今日は海の日、らしい。
世間的には、海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の繁栄を願う日。
雨氷型駆逐艦の一隻だった私にとっても、海はとても馴染み深い。
でも、いいことばかりじゃない。当たり前。だって、海は戦う場所だったから。
世間的には、海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の繁栄を願う日。
雨氷型駆逐艦の一隻だった私にとっても、海はとても馴染み深い。
でも、いいことばかりじゃない。当たり前。だって、海は戦う場所だったから。
いつもの防波堤の上から、海を眺める。
夏の日差し。青い海。白い波。夏の海は素敵。
生命の営みを感じる。潮の匂いの中にさえ、生きる力を感じる。
夏の日差し。青い海。白い波。夏の海は素敵。
生命の営みを感じる。潮の匂いの中にさえ、生きる力を感じる。
でも、私にとって忘れられない海は、冬の海。
灰色の空、少し荒れた黒っぽい海。港に響くラジオの音。ざわめき。
陰暦の12月に降る雪のことを、臘雪(ろうせつ)というらしい。
あの日も雪が降っていた。終わりを告げたあの日の雪は、私の名前と同じ雪。
だから、あの日の海を、空を、雪を。私は自分の名前と共に、忘れることができない。
灰色の空、少し荒れた黒っぽい海。港に響くラジオの音。ざわめき。
陰暦の12月に降る雪のことを、臘雪(ろうせつ)というらしい。
あの日も雪が降っていた。終わりを告げたあの日の雪は、私の名前と同じ雪。
だから、あの日の海を、空を、雪を。私は自分の名前と共に、忘れることができない。
目の前に広がる海は、とても輝いていて。空も青く澄み渡り、真っ白な入道雲が立ち上っている。
海鳥が鳴き、家族連れが魚釣りに来ていてとても賑やか。
この漁港にこんな風景が見られるのも、護衛艦になることを断り、ここに軍艦防波堤として艤装を埋めたから。
戦い続けるのも、誰かを守るために必要なこと。
だけど私は、たとえ私が消えてしまってからも、ここに来る誰かを守り続けられたらいいなと思った。
だから、船としての生涯は、ここで終えることにした。
海鳥が鳴き、家族連れが魚釣りに来ていてとても賑やか。
この漁港にこんな風景が見られるのも、護衛艦になることを断り、ここに軍艦防波堤として艤装を埋めたから。
戦い続けるのも、誰かを守るために必要なこと。
だけど私は、たとえ私が消えてしまってからも、ここに来る誰かを守り続けられたらいいなと思った。
だから、船としての生涯は、ここで終えることにした。
釣り竿を振り、仕掛けを投げ入れる。
私はここで釣りをするのが大好き。
私が守る漁港を使ってくれる人たちを見ることができるから。
生命力あふれる海、活気のあふれる海が大好き。
なのに、私は、海を見ても、あの死の匂いのする海しか思い出せない。
そう、なってしまったのだ。
だから、思い出せなくても、目の前で見せてくれる、この季節が大好き。
私はここで釣りをするのが大好き。
私が守る漁港を使ってくれる人たちを見ることができるから。
生命力あふれる海、活気のあふれる海が大好き。
なのに、私は、海を見ても、あの死の匂いのする海しか思い出せない。
そう、なってしまったのだ。
だから、思い出せなくても、目の前で見せてくれる、この季節が大好き。
この日を何度迎えたか、もう数えていない。
とても幸せで、贅沢なこと。
この日を数えられるほどしか迎えられなかった兄弟姉妹も、たくさん居るんだもの。
その分生きようって、雨雪はあの日に言っていた。
私は魚を釣り上げる。木箱いっぱいに持っていく。
さぁ今日も、あの人のところへ、ふたりのところへ持っていかなきゃ。
(おわり)
とても幸せで、贅沢なこと。
この日を数えられるほどしか迎えられなかった兄弟姉妹も、たくさん居るんだもの。
その分生きようって、雨雪はあの日に言っていた。
私は魚を釣り上げる。木箱いっぱいに持っていく。
さぁ今日も、あの人のところへ、ふたりのところへ持っていかなきゃ。
(おわり)