰かを思い出すよ。赤くてちょっと生意気なあいつをな……」
「何ィィィ!? それはセッテのことか。オレ様をあんなガキと一緒にすんじゃねェェェ! オレ様は短気じゃねェし、ましてやおまえの弟でもねェ!」
「ああ、性格は全然違う。だがなんだろうな、この感じ。この放っておけない感じは、セッテを見ているときと同じような感じがする。見てて心配になってくる」
「ふざけんなァ! ニンゲンの分際で上から目線でものを言いやがって! おい、クルス。さっさとオレ様を解放しろ! どっちが上か思い知らせてやる」

 ゆさゆさと身体をゆすってミノムシのように揺れるヴァルトの姿を見て、クルスはぷっと吹き出した。

「くっくっく。ヴァルトぉ~! お主がこやつの弟のようじゃと? これは面白いのう。たしかにどちらも風を使うし、クエリアの話ではオットーは”竜経験者”だそうではないか。私はお似合いだと思うがのう~! くっくくくくく」
「うるせェェェ! やっぱりおまえらだけはオレ様の敵だァァァ!」
「まぁこんな聞き分けの悪いやつじゃが、頑張れよ。リンドヴルム」

 その後、苦労してへそを曲げてしまったヴァルトをなだめると、改めて資材集めを再開した。ドローミの島の森を木材に変え、主のいなくなったドローミの研究所からくず鉄をかき集め、何度も往復してそれをアルヴへと運んだ。
 ある程度の数を運び終えた頃には、もう日が暮れて空は濃紺に染まっていた。
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