その鼓動は恋のように ◆0zvBiGoI0k
自分は生まれながらの天才じゃない。
国を将来背負うような秀才天才が集まる秀知院学園で生徒会長になった。
それはそうなって当然の結果などではなく、死にものぐるいで続けた努力の賜物だ。
なにせ自分にはそれしかない。それぐらいしか『彼女』に並び立てるだけのものがない。
スポーツや芸能で際立った成果を残すには天禀が必要だが、勉学は時間と数で補える。とにかく頭に詰め込めばなんとかなるし、実際なった。睡眠不足とカフェイン中毒ぐらい安い代償だ。
家系を支えるバイトも含めると時間は圧縮されるので自然、スケジュールに無駄がなくなる。
余分は削ぎ落とされ、行動は練磨され模範的となり、誰もが畏怖と尊敬を抱く生徒会長の出来上がりというわけだ。
国を将来背負うような秀才天才が集まる秀知院学園で生徒会長になった。
それはそうなって当然の結果などではなく、死にものぐるいで続けた努力の賜物だ。
なにせ自分にはそれしかない。それぐらいしか『彼女』に並び立てるだけのものがない。
スポーツや芸能で際立った成果を残すには天禀が必要だが、勉学は時間と数で補える。とにかく頭に詰め込めばなんとかなるし、実際なった。睡眠不足とカフェイン中毒ぐらい安い代償だ。
家系を支えるバイトも含めると時間は圧縮されるので自然、スケジュールに無駄がなくなる。
余分は削ぎ落とされ、行動は練磨され模範的となり、誰もが畏怖と尊敬を抱く生徒会長の出来上がりというわけだ。
知識と教養は選択肢の幅を広げる。
常に思考を回す事は能の活性化に繋がるし、予測と計算を常日頃重ねておけばいざという時に対応できる。
日常も、学生生活も、恋愛も、ままならぬ事は往々にしてあり、シュミレーションを重ねてこそ瞬間的な閃きは生まれるというものだろう。
常に思考を回す事は能の活性化に繋がるし、予測と計算を常日頃重ねておけばいざという時に対応できる。
日常も、学生生活も、恋愛も、ままならぬ事は往々にしてあり、シュミレーションを重ねてこそ瞬間的な閃きは生まれるというものだろう。
つまりは何が言いたいというと―――長々と説明してる時点でとっくに混乱してる証拠だが―――
この俺白銀御行は、予想も想像も、覚悟だってしたこともない悪夢のような事態に、千切れたように思考が追いついていなかった。
この俺白銀御行は、予想も想像も、覚悟だってしたこともない悪夢のような事態に、千切れたように思考が追いついていなかった。
◆
椅子に深くもたれかかって、視線は電気の消えた天井を呆としたまま見つめる。
何を見ているわけでもない。瞼を開けていて眼球が視界範囲の映像を脳に投射しているというだけの、意味のない生態反応。
明かりを点けないのは外から所在を知らされないように配慮してわけではない。単に始めから電灯が消えていた部屋で目を覚まし、そこから一歩も動いていないだけのこと。
何を見ているわけでもない。瞼を開けていて眼球が視界範囲の映像を脳に投射しているというだけの、意味のない生態反応。
明かりを点けないのは外から所在を知らされないように配慮してわけではない。単に始めから電灯が消えていた部屋で目を覚まし、そこから一歩も動いていないだけのこと。
白銀が目覚めたのはとある一室だ。恐らく自宅以外で白銀が最も長い間を過ごしている部屋。
秀知院学園・生徒会室。生徒会員としての役職をこなす場にして、一世一代の恋愛劇の舞台。
その会長席に腰がけた状態のままで、白銀は殺し合いの会場に飛ばされていた。
秀知院学園・生徒会室。生徒会員としての役職をこなす場にして、一世一代の恋愛劇の舞台。
その会長席に腰がけた状態のままで、白銀は殺し合いの会場に飛ばされていた。
殺し合い―――果たして本当にそうだろうか?
勝手知ったる生徒会室だ。月明かりしか頼るもののない暗がりでも、ここが本物の秀知院とまるで遜色ない造りであることはわかる。
ならやはりここは秀知院なのだろうか?こんな夜更けまで仕事をした記憶は白銀にはない。来る文化祭の奉心祭の準備でも教師がまず許すまい。
勝手知ったる生徒会室だ。月明かりしか頼るもののない暗がりでも、ここが本物の秀知院とまるで遜色ない造りであることはわかる。
ならやはりここは秀知院なのだろうか?こんな夜更けまで仕事をした記憶は白銀にはない。来る文化祭の奉心祭の準備でも教師がまず許すまい。
「まさか……拉致か?家で寝ていた俺をとっ捕まえてここまで連れて来た……?
さっきのからして藤原書記が一枚噛んでるのは違いないとして、彼女一人で達成するには荷が重い。TG部との共謀か。なんにせよ随分と大それたものだな。ていうか普通に犯罪だよなこれ」
さっきのからして藤原書記が一枚噛んでるのは違いないとして、彼女一人で達成するには荷が重い。TG部との共謀か。なんにせよ随分と大それたものだな。ていうか普通に犯罪だよなこれ」
遅まきながらに白銀の思考が答えを求めて回転を始める。
虚ろなままぶつぶつと続けられるうわ言。
壊れたテープレコーダーほどの意味のない言葉の羅列。
何故ならば彼は、最も大事な面に目を向けていない。
あるいはそれは、瓦解しかけた理性を少しでも正常に戻すための回復作業であったのか。
どれだけ馬鹿げた理論でも記憶は騙せる。脳を溶かして、心を砕けば、どんな現実も幸福に包まれた世界に早変わりする。
あるいはそれは、瓦解しかけた理性を少しでも正常に戻すための回復作業であったのか。
どれだけ馬鹿げた理論でも記憶は騙せる。脳を溶かして、心を砕けば、どんな現実も幸福に包まれた世界に早変わりする。
「となるとそろそろネタばらしの頃合いか。
さっきの映像もCGやVRとかでも使ったのか。技術の進化は怖いくらいだな。
そういや映像の女の子もちょっと藤原っぽかったな。胸とか緩い言動とか割と似ていて――――――」
さっきの映像もCGやVRとかでも使ったのか。技術の進化は怖いくらいだな。
そういや映像の女の子もちょっと藤原っぽかったな。胸とか緩い言動とか割と似ていて――――――」
「―――――――馬鹿か俺は!」
長年の勉学漬けで染み付いた白銀の理性が、身が腐るほど甘い逃避をねじ伏せた。
「あいつがあんなふざけた悪趣味なものか。いや持ってたところで俺達を巻き込むわけがあるか。
あれが、偽物なわけがっ…………!」
あれが、偽物なわけがっ…………!」
こみ上げた激情は椅子が転げ倒れさせ机に拳を叩きつけるだけに留まらず、胃の底から消化物ごと吐き出させようと蠕動させる。
「うっ、げ、ぇ…………!」
喉元までせり上がりそうになった吐き気を、白銀は必死で堪えた。
慣れ親しんだ生徒会室に吐瀉物をぶちまけるのに抵抗を感じたのもあっただろう。
それにここで全てを吐き出してしまうと、一生ここから立ち上がれなくなるような恐怖があった。
慣れ親しんだ生徒会室に吐瀉物をぶちまけるのに抵抗を感じたのもあっただろう。
それにここで全てを吐き出してしまうと、一生ここから立ち上がれなくなるような恐怖があった。
「かは――――――は――――――――――――あ―――」
ひとまず収まっても、気持ちの悪さは一向に抜けてくれない。
空想を破った代償とでもいうように、脳裏に飛び込んでくるのは数分前の『死』の映像。
玩具じみた勢いで吹き飛ぶ頭部。糸の切れた人形みたいに力なく地面に投げ出される肢体。
最悪な記憶ほど衝撃が強く残る。忘却を許してくれない。
今まで白銀が直視を避けていたものはこれだった。すぐさま泣き叫んでいた方が楽だったのかは、この先になってもきっとわからない。
空想を破った代償とでもいうように、脳裏に飛び込んでくるのは数分前の『死』の映像。
玩具じみた勢いで吹き飛ぶ頭部。糸の切れた人形みたいに力なく地面に投げ出される肢体。
最悪な記憶ほど衝撃が強く残る。忘却を許してくれない。
今まで白銀が直視を避けていたものはこれだった。すぐさま泣き叫んでいた方が楽だったのかは、この先になってもきっとわからない。
「なんでだ……」
藤原千花は白銀が会長になった時期の生徒会の書記だ。
秀知院の生徒らしく才色兼備であるがそうとは思えないほど割と抜けていて、見かけより子供っぽく、見当違いの推理を披露して自爆したり、こちらが熾烈な頭脳戦を展開してる間に空気を読まずに突っ込んだり、ちょっとついていけないぐらいテンション上げたり、テーブルゲームでせこいイカサマを使って即バレたり、何考えてるかわからない奇行を起こしたりする、生徒会という檻に閉じ込められた奇天烈な珍獣の困った奴だ。
秀知院の生徒らしく才色兼備であるがそうとは思えないほど割と抜けていて、見かけより子供っぽく、見当違いの推理を披露して自爆したり、こちらが熾烈な頭脳戦を展開してる間に空気を読まずに突っ込んだり、ちょっとついていけないぐらいテンション上げたり、テーブルゲームでせこいイカサマを使って即バレたり、何考えてるかわからない奇行を起こしたりする、生徒会という檻に閉じ込められた奇天烈な珍獣の困った奴だ。
けれど。
生徒会の大事な仲間だった。
白銀の大切な友人だった。
誰からも好かれる天真爛漫さを持っていた、苦手克服の特訓にも根気よく付き合ってくれた。恋心でなくても好感はあった。
「なんで、あいつが死ななくちゃならない……。しかも俺だけじゃなく、二人までなんて……」
その藤原千花が、死んだ。
芝居でも冗談でもない。そんなもので誤魔化されるほど短い付き合いじゃない。
始めからそんな事はわかっていた。わかって、いたのだ。
けど認めてしまえば、残る二つの事実も現実だと認めてしまわなければならない。
今自分がBBと名乗る少女の手によって、正真の殺し合いの参加者に選ばれてしまった事。
そしてその殺し合いに、自分以外の生徒会のメンバー――――――四宮かぐやと石上優も連れてこられてるという事を。
恋い焦がれている相手と、もう一人の友人。近しい人が死んだだけでも許容量を超えてるのに、二人までも危機に陥っている。
けれどもう、限界だ。目を背けてはいられない。起こった事実は取り消せない。
嗚咽と慟哭、胃酸の味と涙の感触を以て、白銀はその事実を受け入れるしかなかった。
芝居でも冗談でもない。そんなもので誤魔化されるほど短い付き合いじゃない。
始めからそんな事はわかっていた。わかって、いたのだ。
けど認めてしまえば、残る二つの事実も現実だと認めてしまわなければならない。
今自分がBBと名乗る少女の手によって、正真の殺し合いの参加者に選ばれてしまった事。
そしてその殺し合いに、自分以外の生徒会のメンバー――――――四宮かぐやと石上優も連れてこられてるという事を。
恋い焦がれている相手と、もう一人の友人。近しい人が死んだだけでも許容量を超えてるのに、二人までも危機に陥っている。
けれどもう、限界だ。目を背けてはいられない。起こった事実は取り消せない。
嗚咽と慟哭、胃酸の味と涙の感触を以て、白銀はその事実を受け入れるしかなかった。
カツン、と。
受け入れたからってどうしろというのかと疑問に悩む間も与えられず、白銀は廊下の外から響く音を聞いた。
「――――――ッ」
殺し合いという状況に敏感になった身を強張らせる。
相当踵の高いハイヒールでも履いてるのか、音は甲高く反響している。
さながらステージで自身を誇示し衆目を集めんとするダンサーのよう。
規則正しく鳴らす足音は白銀のいる生徒会室の前で止まり、足で蹴り飛ばされたか如く勢いよく開かれた。
相当踵の高いハイヒールでも履いてるのか、音は甲高く反響している。
さながらステージで自身を誇示し衆目を集めんとするダンサーのよう。
規則正しく鳴らす足音は白銀のいる生徒会室の前で止まり、足で蹴り飛ばされたか如く勢いよく開かれた。
身を隠さなければ、と思いこそすれ、体の準備が間に合わなかった白銀は、その姿を見た。
暗い部屋で、唯一の明かりとなる月光の差した空間に影が躍り出る。
それは―――年若い女の格好をしていた。
暗い部屋で、唯一の明かりとなる月光の差した空間に影が躍り出る。
それは―――年若い女の格好をしていた。
起伏の少ないしなやかな流線型の体。露わな肌は真珠の輝きで、細く華奢な体つきは庇護欲をくすぐらせる。
こちらを射抜く思慮深く理性的、かつ嗜虐的なアイスブルーの瞳。
片側を結んだ長髪は清流の水を思わせる。
こちらを射抜く思慮深く理性的、かつ嗜虐的なアイスブルーの瞳。
片側を結んだ長髪は清流の水を思わせる。
それらの可憐なイメージにそぐわない、膝から下の物々しい具足は、しかし不格好に印象を損ねない。
どころか触れる全てを切り裂く鋭利な脚部は、少女の性質を引き立てるパーツとして完成していた。
人というよりも彫刻の人工物的な美しさ。それを卑下せず人ならぬ姿を至とするかのような満ち溢れる自信。
月に住まうのがかぐや姫であるなら。月そのものを象徴する、女神と形容するに相応しい。
どころか触れる全てを切り裂く鋭利な脚部は、少女の性質を引き立てるパーツとして完成していた。
人というよりも彫刻の人工物的な美しさ。それを卑下せず人ならぬ姿を至とするかのような満ち溢れる自信。
月に住まうのがかぐや姫であるなら。月そのものを象徴する、女神と形容するに相応しい。
そこまでして、白銀は大きく目を見張った。
白銀の前に顕現した、恐らくはこのバトルロワイアルの参加者である月の姫ならぬ月の女神は、
白銀の前に顕現した、恐らくはこのバトルロワイアルの参加者である月の姫ならぬ月の女神は、
はいてなかった。
へその下から、膝より上。そこに無ければならないものが着いてなかった。丸見えだ。丸出しだ。
いちおう最重要局部(ポイント)はビキニでガードされてるが、かなりギリだ。ハイレグ、いやヒモ同然だ。
いちおう最重要局部(ポイント)はビキニでガードされてるが、かなりギリだ。ハイレグ、いやヒモ同然だ。
殺し合いという極限状況、緊迫を強いられる場所で突如現れた露出強(誤字ではない)に、
「痴女だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
あらん限りの力を込めて、白銀は絶叫した。
◆
「―――品が無いわね。出会い頭に人を指さしてレディを痴女呼ばわりなんて。女の口説き方も知らないのかしら」
誰が童貞か。
等という反射的なツッコミは胸に留め、開口一番白銀は少女に罵倒される。
第一、一般常識を欠いてる相手に礼儀をどうこう言われたくはない。
等という反射的なツッコミは胸に留め、開口一番白銀は少女に罵倒される。
第一、一般常識を欠いてる相手に礼儀をどうこう言われたくはない。
「……下半身に下着以外何も着けずに外を出るのを露出癖と言わずなんと言えばいいんだ」
社会的知識に基づいた、尤もとすら言えた白銀の指摘に、少女は世界の真理に疑問を投げかけられたかのような表情をした。
「何を言ってるのかしら。これ以上ないぐらい隠してるじゃない。人間の美的感覚はこれだから……。
いい?これは露出しているのではないの。貞淑に―――隠してるのよ」
いい?これは露出しているのではないの。貞淑に―――隠してるのよ」
胸を張り、外套を広げ、堂々と曝け出してそう言った。
なるほど。よくよく見れば―――年相応の下心などではなく、あくまで少女の言葉を確かめるための凝視でしかない―――
際どいラインはしているが、逆に言うなら見えてはいけない部分は完全にガードされている。
いわゆる『もう少しで見えそうなのに決して見えない』のを絶対領域と表するが、少女のそれはまさしく絶対。
ならば禁断の乙女領域のシルバーラインを構築したる少女は、露出癖とは真逆の存在ではないか。
際どいラインはしているが、逆に言うなら見えてはいけない部分は完全にガードされている。
いわゆる『もう少しで見えそうなのに決して見えない』のを絶対領域と表するが、少女のそれはまさしく絶対。
ならば禁断の乙女領域のシルバーラインを構築したる少女は、露出癖とは真逆の存在ではないか。
「ってそんなわけあるか――――――」
謎の性癖の理論に納得しそうになったのを抑え反論しようとして――――――白銀の首筋に冷気が伝わる。
錯覚などではない生の感触。偽物ではない本物の刃の感触。
いつの間にか距離を詰めていた少女が机に足を乗り上げ、膝の具足に着いた鋭利な棘を白銀の喉元に突きつけていた。
錯覚などではない生の感触。偽物ではない本物の刃の感触。
いつの間にか距離を詰めていた少女が机に足を乗り上げ、膝の具足に着いた鋭利な棘を白銀の喉元に突きつけていた。
「貴方たち人間の基準で考えないでくれる?第一このまま続けていいのかしら?貴方の最期の言葉、下着談義で終わるわよ」
露出した少女が神聖な生徒会室で会長席に足を乗せ迫る姿――――――
まるで少女漫画にでも載っていそうなシチュエーションだが、色めき立つ空気は絶無である。
肌に触れている凶器が本物であれば、少女の目も疑いなく本物だ。
あくまで平然で冷静なままの顔からは、人一人を死に至らしめ得る行為に躊躇いというものが全く見えない。
『コレ』は人ではない。
人の姿をしていても、人として生まれなかったなにかだ。
必要と感じれば、何の感慨も湧かさずに白銀の首に孔を穿つと、生物的な本能で理解させられた。
まるで少女漫画にでも載っていそうなシチュエーションだが、色めき立つ空気は絶無である。
肌に触れている凶器が本物であれば、少女の目も疑いなく本物だ。
あくまで平然で冷静なままの顔からは、人一人を死に至らしめ得る行為に躊躇いというものが全く見えない。
『コレ』は人ではない。
人の姿をしていても、人として生まれなかったなにかだ。
必要と感じれば、何の感慨も湧かさずに白銀の首に孔を穿つと、生物的な本能で理解させられた。
「余計なお喋りする時間は無いの。これ以上無駄口を叩くなら、一度その口を融かしてから癒着させてしまうわよ」
そしてここまで近づかれて白銀は気づいた。
奪われた視界で軽快に跳ね回る小悪魔、バトルロワイアルの司会役を名乗る少女と、目の前の少女が非常に似通った顔立ちをしていることに。
奪われた視界で軽快に跳ね回る小悪魔、バトルロワイアルの司会役を名乗る少女と、目の前の少女が非常に似通った顔立ちをしていることに。
「BB……ッ?」
「あら、記憶力は正常ね。変態の上馬鹿だなんて目も当てられない無能じゃなくてよかったわ。
そんなのドレインしたくもないもの」
「あら、記憶力は正常ね。変態の上馬鹿だなんて目も当てられない無能じゃなくてよかったわ。
そんなのドレインしたくもないもの」
髪や瞳の色、細部こそ違えど、確かに少女はBBと瓜二つだった。
白銀の言葉に少し気を良くしたようだったが、刃は尚も引く気配がない。
白銀の言葉に少し気を良くしたようだったが、刃は尚も引く気配がない。
「ええそうよ。私はBBの分身。彼女の肥大化した感情を切り離して作られた別人格を基に、複数の女神のエッセンスを取り込んだハイ・サーヴァント。
意味が分からないって顔ね。いいわよ分からなくて。説明も手間だし。私はBBから生まれ、BBに反逆した。それさえ理解できていれば十分」
意味が分からないって顔ね。いいわよ分からなくて。説明も手間だし。私はBBから生まれ、BBに反逆した。それさえ理解できていれば十分」
反逆、と。殺し合いの主催であるBBに逆らうと彼女は言った。
どうやらBBの手先というわけではないらしい。どこまで真実かわかったものじゃないが。
どうやらBBの手先というわけではないらしい。どこまで真実かわかったものじゃないが。
「反逆……どうしてだ?」
「簡単よ。私は人間は嫌いだけど、BBはもっと嫌いなの。
そもそもBBから分かれた時点で私はもう独自の個体として成立してる。BBに従う義理はないわ」
「簡単よ。私は人間は嫌いだけど、BBはもっと嫌いなの。
そもそもBBから分かれた時点で私はもう独自の個体として成立してる。BBに従う義理はないわ」
少女の言う通り、会話の半分も理解できていなかった。
重要なことは言われてる気がするが知識の前提が違いすぎる。あまりに畑違いな専門知識でも聞かせれてる気分だ。
重要なことは言われてる気がするが知識の前提が違いすぎる。あまりに畑違いな専門知識でも聞かせれてる気分だ。
僅かに膝に力が込められる。
黙るのも目を背ける事も許さないと脅しをかけて、少女は聞いてきた。
黙るのも目を背ける事も許さないと脅しをかけて、少女は聞いてきた。
「さて、私の説明はこれぐらいでいいでしょう。それじゃああなたの番ね、ちっぽけな人間さん。まずは名前を聞かせてもらえる?」
「……白銀御行だ」
「そう。ではミユキ、ここで問題です。私はあなたをすぐにでも殺せます。この足を少し前に押すだけで花の菊のようにあなたの首は落ちる。
この施設に他に参加者はいないし、頼みの綱の支給品も手が届かない。
そんな状況であなたが私にするべき行動はなんだと思う?」
「……白銀御行だ」
「そう。ではミユキ、ここで問題です。私はあなたをすぐにでも殺せます。この足を少し前に押すだけで花の菊のようにあなたの首は落ちる。
この施設に他に参加者はいないし、頼みの綱の支給品も手が届かない。
そんな状況であなたが私にするべき行動はなんだと思う?」
生きたい?
死にたい?
それとも―――殺したい?
死にたい?
それとも―――殺したい?
「みっともなく這いつくばって何でもするから助けて欲しいって希う?いいわよ、お望み通り斬(け)り殺してあげる。
もうどうでもいいから殺してくださいって首を差し出す?いやよ、荷物だけ取り上げて裸で蹴り出してあげる。
大事な人を蘇らせたい、恋しい人を守る為に全員を殺す?素敵ね、そういう気概持ちなら身も心もドロドロに融かして私のものにしてあげる」
もうどうでもいいから殺してくださいって首を差し出す?いやよ、荷物だけ取り上げて裸で蹴り出してあげる。
大事な人を蘇らせたい、恋しい人を守る為に全員を殺す?素敵ね、そういう気概持ちなら身も心もドロドロに融かして私のものにしてあげる」
垂らされるのは救いの糸か。はたまた蟲を誘う食中花(はな)の蜜か。
選択肢を吊り下げられた白銀は暫し呆然とする。
ああ、そうか。そんな考えもあったのか。
藤原千花の死という衝撃が強すぎて、そこから先を考える余裕なんて無かった。
選択肢を吊り下げられた白銀は暫し呆然とする。
ああ、そうか。そんな考えもあったのか。
藤原千花の死という衝撃が強すぎて、そこから先を考える余裕なんて無かった。
生きたいのか死にたくないのか。
死にたいのか殺して欲しいのか。
殺したいのか殺すべきなのか。
そこにはきっと雲泥の差がある。二度と引き返せない境界線になるだろう。
ではこうして死と同時に向き合わせられる今に、己はどう答えるべきなのか。
死にたいのか殺して欲しいのか。
殺したいのか殺すべきなのか。
そこにはきっと雲泥の差がある。二度と引き返せない境界線になるだろう。
ではこうして死と同時に向き合わせられる今に、己はどう答えるべきなのか。
「……う」
「?なに?」
「どれも違うと言ったんだ」
「?なに?」
「どれも違うと言ったんだ」
そんなもの。
答えなんて、出るわけない。
今だって頭の中はグチャグチャだ。立ち直れたなんてまったく言えない。
忙しなく、かけがえのない、後になって青春だったと述懐できる日々は死んでしまった。
事故のような、悪い夢でも見てるような唐突さで終わってしまった。
例え奇跡的に生還できたとしても、今後生涯この傷は残っていく。何度だって後悔する。叫びたくなる日が来る。
そんな状態で、殺すかどうかなんて考えていられるものか。
答えなんて、出るわけない。
今だって頭の中はグチャグチャだ。立ち直れたなんてまったく言えない。
忙しなく、かけがえのない、後になって青春だったと述懐できる日々は死んでしまった。
事故のような、悪い夢でも見てるような唐突さで終わってしまった。
例え奇跡的に生還できたとしても、今後生涯この傷は残っていく。何度だって後悔する。叫びたくなる日が来る。
そんな状態で、殺すかどうかなんて考えていられるものか。
「俺は―――まだ何も、捨ててしまえる事なんてできない」
考えられるのなんて、ひとつだけ。
四宮かぐや。白銀御行の恋する人。
彼女もここにいる。まだ生きていて、すぐに死んでしまうかもしれない彼女。
とにかく会いたかった。無事を確かめたかった。
奥底にずっと眠らせたままで埃被っているこの気持ちを、置き場所のないままに終わらせたくなかった。
彼女にとっても藤原千花は友人だった。喪失の衝撃は軽くはないはずだ。
表では冷静冷血を装っているが、そこに温かいものが流れてる事を知っている。
会って何ができるでもない。慰めてやれるかもわからない。単に自分が慰められたいだけかもしれない。
けれど、白銀御行にとって、今一番大事なものはそれしかなかった。心臓の鼓動は恋でしか動かなかった。
四宮かぐや。白銀御行の恋する人。
彼女もここにいる。まだ生きていて、すぐに死んでしまうかもしれない彼女。
とにかく会いたかった。無事を確かめたかった。
奥底にずっと眠らせたままで埃被っているこの気持ちを、置き場所のないままに終わらせたくなかった。
彼女にとっても藤原千花は友人だった。喪失の衝撃は軽くはないはずだ。
表では冷静冷血を装っているが、そこに温かいものが流れてる事を知っている。
会って何ができるでもない。慰めてやれるかもわからない。単に自分が慰められたいだけかもしれない。
けれど、白銀御行にとって、今一番大事なものはそれしかなかった。心臓の鼓動は恋でしか動かなかった。
「だからまず、お前と話がしたい」
初対面の相手に恋心をぶちまけるのは憚られた。代わりに試みるのは少女の姿をした怪物と対話。
今までの会話の積み重ねで感じた違和感。そこに光明を見出し思考を走らせる。
今までの会話の積み重ねで感じた違和感。そこに光明を見出し思考を走らせる。
「……正気かしら、アルターエゴに交渉だなんて。何も分からなくても、私が人間とは程遠い怪物だって事ぐらいはもう理解できているでしょう?」
「ならどうして殺さない。いつでもそうするチャンスはあったのに。
さっきの問いかけといい、他に人がいないか探していたのといい―――何か俺にして欲しくて、お前にはできない事があるんじゃないのか?」
「ならどうして殺さない。いつでもそうするチャンスはあったのに。
さっきの問いかけといい、他に人がいないか探していたのといい―――何か俺にして欲しくて、お前にはできない事があるんじゃないのか?」
殺さないのなら、理由がある。
BBに反逆したと彼女は言った。それが嘘でなく、同じ参加者として会場にいるなら反逆に失敗したという事になる。
ではその後に取る行動は、仲間を募り、逆襲の機会を整える事ではないのか。
BBに反逆したと彼女は言った。それが嘘でなく、同じ参加者として会場にいるなら反逆に失敗したという事になる。
ではその後に取る行動は、仲間を募り、逆襲の機会を整える事ではないのか。
「―――生意気」
つぷ、と。喉に異物が入り込む。
まだほんの数ミリ。皮膚も破ってない。なのに途轍もない痛みが走る。感覚を何倍も敏感にされたようだった。
まだほんの数ミリ。皮膚も破ってない。なのに途轍もない痛みが走る。感覚を何倍も敏感にされたようだった。
「私と貴方が対等の関係だなんて思ってるのかしら。
貴方は私なしじゃ生きられないけど、私には貴方の代わりなんて幾らでもいるのよ」
貴方は私なしじゃ生きられないけど、私には貴方の代わりなんて幾らでもいるのよ」
泣き叫びたいくらいの痛みを必死に堪える。
ここで折れれば殺される。そうでなくても喉を動かすだけで血管を突き破る。
見栄なのか意地なのか愛の力なのか、よくわからないまま食いしばって耐える。
ここで折れれば殺される。そうでなくても喉を動かすだけで血管を突き破る。
見栄なのか意地なのか愛の力なのか、よくわからないまま食いしばって耐える。
潤む目が少女を捉える。
少女はそれを恍惚と見る。
秒針の刻みは引き伸ばされ、永遠にも思える時間が流れ―――
少女はそれを恍惚と見る。
秒針の刻みは引き伸ばされ、永遠にも思える時間が流れ―――
「ああ――――――でも、いいわ。その震える顔。生まれたばかりの仔鹿よりも無力な癖に口先だけでなんとかできると思ってる浅慮ぶり。
そんな相手を間近でいつでも蹂躙できるだなんて、たまらないわ」
そんな相手を間近でいつでも蹂躙できるだなんて、たまらないわ」
初めて少女が身を引き、棘が引き抜かれた。
倒れ込み、動きを止めていた喉が酸素を求めて激しく上下する。
そんな白銀を尻目にして、少女は上機嫌で、机の上に足を組んで座った。
倒れ込み、動きを止めていた喉が酸素を求めて激しく上下する。
そんな白銀を尻目にして、少女は上機嫌で、机の上に足を組んで座った。
「そうよ。私はBBには従わない。あの女の目論見には全力で嫌がらせをするって決めてるの。
それに見境なく殺して回るなんて、優美(エレガント)じゃないもの。
別に他人なんかどうでもいいし、邪魔者は蹴散らしてしまえばいいのだけれど、それで本命に辿り着く前に消耗したら元も子もない。
私はこの通り人間嫌いだから、他人に足並みを揃える気なんてこれっぽっちも無いの。
だからちょうどいい使い魔(サーヴァント)が欲しかった。
ロスは少なくするべきでしょう。無駄な贅肉も脂肪も削ぎ落としてこそが至高よ」
それに見境なく殺して回るなんて、優美(エレガント)じゃないもの。
別に他人なんかどうでもいいし、邪魔者は蹴散らしてしまえばいいのだけれど、それで本命に辿り着く前に消耗したら元も子もない。
私はこの通り人間嫌いだから、他人に足並みを揃える気なんてこれっぽっちも無いの。
だからちょうどいい使い魔(サーヴァント)が欲しかった。
ロスは少なくするべきでしょう。無駄な贅肉も脂肪も削ぎ落としてこそが至高よ」
使い魔という不穏な呼び方は置いといて、やはり白銀に求められる役は。
「つまり、交渉役か」
参加者とのパイプ。軋轢を緩和するストッパー役。
確かに、今までのやり取りではこの先出会う参加者と穏当な接触になるとは思いづらい。
会う度衝突しては要らぬ苦労を背負い込む事になる。巡り巡って、かぐや達との合流も遠のくかも。
そこを円滑に進められてスムーズにできれば、あるいは……だ。
それに脱出にせよ打倒にせよ、彼女が主催と関っているのは確実。上手く扱えば打開のカードになる希望がある。
確かに、今までのやり取りではこの先出会う参加者と穏当な接触になるとは思いづらい。
会う度衝突しては要らぬ苦労を背負い込む事になる。巡り巡って、かぐや達との合流も遠のくかも。
そこを円滑に進められてスムーズにできれば、あるいは……だ。
それに脱出にせよ打倒にせよ、彼女が主催と関っているのは確実。上手く扱えば打開のカードになる希望がある。
デメリットは、ある。
少女の証言を裏付けるまだ要素はない。本当は今でもBBと通じていて、自分は体よく利用されてしまうかもという点。
あとこれからこの露出過多を連れて歩く以上、初対面での心証低下は免れない事。まあだから中継ぎを要請されてるわけだが。
もし首尾よくかぐや達と合流できたとて、彼女を見たらどう思うだろう。引くだろうな。ものすごい顔するのがありありと見える。
少女の証言を裏付けるまだ要素はない。本当は今でもBBと通じていて、自分は体よく利用されてしまうかもという点。
あとこれからこの露出過多を連れて歩く以上、初対面での心証低下は免れない事。まあだから中継ぎを要請されてるわけだが。
もし首尾よくかぐや達と合流できたとて、彼女を見たらどう思うだろう。引くだろうな。ものすごい顔するのがありありと見える。
……選ぶ余地はないか。
拒否しても殺される。よくて放置。だったら極小でも手綱を握れるチャンスがある方がいいに決まってる。
拒否しても殺される。よくて放置。だったら極小でも手綱を握れるチャンスがある方がいいに決まってる。
「……わかった。請け負おう。これでも生徒会長だ。ディベートには少しくらい自信がある」
「生徒会……?ああ、そういうことね。……ふん、あっちもあっちで些細な嫌がらせが好きなこと」
「生徒会……?ああ、そういうことね。……ふん、あっちもあっちで些細な嫌がらせが好きなこと」
なぜだか、僅かに眉をひそめている。生徒会に嫌な思い出でもあったのだろうか。学生だったとは思えないが。
「……まあ、今さら文句は言ってられないし。ギリギリ合格点ね。
言っとくけど、あくまで貴方は私の小間使い。指示するのは私だし、優先するのも私の都合。
少しでも逃げようとすれば、後ろから容赦なく串刺しにしてやるから。
大人しくしてれば用済みになったら処理する、なんてしないわ。ちゃんとこなせたなら―――そうね。
貴方と貴方の知り合いくらいは、片手間に助けてあげる」
言っとくけど、あくまで貴方は私の小間使い。指示するのは私だし、優先するのも私の都合。
少しでも逃げようとすれば、後ろから容赦なく串刺しにしてやるから。
大人しくしてれば用済みになったら処理する、なんてしないわ。ちゃんとこなせたなら―――そうね。
貴方と貴方の知り合いくらいは、片手間に助けてあげる」
引き出した提案に、無言で頷く。元手がゼロなところから始まったのに比べれば妥協できるラインだ。後はここから枠を広げていけるかだ。
しかし―――同行を頼むのにああまで回りくどい真似をするなんて、不器用というか、人に頼る事を知らないというか。
別に似てないし、恋しいわけじゃないが。少し昔の四宮かぐやを見ているようだ。
別に似てないし、恋しいわけじゃないが。少し昔の四宮かぐやを見ているようだ。
「それじゃあ、少しの間だがよろしく頼む」
あらぬ妄想を拭いさって、手を前に差し出す。
単なる社交辞令。生徒会活動で身についた処世に過ぎなかった、のだが。
少女は暫し見つめて、振り返って背中を見せた。
単なる社交辞令。生徒会活動で身についた処世に過ぎなかった、のだが。
少女は暫し見つめて、振り返って背中を見せた。
「……親愛の証なんて不要よ。私達は信頼し合う関係じゃない。所詮は打算と利益に濡れた関係。いつ破綻するかもしれない薄氷の上。
弱みを先に見せた方が負け―――恋も戦いもそこは同じよ」
「―――――――――そうだな。同感だ」
弱みを先に見せた方が負け―――恋も戦いもそこは同じよ」
「―――――――――そうだな。同感だ」
本当に同感だった。同感すぎてちょっと違和感を覚えたくらいだ。
まさかドSの権化みたいな子から、恋だなんて甘い台詞を聞くとは。
まさかドSの権化みたいな子から、恋だなんて甘い台詞を聞くとは。
「―――今、失礼なこと考えてないかしら。女の子が恋を語って悪い?
少なくとも貴方なんかよりはよっぽど経験あるから、私」
少なくとも貴方なんかよりはよっぽど経験あるから、私」
マジか!?
衝撃だった。殺し合いとは別方面での爆弾発言だった。
衝撃だった。殺し合いとは別方面での爆弾発言だった。
「ははははは。それは失礼したな。だが自慢じゃないが俺もこれでモテる方でね。
まあ今はうつつを抜かす暇もないから断っているんだが、経験豊富とは羨ましい限りだ」
「あら、好意を寄せられてる自覚だけあるから自分から攻める手が無いのね。そんなだからいつまでも本命を射止められないのよ、童貞」
まあ今はうつつを抜かす暇もないから断っているんだが、経験豊富とは羨ましい限りだ」
「あら、好意を寄せられてる自覚だけあるから自分から攻める手が無いのね。そんなだからいつまでも本命を射止められないのよ、童貞」
よせばいいのに対抗して、すぐさま打ち返された。白銀、開いた口が塞がらない。
というか思いっきり弱み露出してないか今。さっきまでのクールビューティーはなんだったのか。
というか思いっきり弱み露出してないか今。さっきまでのクールビューティーはなんだったのか。
「さて。時間もないし、まずは名前だけでも教えてあげる。
一度しか言わないから、しっかり聞きなさい」
一度しか言わないから、しっかり聞きなさい」
沈黙した白銀をいいことに、ひとり満足した少女は話を勝手に進ませた。
たん、と跳ねて、月光の当たる場所に軽やかに足を着ける。
流麗な着地。装いは黒くとも、その舞は湖に降り立つ白鳥にも似て。
氷上の主役(プリマ)は、優美な仕草で観客に向けて礼をした。
たん、と跳ねて、月光の当たる場所に軽やかに足を着ける。
流麗な着地。装いは黒くとも、その舞は湖に降り立つ白鳥にも似て。
氷上の主役(プリマ)は、優美な仕草で観客に向けて礼をした。
「快楽のアルターエゴ・メルトリリス。
心底イヤだけど貴方に協力してあげる。光栄に思いなさい?」
心底イヤだけど貴方に協力してあげる。光栄に思いなさい?」
◆
……
………………
…………………………
『―――というわけで、貴方には新たにこの舞台でバトルロワイアルの参加者として動いてもらいます』
『その体もあらかた修復していますが、元通りとはいきません。両手もそのままですし、連続して戦い続ければ破損も広がっていきます。
代わりにパラメーターに下方修正は加えてません。他の参加者との兼ね合いのハンデと思ってください』
代わりにパラメーターに下方修正は加えてません。他の参加者との兼ね合いのハンデと思ってください』
『……え、まだ言ってないことがあるって?もー!安易なネタバレ、露骨な伏線、フラグ撒きは厳禁です!だってBBちゃん、そういうの大好きですから!』
『―――それじゃあ、転送しますけど。何か言っておきたい事はありますか?
どうせ後でこのログも徹底削除しますし、今なら誰にも聞こえませんよ?』
どうせ後でこのログも徹底削除しますし、今なら誰にも聞こえませんよ?』
―――いいえ、何も。
―――残す言葉は何もありません、BB。
―――私たちのやることは変わらない。
―――ここに『彼』がいても、いないとしても。
―――この鼓動が続く限り、羽撃いていける。
―――例えこの体が砕け散っても。何度繰り返す事になっても。
―――繋いだ心だけは、離れないから。
…………………………
………………
……
◆
【E-5・秀知院学園生徒会室/1日目・深夜】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:まだ何も、捨ててしまえる事なんてできない
1:かぐや達との合流。
2:メルトリリスに同行。交渉を担当して衝突を避ける。
[備考]
※奉心祭の準備を視野に入れるぐらいの時期。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:まだ何も、捨ててしまえる事なんてできない
1:かぐや達との合流。
2:メルトリリスに同行。交渉を担当して衝突を避ける。
[備考]
※奉心祭の準備を視野に入れるぐらいの時期。
【メルトリリス@Fate/Grand Order】
[状態]:損傷(両手)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:繋いだ心は、今も離れない
1:藤丸立香との合流
2:白銀御行に同行。邪魔をしなければ知り合いも助けてやってもいい。
[備考]
※『深海電脳楽土 SE.RA.PH』のメルトリリスです。
※損傷は修復されてますが完全ではありません。休み無く戦い続ければ破損していくでしょう。
※出逢っているのは『男の藤丸立香』です。
[状態]:損傷(両手)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:繋いだ心は、今も離れない
1:藤丸立香との合流
2:白銀御行に同行。邪魔をしなければ知り合いも助けてやってもいい。
[備考]
※『深海電脳楽土 SE.RA.PH』のメルトリリスです。
※損傷は修復されてますが完全ではありません。休み無く戦い続ければ破損していくでしょう。
※出逢っているのは『男の藤丸立香』です。
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| Debut | 白銀御行 | センチメンタルクライシス |
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