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  • メタディア外伝 chapter12

メタディア外伝 chapter12

最終更新:2012年03月24日 02:46

iglys

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第十二章「Así que decidimos」

(執筆:日替わりゼリー)


 ゲンダーは悩んでいた。これから自分は何をすればいいのか、ということを。
 ヘイヴに頼まれたことは至ってシンプルだった。メイヴの未知の部分を解明すること、そしてそれを成すためにメイヴの全てを正しく扱えるものを捜すことである。
 ガイスト博士やその先生にあたるというスヴェン博士ならば、メイヴの謎を解明してくれるかもしれない。もしそうであれば、ヘイヴに頼まれたことの半分はこれで達成されたことになる。そして二人の博士が本当に捜していた人であるならば、あとは時間がもうひとつの目的も達成させてくれるはずだ。
 ゲンダーは口に出しては言わなかったが二人の博士、とくにガイスト博士を信頼していた。ガイスト博士からはなんとなくヘイヴに似た雰囲気が感じられたからだ。
 さて、そうなるとあとは待っているだけでヘイヴからの頼みは完遂される。晴れてゲンダーの役割もこれで終わりというわけだ。
 しかし、ゲンダーはそれを素直に喜ぶことはできなかった。むしろ、ある種の後悔のようなものを感じていた。
「オレの出番はオシマイなのか?オレには、もうこれ以上できることはないのか?」
 長いようであっという間だった。
 大樹にぶつかったり、変な光やミサイルの攻撃を受けた。危ないところをグメーシスに助けられたり、メイヴが暴走して心配になったりもした。
 山あり谷ありのドタバタ珍道中だったが、それがゲンダーには楽しかった。それがもう終わってしまうのかと考えると、何か大切なものを失くしてしまったような気持ちが溢れてくる。これは、寂しさ…?
 目的地のマキナに到着してゲンダーの目的は少しずつ完了を迎えつつある。
 スヴェン博士は地震で散らかってしまった研究所の整理をあらかた終えたようで、ガイスト博士がメイヴを修理するのを手伝っていた。二人の手にかかれば、メイヴが完全復帰するのもすぐだろう。もしかすると、メイヴの謎も意外とすぐに解き明かしてしまうのかもしれない。
 ―これからオレは何をすればいいんだろう。

 いつの日だっただろうか。あれは、そう。オレが初めてヘイヴに会った日。オレが生まれた日だ。
(眩しい…。ここはどこダ?)
「…おかしいな。エラーもすべて潰したし、バグも修正した。動作も問題なし…。ふむ、感度の調整が足りないのか?」
 目の前に知らない誰かがいた。とは言っても、今まで他の誰かに会ったことはなかったので、知っている者などいなかったのだが。
「これでどうだろうか」
 目の前が真っ白になったり真っ黒になったりするのを何度か繰り返すうちに、うまく周囲を把握できるようになった。
 オレは何か台のようなものに乗せられていて、体のあちこちに線や機械が取り付けられている。線の繋がっている先を目で追っていくと別の台の上に四角い箱がいくつかあり、そのひとつにオレが見ているものと全く同じ光景が映し出されていた。
 その箱を見て何かを確認すると、目の前にいるそいつはオレに声をかけてきた。
「おはよう。私の設定に間違いがなければ、私の声が聞こえているはずだ。聞こえていたら返事をしてみてくれ、キョクゲンダー」
「キョク…ゲンダー…?」
「キョクゲンダー。それがおまえの名前だ。うまく聞こえているようだな。改めておはよう、キョクゲンダー。私の名はヘイヴ、おまえを作った科学者だ」
「ヘイヴ…。カガクシャ…?」
「科学者だ。わからないか、科学者?まぁ、登録言語がまだ不完全だから仕方がないな。言葉は少しずつ教えていってやろう。さっそくだが、おまえにはこれから私の助手として、私の研究を手伝ってもらいたい」
 それがオレとヘイヴの出会いだった。
 ヘイヴはオレがあまりに物事を覚えるのが早いのと、オレが自分の意見を持っているということに驚いていた。そのせいなのか、オレはよくヘイヴの話し相手をすることになった。次第にヘイヴとオレはただの研究者と助手というだけの関係ではなくなっていった。
 ヘイヴは決してオレの他に助手を雇うようなことはしなかった。四角い箱を通して誰かと会話しているのを見たことはあったが、研究所にヘイヴ以外の誰かが入ってきたことは一度もなかった。
 その理由として、今の科学というものは外の世界に良い影響を与えるが、同時に悪い影響も与えるので必要以上に外部を研究に巻きこんではいけない…というようなことを言っていた気がする。だからなのか、研究所にいるのはオレを除いて、いつもヘイヴ一人だった。
 ヘイヴがそんなことを言っていたわけではないので、オレが勝手に思っているだけかもしれないが、もしかするとヘイヴは寂しかったのかもしれない。オレにはこうして感情というものが存在する。それはヘイヴが心のどこかで誰か話し相手を求めていたことが自然とそうさせたのではないかと思う。もちろん、これを話せばヘイヴはそれは違うと否定するのだろうけど。
 オレを作ったヘイヴ自身も、そしてガイスト博士やスヴェン博士もオレが感情というものを持っていることを驚いた。オレが感情を持っているということは今の科学の常識では考えられないことなのだそうだ。オレは普通ではないらしい。
 ヘイヴがコールドスリープに入り未来に希望を託したことともしかしたら関係があるのだろうか。もしそうならオレに関係があることだから、ヘイヴは気を遣って敢えて理由を告げなかったのだろうか。
 ヘイヴは寂しさを感じていたから、いつの間にかオレに感情が芽生えたのだとしたら、オレはヘイヴの心の隙間を埋めるのに役に立つことできただろう。
 しかし、今度はオレの心にぽっかり穴が開いてしまった。ヘイヴのことを思い出すと、いつも決まってこの穴が痛むのだ。オレもまた寂しいのかもしれない。
 腹が立つこともあったが、今はメイヴのドライなところがなんだか羨ましい。まぁ、あいつもときどきエキサイトしたりすることがあるから、よくわからないのだが。
 どうしてオレは悩んでいるのだろう。ヘイヴの頼みは近いうちに達成されるはず。そうなればヘイヴは喜ぶだろう。ならばオレも嬉しいはずだ。しかしオレはこうして悩んでいる。
 メイヴならきっと『任務完了ですね、お疲れ様でした』なんて、あっさりと事実を受け止めてしまうのだろう。しかしオレにはその事実がなぜか寂しかった。
 感情とは何なのか。この不快感は何なのか。
 時にこの感情というやつはオレの行動を阻害する。頭ではやるべきことはわかっているはずなのに。あるいは、素直に喜べばいいはずなのに。この感情というやつがオレを不快にさせる。
 だったら感情なんて本当に必要なものなのだろうか。
 オレに感情があることをヘイヴは奇跡だと呼んだが、オレにはこれが欠陥であるように思えてならない。こんな辛い思いをするぐらいなら、感情なんてなければよかった。
 だから、オレは自身を駄作だと思うのだ。
 オレはオレがよくわからない。

『ゲンダー、ただいま。これで完全復活です』
 ゲンダーに声をかけます。博士両名の協力あって私の修復は無事完了しました。
「ガイスト博士たちに任せて正解ダ。彼らならきっとヘイヴの頼み、メイヴの謎も解明してくれる。オレたちの旅はこれで終わったんダナ…」
 何があったのでしょう、ゲンダーは元気がないように見えました。
『どうしたのですか、ゲンダー。たしかにあのお二方は信頼に値する技術者だと言えるでしょう。しかし、私の未知なる部分はまだ未解明の状態です。旅は終わっていません』
「ああ、たしかにまだダ。でも、あとはそれが解明されるのを待つのみダ。だから、もうオレたちがここを移動する理由はないだろう」
『ああ、そういうことですか。ではもうすぐ任務完了というわけですね。ゲンダー、お疲れ様でした。ありがとうございます』
 私なりにこれまでのゲンダーの努力を労ったつもりでした。しかし、ゲンダーはさらに元気をなくしてしまったようです。
 何か言い方がまずかったのでしょうか。先の発言の全単語の意味を検索し、可能なあらゆる解釈を検討しましたが、悪い点は何も見つかりませんでした。予期せぬエラーです。
「メイヴ、任務が完了した場合は喜ぶべきかな」
 データベースから【任務完了】のワードを検索します。検索の結果、それが満足を生み出す割合は70%を超えていたため、私はそれをゲンダーに伝えました。
「そうか…。じゃあ、やっぱりオレがおかしいんダナ。オレは満足できていない。なぜか嬉しくないんダ」
『100%ではないので、それも十分にあり得る結果です。なのに、なぜそのことを心配するのですか?』
「…怖いんだ」
 ゲンダーは会話にはあまり適さない小さな音量で、そう呟きました。
『怖い…ですか。私にはどこからそういう感想がでてきたのかがわかりません。その理由を是非とも教えてほしいです』
 しばらく何かを考えていたようですが、ようやくゲンダーは解説を始めました。データベースにない貴重な情報なので、私は記録の用意をします。
「オレは作られてからずっと、ヘイヴの指示に従ってきたんダ。だから今回の頼みも迷わず承諾した。それがオレにとってのアタリマエだったからな。だけど今回はヘイヴがコールドスリープに入ってしまった。ヘイヴがいないから次の指示はもう出されない…。オレはこれから何をすればいいのかわからないでいる」
『そんなことでしたか。それでしたら、ガイスト博士やスヴェン博士に指示を仰げばいいでしょう。なんでしたら、私から提案させてもらいましょうか?』
「いや、そういう意味じゃないんダ…。なんというか…。オレにもよくわからないけど、急に独りになってしまったような気がして怖いんダ。なんだかヘイヴの声が聞きたい…」
『私がいますよ。グメーシスもいますし、ガイスト博士にスヴェン博士もいます。それでもあなたは独りだと感じますか…。ヘイヴの声でしたら、またヘイヴからのホログラムメッセージを再生できますが、どうしましょうか?』
「いや…やめとく。余計に辛くなりそうな気がするんダ…」
 こんな調子でゲンダーの解説は続きました。
 この問題に該当する解決案は意外なところから見つかりました。精神に関するデータベースです。まさかゲンダーと精神に関連性があるとは思えませんが、症例は「愛するものとの別れ」によるものに酷似していました。ゲンダーに関するデータを大幅に修正する必要がありそうです。
 まずはゲンダーの症例について分析したことを彼に伝えることにしました。
『…そういうわけで、ゲンダーはヘイヴがいなくなってしまったことで怖さを感じているのだと思います。これは最も信頼するものを失ったことに起因していると推測されます』
 ゲンダーはやっぱり、というような顔をしていました。いえ、正確には表情はいつものゲンダーでしたが、彼の微細な動作からそのような雰囲気が感知されたと説明したほうがいいでしょうか。
 分析を続けると、どうやらゲンダーの言動から見えてくるのは「心」というものとの関連性が深いということでした。データベースの一部の情報と大きく矛盾していますが、一方ではかなり正確に一致している部分もあります。私の修復が不十分でないのであれば、これは常識を覆す新しい発見です。つまり、ゲンダーの症例は…いえ、ゲンダーという存在自体が極めて稀なケースであると言えます。
「オレは…これから誰を信じればいいのだろう。誰のためにあればいいのだろう。メイヴ、オレは必要とされているんだろうか…」
 私は確信しました。ゲンダーは非常に貴重な存在です。ガイスト博士やスヴェン博士が驚いていた理由をついに理解しました。そしてこの稀なケースは数百年に一度、あるかどうかもわからないという計算結果がそれを裏付けています。ゲンダーを失うことは将来的に見て非常に大きなリスクとなるでしょう。
 …よって私はゲンダーを守らなければならない!
『ゲンダー、あなたはヘイヴを信頼していますか』
「いきなり何を聞くのかと思えば…。そんなの当然ダ」
『では、私はどうですか』
「え…?」
 ゲンダーは予想しなかった質問に困惑しているようでした。
『いつだったか、私は言いました。私を、ヘイヴを信じてください、と』
「ああ…」
『あのときは私を信じると言ってくれましたね。ヘイヴを信頼していたあなたは、ヘイヴのよって生み出された私を信じてくれました。つまりヘイヴを信じているから、私を信じることができた…違いますか』
 ゲンダーは何も答えませんでしたが、否定はしていないと判断します。
『では、私単体としてはどうですか。ゲンダー、あなたは私を信頼してくれますか?』
「それは…」
 私は言い切りました。そして、ゲンダーの返事を待ちます。
『ゲンダー、私を信じてください…!』
 いつまでも待っています。ゲンダーがその返事をくれるまで…。

 ゲンダーは珍しく積極的に干渉してくるメイヴに驚いていた。
 メイヴなりに自分を心配してくれているのだろうかと考えるとゲンダーは少し気持ちが楽になったような気がした。
(そうだ、メイヴはヘイヴが最後に残してくれたもの。たしか研究の集大成だとも言っていた。ならば、直接ヘイヴに頼まれたわけではないけれど、メイヴをずっと守り続けることもオレの役目なのだ。そう、ヘイヴがコールドスリープから目覚めるその日まで…)
 しかし一方で不安があった。思い出されるのはヴェルスタンドでのメイヴの暴走である。ゲンダーはあまりにもメイヴのことを知らなさすぎた。これではメイヴのすべてを信じきることはできない。
 メイヴはゲンダーの返事をずっと待っているようだった。
「悪いが…。今はまだそれには答えられない」
『そうですか…』
 メイヴはどこかがっかりしているようにも見えた。
「…だが」
 ガイスト博士やスヴェン博士がメイヴの謎を解明してくれればメイヴを信じられるようになる。きっとそうであると信じたい。だからゲンダーは素直に言った。
「いつか必ず、胸を張ってそれに答えてやれるようになってみせる!…だから、今は少しだけオレに時間をくれないか」
 どんな反応をされるか心配に思うゲンダーだったが、メイヴは二つ返事でそれを受け入れた。
『わかりました。一番良い返事を期待しています』
「ありがとう」
 ゲンダーが感じていた寂しさはいつの間にか希望に変わっていた。
 メイヴの謎が解き明かされた時…。それは役目の終わりなんかではない。メイヴへの信頼の始まりとなるのだ。
 信じて待つ、ヘイヴが帰ってくるその日まで。そして、その日までメイヴを守り続けていく。
 それがヘイヴの望みであり、メイヴにとっての最良であり、そしてゲンダーにとっての幸せなのだ。

「そうと決まれば、オレにはやらなくてはならないことがあるぞ!」
 スヴェン博士の地下研究室にゲンダーの声が響き渡る。
『なんですか、突然』
「どうした、ゲンダー君」
 今後どうするか話し合っていた二人の博士もゲンダーに近寄ってきた。
「ヘイヴに頼まれたわけでも、別にガイスト博士たちに同情したからでもない。オレは決めたんダ。この戦争を終わらせる!これはオレの意見だ!」
 ヘイヴが帰ってくるその日までメイヴを守り続けると心に誓った。そのためにはあらゆる危険要素を取り除かなくてはならない。メイヴを守るためにも、この戦争は終わらせなければならないとゲンダーは考えていた。
「ゲンダー君…。気持ちはありがたいが、相手は国家なのだ。我々だけでどうにかなるような問題ではない」
「そうだ、相手は大陸を吹き飛ばしてしまうほどの兵器を持っているんだ。あっという間にやられてしまうよ!」
 博士たちは反対したが、
『私はゲンダーに賛成します』
 意外なことに、それに反論したのはメイヴだった。
「メイヴ!?どうして君まで…。君ならわかるはずだろう!とても勝算があるとは思えない!!」
『たとえ万にひとつでも、億にひとつだろうと、可能性があるなら勝算はあります。0%でないのであれば、たとえどんなに可能性が低くても、信じる価値があります。私が言うのもナンですがね』
 これにはゲンダーも驚いていた。まさかメイヴが賛成してくれるとは夢にも思っていないことだった。
 いつもならメイヴも博士たちといっしょになって、いかにそれが無謀なことであるかを、丁寧にデータの裏付けまで提示してこれでもかと言わんばかりに突き付けていたことだろう。
 だがメイヴはゲンダーを守らなければならないという認識をし始めた。その結果、よりゲンダーが安全なのは何かを検討し、そして出た答えがこれだったのだ。
『どんな兵器だろうが、私がシステムを乗っ取って逆に利用してやりますよ』
「その意気だ、メイヴ!」
 ゲンダーは頼もしそうにメイヴに応える。
「そうは言うがね、二人とも…」
 あくまで博士たちは二人を説得しようとしていた。
「そりゃ、僕も故郷がメチャクチャにされるのは見ていて辛い。だがいくらなんでも、我々だけでというのはあまりにも…無茶だ。たとえ可能性があったとしても、大切なのはそれが実際にできるかどうかなんじゃないか?」
「だったら博士たちはここで隠れててもらってかまわない。これはオレたちがやると決めたことダ。二人をわざわざ巻き込む理由もない」
『できるかどうかじゃない、私たちは”やる”んですよ』
「グメェェェーッ!」
 グメーシスが力強く鳴いた。
「そうか、おまえも手伝ってくれるのか!」
「グメメ!」
 グメーシスがゲンダーとメイヴのまわりをぐるぐると8の字にまわってみせる。たぶん、やる気を表現しているのだろう。
「…そうか。そこまで言うのなら私は止めんよ」
「ス、スヴェン博士!?」
「それで君たちが後悔しないというのならば、思うようにやりなさい。…ふふ、私は科学者だというのに、機械相手に何を言っているのだろうな。本当に君たちは不思議だな、会えてよかったよ」
 スヴェン博士はいくつか使えそうな道具を支援して、ゲンダーたちの出発を見送ることにした。
「それではくれぐれも気を付けてな。もしうまくいかなくてこの国が滅んだとしても、私は君たちを責めんよ。だが、この国のために力を貸してくれてありがとう。ヘイヴ博士によろしくな」
「こちらこそ、ありがとうダ。できるだけのことはやってみる」
『私からも感謝します。修復を手伝っていただき、ありがとうございます』
「グメーメ、グメーメ!」
 そうしてゲンダーたちは出発していった。ヴェルスタンドの兵器、鯰を止めるために。
 ガイスト博士はこれに立ち会わなかった。

 地下研究所に沈黙が広がる。機器の無機質な動作音だけが単調に響き渡る。
「…よかったのかね、彼らと一緒に行かなくて」
 沈黙を破ったのはスヴェンだった。
「私には…。この国のために戦う資格なんてありません…。ヴェルスタンドの兵器は私が生み出してしまったようなものです。私はマキナの裏切り者ですよ…!」
 ガイストはスヴェンに顔を合わせようとしなかった。肩が震えているようにも見える。
「皮肉なものですね。先生も知っての通り、私はマキナの末端の地域で育ちました。中央部はあんなにも栄えていたというのに、あの地域はそれはもう貧しいものでしたよ。それでも私は生まれ育った故郷が好きだった。中央部までとは言わないにしても、なんとか故郷を栄えさせたかった。だから少しでも多く貢献できるように、より良い条件の仕事を選んだ。故郷のためなら研究の内容は問わなかった…。それがどうです!その結果、故郷を吹き飛ばしてしまうなんて、なんという皮肉!私はもうこの国の誰にも会わせる顔がありませんよ…!!」
 ガイストは悔しさと自身への怒りに満ちていた。それと同時にひどく悲しかった。いつの間にか涙が溢れていた。
「ガイスト君…ッ!」
「!?」
 一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
 ガイストは床に尻餅をついていた。後からじわじわと頬に鈍い痛みを感じた。
「ガイスト君…。君はそれで満足かね」
 スヴェンは厳しい表情だった。
「このままでは君は、敵国に協力して我が国を滅ぼした反逆者だな。本当にそれでいいのかね」
「そ、それは…」
「もう一度言おう、君はそれで満足かね。…後悔はないか?」
 ガイストは嗚咽混じりに、しかし力強く答えた。
「後悔など…、ないわけがない…ッ!!」
「ならば、どうするのだ。どうすればいいのかは、君自身が一番よくわかっているはずだな。そうだろう?」
「!!」
 ハッとして何かに気づいた様子のガイストを見ると、スヴェンは優しく声をかけた。



「行ってきなさい、彼らは君の助けをきっと必要としている」
「先生…、ありがとうございます!」
 ガイストは急いで荷物をまとめるとゲンダーたちを追いかけて、地下研究所を飛び出して行った。その手にはスヴェンからもらった小さな直方体、研究所のメインコンピュータをしっかりと持って。
 研究所にはスヴェン一人が残された。
「若いとはいいことだな…。さて、私は私にやれることで彼らをサポートさせてもらうとしよう」
 スヴェンはさっそくゲンダーたちの支援の準備に向かうのだった。

Chapter12 END

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