CLOVER FIELD ◆Plv593M0e2
白銀御行とメルトリリスと別れて数刻、深夜の住宅街を東に向かって歩く藤丸立香たち。目下の目標はこの先にあるタワーマンション『PENTAGON』だった。
視線のずっと先、遠く離れた闇の中でもPENTAGONはその巨大なシルエットを浮かび上がらせ航空障害灯の赤い光を明滅させていた。
それはあたかもこのデスゲームの参加者を誘き寄せる誘蛾灯のような不吉さを醸し出している。
視線のずっと先、遠く離れた闇の中でもPENTAGONはその巨大なシルエットを浮かび上がらせ航空障害灯の赤い光を明滅させていた。
それはあたかもこのデスゲームの参加者を誘き寄せる誘蛾灯のような不吉さを醸し出している。
「……目立ちすぎるな」
先頭を歩く立香の隣にいた猛田トシオが呟いた。
「猛田くんもそう思う?」
「あ、ああ……立香さんも?」
「うん、私はこういうのあまり詳しくはないけど……行くあてのない、周辺の地理にも疎い人間が目的地を決めようとしたら――」
「きっと意識無意識関わらず目立つランドマークを目指そうとするでしょうね。特にあのペンタゴンというタワマンはどこからでも見えるほどの高さだ」
「あ、ああ……立香さんも?」
「うん、私はこういうのあまり詳しくはないけど……行くあてのない、周辺の地理にも疎い人間が目的地を決めようとしたら――」
「きっと意識無意識関わらず目立つランドマークを目指そうとするでしょうね。特にあのペンタゴンというタワマンはどこからでも見えるほどの高さだ」
「じゃあ猛田くんに意地悪な質問していい? 一度はゲームに乗った君ならどう思う――?」
「ッ――!」
「あ、ごめん。ちょっとデリカシーが無さ過ぎた」
「別に……いいですよ。理由はどうあれ俺がラブデスター実験でやったことは事実ですし」
「ッ――!」
「あ、ごめん。ちょっとデリカシーが無さ過ぎた」
「別に……いいですよ。理由はどうあれ俺がラブデスター実験でやったことは事実ですし」
猛田トシオが犯した罪を若殿ミクニは洗いざらい口にした。そのおかげで中野三玖には露骨に嫌悪感を露わにされたしメルトリリスにも殺されかけた。
まったく余計なことをしてくれる。しかしその罪を露わにされることでミクニの信用を得られるのであれば安いものだ。
が、こうしてそのことを突かれるのはいい気分ではなかった。
まったく余計なことをしてくれる。しかしその罪を露わにされることでミクニの信用を得られるのであれば安いものだ。
が、こうしてそのことを突かれるのはいい気分ではなかった。
どうして――?
理由はどうあれ全ての凶行の始まり――三卜ももこを死に追いやったことはトシオの心に深い影を落としていた。
月代中学を混乱に追い落としたトシオはその報いを受け失脚しても、それを赦そうと差し伸ばされたミクニの手を取る機会はあった。
だが――
理由はどうあれ全ての凶行の始まり――三卜ももこを死に追いやったことはトシオの心に深い影を落としていた。
月代中学を混乱に追い落としたトシオはその報いを受け失脚しても、それを赦そうと差し伸ばされたミクニの手を取る機会はあった。
だが――
『ももこを殺った時点で俺はもう引き返せねぇんだ!』
慟哭と共にその手を振り払ってしまったのは三卜ももこへの罪悪感だったのかもしれない。
だからこそ、立香の優しい瞳でその罪を自覚させられると捨てたと思っている良心が疼く。
だからこそ、立香の優しい瞳でその罪を自覚させられると捨てたと思っている良心が疼く。
「少なくとも――十分に人を殺せる力があるなら絶好の狩場、ですかね。少なくとも夜はマズい。目指すのであればせめて昼間のうちじゃないと」
「だよね……」
「だよね……」
きっと他の姉妹もそこに向かうだろうと三玖の提案により目指すことになったPENTAGON、協力者を得られると同時にそれを狙う者たちにとっても分かりやすい目標となり得る諸刃の剣。
このままPENTAGONを目指すべきか、それとも夜が明けてから改めて向かうべきか。逡巡する立香にトシオは話しかける。
「立香さんは俺をどう思ってるんですか?」
「どうって?」
「そのままの意味ですよ。かつてゲームに乗った俺を信用してるのかって。ミクニはああいうやつだ。俺を無条件に信用してる。三玖さんは俺を警戒してる、当然だ。でも貴方は――」
「どうって?」
「そのままの意味ですよ。かつてゲームに乗った俺を信用してるのかって。ミクニはああいうやつだ。俺を無条件に信用してる。三玖さんは俺を警戒してる、当然だ。でも貴方は――」
どうしてあの女から俺を庇おうとしたのか――、と口に出そうとして気恥ずかしくなった。
「最初から疑ってかかったら何もできないからね。ミクニくんはわたし達に警戒されることを承知のことで君の罪を喋った。そうしてまで君への信頼を得ようとしてくれたんだから。まあメルトの時は考えるより先に身体が動いちゃったんだけど」
「お人好しにもほどがありますね。一歩間違えば俺ごとあの女の足に貫かれていたのに……」
「よく言われる。それにね、わたしの知り合いワケありの人たち結構いるから。後めたいことがあってもまずは話を聞いてあげなくちゃ」
「お人好しにもほどがありますね。一歩間違えば俺ごとあの女の足に貫かれていたのに……」
「よく言われる。それにね、わたしの知り合いワケありの人たち結構いるから。後めたいことがあってもまずは話を聞いてあげなくちゃ」
一体この女は何者なんだ。こんな状況でも場慣れしてる空気を醸し出してるし、見ず知らずの人間を身を呈して庇おうとした。あまりに度胸が据わっている。それに訳ありの人間と多く交流があると来た。
(ヤクザの娘か何かか……?)
着物に身を包み強面の男たちを冷たい瞳で従える立香の姿を想像しトシオは背筋が寒くなる。トシオは盛大に勘違いしているものの、強面の男たちを従えている点はある意味間違ってはいないのだが。
「ちょっと待って」
不意に立香が声を上げて立ち止まった。
「ちょっとわたしだけ早く歩きすぎたみたい。三玖が遅れてる」
振り返るととぼとぼと歩く三玖の姿があり彼女に付き添うようにミクニが歩いてるのが見えた。
「……立香さん結構体力あるんですね」
「うん、まあ……よくスパルタの王様のトレーニングに付き合ったりしてたからね。この前はアメリカを西海岸から東海岸まで横断したっけ」
「は?」
「あー、いやいやこっちの話、てへへ」
「うん、まあ……よくスパルタの王様のトレーニングに付き合ったりしてたからね。この前はアメリカを西海岸から東海岸まで横断したっけ」
「は?」
「あー、いやいやこっちの話、てへへ」
ますますこの藤丸立香という女がわからないトシオ。でも彼女に対する興味は尽きないのも確かであった。
◼️
(はぁ……立香はなんであんなやつと話してるんだろ……)
少し前を歩く立香とトシオを三玖は頬を膨らませ嫉妬めいた視線で見つめていた。
ミクニから聞かされたトシオの罪、ミクニとしては彼を受け入れてもらうための禊として語ったのだろう。
それでも彼の所業は女の敵、そう簡単に受け入れられるものではない。
メルトリリスに殺されそうになった時は内心ざまあみろとさえ思った。
ミクニから聞かされたトシオの罪、ミクニとしては彼を受け入れてもらうための禊として語ったのだろう。
それでも彼の所業は女の敵、そう簡単に受け入れられるものではない。
メルトリリスに殺されそうになった時は内心ざまあみろとさえ思った。
でも彼女は――藤丸立香は赦されざる罪を犯したトシオの前に躍り出てメルトリリスから庇った。
ごく自然に、ただ当たり前のように、自分も死ぬかもしれないということも考えずに。
ごく自然に、ただ当たり前のように、自分も死ぬかもしれないということも考えずに。
「三玖さん、あいつのことに対して差し出がましいことをしたとは思ってる。それでもあいつは――トシオは自分の罪と向き合わないといけねえんだ」
三玖の表情を察したのか隣を歩いていたミクニが口を開く。
「……ミクニはどうしてそこまであいつを――猛田を信用できるの?」
「……俺はあいつを助けてやりたかった。確かにあいつは俺たちの友達を傷つけた。だからと言って死んでいいヤツじゃあなかった。ただそれだけだったんだ」
「……俺はあいつを助けてやりたかった。確かにあいつは俺たちの友達を傷つけた。だからと言って死んでいいヤツじゃあなかった。ただそれだけだったんだ」
ミクニの言によるとその後トシオは人知れず死んだ。なのに別のデスゲームに参加させられるために生き返った。
それはトシオ本人も認めていることである。
死人が生き返る――三玖の脳裏に母親の姿がふとよぎった。
それはトシオ本人も認めていることである。
死人が生き返る――三玖の脳裏に母親の姿がふとよぎった。
「そういうの、ちょっと傲慢」
「かもしれねェな。だけどもう一度出会えたのならあいつを救ってやりたい。それは俺の嘘偽りない本心だ。それに……」
「それに?」
「もし俺がトシオのことを黙ったままで、もし後からあいつのやったことを知ってしまったら三玖さんはどう思う?」
「……きっと猛田はもちろんミクニも信用できなくなってたかも」
「だろ? あいつを赦してやれとは言わねえ。せめて俺と一緒にいるうちは受け入れてやってほしい」
「ん……考えとく」
「ああ、今はその言葉だけで十分だぜ」
「かもしれねェな。だけどもう一度出会えたのならあいつを救ってやりたい。それは俺の嘘偽りない本心だ。それに……」
「それに?」
「もし俺がトシオのことを黙ったままで、もし後からあいつのやったことを知ってしまったら三玖さんはどう思う?」
「……きっと猛田はもちろんミクニも信用できなくなってたかも」
「だろ? あいつを赦してやれとは言わねえ。せめて俺と一緒にいるうちは受け入れてやってほしい」
「ん……考えとく」
「ああ、今はその言葉だけで十分だぜ」
ミクニは真っすぐな人間だ。こんな状況でも自分を見失わないでいられるのは立香と似ている。
二人とも太陽のような人間でキラキラと輝いている。
でも――二つの太陽は眩しすぎる。その間に置かれた冷たい月はその光に灼かれるしかない。
二人とも太陽のような人間でキラキラと輝いている。
でも――二つの太陽は眩しすぎる。その間に置かれた冷たい月はその光に灼かれるしかない。
視線を前に向けるとさらに立香との距離が開いていた。
背筋を張ってスタスタと歩く立香に半歩遅れて付いてくるトシオ。
それに引き換え三玖はうつむき加減で足取りも悪い。そんな自分の歩調に合わせて歩いてくれてるミクニ。
背筋を張ってスタスタと歩く立香に半歩遅れて付いてくるトシオ。
それに引き換え三玖はうつむき加減で足取りも悪い。そんな自分の歩調に合わせて歩いてくれてるミクニ。
元々自己評価が高くなく引っ込み思案な三玖であったが姉妹五人で一緒にいるうちはそれぞれから分かたれた個性のようなものだと思うこともあった。
でも、今ここに仲の良い姉妹はいない。風太郎ですらない出会ったばかりの他人たち。
否が応でも自身と比較して劣等感に苛まれてしまう。
でも、今ここに仲の良い姉妹はいない。風太郎ですらない出会ったばかりの他人たち。
否が応でも自身と比較して劣等感に苛まれてしまう。
白銀御行に言われた通り虚勢のひとつでも張ってやりたいがやはりそう上手くいくものでもない。
はぁ、とため息を付いてすぐに足元に行きがちな目線を前に向けると立ち止まり手を振っている立香の姿があった。
はぁ、とため息を付いてすぐに足元に行きがちな目線を前に向けると立ち止まり手を振っている立香の姿があった。
ほら――また足手まといになってる。
じくりと心が騒めいた。
じくりと心が騒めいた。
■
「そういうわけで――どこかの民家で夜を明かすべきかなって」
夜明けまではまだ数時間を残す深夜。見通しの悪い夜に目立つ建物に向かうのはリスクが高すぎる。
どうでも急ぐ必要がないのであれば休息も兼ねてどこかの民家で身を潜めよう。
さすがにゲームに乗った者もこの住宅街の中に潜む自分たちをピンポイントで見つけるのは難しいだろうと、立香は提案した。
同じことを思っていたトシオは彼女に同意し、ミクニも三玖を一瞥するも休息は必要だろうと判断し賛成した。
どうでも急ぐ必要がないのであれば休息も兼ねてどこかの民家で身を潜めよう。
さすがにゲームに乗った者もこの住宅街の中に潜む自分たちをピンポイントで見つけるのは難しいだろうと、立香は提案した。
同じことを思っていたトシオは彼女に同意し、ミクニも三玖を一瞥するも休息は必要だろうと判断し賛成した。
「私も……いいよ。どこかで休もう」
立香たちのいう今すぐPENTAGONに向かうことのリスクと同じぐらい彼女は三玖の体調を気遣ってくれている。
極限状態の中、見通しの悪い闇で神経を尖らせながら歩くのはそれだけで体力を消耗する。
言葉には出さないものの三玖の表情からは疲労が色濃く出ていた。
カルデアで様々な英霊との鍛錬に付き合ってきたことで体力にはそれなりに自信がある立香に対して三玖の体力はお世辞にも――同じ姉妹と比較しても特に低い。
極限状態の中、見通しの悪い闇で神経を尖らせながら歩くのはそれだけで体力を消耗する。
言葉には出さないものの三玖の表情からは疲労が色濃く出ていた。
カルデアで様々な英霊との鍛錬に付き合ってきたことで体力にはそれなりに自信がある立香に対して三玖の体力はお世辞にも――同じ姉妹と比較しても特に低い。
大丈夫、私はまだまだいけるよ。と喉元まで出かかったがそれこそただの虚勢だし、どう考えてもそんな虚勢が立香に通用するとは思えない。
彼女は口には出さないものの三玖の反応を機敏に感じ取っている。三玖が大丈夫と言えばそれを汲んでそのままPENTAGONに向かおうと言うだろう。
彼女は口には出さないものの三玖の反応を機敏に感じ取っている。三玖が大丈夫と言えばそれを汲んでそのままPENTAGONに向かおうと言うだろう。
それはたまらなく嫌だ。自分の虚勢に忖度されることほど惨めなことはない。
少なくとも立香の前ではできる限り本心を出すようにしよう。嘘をついて彼女の同情だけは誘われたくない。嘘をついて彼女に本心を探られ気を遣われたくない。
そうされるとたまらなく惨めな気持ちになってくる。
だから正直に朝まで休憩しようと同意した。
少なくとも立香の前ではできる限り本心を出すようにしよう。嘘をついて彼女の同情だけは誘われたくない。嘘をついて彼女に本心を探られ気を遣われたくない。
そうされるとたまらなく惨めな気持ちになってくる。
だから正直に朝まで休憩しようと同意した。
(……やっぱり立香は何も言わないんだね)
この発言すらも立香は三玖の意を汲もうとしているのだろうか。
彼女のことは決して嫌いではない。自分にはない色んなものを持ってて頼りにしてる。
でも眩しすぎるのだ。彼女が持つ光が強ければ強いほど三玖は自身の陰を、浅ましさを強く意識させられる。
彼女のことは決して嫌いではない。自分にはない色んなものを持ってて頼りにしてる。
でも眩しすぎるのだ。彼女が持つ光が強ければ強いほど三玖は自身の陰を、浅ましさを強く意識させられる。
陰鬱な気分が堂々巡りになっているところにミクニが口を開いた。
「それじゃあどこで休憩するか三玖さんに決めてもらおうぜ。こんなに家があるんだ俺はどこでもいいけどかえって決められねえ。トシオはどうだ?」
「ああ、俺もそれでいいと思う」
「わたしも賛成ーっ。ここは三玖のセンスを信じるねっ! 寝心地のいいところを頼むよー」
「えっ、あ……私なんかが決めてもいいの?」
「ああ、頼むぜ!」
「それじゃあ……えっとどれにしようかな……」
「ああ、俺もそれでいいと思う」
「わたしも賛成ーっ。ここは三玖のセンスを信じるねっ! 寝心地のいいところを頼むよー」
「えっ、あ……私なんかが決めてもいいの?」
「ああ、頼むぜ!」
「それじゃあ……えっとどれにしようかな……」
似たような民家が立ち並ぶ住宅街。どの家も大きく変わらない佇まいをしてる。
それこそ適当だ。適当に指を差しながら選んでいく。
それこそ適当だ。適当に指を差しながら選んでいく。
「じゃあ――ここ――……」
ぞわりと全身が総毛だった。まるで背中から差し込まれた手が直接心臓を掴むような不快感。
指差したのは何の変哲のない普通の民家なのに。
指差したのは何の変哲のない普通の民家なのに。
行ってはいけない/行かなくてはならない。
目を逸らせ/目を逸らすな
目を逸らせ/目を逸らすな
二律背反の衝動が全身を駆け巡る。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
あそこに――何が、あるの?
気持ち悪い。
気持ち悪い。
あそこに――何が、あるの?
「どうしたの三玖? ぼーっとして」
一瞬のうちに膨大な情報を叩きつけられハングアップした思考を立香が呼び戻す。
今の感覚、一体何?
今の感覚、一体何?
「ううん、何でもない。あそこにしよ」
指差した民家に行こうと促す三玖。何か胸騒ぎがする。だけどその不安を立香に悟られたくない。
だからそんな不安は一旦胸にしまい込んで。
三玖たちは休息のためその民家に上がり込んだ。
だからそんな不安は一旦胸にしまい込んで。
三玖たちは休息のためその民家に上がり込んだ。
玄関の扉を開けてすぐにその家の異常性は明らかだった。
新しめの家が醸し出す壁紙の匂いに混じる濃密な塩と鉄の臭気。
一部の泉質の温泉ではこれに近い臭いがするだろうが、もちろんごく普通の民家に温泉が湧いているはずもない。
もっと身近でこの臭いを例えるならばそれは――血液。
その臭いの正体に真っ先に気づいたのは立香だった。人理修復を巡る旅で何度も嗅いだ臭い。何度嗅いでも慣れない血の臭い。
新しめの家が醸し出す壁紙の匂いに混じる濃密な塩と鉄の臭気。
一部の泉質の温泉ではこれに近い臭いがするだろうが、もちろんごく普通の民家に温泉が湧いているはずもない。
もっと身近でこの臭いを例えるならばそれは――血液。
その臭いの正体に真っ先に気づいたのは立香だった。人理修復を巡る旅で何度も嗅いだ臭い。何度嗅いでも慣れない血の臭い。
こうも濃密に漂う死の臭い、ミクニやトシオはもちろん三玖ですらもこの臭気の正体を察し青ざめた顔をしている。
「わたしが先頭になるから。三玖、ダメなら玄関で待ってて」
「う、ううん……私も行く」
「わかった。ミクニくんは三玖のそばに……! トシオくんはわたしの後ろをお願い。最悪わたしに何かあってもすぐに逃げられるように」
「あ、ああ……」
「う、ううん……私も行く」
「わかった。ミクニくんは三玖のそばに……! トシオくんはわたしの後ろをお願い。最悪わたしに何かあってもすぐに逃げられるように」
「あ、ああ……」
とは言えサーヴァントクラスの存在に襲撃された場合、特に何も魔術的な才能を持たない立香では時間稼ぎにもならないだろう。
魔術礼装として着用してるカルデア一般制服では使役するサーヴァントの補助的な役割しかできない。
せめてカルデア戦闘服であれば数秒でも確実に時間稼ぎができるがそれを着ていないのでどうすることもできない。
魔術礼装として着用してるカルデア一般制服では使役するサーヴァントの補助的な役割しかできない。
せめてカルデア戦闘服であれば数秒でも確実に時間稼ぎができるがそれを着ていないのでどうすることもできない。
(でもわたしがみんなを守らないと――!)
先頭の立香に半歩遅れてトシオ、さらに数歩後に三玖とミクニが続く。
臭いの元は廊下の奥、おそらくリビングと思われる部屋だろう。
一歩一歩床を踏みしめて、そのたびに床のフローリングの板が耳障りな軋みを上げる。
臭いの元は廊下の奥、おそらくリビングと思われる部屋だろう。
一歩一歩床を踏みしめて、そのたびに床のフローリングの板が耳障りな軋みを上げる。
そして意を決して立香とトシオは先にリビングに体を滑り込ませる。
「――っ……!」
「ひ、ひぃ……!」
「ひ、ひぃ……!」
情けない声をあげて慄くトシオ。ラブデスター実験でもこんな凄惨な光景は見たことないから当然だろう。
リビングの床にかつて人だったものが仰向けて横たわっていた。
リビングの床にかつて人だったものが仰向けて横たわっていた。
生を感じられることのないどろりと濁った瞳。
ウサギの耳を思わせる可愛らしいリボンをした少女の亡骸。
その顔の上半分は――生気の無い瞳を除いては生前と何も変わらない端正な顔立ちをした美少女だ。
しかし下半分は赤黒い液体に塗れているだけで何もなかった。
ウサギの耳を思わせる可愛らしいリボンをした少女の亡骸。
その顔の上半分は――生気の無い瞳を除いては生前と何も変わらない端正な顔立ちをした美少女だ。
しかし下半分は赤黒い液体に塗れているだけで何もなかった。
「なんでっ……こんなっ……どうやってっ」
弱弱しい声を上げるトシオ。
こんな凄惨な遺体は見たことはない。
少女の顔は下顎から喉、そして胸のあたりまで見るも無残に溶け落ちていたのだから――
こんな凄惨な遺体は見たことはない。
少女の顔は下顎から喉、そして胸のあたりまで見るも無残に溶け落ちていたのだから――
駄目だ。
駄目だ。
駄目だ。
駄目だ。
駄目だ。
この死体は駄目だ。
見てはいけない。
見せてはいけない。
見てはいけない。
見せてはいけない。
――だって同じ顔をして同じ学校の制服を着た女の子がわたしの後ろにいるんだから。
「立香――?」
「三玖!ダメ!!!」
「へ――――――?」
「三玖!ダメ!!!」
「へ――――――?」
振り向いた立香の目の前に横たわる死体と同じ顔がある。
三玖は立香の肩越しに横たわる物を見てしまう。
三玖は立香の肩越しに横たわる物を見てしまう。
自分と同じ顔を。
誰よりもよく知る同じ顔。
ウサギの耳のような子供っぽいリボン。
血を分けた唯一の姉妹を誰が見間違えるものか。
誰よりもよく知る同じ顔。
ウサギの耳のような子供っぽいリボン。
血を分けた唯一の姉妹を誰が見間違えるものか。
それがどんな姿に変わり果てたとしても――
「四葉――」
その視線の先にあるものは床一面に赤黒い花を咲かせて横たわる中野四葉だったものの残骸だった
【E-6 民家/1日目・黎明】
【藤丸立香(女主人公)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order、ランダム支給品1~2(確認済み)、ファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。いつも通り、出来る限り最善の結末を目指す。
1:自分だけでは力不足なので、サーヴァントか頼れそうな人と合流したい
2:三玖達みんなを守る。サーヴァントのみんなのことはどう説明したものかな……!?
3:BBと話がしたい
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデア発足後です。
※原作通り英霊の影を呼び出して戦わせることが可能ですが、面子などについては後続の書き手さんにお任せします。
※サーヴァント達が自分の知るカルデアの者だったり協力的な状態ではない可能性を考えています。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order、ランダム支給品1~2(確認済み)、ファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。いつも通り、出来る限り最善の結末を目指す。
1:自分だけでは力不足なので、サーヴァントか頼れそうな人と合流したい
2:三玖達みんなを守る。サーヴァントのみんなのことはどう説明したものかな……!?
3:BBと話がしたい
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデア発足後です。
※原作通り英霊の影を呼び出して戦わせることが可能ですが、面子などについては後続の書き手さんにお任せします。
※サーヴァント達が自分の知るカルデアの者だったり協力的な状態ではない可能性を考えています。
【中野三玖@五等分の花嫁】
[状態]:健康、精神的疲労
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:──
1:──
[状態]:健康、精神的疲労
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:──
1:──
[備考]
※参戦時期は修学旅行中です。
※参戦時期は修学旅行中です。
【若殿ミクニ@ラブデスター】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1.皆を探す
[備考]
※敬王から帰還以降からの参戦。詳しい時期は後続の書き手にお任せします
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1.皆を探す
[備考]
※敬王から帰還以降からの参戦。詳しい時期は後続の書き手にお任せします
【猛田トシオ@ラブデスター】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝商品を手に入れる
1.若殿ミクニ達他のやつらを利用する
2.まずは信用されるように動き、利用しやすくなるように動く
3.藤丸立香は俺に気がある?
[備考]
※死後からの参戦
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝商品を手に入れる
1.若殿ミクニ達他のやつらを利用する
2.まずは信用されるように動き、利用しやすくなるように動く
3.藤丸立香は俺に気がある?
[備考]
※死後からの参戦
| 前話 | お名前 | 次話 |
| センチメンタルクライシス | 藤丸立香 | 割れた星のTRIANGLE(前編) |
| 中野三玖 | ||
| 若殿ミクニ | ||
| 猛田トシオ |