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内容
【文(sentence)】事柄を表す言語の単位。
【記号(sign)】人間が知覚できる表象を用いて伝達する手段。記号というと、交通標識のようなものを想像しがちだが、言語は記号の一部である。記号はシニフィエとシニフィアンから成る。
【シニフィエ(signifie)】記号を構成する要素のうち、意味のほうを言う。
【シニフィアン(signifiant)】記号を構成する要素のうち、音や図形などを言う。
【言語記号の恣意性(arbitrariness)】記号が表す意味(シニフィエ)と、音や図形(シニフィアン)の間に、何の関係もないこと。
【分節(articulation)】文が単語に分かれる性質。これによって、無限の事柄を記号の組み合わせによって伝えることが出来る。動物の言語にはこれがない。
【変異(divergence)】一つの言語における、使い手の社会的属性(性、年齢、階級等)によっての違い。
【体系(system)】何らかの集合(例:語彙)の中で、それに属する要素(例:単語)の性質が、他の要素との違いで決まるようなしくみになっているもの。
【範列関係(paradigmatic relations)】体系に属する要素の間にある関係。ある単語の意味を正確に決定しようとする際には、これを重視する必要がある。
【線状性(linearity)】人間が二つの音を同時に発することは出来ないので、文を構成する単語は一列に並ばなければいけないという制約。
【構造(structure)】言語を構成している要素が、その言語の中でどのように配置されているか、その組み立て方を言う。狭義では、統語関係における要素の配列のしかたのこと。
【連辞関係(syntagmatic relations)】文に含まれている単語同士の間にある関係。
【個別言語(individual language)】とある一つの言語。(例:日本語、英語)
【個人語(idiolect)】ひとつの個別言語の中にも、使う人間それぞれの違い(性差、地域差など)によって違いが存在する。個人個人が使う言語のことを個人語と言う。
【ラング(langue)】ソシュールが定めた語。ある個別言語の使用者が、共通に頭の中に持っているはずの知識の集合体。
【パロール(parole)】個人が特別の場面で使用する言語の側面。ラングが具体的に現れてきた形。ラングと対照して定義されている。
【ランガージュ(langage)】抽象的な知識のラングと、具体的・実際的な言語の使用であるパロールを合わせた言語の全体像。
【通時態(diachrony)】ある言語に含まれる、個別的な要素の変化。(例:てふてふ→ちょうちょう)言語学では初め、通時態の研究が主流であった。
【共時態(synchrony)】ある特定の時代における言語の状態。通時態を研究するためには、共時態をまず研究しておく必要がある。
【方言(dialect)】とある個別言語の中にある差異。ただし、どれを方言とし、どれを個別言語とするかは、言語的な特徴というよりはむしろ、政治的・民族的な要因に左右される。
【同系(cognate)】複数の言語の祖先(祖語)が同じであるということ。これを突き止めるには、基本的な語における意味の類似と、音素の対応を調べる。
【語族(language family)】同系であることが証明されている諸言語。インド・ヨーロッパ語族をはじめとして、さまざまな語族がある。日本語は同系である言語が発見されていない。
【言語類型(linguistic types)】言語を、同系かどうかではなく、何らかの言語的特徴(語順など)によって分類したもの。
【孤立語(isolating language)】語が語形変化をせず、語順でその文法的働きを表す言語。(例:古典中国語)
【膠着語(agglutinative language)】名詞や動詞などの文法的働きを、これらの単語の後に特別な単語(日本語の場合は助詞など)を並べることによって表す言語。(例:日本語)
【屈折語(inflectional language)】名詞や動詞などの文法的働きを、単語の語形変化(活用)などによって表す語。そのため、語形変化はかなり複雑である。(例:英語)
【音声学(phonetics)】とある言語の音を「そのまま」記述することを目的とした分野。音韻論とは区別して覚えておく必要がある。
【調音音声学(articulatory phonetics)】発音に関わる器官を、どのように使って個々の音声を作り出すのかという観点から、音声の特徴を記述する分野。
【音響音声学(acoustic phonetics)】音を、空気中を伝わる物理的な波動として、機械を使って分析する分野。どちらかというと物理学に所属する。
【聴音音声学(auditory phonetics)】人間による音声の認識がどのような過程で実行されているのかを対象とする分野。どちらかというと医学・生理学の分野に所属する。
【形態論(morphology)】語の構造を研究対象とする。語は、形態素と呼ばれる最小単位から成るが、この形態素を抽出し、形態素の組み合わせによる語形成も分析対象とする。
【形態素(morpheme)】意味を表すことが出来る最小の単位。例えば、「大家族」という単語があった場合、「大」と「家族」という二つの形態素に分解することができる。
【統語論(syntax)】文がどのような構造を持っているのかという問題を対象とする分野。統辞論、構文論ともいう。
【意味論(semantics)】語・形態素・文が表す意味を対象とする分野。
【語用論(pragmatics)】文が使われる状況や場面が、単語・形態素や文の形式や意味とどのように関係してくるのかを対象とする分野。実用論とも。
【歴史言語学(historical linguistics)】言語の変化を対象とする分野。通時態を扱うので、通時言語学とも。同系の言語を比較することで、祖語の姿を明らかにすること(比較言語学)も行われる。
【言語地理学(geographical linguistics)】言語の地理的変異をもとに言語地図を作成することで、言語を構成する要素の歴史的変化を推測することを目的とする。文献がない時代のことばは、これで推測するしかない。
【社会言語学(sociolinguistics)】言語使用者の社会的特徴(性差、階級差、年齢差など)と、使用される言語の間の関係を対象とする分野。
【音声器官(speech organs)】声を出し、言葉を話すために使う器官。はじめに思いつく声帯のような場所だけでなく、舌や歯もこれに含まれる。
【声門(glottis)】肺につながる気管の出入り口。のど仏のちょうど後ろあたりにある。
【声帯(vocal cords)】声門をなしている二枚の薄い膜。ここに呼気が通り、声帯が振動することによって音が出る。
【声(voice)】声帯の振動のこと。一般的な「声」にはささやき声なども含まれるが、言語学では、声帯の振動しない音(無声音)は声に含めない。
【有声音(voiced)】声帯の振動がある音。
【無声音(voiceless)】声帯の振動がない音。
【鼻音(nasal)】声門を出た気流が、鼻腔へ流れ込む音。これ以外は全て口腔に流れる。
【硬口蓋(palate)】上あごの、歯茎のすぐ後ろにある硬い部分。その奥の柔らかい部分は軟口蓋という。
【軟口蓋(velum)】上あごの奥(硬口蓋の後ろ)にある、骨のない柔らかい部分。
【口蓋垂(uvula)】軟口蓋の後ろにある、細長く垂れ下がっている部分。
【調音点(point of articulation)】気流がせき止められたり、通り道を狭められたりした(音が作られた)点。
【舌】前から順番に、舌尖(ぜっせん/したさき)・舌端(ぜったん/したはじ)・前舌(ぜんぜつ/まえじた)・中舌(ちゅうぜつ/なかじた)・後舌(こうぜつ/あとじた、もしくは奥舌(おくじた))と言う。
【側面音(lateral)】気流が舌の上ではなく、舌の側面を通る音。英語のlはこれにあたる。
【継続音(continuant)】通路が狭められて出る音。せき止めるのと違って気流が止まらないので、音を出し続けることが出来る。
【吸着音(click)】口腔内を気密状態にし、その後開放することによって出す音。舌打ちはこれに分類される。これを言語音の一つとして使う言語もある。
【国際音声記号(International Phonetic Alphabet/IPA)】世の中の言語音を記録するために作られた記号。英語の辞書等で用いられている「発音記号」は、これをもとに、より簡略化したもの。
【調音法(manner of articulation)】気流の性質をどう変えるかの方法。閉鎖/強い狭め/弱い狭め/気流の阻害なし、の4通りがある。
【母音(vowel)】気流の妨げのない音。比較的安定した心地よい音(楽音)として聞こえる。
【子音(consonant)】気流がどこかで妨げられて発生する音。比較的耳障りな音(噪音)として聞こえる。
【基本母音(cardinal vowel)】どの言語でも比較的よく使われる母音。
【母音三角形(vowel triangle)】狭口では舌の前後を区別せず、広口のときのみ区別する言語の母音の体系は、図示すると三角形を描く。
【母音調和(vowel harmony)】母音が特定の母音どうしだけの組み合わせを作ること。
【ふるえ音(trill)】上の調音器官で、下の調音器官を小刻みに繰り返し叩いて出す音。日本語でのラ行の音は歯茎ふるえ音にあたる。ほかに、フランス語のrの発音などが有名。
【はじき音(flap)】日本語におけるラ行音のように、舌端で一度だけ歯茎を叩いて出す音。
【閉鎖音(stop)】気流をいったん閉鎖して発音する音。日本語のパ・バ・タ・ダ・カ・ガ行音はこれにあたる。破裂音(plosive)とも。
【気音】閉鎖の解放後に呼気によって生じる摩擦的な噪音のこと。
【有気音(aspirated)】気音を伴う音。日本語では、p、t、k音が語頭にあった場合、有気音になることが多い。
【無気音(unaspirated)】気音を伴わない音。日本語では、p、t、k音が語中では無気音になることが多い。
【摩擦音(fricative)】通り道を狭めるだけで気流を止めず、狭くしたときに出る、空気がこすれるような音。日本語では「フ」や「シ」の音がこれに当たる。
【破擦音】閉鎖の開放に引き続いて、摩擦音が連続的に発音された音。日本語では、例えば「チ」の音がこれにあたる。
【接近音(approximant)】摩擦音の狭めを緩めた音。あまりこすれたような音はしない。日本語では、「ワ」の音などがこれにあたる。
【音韻論(phonology)】音声学が実際の音を扱うのに対し、「音素」という抽象的な単位を扱う分野。例えば、日本語の「ん」には実際には数種類の発音があるが、音韻論ではこれを区別しない。
【精密表記(narrow description)】音の変異を精密に記述するために、IPAに用意された補助記号なども使いながら、できるだけ詳細に表すこと。
【簡略表記(broad description)】精密表記ほどの正確さが必要ないときに、最低限の区別ができる程度に記述する、大まかな表記。
【音素(phoneme)】音韻論における用語。最小対立を作ることによって決定される、最小の継起的単位。ただし、音素を複数の弁別的素性の束と見て、さらに小さな単位を抽出することがヤコブソンらによって行われた。
【異音(allophone)】同じ音素として認識されているが、音声的には異なる複数の音。kh(有気音)とk(無気音)は、kという音素の異音である。
【正書法(orthography)】音声を、文字を使って正しく書き表すためのきまり。音声の全てを正確に書き写すことは出来ないため、音素を定義して、正書法が定まる。
【最小対立(minimal pair)】音素を定義するために使う、最小の違いで別の語になる組み合わせ。例えば、「鍵(kagi)」と「紙(kami)」という語を使えば、gとmが異なる音素であることが分かる。
【相補分布(complementary distribution)】2つ以上の音が、同じ音声的環境に決して表れない場合、これらの音は相補分布を示すと言う。相補分布と最小対立が同時に成り立つとき、その2つの音は、1つの音素の異音である可能性が高い。
【自由分布(free variation)】ある音素の異音が環境に依存せず、同じ環境に出現すること。日本語のラ行の子音のはじき音/ふるえ音など。
【弁別的素性(distinctive feature)】音の区別に関わり、失うと本来の音と見なされなくなるような重要な性質。例えば、kickのk音の有気性/無気性は意味に関わらないので、弁別的素性ではない。
【余剰的素性(dedundant feature)】あったほうが良いが、なくても同じ音として扱われるような、あまり重要でない音の性質。
【二値的素性方式】ある要素を持っている(+)か、持っていない(−)かで表す方法。(例:「少女」→女(+)大人(−))
【同化(assimilation)】直後にある音の影響を受けて、前の音が後ろの音と似たような音になる現象のこと。
【異化(dissimilation)】直後にある音の影響を受けて、前の音が後ろの音に比べて、より異質な音になる現象のこと。
【中和(neutralization)】ある種の音声的条件によって、音同士の対立が解消されること。
【超分節素(supersegmentals)】音単体ではなく、音が繋がった分節の上に生じる特徴。例えば、音の高低や強弱、長さなどがある。
【音節(syllable)】母音を中心とした音のまとまり。例えば、matterという単語は、mat-terという2つの音節から成る。
【モーラ(mora)】拍のこと。日本語では、音節よりもこちらの単位がよく使われる。個々のモーラは同じくらいの大きさで、小さい「ゃゅょ」は1モーラとは数えない。
【強さアクセント(stress accent)】単語のうちに強勢(アクセント)があること。英語を初めとして、強さアクセントを持つ言語は多い。強勢の置かれているところ以外の母音は弱化することもある。
【高さアクセント(pitch accent)】強勢ではなく、音の高低でアクセントを表す方式。日本語は高さアクセントを持つ。
【アクセント核(accent nucleus)】高さアクセントにおける、音の下がり目のこと。
【声調(tone)】音の上昇や下降をパターン化して、意味の弁別に利用するもの。(中国語では四声にあたるもの)中国語やタイ語ではこれが細かく決まっている。
【モーラ音素(mora phoneme)】長音を、Rという記号を使って表記すること(例:「尾」=/o/ 「王」=/oR/)。モーラが機能していることを前提としている音素なので、モーラ音素と呼ぶ。
【撥音】日本語における「ん」のこと。子音でありながら1モーラと数えるため、モーラ音素としての撥音は、Nで表記する。(例:感想=kaNsoR)
【促音】「っ」のこと。実際に発音するわけではないが、1モーラと数えるため、モーラ音素としての促音は、Qで表記する。(例:「買った」=kaQta)
【イントネーション(intonation)】単語固有のアクセントとは異なり、文や節など、語や句より大きなまとまりについて与えられる音の高さや強さの変化。
【音調曲線(contour)】イントネーションの変化を曲線にして表示したもの。
【語彙素(lexeme)】いわゆる「単語」のこと。「単語」という言葉を使うと、文中にある語の数を数えるときのような、慣用的な意味での「単語」と混同されるおそれがあるため、術語としては「語彙素」を使う。
【引用形式(citation form)】辞書などで語彙素を配列するとき、見出し語として使われる形のこと。語彙素PLAYにはplay, plays, played, playingという形があり、そのうちplayが引用形式である。
【形態素(morpheme)】言語を構成する、意味を有する最小の単位。例えばplayedは、play+edという二つの形態素から成ると分析できる。
【自由形態素(free morpheme)】形態素のうち、単独で使えるもの。例えばplayedはplay+edと分析できるが、このうちplayは自由形態素である。
【拘束形態素(bound morpheme)】形態素のうち、単独では使えないもの。例えばplayedはplay+edと分析できるが、このうちedは拘束形態素である。
【語幹(stem)】語形変化をおこす言語における、その語の主要的な部分のこと。日本語では動詞の語幹は変化しないため、抽出が容易であるが、屈折語では語幹と接辞が融合していることもあり、抽出が困難なことがある。
【接辞(affix)】語幹に付加する拘束形態素のこと。語幹の前につくときは接頭辞、後ろにつくときは接尾辞という。
【接頭辞(prefix)】語幹の前につく拘束形態素のこと。(例:impossibleのim-)
【接尾辞(suffix)】語幹の後ろにつく拘束形態素のこと。(例:playedの-ed)
【語根(root)】語彙的な意味を表す形態素のこと。語幹とほぼ同じだが、語幹が2つ以上の形態素から構成されることもあるのに対し、語根は常に1つの形態素から成る。
【屈折(inflectional)】語幹に接辞がついたとき、別の語彙素にならない場合を言う。(例:play→played)
【派生(derivational)】語幹に接辞がついたとき、別の語彙素になる場合を言う。(例:play→player)
【異形態(allomorph)】形態素が実際に出現するとき、常に同じ形で現れることもあれば、異なった形で現れることもある、この、異なった形を、異音にならって、異形態と呼ぶ。
【ゼロ形態(zero morph)】目に見えない形態素。英語では、名詞の複数形を表すとき、大半が複数を表す接尾辞が付加されるのに対し、sheepは複数でもsheepである。このとき、複数のゼロ形態素が付加されていると考える。
【語形成(word formation)】何らかの手段で新しい語彙素が生み出される過程のこと。
【複合語(compound word)】ある語が2つ以上の形態素から成り立っていて、その形態素が共に語根である場合、その語は複合語である。合成語とも。
【異分析(metanalysis)】誤解が原因で導き出された形。例えば、「ハンバーガー」は、「ハンブルグ」から出来た語であるが、これをハム+バーガーと誤解した結果、「チーズバーガー」などの語ができた。
【混成語(blend)】単純に構成要素がくっついているのではなく、構成要素がくっついた上で、その一部が削除されて出来たもの。いわゆる「省略語」はこれ。
【刈り込み(clipping)】ある語彙素の一部が省略されることによって、新しい語彙素が生まれること。刈り込み後の語のほうがよく定着することもある。(例:テレビ→テレビジョン)
【頭字語(acronym)】構成要素の頭文字を取り、それをつなげた語。(例:NHK)
【語彙(lexicon)】それぞれの言語にある、膨大な数の語彙項目の集合体。語彙を構成する語彙項目は、全体として一つの体系を成す。
【借用語(loan word)】他の言語に由来する語彙項目。
【和語】もともと日本語にあった語彙項目。
【漢語】古い時代に中国から入ってきた語彙項目。かなりの面で日本語に影響を与えている。
【外来語】近世以降、主に欧米の言語から入ってきた語彙項目。漢語も外来語の一種であるが、量と影響を考えて、漢語のみ区別している。
【翻訳借用(loan translation)】外国語の表現をそのまま取り入れるのではなく、もともとあった語を当てはめたり、新しく作ったりして取り入れること。「科学」「概念」「認識」などはこれにあたる語。
【民間語源(folk etymology)】語源について、辿ることが困難であるために、現代語でも理解できる解釈を付け加えてしまう誤りのこと。(例:あかぎれ→(誤)赤+切れ (正)あ+かぎれ)
【逆形成(back-formation)】類推によって、本来存在しないはずの形が逆に生み出されること。もともと単数形の存在しない語に、単数形が作られることなど。
【音位転換(metathesis)】隣接あるいは近接する音同士の位置が逆転すること。(例:あらたし→新しい)
【品詞(parts of speech)】語彙項目の形態や表す意味、文法的な機能などによって語彙項目を分類したもの。
【動詞(verb)】動作や状態を表す語彙項目。事態の描写は動作や状態の描写なしでは成り立たないため、文の要となる。
【項(argument)】動詞の表す動作や状態に付け加えられた、どのような人や事物が関わっているのかといった情報。
【名詞(noun)】主に人や事物を表し、項として機能する語彙項目。
【自動詞(intransitive)】項を1つしか取らない動詞。1項動詞とも。
【他動詞(transitive)】項を2つ、もしくは3つ取る動詞。それぞれ、2項動詞、3項動詞とも。
【形容詞(adjective)】名詞が表す人や事物の様態を描写して、限定したり叙述したりする語彙項目。
【副詞(adverb)】動詞が表す動作や状態の様態を描写したり、文が表す事態の時と場所を指定したりする語彙項目。
【側置詞(adposition)】名詞と述語のなかだちをして、名詞を述語に結びつけるもの。置かれる場所によって、前置詞と呼ばれたり、後置詞と呼ばれたりする。
【前置詞(preposition)】名詞の前に置かれる側置詞。
【後置詞(postposition)】名詞の後に置かれる側置詞。
【時制(tense)】ある事態が成立している時点が、発話時点より前か後かを表す。通常、過去/現在/未来 か、過去/非過去の区別が見られる。
【アスペクト(aspect)】動詞が表す事態が、ある時点を基準にすると、どのように捉えられるかを表す。
【完了相(parfective)】アスペクトの一種。ある時点までにおいて、その事態が完了している相。完結相とも。
【未完了相(imperfective)】アスペクトの一種。ある時点までにおいて、その事態が進行中であって、未完了な相。未完結相とも。
【モダリティ(modality)】文が描写する事態に対する、話者の何らかの心的態度。「〜だろう」「〜かもしれない」など。
【法(mood)】事態に対する話し手の心的態度(モダリティ)が動詞の形に表れたもの。
【態(voice)】事態をどの視点から描写するかということに関わる。同じ事態でも、行為の担い手の側からすれば能動態、受け手の側からすれば受動態になる。
【格(case)】名詞と述語、または名詞同士の関係を表すもの。主語の働きを表す主格、目的語の働きを表す対格、所有関係を表す属格などがある。
【性(gender)】名詞の分類に関わる。これによって、冠詞が変化する言語もある(例:ドイツ語)。ただし、男性名詞や女性名詞といった分類は、自然界の性とは必ずしも一致しない。
【数(number)】多くの言語で、単数と2つ以上の複数が区別されるが、日本語のように区別が曖昧な言語や、双数(2つで一組のものに使われる)が存在する言語もある。
【人称(person)】事態に関わる人を話し手・聞き手の立場に関連づけて区別したもので、話し手は1人称、聞き手は2人称、その他は3人称である。
【定不定(definiteness)】名詞が表す人や事物が、特定の人や事物を指しているか、それとも特定できないかということ。
【構成素(constituent)】文を構成する形態素。一つ一つの形態素だけではなく、いくつかがまとまった構造も文の構成素と呼ぶ。対して、一つ一つの構成素は、それ以上分割できないので、最終構成素と呼ぶ。
【最終構成素(ultimate constituent)】形態素のこと。これがいくつか集まって、より大きな構成素を作り、それがまた連なって、文が出来ている。
【直接構成素(immediate constituent)】ある段階の構造の中に、直接含まれている構成素のこと。これを分析すれば、文の構造が分かったことになる。
【直接構成素分析(immediate constituent analysis)】文全体から、1つの形態素を構成素とする一番小さい構造まで、各段階の構造について、直接構成素を分析すること。
【構成素構造(constituent structure)】直接構成素分析によって明らかになった、文の構造。
【樹形図(tree diagram)】構造とその直接構成素を線で結び、全体として木の上下をひっくり返したような形で書く、構造を表す図のこと。
【節点(node)】樹形図において、直接構成素に向かって線が分岐する点のこと。
【句(phrase)】ある構造が全体として、とある品詞と同じ働きをしている場合、それを句という。その構造がひとまとまりかどうかを調べるためには、置き換えや入れ替えが有効である。(まとめて「それ」などに置き換えられないか、を調べる)
【節(clause)】句より大きな構造であり、一方で、分の一部であるもの。埋め込み文とも呼ぶ。(例:「○○は東京で買った指輪をつけた」の「東京で買った」の部分)
【句構造標識(phrasemarker)】樹形図において、構造上の節点に機能を表す標識(「動詞語幹」や「名詞句」といったもの)が付加されたもの。
【内心構造(endocentric construction)】より大きな構造が、直接構成素の一つと同じ機能を担っているとき、その構造を内心構造と呼ぶ。(例:名詞句→名詞と同じ働きをしている)
【主要部(head)】ある構造が内心構造であるとき、その構造と同じ機能を担っている直接構成素のことを主要部という。(例:名詞句の中の名詞)
【外心構造(exocentric construction)】より大きな構造が直接構成素のいずれとも異なる機能を担っているとき、その構造を外心構造という。(例:埋め込み文→直接構成素のいずれとも違う働きを持つ)
【句構造規則(phrase structure rule)】直接構成素分析の結果わかった、句を作るときのその言語におけるルール。(例:後置詞句→名詞句+後置詞)
【句構造文法(phrase structure grammar)】句構造規則の集合体が、容認可能な文だけを産出できるとき、その集合体のことを、句構造文法と呼ぶ。
【語彙挿入】句構造規則を組み合わせて作られた分の骨組みに、語彙項目の適切な形を当てはめていく、肉付けの作業。
【下位範疇化(subcategorization)】述語にある、共起できる語彙項目に関しての統語的、もしくは意味的な制約に基づいて述語を分類すること。
【選択制限(selectional restriction)】ある述語が取る項に何らかの意味的な制約がある場合、その制約を選択制限、もしくは共起制限(co-occurrence restriction)と呼ぶ。
【結合価(valency)】ある述語が取ることのできる項の数。自動詞ならば結合価は1、他動詞ならば2あるいは3になる。
【句構造文法の欠点】句構造文法は、句構造標識に基づいているため、ある文が2通りに解釈できても、2つとも同じ構造を持っていた場合、違いが説明できなかった。これを解決したのが変形文法である。
【変形文法(transformational grammar)】チョムスキーが提案。句構造文法の欠点を補うために考え出されたもの。文は深層構造と表層構造から成るとした。
【深層構造(deep structure)】句構造標識と同じように作られる。ただし、これが実際に発話されるわけではない。実際に発話されるのは、ここから変形された表層構造のほうである。
【変形規則(transformation rule)】深層構造に用いることで、表層構造に変換するための規則。例えば、能動文を受動文に変換する受動化の規則などがある。
【表層構造(surface structure)】深層構造が、変形規則によって変換され、実際に発話される構造。深層構造が何ら変換を受けず、そのまま表層構造として発話される場合もある。
【生成文法(generative grammar)】変形文法の欠点を補うため、チョムスキーが改善を加えたもの。変形規則・句構造規則に大幅な簡略化が加えられた。
【普遍文法(universal grammar)】言語一般に当てはまる文法のこと。人間が生まれながらにして持っている(生得的な)言語能力が、普遍文法にあたる。
【言語能力(competence)】われわれ一人一人が言語を自由に操ることのできる能力。実際の使用にあたる言語運用とは区別していう。
【言語運用(perfomance)】言語能力を利用して、私たちが実際の場面で言語を使うこと。
【動作主(agent)】項が述語の表す行為の担い手を表している場合、それらを一括して動作主と呼ぶ。
【被動者(patient)】項が述語の表す行為の受け手を表している場合、それらを一括して被動者と呼ぶ。
【意味役割】項が述語に対して担う役割。
【主語(subject)】典型的には動作主であるが、受動文のように、被動者が主語になることもあり、定義が難しい。日本語では「は」や「が」といった格助詞で表される。
【目的語(object)】典型的には被動者であるが、一概には言えないため、定義は難しい。直接目的語と間接目的語を区別することもある。
【文法機能(grammatical function)】述語が取る項と、その述語の間に成り立つ、統語的な関係。文法関係(grammatical relation)とも。
【呼応(concord)】ある語や句の意味的・形式的な特徴によって、別の語の形式が変わること。一致(agreement)とも。
【能格言語(ergative language)】自動詞の項と他動詞の目的語を表示するものは絶対格、他動詞の主語を表示するものは能格といった表示体系を持つ言語。
【対格言語(accusative language)】主語を主格、目的語を対格で表す体系を持った言語。日本語は対格言語である。
【情報構造(information structure)】談話の中に位置づけられた文が、個々の文を超えて、新情報・旧情報の組み合わせとして組織されている状態のこと。
【主題(topic)】それぞれの文は大きく2つの部分から成り立っているのが普通だが、そのうち既知の情報(話し手・聞き手双方が了解済みの情報)を表す部分を主題という。
【評言(comment)】主題に対して、聞き手の了解していない新しい情報を付け加えたもの。「太郎は休みです」という文では、「太郎」は主題であり、「休みです」が新情報、つまり、評言となる。
【概念的意味(conceptual meaning)】語が本来持っている、中核的な意味。語から連想されたものなど、副次的な意味はここに含まない。知的意味(cognative meaning)とも。
【言語決定論(linguistic determinism)】人間のものの考え方が、言語によって完全に規定されているのだという考え方。
【言語相対論(linguistic relativity)】話す言語が異なれば、言語外の事物や事象の概念化の仕方が異なり、異なる言語を話す人同士では世界観が全く相容れないとする考え方。
【サピア-ウォーフの仮説】言語は、その言語を母語とする話者の思考や認識に影響を及ぼす、または決定する、という仮説。言語相対論とも言う。サピアとウォーフが提唱した。
【意味の場(semantic field)】互いに関連し合った意味を持つ語の総体が表す意味領域のこと。語の意味を考える際は、適切な意味の場を設定する必要がある。
【意味成分(semantic component)】語彙項目を構成するとされる弁別的な意味要素。例えば、「弟」という語は、<男性><同世代><準直系><年下>という成分を持つ。
【成分分析(componential analysis)】語の意味を、弁別的な意味成分の束として記述する方法。
【意味微分法】ある語を聞いて受ける印象を、「強い−弱い」「冷たい—暖かい」などの尺度場に位置づけることで意味を明らかにしようとする方法。
【上位語(hypernym)】ある語の上位概念にある語。(例:「日本語」に対する「言語」、「猫」に対する「動物」)
【下位語(hyponym)】ある語の下位概念にある語。(例:「惑星」に対する「地球」、「建物」に対する「図書館」)
【非両立関係(incompatibility)】同じ意味の場にあって、同じ階層に属する語は、意味の上で両立することはできないということ。(例:「赤いブラウス」と「白いブラウス」は両立できない)
【反義語(antonym)】非両立関係にある語のうち、とくに意味が反対であるもの。反義語には大別して三種ある。(男と女、長いと短い、幸と不幸)
【同義語(synonym)】二つの語の意味が同じ場合、それを同義語と言う。しかし、厳密に言えば意味が全く同じである語は存在しないため、同義語も類義語の一種であるとする場合もある。
【類義語(synonym)】二つの語の意味が似ている場合、これを類義語と言う。
【文体差】概念的意味は同じでも、使われる文脈が異なっている場合、文体差があるという。(例:「眼医者に行く」「*眼科医に行く」)
【アスタリスク】*という記号のこと。その例文が、非文法的であることを示す。(例:*犬が三台いる。)
【感情的な意味(emotive meaning)】「父」「お父さん」「おやじ」のように、同じ事物を指していても、話者の感情によって異なる語が使われている場合、感情的な意味が違う、という。
【多義語(polysemic word)】語の意味がとても広く、複数の意味を持っている場合、その語を多義語という。基本的に、使用頻度の高い語は多義語であることが多い。
【同音異義語(homonym)】互いに関連のない意味を持つ2つ以上の語が、たまたま同じ形式を持っている場合のことをいう。
【比喩(comparison)】あるものを別のものにたとえること。私たちが日常、普通に使う修辞法。
【隠喩(metaphor)】「のように」といった比喩であることを明示する表現のない比喩。隠喩に使われた語は、本来の意味に加えて、臨時的な意味を持つ。
【換喩(metonymy)】言語外の世界における事物の隣接性ないし関連性に基づく比喩。(例:夕食は鍋だ→「鍋」は料理の入っている器を示している)
【堤喩(synecdoche)】上位語と下位語のように、より一般的な意味とより限定的な意味の間に成り立つ比喩。(例:「めし」→「米を炊いたもの」から食事一般への拡張)
【連語(collocation)】語と語の間に特別な結びつきがあり、共起した時のみ特定の意味を生じさせる場合、これを連語と言う。
【慣用句(idiom)】句全体の意味が、その句を構成している個々の語の意味から出てこない場合、その句を慣用句と言う。この意味は、シンタグマティックな関係においてのみ成立する。
【機能語(function word)】アメリカの言語学者フリーズが提唱した分類。語彙的な意味を表す語を実語、文法的な機能を表す語を機能語とした。
【内容語(content word)】語彙的な意味、すなわち、明確な指示対象を持つ語。それに対し、文法的な機能を表す語は機能語と呼ぶ。
【命題(proposition)】本来は論理学の術語である。「言い表されたもの」を命題という。
【真理条件(truth condition)】ある文が真であるために、世界が満たすべき必要にして十分な条件のこと。
【含意(entailment)】後者が真ならば前者が必ず真であり、後者が偽ならば前者も必ず偽であるとき、前者を後者の含意という。(例:「太郎が花子と離婚した」→太郎と花子が結婚していたことが含意)
【前提(presupposition)】二つの文があって、前者が真のとき、前者を後者の前提であるという。
【記述的意味(descriptive meaning)】真理条件に基づいて決定できるような文の意味のこと。「この部屋は寒いな」が「暖房をつけて欲しい」という意味である場合、これは記述的意味ではない。
【表現的意味(expressive meaning)】文が表しているのが話者の感情であり、記述的意味ではない場合、この文が持っている意味を表現的意味という。
【社会的意味(social meaning)】ある文において、話者が自己の感情の表出だけを目的としているのではなく、相手との関係に対して何らかの働きかけをしようとしているとき、社会的意味を持っているという。
【発話(utterance)】文を、その文が発せられた状況に結びつけて考えるとき、その文を発話と言う。
【直示(deixis)】「昨日」という語が、どこから見て「昨日」なのかは文脈に依存するように、その解釈が文脈に依存している表現のこと。時間を表す表現のほか、「ここ」といった場所を表す表現もこれに含まれる。
【前方照応(anaphora)】ある言語形式、主として代用形が、先行する文または談話中の要素と同じ意味内容を指示すること。
【発話行為(speech act)】聞き手に働きかけたり、自らの意思を表明したりするといった意図のもとに言語が使用される場合、話し手の言語行動をとくに発話行為という。
【会話の公理(maxims of conversation)】グライスが提案した、会話を円滑に運ぶための基本的なルール。質・量・関係・様態の公理という4つがある。
【質の公理】会話の公理の一つ。「自分が嘘や偽りだと思っていること、確信を持てないことを言うな」という公理。
【量の公理】会話の公理の一つ。「必要なことを必要なだけ述べよ」という公理。
【関係の公理】会話の公理の一つ。「その場の状況と関連のあることを述べよ」という公理。
【様態の公理】会話の公理の一つ。「簡潔かつ明瞭に述べよ」という公理。
【待遇表現(speech levels)】対話において、上下/親疎の人間関係や、その場の雰囲気に応じて表現を変えること。「敬語」よりも意味が広いが、その境界はあいまいである。
【敬語(honorifics)】対話中で、相手や、その話題中の人物についての態度を表す表現。狭義では、体系的に文法化されたもののみを言う。
【談話(discourse)】文が連なって、あとまりのある内容を表している場合、その連なりを談話という。
【言語変種(language variety)】ある言語にみられる、さまざまな体系的な変異のこと。
【方言(dialect)】集団感で互いに異なる言語変種が使用されているとき、その言語変種を方言と呼ぶ。方言には地域方言と社会方言があり、一般的な「方言」は地域方言を指している。
【地域方言(regional dialect)】話者が生活している地域によって異なる方言のこと。
【社会方言(social dialect)】話者が所属している社会的な階層や集団によって異なる方言のこと。
【共通語(common language)】ある言語変種のうち、地域あるいは社会的な階層や集団を超えて通用するもの。「標準語」とは厳密には異なるため、注意が必要。
【標準語(standard language)】ある言語変種のうち、標準的な変種と見なされていて、威信のあるもの。共通語と標準語が同じこともある。(例:日本における東京方言)
【言語地図(linguistic atlas)】言語項目ごとに描かれた分布図のこと。言語地理学においては重要な研究手段となる。
【等語線(isogloss)】ある線を境にしてことばが変異している場合、この線を等語線という。
【方言連続体(dialect continuum)】とある2地点では明らかに異なった言語が話されていても、その中間の地点では連続的に言語が変化している場合、この中間の地点で話されている方言を方言連続体と呼ぶ。
【スラング(slang)】社会的に威信の低い集団が、ことさら標準的な言語変種からかけ離れた言語変種を使うことによって自己主張とする場合、これをスラングという。
【職業語(jargon)】特定の職業や専門分野で、内部の者だけに通じる特別な語が使用されている場合、これを職業語(もしくは集団語)と呼ぶ。職業語は語彙の面に偏っている。
【隠語(argot)】職業語(ジャーゴン)の中でも、集団の外の人間には分からないようにするため、暗号のように使う場合には、これを隠語とよぶ。
【ダイグロシア(diglossia)】2つ以上の明確に異なる言語変種が、それぞれ別の社会的な機能を持って共存している社会で、これらの言語変種が使い分けられているとき、この状況をダイグロシアと呼ぶ。二言語変種使い分けとも。
【H変種】ダイグロシアにおいて、社会的により威信が高いと見なされる変種のこと。主に公的な場面(改まった場面)で使われる。
【L変種】ダイグロシアにおいて、社会的により威信が低いと見なされる変種のこと。主に日常的な場面で使われる。
【コード切り替え(code-switching)】一人一人の話者が、場面に応じて言語変種を使い分けること。
【借用(borrowing)】1つの社会で複数の言語が話されているとき、ある言語の語彙を他の言語が取り入れること。日本語においても、英語からの頻繁な借用がみられる。
【ピジン(pidgin)】異なる言語を話す話者同士が接触したとき、何とかしてコミュニケーションを取るために生まれる、複数の言語の要素を併せ持つ補助的な言語。多くの場合、文法や語彙が簡略化される。
【クレオール(creole)】ピジンが主要なコミュニケーション手段として使われるようになり、ピジンを母語として習得する話者が出てくると、こういった言語はクレオールと呼ばれる。豊かな語彙や文法を持つ。
【波紋説(wave theory)】特定の地域で生じた変異が、徐々に他の地域に広まって行くことによって言語が変化するという説。
【方言周圏論】新旧の形式が、より新しい形式を内側にして同心円状に分布しているという説。柳田國男の「蝸牛考」が有名。
【基層(substratum)】異なる言語を話す集団がある地域を征服した際、征服者の言語に、もともとその地で話されていた言語が影響を与えることがある。このとき、もともとの言語を、征服者の言語に対する基層と呼ぶ。
【上層(superstratum)】異なる言語を話す集団がある地域を征服し、その地のことばを話すようになった際、征服者の言語が現地のことばに影響を与えることがある。このとき、征服者の言語を上層と呼ぶ。
【音対応】同系の関係にある言語同士に見られる、音同士の対応のきまり。これが分かると、ある言語とある言語が同系であると判断できる。
【祖語(protolanguage)】同系である諸言語の祖先にあたる言語。歴史言語学のおこりは、祖語を解明するところにあった。
【再建(reconstruction)】判明した音韻対応から、祖語の形を復元すること。
【比較言語学(comparative linguistics)】祖語を再建しようとする分野。歴史言語学に含まれる。複数の言語を比較して分析する分野は、「対照言語学」という全く違った分野なので、注意すること。
【音法則(sound law)】語彙項目に関わらず規則的な音韻変化。
【グリムの法則(Grimm's law)】グリム童話で有名なグリム兄弟の兄、ヤーコブ・グリムが発表した、ゲルマン語の子音に関する音推移の現象。
【類推(analogy)】多くの言語形式に共通する一定のパターンから、関連する他の形式まで変化すること。日本語のら抜き言葉は、五段活用動詞の可能形からの(誤った)類推から生じたもの。
【内的再建法(internal reconstruction)】言語形式の間に一定のパターンがあることを利用して、他の言語と比較することなしに、その言語の過去の状態を復元すること。
【系統樹(family tree)】比較言語学的な研究の結果、いくつかの言語が同系であることが証明されたとき、共通の祖語から枝分かれしたことを示すように描く図。
【系統樹説(family-tree theory)】系統樹に基づく、言語の歴史的変化のモデル。
【言語連合(Sprachbund)】言語接触が進んだ結果、ある一定の地域で話されている言語に、系統を超えて同じ特徴が見られること。
【リンガ・フランカ(lingua franca)】異なる言語集団間の、実用的なコミュニケーション手段として使用される共通語のこと。ピジンやクレオールがリンガ・フランカとして使われることも多い。
【国際語(international language)】世界の各民族・各国の間で、広く共通に使われている言語。
【人工語(artificial language)】特定の民族が優位に立ったり、不利益を被ったりしないよう、国際的な相互理解を目的として考案された人工的な言語。エスペラント語が有名。
【国語(national language)】一つの国家の中枢を形成している民族の、公の性格を担った言語。多数の言語を持つ国で、とある言語を国語として指定した場合、その話者が優位に立つことになるため、繊細な問題となる。
【公用語(official language)】国家・官庁などの国家機関、公的団体などが、対外的・対内的にその使用を公に認めている言語。たいていは憲法で規定されている。国語と重なる部分も多い。
【言語政策(language policy)】国家や公用語の規範を、国家主導で確立するための政策。
【単音文字】個々の文字が個々の音素に対応している文字体系。アルファベットはこれに当たる。
【音節文字(syllabic letters)】個々の文字が個々の音節に対応している文字体系。日本語のひらがなとカタカナはこれに当たる。
【表音文字(phonogram)】個々の文字が音を表している文字。単音文字・音節文字はいずれもこれに分類される。
【表語文字(logogram)】個々の文字が一定の音に対応しているだけでなく、一定の意味を持った語にも対応している文字。漢字はこれに分類される。
【手話(sign language)】音声によらない、手指の動きに基づいた、一定の体系に基づいた言語。他の音声言語と同じく、複雑な体系を有する。

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最終更新:2013年05月23日 01:21
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