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魔法戦争62

最終更新:2018年02月11日 00:37

jelly

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Chapter62「フリード遠征8:イケメンかよ。惚れちまうだろ」



 地獄だ。

 フレイヤ王女の姿に変えられて、王女の格好をして人前を歩かされているだけでも苦痛なのに、なぜ大臣の息子なんかに言い寄られなくちゃならんのだ。
 何度も言うが俺は男だからな。男色の趣味なんて微塵もないんだぜ!?

 しかしそんな魂の叫びも届かず、大臣の息子オスマンは力ずくで俺の身体を押さえつけると、目を閉じて口を突き出しながら顔を近づけてくるではないか。

 てめえ、冗談じゃねえぞ! まじで無理! やめて、死ぬ!!

 なんとか逃げ出そうと抵抗するも、こいつやけに力が強い。
 いつもの俺ならこの程度の男に力で劣ることなど絶対にあり得ないのだが、今はフレイヤの姿になっているせいか、自分の力もそれ相応に弱体化しているのだ。

 振り返ってヴァルキュリアの面々に助けを求めるも、彼女たちは怒りに身を震わせたり真っ青になって慌てたりするだけで、助けの手を差し伸べてはくれない。
 いや、できないのだ。ただの従者にとって、大臣の権力というのは抗うことのできない絶対的な力。下手なことをすれば城から追放もあり得るらしい。
 ちょっと待て。フレイヤ王女には権力はないのか? 大臣に頭上がんないわけ?

 ユミル国の権力事情なんて俺は知らない。そんなことはどうでもいい。
 とにかく今はこの人生最大の窮地をどうにかしてくれ! 誰でもいいから!!

 だが無常にもオスマンの顔は着実に近づいてくる。
 ああ、その光景がスローモーションで見えるぞ。そして脳裏には走馬灯が。

 脳裏?

 そうだ、俺の脳内にはフレイヤの意識が憑依している。
 精神だけの状態でも魔法は使えるとフレイヤは言っていた。
 この危機的状況を打破するにはもう魔法に頼るしかない。
 フレイヤ様、どうか! なにとぞ、お願いします!

 しかしいくら念じても唸っても、脳内にフレイヤからの返事は届かなかった。

 ……はぁ!? もしもし、ちょっとお姫さん?

 返事がない、お留守のようだ。まさか逃げやがったのか。
 そういえば憑依はいざとなればいつでも解除できるとか言ってたような……。

 万事休す。
 そして脳内には最悪の想像が展開され始めた。

 結局抵抗虚しく、このいけ好かない野郎に手篭めにされた俺はあんなことやこんなことをされて陵辱されるに違いない。
 中身が男だということも知らずに、このオスマンはそのままフレイヤ王女(俺)を手中に納め、権力にものを言わせて結婚を迫ってくるってわけだ。

 そして初夜は見たくもない男の裸体を……地獄だ。
 さらに俺は男なのに、この男によって抱かれ……地獄だ。
 やがて望んでもいないこの男の子を孕むという展開……地獄すぎるぜ。

(……はぁ。さすがにその想像は下品すぎるんじゃないの。ドン引きね)

 脳内に響く鈴を転がすような声。
 おお、神さま女神さま。じゃなかった、フレイヤ様!
 このやろう、おまえ一人で逃げたんじゃなかったのか。

(人聞きが悪いわね。ちょっと魔法を使うために集中してただけよ。念波で助けを呼んだから、もうすぐ助っ人がやって来るはずだわ)

 その言葉通り、すぐに城の奥のほうから一人の青年が走ってくる。
 そしてがっしりとオスマンの腕をつかまえて言った。

「やめないか! フレイヤ様が困っておられるではないか。いくら大臣の息子とはいえ、このような無礼な振る舞いは許さんぞ」
「ん? なんだ、エインヘリアルの隊長か。君さぁ、バルハラの治安維持部隊が城で何をやってるんだい? こんなところで油を売ってないさっさと仕事に行けよ」
「もちろん仕事中だとも。城だってバルハラの中にあるのだからな。その治安を乱すような行為を見逃すわけにはいかん」
「なんだと? 僕はただフレイヤ王女と楽しくお話してただけじゃないかぁ」
「ほう。では本当にそうなのかフレイヤ様に聞いてみようじゃないか。そうだ、せっかくだから大臣にも立ち会ってもらおうか。もしおまえの言う話が事実なら、フレイヤ様とお近づきになれるいいチャンスかもしれないぞ?」

 そう言って、エインヘリアルの隊長はこちらに視線を送った。
 なるほど。つまりは、おまえの親父に言いつけてやる作戦か。気に入った。
 俺は返すように頷いてみせると、覚悟しとけと言わんばかりにオスマンをきつくにらみつけてやった。

「そ、そうだ。父上から大事なお使いを頼まれていたんだった。いやー残念だ。フレイヤ王女を父上に紹介するのはまたこんどにしよう。はっはっは……失礼っ!」

 するとオスマンは慌てた様子で一目散に逃げていくのだった。
 父親の権力を借りて威張ってるくせに、肝っ玉はずいぶん小さいようだ。

「行ったみたいだな。大丈夫だったか、フレイヤ?」

 オスマンが視界から消えたことを確認すると、エインヘリアルの隊長は笑顔を見せながらこちらに手を差し伸べてきた。……というか呼び捨てかよ。
 助けてくれたのはありがたいが、王女に対してやけになれなれしいな、こいつ。
 一体何者なんだと考えていると、フレイヤが彼について説明してくれた。

 この男の名はスキルニル。
 さっきも言われていたが、バルハラ治安維持部隊の隊長をやっている。
 もともとは城下街のガキ大将で、どうやらフレイの幼なじみらしい。
 子どもの頃から親しい相手で、フレイヤにとっても兄弟のような感覚らしい。

(少なくともあなたよりもずっと信頼できる人よ)

 はいはいそうですか。
 どうせ俺はうさんくさい男ですよ。

「どうしたフレイヤ。ぼーっとして、おまえらしくないな」

 おっと、返事もせずにこいつを放っておくわけにもいかない。
 とりあえず適当に話を合わせておかなければ。

「な、なんでもありませんよ。お、私は大丈夫です。助けてくれてありがとう」
「…………? なんか変だぞ。本当に大丈夫かよ」
「いえいえ、本当に大丈夫ですんで。それじゃあ私は急ぎますからこれで」

 スキルニルだかなんだか知らないが、こんなやつに構っている暇はない。
 こんな過酷な任務はさっさと終わらせてしまうに限る。トロウの元へ急ごう。
 もちろん助けてくれたことには感謝しているがな。
 ありがとう。そしてさらばだ、青年よ。

 彼を後にしてその場を去ろうとすると、しかしスキルニルはフレイヤ(つまりは俺のこと)を引き止めた。

「待て。おまえ、本当にフレイヤか?」

 げっ。さすがに幼なじみの目は欺けないのか。
 慌てて言い訳をしてもボロを出すだけだ。俺は素直にフレイヤに助言を求めた。

(さっき魔法で彼の精神を読んだのだけど、どうやら彼は大丈夫みたいよ。ここは事情を話して彼を味方につけるべきだと思うわ)

 なるほど、それなら安心だ……ってちょっと待て!
 事情を話すっていうことは、つまり俺の正体が俺、じゃなくてこのフレイヤの中身が実は俺だってことを、わざわざ俺の口から教えるってことだろ。
 つまり俺がフレイヤ王女の姿になっているってことを話すってことで……。

(あら。何か問題でも?)

 そりゃ問題あるだろ。だって王女様の中身が男なんだぜ?

(ないでしょ。そういう作戦なんだから、話せばわかってもらえるわよ)

 なくないだろ! 色々とほら、例えば俺の気持ちの準備とか……。

(そういうことなら全く問題ないわね。いいから早く話しなさい。王女命令よ)

 ひでえ。

 俺はしぶしぶこれまでの経緯をスキルニルに説明した。
 ヒルデたちも一緒になって説明してくれたので、変な誤解をされることなく彼は作戦に理解を示してくれたようだ。

「ははぁ、なるほどな。それで合点がいったよ。前からフレイヤの様子がおかしいとは思ってたんだ。やっぱりトロウに洗脳されてたんだな」
「うすうす感じていたのか」
「オレは昔からフレイヤのことを見てきてるんだ。気付かないわけがない」
「なるほど。ところでずっと思ってたんだが、おまえは洗脳とかされてないのか」
「ああ、大丈夫だと思う。たぶん城のみんなはトロウにうまく騙されてるだけで、操られたりはしていないんじゃないかな」

 スキルニルの話を聞いてずっと疑問に思っていたことが解決した。
 外の世界ではムスペやニヴルが攻め落とされたり、バルハラ城がいかにも怪しい暗雲に包まれたりときな臭いことこの上ない。しかしどうやら城内に暮らす者たちはトロウにいいように言い包められて、一切の疑問を抱くこともなく普通に生活を送っているらしい。……いや、それまさに洗脳って言うんじゃないのか?
 ともかく、フレイヤのように操られていたわけではないらしい。

「ムスペの件は先にあちらが手を出したので正当防衛の結果ということになっているし、ニヴルまでトロウの支配下になっていたとは知らされていなかった」
「そうか……。それにしてもフレイヤが操られていると知っていたなら、なおさらさっきはよく助けに来てくれたな。罠とは思わなかったのか?」
「ああ、フレイヤの声が聞こえた気がしたんだ。操られていたときのフレイヤじゃない、オレのよく知るフレイヤの声がね。そのあとで変な態度を取られたんで、やっぱりおかしいと思って疑ってしまったんだが」
「すまんな。その声はたしかにフレイヤ本人だが、おまえの目の前にいるのは中身が俺のフレイヤ王女だ」
「まったく驚いたよ。身代わりが男だなんて。誰か他に代役はいなかったのか?」
「そりゃ俺が聞ききたいぜ……」

 フレイヤとの脳内会話は俺以外には聞こえないが、だからといってフレイヤが他人と話せない状態にあるわけではないらしい。
 助けに彼を呼んだときと同様に、テレパシーの魔法を介してフレイヤはスキルニルと会話することができるようだ。
 もっともその場合は、フレイヤとスキルニルの会話は俺には聞こえないのだが。
 スキルニルの返答と相槌だけが俺には聞こえるのだが、なにやら楽しそうな会話をしているようなので少し悔しい。
 もしかしてフレイヤって俺にだけ厳しく接してないか?

 その後、フレイヤに説得されたスキルニルは、このまま俺たちに同行して力を貸してくれることになった。
 もともと彼はトロウに支配されたこのユミルでエインヘリアルの隊長として動いていたので、フレイヤの隣に彼が立っていても怪しまれる原因にはならない。

「トロウはおそらく王の間にいるはずだ。所詮オレは治安維持部隊。そう気軽に陛下とはお会いできない。だけどフレイヤ王女なら話は別だ」
「ああ。さっさとトロウを騙してこんな陰気なところはトンズラしたいね」
「ところで協力してやる代わりにひとつだけ言わせて欲しいことがある」
「おう、なんだ?」
「あまりフレイヤの顔で品の無い言葉を口にしないでくれないか」
「……すまん。努力はする」




 その後スキルニルに案内されて、俺たちはバルハラ城の王の間へと向かった。
 城のホールを抜けて中庭を囲む回廊を通り奥へ。再び屋内へ入るとそこは謁見などに使われる玉座の間だ。
 その部屋の左右にある階段を上ると兵士の訓練場。そこから複数の通路が伸びていて、そのうちのひとつを行くと螺旋階段があり、それを上り切ったさらに先の通路を行くとようやく王の間が見えてくるという。
 ……ううむ、これは俺一人じゃ絶対に迷子になりそうだ。

 天馬は階段を上れないのでヴァルキュリアたちは中庭で待機だ。王の間は塔の上にあり広いバルコニーが隣接しているので、いざというときにはそこから救援に駆けつけることができる。

 その螺旋階段へと向かう通路を抜けた頃……いや、王の間への通路だったか。
 やけにこの城は迷路のように入り組んでいるのでよくわからなくなってきたが、とにかくヴァルキュリアたちと別れたあとのどこかで俺たちは一人の男に声をかけられた。

「おっと……。ちょっと待ちな、お二人さん。この先は王の間だ。あんたらのようなのが一体何の用があるっていうんだい?」

 これまでにすれ違った誰とも雰囲気がまるで違う男だった。黒ずくめの服装をしていて、一目で使用人や兵士のような城に仕える者ではないことがわかる。

「その言葉、そのまま返させてもらおうか。おまえはどう見てもこの城の者じゃないな。一体ここで何をしている。貴様、何者だ?」

 スキルニルは腰に提げていた剣を抜き放つと、その切っ先を突きつけながら鋭く問いかけた。
 そんな様子を見て黒ずくめの男はふっと鼻で笑ってみせる。

「ニンゲンというのは視覚に頼りすぎているんだよなぁ。だから見た目だけでしか物事を判断することができない。だったら、これなら俺がわかるかな?」

 そう言うなり男の姿が瘴気のような黒い霧に包み込まれる。そして霧が晴れるとそこには見上げるような漆黒の竜の姿があった。

「お、おまえは……第一竜将のアリアス!!」

 スキルニルは驚いたような声を出した。
 俺はそのアリアスとやらは知らなかったが、竜将というキーワードには聞き覚えがあった。
 第五竜将ヴァルト、第四竜将ファフニール、第三竜将イフリート……。
 トロウの手下どもに与えられている称号だ。

(第一竜将アリアス……。私も操られていた間のことは記憶が少し曖昧だけど、あいつのことはわかるわ。アリアスはトロウの配下の中でも特別よ。あいつだけはトロウに意見することができる。トロウの右腕だとも言われていた気がするわね)

 くそっ、そいつはとんだ大物だ。
 だが慌てるのは早いんじゃないか。まだこちらの正体がバレたとは限らないぞ。
 うまいこと言ってやり過ごせるのでは。そう思って俺は第一声を発した。

「わ、私はフレイヤです。トロウ様に次の作戦のことで呼ばれたので城に戻ってきたところです。そういうあなたこそ、トロウ様の腹心なら私のことを知らないわけじゃありませんよね? それを知らないというのなら、それはおかしい。もしかしてアリアスを名乗る偽者なんじゃないですか?」

 我ながらけっこう強気に出たものだ。偽者はこっちなのに。
 もしかしたらフレイヤの精神を憑依させていることで、お姫さんの強気な本性が少し俺の精神に影響したのかもしれない。

 それを受けて漆黒竜は再び笑ってみせた。

「へぇ……。フレイヤ王女だったのか。そいつは気がつかなかったなぁ。なにぶん俺はハナが利くもんでね。臭いが違うからてっきり別人なのかと思ったぜ」
「に、臭いが違う!?」
「ずいぶん男臭くなったようだが……香水でも変えたのかな、フレイヤ王女様?」

 まじかよ。これ絶対にバレてるぞ。
 アリアスのやつめ、絶対に確信した上でおちょくってるに違いない。
 おい、フレイヤ。魔法で何とかならないのか。

(臭いを変える魔法!? たしかにものの性質を変えるのは変性魔法の領域ではあるけど、物質でも動物でもないなんて……そんなのやったことないわよ!)

 なんてこった。まさかトロウに会う前に作戦が失敗することになるなんて。
 こうなったら仕方がない。振り返って猛ダッシュでヒルデたちと合流してマッハで逃げる! もうこれしかないな。

 撤退することを告げようとスキルニルに一歩近寄ると、なんとスキルニルは俺の両手を取って正面からこちらに向かい合うように立った。
 ……え? おまえ何やってんだ、こんなときに?

「いや、この方は間違いなくフレイヤ王女だ。その王女様を男臭いだと? 貴様、第一竜将だかなんだか知らないが、無礼が過ぎるのではないか?」
「ああ、そうかもしれない。もし本当にそれが本物の王女ならな」
「だったら今からそれを証明すれば、信じてそこを通してくれるんだな」
「証明だと。はんっ、そんなことできるわけがないだろう」
「ならばこれを見るがいい」

 そう言ってスキルニルは勢いよく俺の身体を引き寄せた。
 あまりに一瞬のことなので何が起こったのか、すぐには理解できなかった。
 ただハッとしたときには、スキルニルの顔がものすごく近くにあった。

「んんんんん~っ!?」

 そのとき俺の脳内にはある効果音が再生されていた。
 なんというか、こう、ズキュゥゥゥン! という感じのあれが。
 いやいやいやいやいや、ちょっと待て。
 俺は一体どうなったんだ。こいつ何しやがった。

 スキルニルはアリアスに向かってこう言った。

「おまえが言うように、もしこれが偽者のフレイヤ王女で、しかも男だったとしたら、こんなふうにキスなどできるわけがない。これでは証明にならないか?」

 な、何を言っているんだこいつは!?

 というかそれってつまり俺は……。
 嘘だろ……運命の人のために残していた大事なファーストキスだったのに……。
 それがまさかこんな形で奪われてしまうなんて! そんなひどい!

 しかしなぜだろう。
 オスマンのクソ野郎とは違って、絶望的な地獄のような嫌悪感はなかった。

 そりゃたしかにスキルニルは男だけど、よく見ると顔も整っているし、中身が俺とはいえフレイヤ王女を全力で守ろうとしてくれているのが伝わってくるし、なんと言えばいいのだろう。
 不思議と悪い気持ちはしなかった。

(は!? ちょっとやめて)

 もしやフレイヤの精神を憑依させている影響がここにも!?
 ああ、俺の中の何かが目覚めようとしているのか! しているのかッ!?
 そう思うとスキルニルってけっこうイケメンだし、アリな気がしてきた♂

(黙らないと消し炭に変えるわよ)

 ……俺は正気に戻った!

 ともあれこの衝撃的な行動は効果があったらしく、アリアスは唖然とした顔をしながらも黙って俺たちを見逃してくれた。
 いや、せめて何か言ってくれ。なんか気まずいじゃねえか……。


 後にスキルニルはこのときのことをこう語っている。

「中身がフリードだろうが、同じ身体にフレイヤが憑依してるんだろ? それにここで正体がバレたらいずれフレイヤの身に危険が迫ると思った。そう思ったからこそオレは迷わず行動に移れたんだ。それがフレイヤを守ることに繋がるんだから」

 イケメンかよ。スキルニル、おまえ性格がイケメンかよ。


 まあとにかく、こうしてアリアスの追及が逃れた俺たちは、なんとか王の間の前までたどり着くことができた。
 目の前には金色に縁取りされた重厚そうな立派な扉がそびえ立っている。

 この先にトロウがいる……。
 隣に立つスキルニルと顔を見合わせ、互いに頷き合う。
 そして武者震いを抑えながら、俺は王の間の扉に手をかけた。


Chapter62 END

魔法戦争63
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