センチメンタルクライシス ◆FTrPA9Zlak
一通りの情報交換を終えた三玖と立香は、地図上で最も近い施設であった秀知院学園へ向けて足を進めていた。
立香としては一旦落ち着ける場所で情報を整理したいと思っていた。
流石に夜道の道路で女の子二人がライトの明かりを頼りに鞄の中をひっくり返している絵はよろしくないだろう。
流石に夜道の道路で女の子二人がライトの明かりを頼りに鞄の中をひっくり返している絵はよろしくないだろう。
(うーん、やっぱり距離があるかなぁ)
そんな中、立香は、元気がない三玖を見ながらどうしたものかと考えていた。
色々と話してはいるのだが、どうにも距離があるように感じられる。
自分がおかしいのだろうか。それともカルデアにいる間に女子高生も色々と変わってしまったのだろうか。
自分がおかしいのだろうか。それともカルデアにいる間に女子高生も色々と変わってしまったのだろうか。
ちなみにだが、知り合いの名前を言って引かれた件。
あれについては、焦りながらもこう言っておいた。
あれについては、焦りながらもこう言っておいた。
『あはは、実はこの辺の人たちの名前っていわゆる芸名みたいなものでね、歴史上の有名人のものを借りてるんだよ!
私達ちょっと劇団系のサークルみたいなのやっててね!』
私達ちょっと劇団系のサークルみたいなのやっててね!』
三玖は納得したようでちょっと納得できてなさそうな表情を浮かべた後で「そうなんだ…」と返してそれ以上会話を広げることはなかった。
まあ、劇団と言っても全く知識がないわけではない。
セイレムの時のことを思い出せばある程度は話として成立させられるだろうと思っていた。
結局そこから話が広がらなくて無駄な心配になってしまったようだが。
セイレムの時のことを思い出せばある程度は話として成立させられるだろうと思っていた。
結局そこから話が広がらなくて無駄な心配になってしまったようだが。
「そういえば、三玖さんって五つ子の姉妹って言ってたけど、どんな子なの?」
とりあえず思いついたままに無理に話題を引っ張り出す。
「一花は――――」
と、ポツポツと話し始めた三玖。
曰く、五姉妹は皆同じ顔で、髪型を変えると区別がつかないくらいそっくりで。
各々の特徴を聞いているうちに、どうにも三玖は自分が強いコンプレックスを持っているようにも思えた。
曰く、五姉妹は皆同じ顔で、髪型を変えると区別がつかないくらいそっくりで。
各々の特徴を聞いているうちに、どうにも三玖は自分が強いコンプレックスを持っているようにも思えた。
そして、姉妹とは別の知り合いとしてこの場にいる、上杉風太郎という人の話になった時に彼女の話す様子が変わることも見逃していない。
友達、と言っていた存在だが、顔は少し赤く上気してるし、話す口調の節々にはその人物の人となりをよく見ているところも見受けられるし。
友達、と言っていた存在だが、顔は少し赤く上気してるし、話す口調の節々にはその人物の人となりをよく見ているところも見受けられるし。
(これは、もしかして恋の予感――っ)
立香とてもしマスターとなることがなければ未だ学生だったであろう年頃の娘。そういう話には興味を持ってしまうものだ。
それにここから話を広げて会話を続けていけば、三玖との距離も縮められるかもしれない。
それにここから話を広げて会話を続けていけば、三玖との距離も縮められるかもしれない。
「そういえば立香の知り合いってどんな人なの?」
(あ、話終わっちゃった)
(あ、話終わっちゃった)
とりあえず立香は、差し障りのない程度に後輩とサーヴァント達のことを話しておいた。
何故か宮本武蔵についてだけ、妙に会話への食いつきがよかった気がした。
何故か宮本武蔵についてだけ、妙に会話への食いつきがよかった気がした。
◇
メルトリリスとの一時的な協力関係を築いた白銀。
その後彼が最初にしたことは―――
「よし、これでいい」
秀知院学園の教室や廊下の明かりを灯すことだった。
学園内を走り回ったことで額に吹き出た汗を拭いながら、生徒会室に戻る。
そこには呆れたような表情のメルトリリスが佇んでいた。
そこには呆れたような表情のメルトリリスが佇んでいた。
「何をしてるのよ、一体」
「学園内に明かりをつけてきたところだ。
まあ流石に全部の部屋を、とはいかなかったがこれくらいあれば大丈夫だろう」
「そうじゃなくて、その行為になんの意味があるのかって聞いてるのよ」
「学園内に明かりをつけてきたところだ。
まあ流石に全部の部屋を、とはいかなかったがこれくらいあれば大丈夫だろう」
「そうじゃなくて、その行為になんの意味があるのかって聞いてるのよ」
話が終わって学園内の様子を問いかけてきた白銀に対して答えると、唐突に説明もなく走って部屋を出ていった。
そこにいきなり置いてきぼりをくらったメルトリリスは若干不機嫌な様子だった。
そこにいきなり置いてきぼりをくらったメルトリリスは若干不機嫌な様子だった。
「簡単な話だ。
もしこの夜の学園内で、一室だけ明かりがついている部屋があればそこに誰かがいるということが一目で分かるだろう。
友好的な相手ならいいが、もしヤバいやつだったら危険だ。
幸いこっちには地の利がある。少しは対応しやすくしておいた方がいいだろう」
もしこの夜の学園内で、一室だけ明かりがついている部屋があればそこに誰かがいるということが一目で分かるだろう。
友好的な相手ならいいが、もしヤバいやつだったら危険だ。
幸いこっちには地の利がある。少しは対応しやすくしておいた方がいいだろう」
もし生徒会メンバーがここにきたのなら生徒会室に来る可能性は高い。生徒会室にいれば合流できるだろう。
そうでなければ自分達の存在を知られているかどうかで情報的アドバンテージが取れる。相手が危険な者だった時、この差は大きい。
そうでなければ自分達の存在を知られているかどうかで情報的アドバンテージが取れる。相手が危険な者だった時、この差は大きい。
「そう。人間の想像力で考えられるくらいの想定はしてるみたいだけど。
一つ警告しておいてあげるわ。私のいた世界ってね、これくらいの建物なら本気を出せば一撃で吹き飛ばせるような力を持ったやつが結構いた場所なの」
「え、何それ怖い」
「だから最悪、私達がこの建物内にいるってバレた時点で危ない可能性もあるってことよ。
もしかしたら次の瞬間には建物ごと消し飛んでるかもしれないわね」
一つ警告しておいてあげるわ。私のいた世界ってね、これくらいの建物なら本気を出せば一撃で吹き飛ばせるような力を持ったやつが結構いた場所なの」
「え、何それ怖い」
「だから最悪、私達がこの建物内にいるってバレた時点で危ない可能性もあるってことよ。
もしかしたら次の瞬間には建物ごと消し飛んでるかもしれないわね」
絶句して額から冷や汗をかいている白銀。
その顔にからかうように口元で笑みを浮かべながらもメルトリリスは言葉を続ける。
その顔にからかうように口元で笑みを浮かべながらもメルトリリスは言葉を続ける。
「とはいえ、危機管理能力があるところは褒めてあげる。
実際にはそんな建物を壊すような攻撃をするよりも明かりがついた部屋に爆弾でも投げ込んだ方がコストはいいし。
そんなものが飛んできそうになったらまず私が気付くし」
実際にはそんな建物を壊すような攻撃をするよりも明かりがついた部屋に爆弾でも投げ込んだ方がコストはいいし。
そんなものが飛んできそうになったらまず私が気付くし」
常識を砕かれた上に自分の行動が無意味である可能性を投げつけられ凹みかけている白銀に飴と鞭のように評価の言葉を投げるメルトリリス。
ともあれやがて立ち直った白銀は、バッグの中から地図を取り出した。
「現在地はここ、地図でいうとE-5の辺りか…。
もし二人が来るとしたらこの場所で待っていた方がいいんだろうが…」
もし二人が来るとしたらこの場所で待っていた方がいいんだろうが…」
他に四宮と石上の二人が向かいそうな場所は地図上では心当たりがない。
しかし二人の位置が分からないことにはなんとも言えない。
例えば北東の灯台などが開始位置だった場合、ここに来るまでには非常に時間がかかる。
例えば北東の灯台などが開始位置だった場合、ここに来るまでには非常に時間がかかる。
四宮ならどうするか。それを思考しようとしてもいくつもの要素が出てきてまとまらない。
もしも誰かに襲われていたら。
もしも何者かに囚われて別の場所に連れて行かれたら。
もしも誰かに襲われていたら。
もしも何者かに囚われて別の場所に連れて行かれたら。
そんな想像が過ぎればどこに向かうかなど絞ることはできない。
バシャリ、と頭にペットボトルの水がかけられた。
「冷たっ!」
「何一人で考え込んでいるのよ。あなたは私の小間使いって言ったでしょう。
ならこっちの都合をまず考慮して考えなさい」
「あ、ああ。そうだな。すまない。
そういえばそっちのことを聞いていなかったな。お前の知り合いはいないのか?」
「何一人で考え込んでいるのよ。あなたは私の小間使いって言ったでしょう。
ならこっちの都合をまず考慮して考えなさい」
「あ、ああ。そうだな。すまない。
そういえばそっちのことを聞いていなかったな。お前の知り合いはいないのか?」
メルトリリス側の都合を無視して思考していたことに気付いた白銀は、名簿をメルトリリスの方に寄せる。
まだ見ていなかったのだろう。上から順にさっと目を通していく。
ある一点で、一瞬彼女の目の色が変わったように見えた。
まだ見ていなかったのだろう。上から順にさっと目を通していく。
ある一点で、一瞬彼女の目の色が変わったように見えた。
「私の知り合いはいないわ。
だけど私と同じ世界……場所から連れてこられたんじゃないかって名前は分かるわ」
だけど私と同じ世界……場所から連れてこられたんじゃないかって名前は分かるわ」
と、示した名前は藤丸立香から自身の名前、メルトリリスまでの間。
「なるほど、藤丸立香、マシュ・キリエライト、宮本武蔵、源頼光、酒呑童子、清姫、エドモン・ダンテス、フローレンス・ナイチンゲールか。
………なあ、一ついいか」
………なあ、一ついいか」
最初の二つ以外の名前。
学生の身分である自分の知識でも知っているような名が幾つもあり、いずれも歴史上の有名人か物語の中の人物のものだ。
学生の身分である自分の知識でも知っているような名が幾つもあり、いずれも歴史上の有名人か物語の中の人物のものだ。
というかよく見たら下の方にも沖田総司なんて名前やもう一つ宮本武蔵の名前などがある。
「下の方は知らないわ。たぶん私達とは別の存在なんじゃないかしら。
こっちの方は例えるなら、過去の英雄を模して作り出したアバターみたいなものって認識しておけばいい。
ただし誰がどんなやつかまでは知らない。最悪全員殺し合わないといけないような相手かもしれないってことは考えておいた方がいいわ」
「なるほどな。じゃあ」
「マシュ・キリエライトも知らない。ただ間に挟まれているから同じ世界じゃないかって思っただけ。
藤丸立香は、名前だけは知ってる。それだけよ」
こっちの方は例えるなら、過去の英雄を模して作り出したアバターみたいなものって認識しておけばいい。
ただし誰がどんなやつかまでは知らない。最悪全員殺し合わないといけないような相手かもしれないってことは考えておいた方がいいわ」
「なるほどな。じゃあ」
「マシュ・キリエライトも知らない。ただ間に挟まれているから同じ世界じゃないかって思っただけ。
藤丸立香は、名前だけは知ってる。それだけよ」
こっちが問うより速く答えたメルトリリス。
なるほど、と納得しながらそれ以上追求はしなかった。
なるほど、と納得しながらそれ以上追求はしなかった。
メルトリリスの口から小さく、「彼がここにいるはずがないもの」という呟きが漏れたのを耳にしてしまったから。
◇
立香と三玖の二人がその二人に出会ったのは、学園の明かりが視界に入るようになった頃だった。
入り口を探してぐるぐる回っていた時に、山の方向から降りてきた二人の中学生男子と遭遇した。
入り口を探してぐるぐる回っていた時に、山の方向から降りてきた二人の中学生男子と遭遇した。
「あんたも参加者だな!」
「うん、…ちょっと声が響くね。少しボリューム下げてもらっていいかな」
「ああ悪い。俺は若殿ミクニ」
「俺は猛田トシオだ」
「うん、…ちょっと声が響くね。少しボリューム下げてもらっていいかな」
「ああ悪い。俺は若殿ミクニ」
「俺は猛田トシオだ」
軽く名前を言い合った4人。
ふとミクニが問いかけた。
ふとミクニが問いかけた。
「ところで、二人は学生なのかな。何か制服を着てるみたいだけど」
「ああ、三玖さんは高校生だね。私は…うーん、学校に通ってたら高校生かなぁ…」
「へぇー、じゃあ俺達より年上か。それにしても、二人とも美人ですなぁ」
「おい猛田、今は大概にしておけ」
「あはは、お世辞が上手だね。ちょっと中に入ってから話さない?」
「ああ、三玖さんは高校生だね。私は…うーん、学校に通ってたら高校生かなぁ…」
「へぇー、じゃあ俺達より年上か。それにしても、二人とも美人ですなぁ」
「おい猛田、今は大概にしておけ」
「あはは、お世辞が上手だね。ちょっと中に入ってから話さない?」
と、学校の中に入っていく4人。
もし校内が暗いままだったら抵抗がある人もいたかもしれないが、幸いポツポツと明かりがついており、暗さはあまり感じなかった。
もし校内が暗いままだったら抵抗がある人もいたかもしれないが、幸いポツポツと明かりがついており、暗さはあまり感じなかった。
ある程度広さのある教室を探して歩いていく。
ふと、トシオが呟いた。
ふと、トシオが呟いた。
「夜の学校か。そういえば昔学校の七不思議なんてものもあったよねぇ。
夜の廊下を歩くと向こう側から下半身だけの女が歩いてくる、なんてのとか」
「それは聞いたことなかったなぁ。せいぜいトイレの花子さんとか、それくらいだったし」
夜の廊下を歩くと向こう側から下半身だけの女が歩いてくる、なんてのとか」
「それは聞いたことなかったなぁ。せいぜいトイレの花子さんとか、それくらいだったし」
空気を和らげようとしているのか怪談を振るトシオの話を笑って流す立香。
三玖も特に気にしている様子はない。
三玖も特に気にしている様子はない。
「じゃあもしおばけよりもっと怖いものがいたらどうするのかしら?」
「はは、そんなものがいたなら俺がお二人のことを守って―――?!」
「はは、そんなものがいたなら俺がお二人のことを守って―――?!」
ふと振り返る4人。
聞こえてきた声は、立香、三玖、ミクニ、トシオの誰のものでもなかった。
聞こえてきた声は、立香、三玖、ミクニ、トシオの誰のものでもなかった。
しかし後ろには誰もおらず。
聞き間違いかと思いながら振り向き直したところに。
聞き間違いかと思いながら振り向き直したところに。
「あらあら、勇ましいナイトがいるようね。だけどどうしてかしら。あなた、今一番逃げ出したいって顔をしてるわよ?」
上半身をコートのような服に包んで、下半身には下着ほどしか隠していない格好の女がいた。
露出狂。
ある意味では、幽霊よりも怖いものを見たような顔をする3人。
「それに外に居た時から思ってたけど、声が大きすぎるのよ。不用心すぎないかしら」
しかし一人、その顔を見て抱きつかんと飛びかかった者がいた。
「?!ちょっと、あんた何のつもり―――」
「よかった、無事だったんだねメルトリリス!」
「は、何で私の名前を」
「何でって、私だよ、カルデアのマスターの」
「よかった、無事だったんだねメルトリリス!」
「は、何で私の名前を」
「何でって、私だよ、カルデアのマスターの」
「藤丸立香だよ!!」
「―――は?」
◇
(……何があったメルトリリス)
生徒会室、会長席に座る白銀の隣で得も言われぬオーラを放っているメルトリリス。
「俺は若殿ミクニ。こっちは俺と同じ学校の猛田トシオだ」
「藤丸立香です」
「中野三玖」
「白銀御行だ」
「藤丸立香です」
「中野三玖」
「白銀御行だ」
面子が増えたこともあって改めての各々の軽い自己紹介が終わり、流れるように互いの持つ情報交換に移行、
「さて、皆の知っていることを話してほしいんだが――」
「その前にちょっと待って!」
「その前にちょっと待って!」
と、立ち上がったのは立香だった。
きっとメルトリリスの件を話す気なのだろう。
個人的な要件になりそうなら後回しにもしたかったが、このオーラを放つメルトリリスに当てられ続けるよりはマシかと彼女の話を許可した。
きっとメルトリリスの件を話す気なのだろう。
個人的な要件になりそうなら後回しにもしたかったが、このオーラを放つメルトリリスに当てられ続けるよりはマシかと彼女の話を許可した。
「メルトリリス、本当に私のこと知らないの?」
「しつこいわね。知らないって言ってるでしょ」
「藤丸立香。そういえば名前だけ知ってるって言っていたな。メルトリリス」
「ちょっとあんた黙ってて」
「しつこいわね。知らないって言ってるでしょ」
「藤丸立香。そういえば名前だけ知ってるって言っていたな。メルトリリス」
「ちょっとあんた黙ってて」
今度は逆にメルトリリスが問いかけた。
「それより、私のことを知っていた件だけど。
私があなたのカルデアにいるっていうのは本当なのかしら」
「うん。私の召喚に応じてくれて、特異点の修復とかにも力を貸してくれてたんだよ」
「………そう」
私があなたのカルデアにいるっていうのは本当なのかしら」
「うん。私の召喚に応じてくれて、特異点の修復とかにも力を貸してくれてたんだよ」
「………そう」
少し思案するように視線を下げたメルトリリス。
やがて周囲に撒いていたオーラが和らいでいくのを、隣の白銀は感じ取った。
やがて周囲に撒いていたオーラが和らいでいくのを、隣の白銀は感じ取った。
「私は”藤丸立香”のことは知っている。だけどそれはあなたのことじゃないわ。
同時にあなたのそのカルデアに行ったことはないし、あなたの知るメルトリリスでもない」
「そっか…」
同時にあなたのそのカルデアに行ったことはないし、あなたの知るメルトリリスでもない」
「そっか…」
少しがっかりしたように呟いてそれ以上話を続けることはなかった。
立香にしてみれば珍しいことではない。
特異点や異聞帯にはその土地に召喚されたり魔神柱や聖杯、クリプターに力を貸して敵対したサーヴァントもいた。
特異点や異聞帯にはその土地に召喚されたり魔神柱や聖杯、クリプターに力を貸して敵対したサーヴァントもいた。
つまりメルトリリスも、自分のいるカルデアとは別の形で召喚されたものだということなのだろう。
平行世界のカルデアのマスターの存在はある時アメリカにレイシフトした時の戦いで見ている。そこまで驚きはなかった。
平行世界のカルデアのマスターの存在はある時アメリカにレイシフトした時の戦いで見ている。そこまで驚きはなかった。
まだ引っ掛かるものはないわけではないが一旦の納得をした立香は話の進行を促した。
「ラブデスター?」
「ああ、俺たちの中学生が巻き込まれていたデスゲームだ」
「ああ、俺たちの中学生が巻き込まれていたデスゲームだ」
続いてミクニとトシオの番となった時に他の一同にとっても驚く情報が飛び出した。
曰く、ファウストという宇宙人が仕組んだ人の真実の愛を確かめるゲームであり。
二人はそのゲームを行っている途中で連れてこられたのだということ。
正確にはトシオはゲームに失敗して死んだということらしいが。
二人はそのゲームを行っている途中で連れてこられたのだということ。
正確にはトシオはゲームに失敗して死んだということらしいが。
「奴らの中にも派閥があるのか、別の、敬王って学校でやってるラブデスターに巻き込まれたことがあったが、その時はファウストの手も借りて脱出したんだが。
ただこの場所に来てからはファウストからの連絡はないんだ。外からの救援は難しいのかもしれない」
ただこの場所に来てからはファウストからの連絡はないんだ。外からの救援は難しいのかもしれない」
白銀と三玖はにわかには信じがたい事実に困惑し。
一方で立香は真剣に話を聞き、メルトリリスも聞き耳だけは立てていた。
一方で立香は真剣に話を聞き、メルトリリスも聞き耳だけは立てていた。
「あのBBという女はファウストの仲間って可能性は」
「それはないと思う……んだけどどうだろう…?
BB、確かに夏に邪神と目を合わせてハワイに異界生み出したりとかしてたし…。
そういうのに影響されて…ってのも否定できないしなぁ…」
「あの女一体何やってるのよ」
「それはないと思う……んだけどどうだろう…?
BB、確かに夏に邪神と目を合わせてハワイに異界生み出したりとかしてたし…。
そういうのに影響されて…ってのも否定できないしなぁ…」
「あの女一体何やってるのよ」
思わずぼやいてしまったメルトリリス。
「まあいい。それで、君たちはそのデスゲームの中にいたと」
「ああ、俺は告白以外の道でそんなふざけたゲームからの帰り方を探していた」
「で、俺もそんなこいつに力を貸して「で、こいつはそんな中でファウストから与えられた道具を使って好き勝手していたんだ」
「ああ、俺は告白以外の道でそんなふざけたゲームからの帰り方を探していた」
「で、俺もそんなこいつに力を貸して「で、こいつはそんな中でファウストから与えられた道具を使って好き勝手していたんだ」
それまでゲーム自体の説明であったことで口を噤んでいたトシオが自分のことを説明する段階になったと見て口を開こうとし。
そこに割り込んで、ミクニがトシオのことを話した。
そこに割り込んで、ミクニがトシオのことを話した。
生徒を騙して操ったり、女子生徒を自殺に追い込んだり。
自分達のいる生徒会を乗っ取って独裁者になろうとしたり。
自分達のいる生徒会を乗っ取って独裁者になろうとしたり。
彼のしたことを、知っている限りで全て。
ミクニとしては彼の所業を隠させるつもりはなかった。
元々生きているならば償いはさせる気だったのだ。
これで彼に対し疑いを持つものも増えるだろうが、やむを得ないことだと思っていた。
元々生きているならば償いはさせる気だったのだ。
これで彼に対し疑いを持つものも増えるだろうが、やむを得ないことだと思っていた。
当然、場にはトシオに対する強い警戒と不信感が流れる。
「最低」
三玖は彼に対し拒絶の意志を示すように短く呟く。
「…若殿君、君はどうしてそんなやつと一緒にいられるんだ?
彼はまた君を裏切り利用するとは思わなかったのか?」
彼はまた君を裏切り利用するとは思わなかったのか?」
白銀も三玖ほどではないが、トシオに対して警戒心を発している。
だがそれと同時に、そんな男と共にいるミクニもまた奇妙な存在に思えた。
だがそれと同時に、そんな男と共にいるミクニもまた奇妙な存在に思えた。
「こいつは確かに間違いを犯した、だけどそれはラブデスターなんて腐ったゲームのせいだ。
狂った場所にいたせいでおかしくなっただけなんだ。
それに、俺は同じ学校のやつみんなを仲間だと思ってる。それにはこいつも含まれているんだ。だから――」
「話にならないわね」
狂った場所にいたせいでおかしくなっただけなんだ。
それに、俺は同じ学校のやつみんなを仲間だと思ってる。それにはこいつも含まれているんだ。だから――」
「話にならないわね」
一瞬だった。
白銀の隣にいたメルトリリスが、ミクニの隣にいたトシオの前まで迫ったのは。
白銀の隣にいたメルトリリスが、ミクニの隣にいたトシオの前まで迫ったのは。
「待て!」「止めて!」
行動を察した白銀と立香の声が響く。
メルトリリスの体は、その鋭い足先をトシオの眼前に突きつけて止まっていた。
「ひ…」
目前に迫った死の気配に、思わず腰を抜かしそうになるトシオ。
「おっと動かない方がいいわよ。ちょっとでも動いたら、気まぐれで止めてる足がズレてあなたを貫くかもしれないわ」
「おい止めろ!あんた、このゲームに反対してるんじゃないのかよ!?」
「ええ、確かに私はBBの言葉に乗せられて動く気はないわ。
だけどね、私は元々人間が嫌いなの。それがほんの気まぐれで殺すのを待ってあげてるだけ。
何で人間が嫌いか、分かるかしら?単純な話。醜いからよ」
「おい止めろ!あんた、このゲームに反対してるんじゃないのかよ!?」
「ええ、確かに私はBBの言葉に乗せられて動く気はないわ。
だけどね、私は元々人間が嫌いなの。それがほんの気まぐれで殺すのを待ってあげてるだけ。
何で人間が嫌いか、分かるかしら?単純な話。醜いからよ」
メルトリリスの表情には笑みも怒りも蔑みも見ることができない。
やろうと思えば、虫を殺すようにこの棘を前に押し出すだろう。
やろうと思えば、虫を殺すようにこの棘を前に押し出すだろう。
立ち上がった白銀も、そのメルトリリスの様子に身動きが取れないでいた。
「ゲームのせいで狂った?違うわよ、この男は元々そういうふうに他人を利用するようなやつだったってこと。
それが命がかけられたゲームの中で表出してきただけ」
「…っ、あんたにこいつの何が分かるんだよ?!」
「こいつのことは知らないわ。私に言えるのは唯一つ。こいつを生かしておいたら、きっといつか私にも、あんた達にも傷をつけるでしょうね。
ならそうなる前に終わらせて上げたほうが綺麗だと思わないかしら?」
それが命がかけられたゲームの中で表出してきただけ」
「…っ、あんたにこいつの何が分かるんだよ?!」
「こいつのことは知らないわ。私に言えるのは唯一つ。こいつを生かしておいたら、きっといつか私にも、あんた達にも傷をつけるでしょうね。
ならそうなる前に終わらせて上げたほうが綺麗だと思わないかしら?」
殺気が一気に膨れ上がったのを部屋にいた皆が感じ取った。
「止めろぉ!」
抑え込もうと飛びかかったミクニの体を払い飛ばすメルトリリス。
体が飛ばされ、生徒会室の壁に叩きつけられる。
体が飛ばされ、生徒会室の壁に叩きつけられる。
態勢を立て直して舞うようにその足をトシオの体へと迫らせた。
「メルトリリス!!」
叫ぶ白銀の声。
直後に広がるだろう光景を想像し目を閉じる三玖。
直後に広がるだろう光景を想像し目を閉じる三玖。
その足がトシオを貫かんと迫って。
「―――!」
トシオと自分の間に割り込んだ立香の姿を見て、再度止まることになる
足は立香の目の数センチ先で止まっている。先程のトシオ以上に、少しでも動けば立香が串刺しとなるだろう。
だが、立香はそんなメルトリリスの殺気を強い視線で受け止めている。
だが、立香はそんなメルトリリスの殺気を強い視線で受け止めている。
「どきなさい」
「ダメ」
「ダメ」
メルトリリスの言葉にも立香は動かない。
「言ったでしょう。そういう男は生きていてもどうにもならない。
後顧の憂いはここで断っておくべきでしょ」
「確かにこの人は許されないことをしたのかもしれないし、人間として最低なのかもしれない。
だけどね、メルトリリス。いくら最低で、悪い人だったとしても」
後顧の憂いはここで断っておくべきでしょ」
「確かにこの人は許されないことをしたのかもしれないし、人間として最低なのかもしれない。
だけどね、メルトリリス。いくら最低で、悪い人だったとしても」
「死んでいい人なんて、いないんだよ」
そう言って立香は、悲しそうな表情を浮かべて微笑む。
「――――――」
その瞳を見て。
メルトリリスの瞳が揺れた。
メルトリリスの瞳が揺れた。
数秒の沈黙の後、メルトリリスは足を下げた。
「そこの人間、彼女に感謝することね」
「ひ、は、はい!」
「ひ、は、はい!」
泡を吹きながら気絶しかけていたところで意識を取り戻したトシオは、そう慌てて返事をした。
◇
同じ名前をした、見知らぬ存在。
別の自分と契約した、カルデアのマスター。
あの時、ただ消え去るだけだった自分を助けた存在。
きっと彼は、それが”私”じゃなくても、どんな人でも助けたのだろう。
きっと彼は、それが”私”じゃなくても、どんな人でも助けたのだろう。
全くの別人で、決して自分の知る”彼”ではないけど。
彼女は間違いなく、”彼”と同じ形の魂を持っていた。
◇
その後、メルトリリスは風に当たると言って外に出ていき。
情報交換と互いの支給品の整理をしている状態だった。
そんな中で、話についていけずハブられている気がした三玖は一人ため息をついていた。
(…私、何をやってるんだろう)
探したい人がいるのに主張することもできず。
流されるままに立香についてきて、この場所でも何もできていない。
流されるままに立香についてきて、この場所でも何もできていない。
若殿ミクニや猛田トシオのようなデスゲームの経験もなければ。
白銀御行のように人を纏め、仕切るようなこともできない。
立香のような強い心も持っていない。
白銀御行のように人を纏め、仕切るようなこともできない。
立香のような強い心も持っていない。
いっそ居なくなってしまっても気付かれないのかもしれない。
(フータローは、みんなはどう思うんだろう…)
みんな、きっと自分がいなくなれば悲しむだろう。
だけどフータローは他の姉妹が居なくなった時も、きっと同じ反応を返すだけなのだろう。
それがどうしても嫌だった。
それがどうしても嫌だった。
もし期末試験で一花に勝って告白していれば、そうはならなかったかもしれないのに。
ソファの上で、体育座りになって膝を抱え込み頭を埋める三玖。
思考だけが回り、周囲の音も聞こえなくなってくる。
思考だけが回り、周囲の音も聞こえなくなってくる。
不意に、頬に冷たいものが触れた。
「ひゃあっ」
「気が付いたか。いや、名前を読んでも気が付かれなかったみたいだったからな」
「気が付いたか。いや、名前を読んでも気が付かれなかったみたいだったからな」
ふと見上げると、クマのついた鋭い目つきが見えた。
差し出された手元には抹茶ソーダの缶があった。
差し出された手元には抹茶ソーダの缶があった。
「白銀さん…」
「えーと、中野さんだったか」
「三玖でいいです。中野だとみんなと被りますから…」
「分かった、じゃあ三玖さん。
いや、用ってわけじゃないんだが、どうもずっと塞ぎ込んでいるみたいだったから気になってな。
あ、この飲み物どうだ?あまり口に合わなかったからみんなに分けてたんだが、受け取りを拒否されてるところなんだが」
「………もらう」
「えーと、中野さんだったか」
「三玖でいいです。中野だとみんなと被りますから…」
「分かった、じゃあ三玖さん。
いや、用ってわけじゃないんだが、どうもずっと塞ぎ込んでいるみたいだったから気になってな。
あ、この飲み物どうだ?あまり口に合わなかったからみんなに分けてたんだが、受け取りを拒否されてるところなんだが」
「………もらう」
抹茶ソーダの缶を受け取りながら、
元々社交的な質ではなかった三玖だが、今はどうしてもこのもやもやした気持ちをどこかに吐露したかった。
あったばかりの知らない人なら、少しくらいはいいのかなと、心中にあったものを吐き出した。
あったばかりの知らない人なら、少しくらいはいいのかなと、心中にあったものを吐き出した。
「なんだかここにいるみんな、すごいなって思っちゃって。
私が持ってないものをいっぱい持ってるような気がして。でも私には何もなくて。
なんの取り柄も、みんなの役に立つような経験もない私なんて、いなくてもいいんじゃないかって」
「ふむ、なるほどな」
私が持ってないものをいっぱい持ってるような気がして。でも私には何もなくて。
なんの取り柄も、みんなの役に立つような経験もない私なんて、いなくてもいいんじゃないかって」
「ふむ、なるほどな」
自分にとっては目の前の人も強く見えた。
情報交換をする中で皆を仕切っていたし、あの気難しそうな変な格好の女の子、メルトリリスも彼が協力を取り付けたのだという。
情報交換をする中で皆を仕切っていたし、あの気難しそうな変な格好の女の子、メルトリリスも彼が協力を取り付けたのだという。
「まあ、俺にとっても色々めちゃくちゃだよ。ただの、ちょっと偏差値が高い学校の生徒会長でしかなかったのに、いきなり殺し合いだのデスゲームだの言われて」
「今の状況が、怖くはないの?」
「当然、怖いさ。ここには怪獣みたいなやつがうようよいるかもしれないって、メルトリリスは言うしな。
だけど」
「当然、怖いさ。ここには怪獣みたいなやつがうようよいるかもしれないって、メルトリリスは言うしな。
だけど」
と、白銀は空を見上げて呟く。
「藤原書記を、仲間を殺されてるからな」
「えっ」
「最初に首を飛ばされた女の子がいただろう。彼女はうちの生徒会のメンバーだったんだ」
「えっ」
「最初に首を飛ばされた女の子がいただろう。彼女はうちの生徒会のメンバーだったんだ」
思い出すのは、最初に首を飛ばされた女の子。
突然のことに動揺したまま、わけも分からぬ様子のまま殺された子。
突然のことに動揺したまま、わけも分からぬ様子のまま殺された子。
その告白に思わず言葉を失ってしまう三玖。
「だからどんな現実でも受け入れなきゃいけないし、逃げられない。
それに、四宮…うちの生徒会副会長の方が付き合いは長かったんだ、きっとあいつの方が辛いに決まってる。
俺が弱音なんて吐いてる暇は、ないからな」
それに、四宮…うちの生徒会副会長の方が付き合いは長かったんだ、きっとあいつの方が辛いに決まってる。
俺が弱音なんて吐いてる暇は、ないからな」
そうどこか遠くを見ているように語る白銀。
その姿は、さっきまで見ていた纏め役として頼もしくも見えた背よりも、だいぶ小さく見えた。
その姿は、さっきまで見ていた纏め役として頼もしくも見えた背よりも、だいぶ小さく見えた。
そしてもう一つ。
四宮。四宮かぐや。女の子の名前だ。
四宮。四宮かぐや。女の子の名前だ。
「好きな子なの?」
「…………、まあ、言ってしまってもいいか。
そうだな。俺は四宮のことが好きだ。だがまだ告白を済ませていない」
「そうなの」
「…………、まあ、言ってしまってもいいか。
そうだな。俺は四宮のことが好きだ。だがまだ告白を済ませていない」
「そうなの」
何だか三玖はシンパシーを感じていた。
「私も好きな人がいるんだけど、勇気が出なくて好きって言えてなくて」
「そうか、はは、一緒だな。
そうだな、なら一つアドバイスだ。昔俺が自分に自信が持てなくて卑屈な態度を取ってた時に、言われたことがあったんだ。
『虚勢の一つも張れねえのか』なんて」
「…虚勢?」
「まああれだ。とにかく、もっと元気を出せって、そう言いたかっただけだ」
「ふふっ」
「そうか、はは、一緒だな。
そうだな、なら一つアドバイスだ。昔俺が自分に自信が持てなくて卑屈な態度を取ってた時に、言われたことがあったんだ。
『虚勢の一つも張れねえのか』なんて」
「…虚勢?」
「まああれだ。とにかく、もっと元気を出せって、そう言いたかっただけだ」
「ふふっ」
漏れた笑いは、たぶん愛想笑いだったんだと思う。
だけど、笑みをこぼすことができるくらいは安定したんだと。
だけど、笑みをこぼすことができるくらいは安定したんだと。
「ううん、ちょっとは安心できた。
ずっと、私も自分の常識が分からなくなってたくらいだったから、私だけがおかしいのかってなってたみたいで」
「それはよかった。お互い、頑張ろうじゃないか」
ずっと、私も自分の常識が分からなくなってたくらいだったから、私だけがおかしいのかってなってたみたいで」
「それはよかった。お互い、頑張ろうじゃないか」
心の重しが取れ軽くなった三玖の口からは笑みがこぼれた。
釣られるように、白銀も笑った。
釣られるように、白銀も笑った。
(そうだ、やっぱり私は)
その心中で、一つの思いが生まれる。
(またこんなふうに、フータローと笑いたい)
◇
「なあ、メルトリリス」
「何よ」
「良かったのか?
あの藤丸立香って子と一緒にいなくて」
「あの子なら大丈夫よ。一応自分でもどうにかできる力があるって言ってたでしょ」
「何よ」
「良かったのか?
あの藤丸立香って子と一緒にいなくて」
「あの子なら大丈夫よ。一応自分でもどうにかできる力があるって言ってたでしょ」
白銀とメルトリリスは学園を出発し、赤いバイクに乗って移動していた。
もちろんバイクの免許など持たない白銀には運転はできず、乗れると自己申告したメルトリリスが動かしているのだが。
なおその手はコートの裾に隠れたままだし足もあの棘がついたままと、安全に運転できるような格好ではなさそうなのだが、不思議とうまく動いている様子だ。
もちろんバイクの免許など持たない白銀には運転はできず、乗れると自己申告したメルトリリスが動かしているのだが。
なおその手はコートの裾に隠れたままだし足もあの棘がついたままと、安全に運転できるような格好ではなさそうなのだが、不思議とうまく動いている様子だ。
ちなみにこのバイク、ジャングレイダーは元々白銀の支給品であった。
それをメルトリリスに謙譲する代わりにその後ろに乗せて移動に同行させてもらうという、等価交換になっているのかどうか分からない取引をさせられたわけだが。
それをメルトリリスに謙譲する代わりにその後ろに乗せて移動に同行させてもらうという、等価交換になっているのかどうか分からない取引をさせられたわけだが。
あの後メルトリリスは出かけ際に、選別だと言って立香に白い箱のようなものを投げ渡して出ていった。
気にかけていたのは何となく分かるのだが、どうして一緒にいないのだろうか。
気にかけていたのは何となく分かるのだが、どうして一緒にいないのだろうか。
(そういえば、さっきメルトリリスが呟いた時は――)
藤丸立香のことを、彼、と言っていた気がした。
あまりにも事情が複雑そうであり、それ以上首を突っ込むのは彼女の機嫌を損ねてしまう可能性がある。
無闇に触れるのは避けておいた方がいいかもしれない。
無闇に触れるのは避けておいた方がいいかもしれない。
気を見るか、彼女自身が話すまでは。
「今は私自身の目的がないもの。だからあなたのやりたいことに付き合ってあげてもいいわ。
早く行き先を言いなさい」
「ああ、それじゃあ―――」
早く行き先を言いなさい」
「ああ、それじゃあ―――」
◇
私の知る彼に、とても似ているあなた。
きっとあの人もまた別の私と違う道を共に歩んで、成し遂げた末にあの人のところに羽ばたいていったのでしょう。
きっとあの人もまた別の私と違う道を共に歩んで、成し遂げた末にあの人のところに羽ばたいていったのでしょう。
だからこそ、私が彼女の隣に立つべきではない。
私は彼女のアルターエゴ(別の自分)で、彼女は彼のアルターエゴ(別の自分)。
そんな関係は嫌だったから。
私は彼女のアルターエゴ(別の自分)で、彼女は彼のアルターエゴ(別の自分)。
そんな関係は嫌だったから。
成し遂げた彼女の隣にいるべきは、まだ飛び立っていない私ではないのだから。
だから、さようなら。
”私”が出逢わなかったあなた。
”私”が出逢わなかったあなた。
それでも、もしも。
こんな翼でもいつか必要になる時が来るなら。
きっと飛んでいくでしょうから。
こんな翼でもいつか必要になる時が来るなら。
きっと飛んでいくでしょうから。
【E-5/1日目・深夜】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2(確認済み)、抹茶ソーダ(残り4本)@五等分の花嫁
[思考・状況]
基本方針:まだ何も、捨ててしまえる事なんてできない
1:かぐや達との合流。
2:メルトリリスに同行。交渉を担当して衝突を避ける。
[備考]
※奉心祭の準備を視野に入れるぐらいの時期。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2(確認済み)、抹茶ソーダ(残り4本)@五等分の花嫁
[思考・状況]
基本方針:まだ何も、捨ててしまえる事なんてできない
1:かぐや達との合流。
2:メルトリリスに同行。交渉を担当して衝突を避ける。
[備考]
※奉心祭の準備を視野に入れるぐらいの時期。
【メルトリリス@Fate/Grand Order】
[状態]:損傷(両手)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2(確認済み)、ジャングレイダー@仮面ライダーアマゾンズ
[思考・状況]
基本方針:繋いだ心は、今も離れない
1:とりあえずしばらく白銀御行の方針に従う。
2:白銀御行に同行。邪魔をしなければ知り合いも助けてやってもいい。
3:この殺し合いにいる藤丸立香とは共には行けない。だけど再び道が交わることがあれば力を貸すくらいはいい。
[備考]
※『深海電脳楽土 SE.RA.PH』のメルトリリスです。
※損傷は修復されてますが完全ではありません。休み無く戦い続ければ破損していくでしょう。
※出逢っているのは『男の藤丸立香』です。
※『女の藤丸立香』については、彼とは別の存在であると認識していますが、同時にその魂の形がよく似ているとも感じています。
[状態]:損傷(両手)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2(確認済み)、ジャングレイダー@仮面ライダーアマゾンズ
[思考・状況]
基本方針:繋いだ心は、今も離れない
1:とりあえずしばらく白銀御行の方針に従う。
2:白銀御行に同行。邪魔をしなければ知り合いも助けてやってもいい。
3:この殺し合いにいる藤丸立香とは共には行けない。だけど再び道が交わることがあれば力を貸すくらいはいい。
[備考]
※『深海電脳楽土 SE.RA.PH』のメルトリリスです。
※損傷は修復されてますが完全ではありません。休み無く戦い続ければ破損していくでしょう。
※出逢っているのは『男の藤丸立香』です。
※『女の藤丸立香』については、彼とは別の存在であると認識していますが、同時にその魂の形がよく似ているとも感じています。
※二人の進行方向は次の書き手にお任せします。
※藤丸立香、中野三玖、若殿ミクニ、猛田トシオと情報交換をしました。
※藤丸立香、中野三玖、若殿ミクニ、猛田トシオと情報交換をしました。
◇
二人の出発に合わせて、残った4人も学園を出ることとなった。
メルトリリスと同行できなかったことには立香は残念がっていたが、無理を言っても仕方ないと諦め他の3人の保護を立香は請け負うこととなった。
行く先については、三玖の「PENTAGONに向かいたい。そこに自分の知り合いが集まる可能性がある」という意見を飲み東へと足を進める。
そんな中で一人。
(クソッ、あの変態女…、あいつのせいでせっかく生き返ったのに寿命が縮んだと思ったぜ…!)
心中で愚痴をこぼしているのはトシオだった。
(ミクニ、こいつもこいつだ…、一から全部ペラペラ喋りやがって、もう少し言葉を選びやがれ…!)
メルトリリスとミクニに対し、逆恨み混じりに恨み言を述べ続ける。
当然、それを表情に出すことはしないが。
当然、それを表情に出すことはしないが。
(だが、一応は仲間を得られたんだ、今はこいつらの信用を得るところから開始だ…)
トシオの思っているように、同行者の中でも三玖の距離が遠い。やはり警戒されてしまっている。
しばらくはどうにか会心したと思わせるようにして、最終的に利用しやすい状況を作り出すようにしなければならない。
しばらくはどうにか会心したと思わせるようにして、最終的に利用しやすい状況を作り出すようにしなければならない。
と、ふと視線が前を歩く藤丸立香へと向かう。
(こいつは、あの三玖って女と比べたら特に警戒しているようには見えないな)
警戒心がにじみ出ている三玖に対して、彼女はあくまでも自然にこっちに接しているように見える。
(そういや、こいつ何で俺をあの時助けたんだ?もしかしたら自分が死ぬかもしれないって状況だったのに)
近付きすぎた死の恐怖に意識が飛びかけていたトシオは、あの時の記憶があやふやだった。
だからメルトリリスと立香の会話を覚えていない。
だからメルトリリスと立香の会話を覚えていない。
ただ、彼女が自分の前に出て助けてくれたことだけは覚えていた。
猛田トシオ。
彼がいたデスゲームは元々男女間の愛を見ることを目的として行われていたもの。
彼自身のゲームの進め方はお世辞にも賢いとは言えず、むしろ愛とは言えない行動に走っていたのも事実だが。
ただそれでも、死の直前までいたゲームの感覚はトシオの中からも完全に抜けきっているわけではなかった。
彼がいたデスゲームは元々男女間の愛を見ることを目的として行われていたもの。
彼自身のゲームの進め方はお世辞にも賢いとは言えず、むしろ愛とは言えない行動に走っていたのも事実だが。
ただそれでも、死の直前までいたゲームの感覚はトシオの中からも完全に抜けきっているわけではなかった。
(はっ―――、もしかして)
まあ、要するに何が言いたいのかと言うと。
(この女、俺に気がある―――?!)
猛田トシオは、ここにきて盛大な勘違いを始めた。
【E-5/1日目・深夜】
【藤丸立香(女主人公)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order、ランダム支給品1~2(確認済み)、ファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。いつも通り、出来る限り最善の結末を目指す。
1:自分だけでは力不足なので、サーヴァントか頼れそうな人と合流したい
2:三玖達みんなを守る。サーヴァントのみんなのことはどう説明したものかな……!?
3:BBと話がしたい
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデア発足後です。
※原作通り英霊の影を呼び出して戦わせることが可能ですが、面子などについては後続の書き手さんにお任せします。
※サーヴァント達が自分の知るカルデアの者だったり協力的な状態ではない可能性を考えています。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order、ランダム支給品1~2(確認済み)、ファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。いつも通り、出来る限り最善の結末を目指す。
1:自分だけでは力不足なので、サーヴァントか頼れそうな人と合流したい
2:三玖達みんなを守る。サーヴァントのみんなのことはどう説明したものかな……!?
3:BBと話がしたい
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデア発足後です。
※原作通り英霊の影を呼び出して戦わせることが可能ですが、面子などについては後続の書き手さんにお任せします。
※サーヴァント達が自分の知るカルデアの者だったり協力的な状態ではない可能性を考えています。
【中野三玖@五等分の花嫁】
[状態]:健康、精神的疲労
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:フータローとまた笑いあいたい
1:PENTAGONを目指す
2:フータローや他の姉妹を探す
[備考]
※参戦時期は修学旅行中です。
[状態]:健康、精神的疲労
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:フータローとまた笑いあいたい
1:PENTAGONを目指す
2:フータローや他の姉妹を探す
[備考]
※参戦時期は修学旅行中です。
【若殿ミクニ@ラブデスター】
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1.皆を探す
[備考]
※敬王から帰還以降からの参戦。詳しい時期は後続の書き手にお任せします
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1.皆を探す
[備考]
※敬王から帰還以降からの参戦。詳しい時期は後続の書き手にお任せします
【猛田トシオ@ラブデスター】
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝商品を手に入れる
1.若殿ミクニ達他のやつらを利用する
2.まずは信用されるように動き、利用しやすくなるように動く
3.藤丸立香は俺に気がある?
[備考]
※死後からの参戦
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝商品を手に入れる
1.若殿ミクニ達他のやつらを利用する
2.まずは信用されるように動き、利用しやすくなるように動く
3.藤丸立香は俺に気がある?
[備考]
※死後からの参戦
※白銀御行、メルトリリスと情報交換をしました。
【ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎】
鏡にかざすことで仮面ライダーファムに変身することができる
鏡にかざすことで仮面ライダーファムに変身することができる
【ジャングレイダー@仮面ライダーアマゾンズ】
水澤悠(アマゾンオメガ)の所有するバイク。
水澤悠(アマゾンオメガ)の所有するバイク。
【抹茶ソーダ@五等分の花嫁】
6本セット、炭酸が抜けないように保冷されている。
6本セット、炭酸が抜けないように保冷されている。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| その鼓動は恋のように | 白銀御行 | 貴方の隣に立ちたくて |
| メルトリリス | ||
| 月と太陽 | 藤丸立香 | CLOVER FIELD |
| 中野三玖 | ||
| 共闘 | 若殿ミクニ | |
| 猛田トシオ |