ここに始まるは三者三様の参加者。
 この殺し合いに呼ばれはしたものの、全員が全員全く関係のないものから呼び出された者達だ。
 彼らがバトルロワイアルの場において、どう動くのか。ご覧頂こう。


 まずご覧頂くのは、一人の賢者の物語。
 The World内外の様々な情報に精通し、散逸した黄昏の碑文を知る呪紋使い。
 賢者の名はワイズマン。またの名を火野拓海。
 伝説のパーティ『.hackers』における参謀格の少年である。


  ◆


「おいら、グランティ! お前、ワイズマン! お前、このバトルロワイアルの参加者ブヒ?」

 どこかの建物の中。今入って来た壮年の男(無論PCの話であり、実際は少年なのだが)……ワイズマンの足元から、何かの声がする。
 下を見ると、二足歩行する小動物がいた。銀の短髪に黒いジャケットと赤マフラーを身に着けている。
 そういえばこんな髪型と服装のPCが最初の説明の場にいたような……。

「プチグソに似ているが、この殺し合いの場に用意されたNPCと言ったところか?」
「おいらはグランティ! グランティ族のデス★ランディだブヒ! プチグソなんかと一緒にするなブヒ!」

 プチグソと一緒にされて怒りをあらわにするグランティ。
 R:2の設定では、プチグソが知性を取り戻したのがグランティだから見間違えるのも無理はないが……。
 まあ、同種族でありながら知性が全く無いものと同類扱いは失礼だったかもしれない。

「ああ、すまないなデス★ランディ」
「まったく、鍵がかかってるのに何で@HOMEに入ってこれたんだブヒ?」

 勝手に入ったことにワイズマンが謝り、そのままメニューを確認する。
 しかし、本来@HOMEにはギルド関係者以外は入れないように鍵がかかっているはずだ。
 例えばこの@HOMEなら、ハセヲなどのギルド『カナード』のメンバー以外は入れない……はずだったのだが、全く無関係なワイズマンが平然と入って来れている。
 これは一体どういう事か?

「これは@HOMEと言うのか……鍵はかかっていなかったが、元は鍵があったのか?」
「あいつめ、何で鍵を外したブヒ」

 ……どうやらこの会場の@HOMEには鍵がないようだ。
 その事実を知ったデス★ランディが主催側への不満をぼやく。本来あった鍵を外されたのが不満だったらしい。

(これは……何かのパーツか?)

 デス★ランディがぼやいている横で、ワイズマンが支給品のチェックを進める。
 まず最初に見つけたのは、何らかのパーツのようなもの。説明書を見ると、ナビカスタマイザー用のプログラムだという。
 名をサイトバッチ。数あるプログラムの中でも、参加者の一人であるロックマンにしか扱えないパーツだ。

(特定の参加者専用の支給品というのもあるのか……渡すかどうかは、実際に会ってから決めるべきだろうな)

 ワイズマンがサイトバッチの性能を見てため息をつく。どうやらこのプログラムを渡すかどうかを決めるのは後回しにしたようだ。
 一部を取ってみてもガード破壊や飛行、スーパーアーマー、シールド。一目見て分かる通り強力な追加機能のオンパレードだ。
 ロックマンが殺し合いに反発するのなら、これを渡せばきっと助けになる。
 ……逆にもし乗ってしまったのならば、その時はサイトバッチを破壊するまでだ。
 サイトバッチから視線を移し、隣にあった一振りの大剣を見るワイズマン。その顔には笑みが浮かんでいた。

「ふむ、懐かしいものが支給されたな」
「知ってるものブヒか?」
「ああ。この剣には少しばかり思い入れがある」

 何せこの剣は、ワイズマンがカイト達と協力するきっかけになった剣。
 黄昏事件に参加するきっかけとなった剣なのだから。
 クラスの都合上、本来装備できない剣『スパークブレイド』を出す。装備は出来ずとも、システム上は手に持って振るう程度なら可能だ。
 他の支給品は参加者全員に配られているルール掲載テキストと地図だけ。どうやらランダム支給品は打ち止めらしい。

「デス★ランディ、この建物がどの辺りにあるのか分かるか?」

 地図を取り出してデス★ランディにここがどこかを聞くワイズマン。
 ここに入る前の風景を考えると、おそらくファンタジーエリア南西のマク・アヌのどこかだろう。
 詳しい場所までは分からないが、NPCのデス★ランディなら分かるはずだ。

「教えてやらなくもないブヒが、人に頼み事をする時に必要な言葉があるブヒ?」
「ぐ……教えてくれ、頼む」
「そこまで頼まれちゃあしょうがないブヒね、この辺だブヒ!」

 ……さすがにワイズマンもイラッときたのだろうか?
 とにかく、デス★ランディから場所を聞くことはできた。
 地図のF-3、橋の近くを指しているから@HOMEはこの辺にあるようだ。
 ならばマク・アヌを探索してみようかと考えるが、ふとある事に気付く。

(小屋か。ただの小屋が地図に書かれるとは思えんな)

 すぐ隣のF-4エリアに、小屋が書かれている。
 その事実にワイズマンがきな臭いものを感じ取った。
 この@HOMEですら地図に載っていなかったのだ。ならば地図に載っている小屋は重要な建物なのでは?
 幸いデス★ランディの言う通りならば、ここは橋のすぐ近くだ。ここを調べてみようか。
 そう考え、@HOMEを出るワイズマン。目的地はF-4の小屋だ

「生き残ってくるブヒよー!」

 デス★ランディの声援が、何故か心強く思えた。


【F-3/マク・アヌ カナードの@HOME/1日目・深夜】

【ワイズマン@.hack】
[ステータス]:健康
[装備]スパークブレイド@.hack
[アイテム]:基本支給品一式、サイトバッチ@ロックマンエグゼ3
[思考]
基本:バトルロワイアルを止める
1:F-4の小屋に向かう。
2:仲間がいるのならば合流したい。
3:ロックマンが殺し合いに乗らないならサイトバッチを渡す。乗っていたらサイトバッチを破壊する。
[備考]
※原作終了後からの参加です。


  ◆


 続いてご覧頂くのは、一人の記者の物語。
 真実と正義を追求し、どれ程の逆境にいようと決して折れないジャーナリスト。
 記者の名はミーナ。またの名を武内ミーナ。
 野球チーム『デンノーズ』の一員にして、ツナミグループを追う者である。

  ◆


 E-9からF-10まで、4つのエリアにまたがる野球場。ドームではないので天井は無く、上には夜空が見えている。
 その中のE-10側の出入口から、二頭身のアバターが出て来た。
 周囲を見渡すと、野球場の周りには近代的な都市の姿が。
 それを見てアバター……ミーナがため息をついた。

「ツナミネットにこんな街は無かったはずですが……」

 野球場内に戻りながら呟く。先程スタートした時点では自分以外に誰もいなかったので、現時点では外よりは安全だ。
 ここはツナミネットではないのだろうか。ミーナの脳裏にそんな考えがよぎる。
 最初は呪いのゲームことハッピースタジアムの時に使っていたアバターの姿になっていたから、ここはツナミネットなのだろうと思っていた。
 だが、彼女の知るツナミネットには野球場周辺にこんな街は無かったはずだし、知る限りではこんな仕様変更も無かったはずだ。
 それともジオット・セヴェルス新会長の意向でジャジメントに再改名した時にでも仕様変更したのだろうか?

(いえ、もし仕様変更があったのなら、レンさんからそういう話を聞くはずです)

 そんな考えを一蹴する。
 もし仕様変更でもあったのなら、事件終結後もゲーム仲間として交流のあるレン辺りが言うだろう。
 だが、それが無かったという事はおそらく仕様変更の類ではない。
 ならば考えられるのはただ一つ、この会場がツナミネットとは別の仮想世界という事だ。
 殺し合いの為に新しく作ったのか、それともどこかのオンラインゲームのものを流用したのかは知らないが、おそらくそれで間違いはない。

(それに、この体。どうやってツナミネットのアバターに元の体の意識を移したのか……)

 分からない事はまだある。
 先程から二頭身と言っていることからもわかるように、彼女の体は現実での武内ミーナの体ではない。
 そのくせ元の肉体のように体の感覚だけはちゃんと存在しているのだから訳が分からない。
 ……いや、たった一つだけそれを解決できるものがあった。

「……デウエス、でしょうか?」

 かつての呪いのゲームの仕掛け人であり、オカルトテクノロジーと呼ばれる正体不明のテクノロジーから生まれた怪物。
 あの時カオルの犠牲によって完全に消え去ったはずのあの化け物か、もしくはそれに近い何かがまだ存在するとでも言うのか。
 否定したい気持ちは勿論あるが、知る限りでこんな芸当ができる相手は他にいない。

「だとしたら、相当厄介な相手ですね」

 何せかつてのデウエスは、ネットにさえ繋がっていれば。そうでなくても人工衛星で撮れる位置にいれば地球上のあらゆる相手を監視・排除できる存在だ。
 ましてや今回は仮想空間の中。あの化け物のホームグラウンドである以上、むしろ不可能な方がおかしい。
 かなりの難敵には間違いない……が、どうにもならない相手だとは思えない。
 かつてのデウエスだって、最期には倒されたのだ。ならば今回の敵だって倒せない道理は無いはずだ。

「見ていなさい、榊。私は私のやり方で、この殺し合いを破ってみせます」

 おそらくどこからか見ている榊に向け、宣戦布告を行う。
 ミーナの、ジャーナリストのやり方とは、すなわち情報の発信。
 会場中を駆け回り、殺し合いの打破に有用な情報を手に入れ、発信する。
 発信の手段は先程確認した支給品に入っていた拡声器を使えばいい。
 そうと決まれば、どこから調べようか。行き先を決める為に地図を出そうとしたミーナの視界の端に、何かがあった。

「な、何ですかあれは!?」

 距離があるせいでかなり小さく見えるが、人間が背中から羽を生やして空を飛んでいる。
 人間の背中に羽が生え、空を飛ぶというのはミーナは今まで一度も見た事がないのだ。驚愕の叫びを漏らしてもおかしくない。
 厳密に言えば、空を飛ぶ人間自体はダークスピアこと茨木和那の能力で見た事はあるが、背中に羽を生やして飛ぶ人間は見た事がない。
 普通の人間にはそんな芸当は不可能なはずだし、あの少女はそういう超能力があるとでも言うのだろうか?
 ……あ、頭ぶつけて降りてった。この会場には見えない天井があったのか。

(まさかこの殺し合いには、超能力者も呼ばれている?)

 思い返せば、最初の説明の時に自分のようなデフォルメされた姿の参加者は自分達ハッピースタジアムの参加者くらいしかいなかった。
 いや、むしろ普通の人間のような姿をした参加者の方が多かったくらいだ。中にはロボットのような参加者もいたが。
 ならば一部の参加者、最悪の場合参加者全員が仮想空間の外からオカルトテクノロジーでこの世界に引きずり込まれたのではないだろうか?
 今は亡きデウエスとの決戦の時も、元の肉体で試合をしたのだ。前例がある以上ありえない話ではあるまい。
 尤もその場合、なぜ自分達だけゲーム用アバターで呼ばれたのかという疑問は残るが。

(……危険な賭けですが、あの超能力者に会ってみましょう)

 彼女の知る限り、超能力者はジャジメントの人員かその敵しかいない。どちらもヒーローなどのごく一部を除いてかなりの危険人物だ。
 直接会うのはかなり危険だし、そのまま殺される可能性だって十二分にある。
 だが、もし危険人物ではない『ごく一部』に当てはまるのなら。そしてデンノーズの仲間のように協力できれば非常に心強い。リスクを冒す価値もまた十二分にあるのだ。
 F-10側の出口から野球場を出て、先程の少女のいた方向を確認。距離と方向を考えるとモールの方だろうか。
 早く行かないと離れてしまうかもしれない。そう考え、支給品からお守りを一つ取り出す。

「ええと、確か……アプドゥ!」

 そう唱え終えた直後、お守りが消失。ミーナの周囲に時計のようなエフェクトが泡のように浮かんでは消える。
 説明書曰く、そのお守りの名は快速のタリスマン。
 アプドゥと唱える事で使用され、使用すれば足が速くなるとあった。眉唾だったが、効果はあったようだ。
 野球場の外を見る前に行った支給品チェックで拡声器と一緒に見つけていたそれを使い、空を飛ぶ少女が移動する前に会おうとしているのだ。
 ……たった5つしかない消耗品をこうも早く使うのはどうかとも思ったが、どのみち失敗すれば死ぬのだ。問題は無い。

「さて、それでは行きましょうか!」

 そう一言言うと、モールの方へと駆け出した。

【F-10/アメリカエリア 野球場前/1日目・深夜】

【ミーナ@パワプロクンポケット12】
[ステータス]:健康、アプドゥ
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~1(本人確認済み)、快速のタリスマン×4@.hack、拡声器
[思考]
基本:ジャーナリストのやり方で殺し合いを打破する
0:空を飛ぶ超能力者(アスナ)を探す。
1:殺し合いの打破に使える情報を集める。
2:ある程度集まったら拡声器で情報を発信する。
[備考]
※エンディング後からの参加です。
※この仮想空間には、オカルトテクノロジーで生身の人間が入れられたと考えています。


  ◆


 最後にご覧頂くのは、一人の強者の物語。
 世界を蝕んだ化け物を討ち果たし、親友を助け、そして死んでいった者。
 強者の名はロックマン.exe。またの名を光彩斗。
 三度世界を救い、そして二度目の死を迎えたネットナビである。


  ◆


「どういう事なんだろう? ボクはプロトに取り込まれてデリートされたはずなのに」

 青いネットナビ、ロックマン.exeが辺りを見回しながら呟く。
 周囲はノイズとパネルに覆われた空間。様々な事件のせいで今や見慣れてしまったウラインターネットの風景があった。
 ……それこそが、ロックマンが今感じている『異常』だ。
 あのルール説明の場、そこに来る前の最後の記憶は初期型インターネット『プロト』との死闘。
 脱出の最中に最後の力を振り絞ったプロトに取り込まれ、最後の力でオペレーター兼親友兼実弟の熱斗を逃がし、そのままデリートを待つだけの状態だった。
 それ故に、ロックマンがウラインターネットにいるはずがない。消えずに存在している事など、ある訳がないのだ。
 もし可能性があるとすれば、光祐一郎やワイリーといった最上級の技術者に回収され、データを修復されたという可能性しか無い。

(あの榊ってナビのオペレーターがボクを助けてくれたのかな?)

 そして、可能性があるとすれば榊のオペレーター。
 いや、榊はナビカスタマイザーでバグが出ているような外見だったから、仲間がいるのだろうか。

(……でも、こんな殺し合いなんか絶対許しちゃいけない)

 理由はともかく、デリート寸前の状態から助けてくれた事は感謝しよう。
 再び熱斗の元に帰る機会をくれた事には礼を言おう。
 ……だが、それだけだ。
 殺し合い? 馬鹿馬鹿しい。倒されたら死ぬ? ふざけるな。
 こんな方法で帰ったところで、どんな顔をして熱斗に会えばいいのか。
 光熱斗の親友としても、熱斗の双子の兄『光彩斗』としても。こんな殺し合いに乗るわけにはいかない。
 ……と考えていると、一つの疑問が浮かんだ。

「……って、あれ? 『真の死を意味する』ってどういう事なんだろう?」

 ネットナビならばオペレーターがバックアップデータを取っているはずだし、例えクラッキングしてバックアップデータを消していたとしても、そもそもネットナビが『死ぬ』などという表現は聞いた事がない。
 ならば、真の死とはどういう事なのだろう。まさかネットナビではなく人間が参加しているとでも言うのだろうか? ならばどうやって?
 考えるロックマンの頭に『どうやって』を解決できる物が浮かぶのに、そう時間はかからなかった。

「そうか、パルストランスミッションシステム!」

 パルストランスミッションシステム。それは、人間を電脳世界に送り込むシステム。
 かつて科学省で開発されたが、電脳世界でのダメージが現実の肉体にフィードバックされるという危険性があったために開発が中止された。
 だが、ワイリーがこのシステムを完成させていた。WWWの本拠地に、このシステムの現物が存在していたのをロックマンは知っている。
 ……それが意味する事は、この殺し合いの場に人間がいるという事実。
 パルストランスミッションシステムを量産し、ネットナビも人間も関係なく参加させているという事だ。

(なら、なおさらこの殺し合いを止めないと!)

 殺し合いを止める理由がまた一つできた。
 こんな所で戦って、もし考えた通り人間がいるとしたら何人死ぬか分かったものじゃない。
 ならば死人が出ないうちに一刻も早く殺し合いを止める。脱出できるとしても帰るのはそれからだ。
 そうと決まれば、まずは情報を得る必要がある。
 PETのものとは違う、慣れないメニューからファイルを開き地図を確認。さしずめ『バトルロワイアルの電脳』とでも言ったところか。
 見てみると、地図の右上にはウラインターネットの表記が。ネットワークに繋げるような失敗をするとも思えないし、ウラインターネットを模しただけのエリアなのだろう。
 そうしていると、地図の右上に気になるものを見つけた。

「ネットスラム……ボクの知ってるウラインターネットには、こんなものは無かったけど……」

 A-10からB-10にかけて存在するネットスラムと呼ばれるエリア。
 少なくとも、ロックマンの知るウラインターネットには存在しなかったもの。
 もしかしたら、ここに行けばロックマンの知らない何かがあるかもしれない。メニューを一通り調べたら行ってみようか。
 そう考えてから、支給品の確認を続行。少なくとも今すぐ使うようなものは無い。
 ならば支給品以外の機能は何があるのか、調べてみると、気になるものを見つけた。

(【ロックマン】? この項目、もしかして熱斗くんのPETにあったのと同じ項目なのかな?)

 【設定】の中に【ロックマン】の項目がある。
 これがもし熱斗のPETにあったものと同じものなら、ロックマンにとっては大きな助けになるだろう。
 すぐに機能を試してみると、目の前に新たなウインドウが。熱斗のPET同様、スタイルチェンジとナビカスタマイザーの使用が可能なようだ。
 まずスタイルを見てみると、バブルマンの事件からずっと使い続けてきたスタイルがある。
 すぐにそのスタイルに切り替え、その直後にロックマンが青い忍者のような姿『アクアシャドースタイル』へと変化。

「うん、スタイルチェンジはちゃんとできるみたいだ」

 スタイルについては万全。なら次はナビカスタマイザーの状態を見よう。
 何かプログラムの一つでもあれば、スタイルチェンジ同様助けになるはずだ。
 そう考えてナビカスタマイザーの状態を見ようとした次の瞬間、ロックマンの目に火柱が映る。

「あれは!? まさか、フレイムマンか!」

 火の手が上がった方を見ると、大火事が起こっていた。
 始まってからの短時間でこれ程の炎を出せる相手には心当たりがある。
 かつて二度戦った敵、名はフレイムマン。あのナビの火力なら、これだけの火災を起こす事も難しくはあるまい。
 外見もかなり目立つので、最初の説明の時に姿を見ている。おそらくフレイムマンの仕業で間違いはないだろう。

「フレイムマンだとしたら、放っておいたらどんなひどい事になるか……急ごう!」

 それより、あんな炎を出すという事は近くに誰かがいるという事。
 誰かがフレイムマンの炎に焼かれ、消し炭にされる前に止めなければ。
 何せフレイムマンの並外れた火力と耐久力は実際に戦った自分がよく知っている。
 急いで止めなければいけない。そう考えたロックマンが炎の方へと駆け出した。

 ウラインターネットでの一度目の戦いは、フォルテの乱入で水入りとなった。
 WWWの本拠地での二度目の戦いは、死闘の末にフレイムマンを下した。
 そして……『バトルロワイアルの電脳』での三度目の戦いが、幕を開けようとしていた。

【B-9/ウラインターネット/1日目・深夜】

【ロックマン@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:健康
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、熱斗の所に帰る
1:炎の方に向かい、フレイムマンを止める。
2:落ち着いたらネットスラムに行く。
[備考]
※プロトに取り込まれた後からの参加です。
※アクアシャドースタイルです。
※ナビカスタマイザーの状態は後の書き手さんにお任せします。
※榊をネットナビだと思っています。また、榊のオペレーターかその仲間が光祐一郎並みの技術者だと考えています。
※この殺し合いにパルストランスミッションシステムが使われていると考えています。


  ◆


 いかがだっただろうか?
 The Worldの賢者は水の都に降り立ち、一匹のNPCと出会った。
 デンノーズの記者は野球場に現れ、記者のやり方で殺し合いの打破を望んだ。
 強きネットナビはインターネットの闇に蘇り、四度目の戦いに身を投じた。
 三者三様の出自ではあるが、それぞれがこの殺し合いを打破しての脱出を望む。
 果たして目的を果たせるか? それとも志半ばで斃れるか?
 それを知るには、今しばらくの時が要る。最後までお付き合い願いたい。


【全体備考】
※F-3 マク・アヌにカナードの@HOMEがあります。
※@HOMEにはデス☆ランディがいます。また、鍵が無くても出入りは可能です。

支給品解説
【拡声器@現実】
またの名を死亡フラグ。広範囲に声を届ける道具。

【スパークブレイド@.hack】
ワイズマンが黄昏の碑文のことを教える情報料としてカイトに要求した両手剣。攻撃力24。
この一件をきっかけに、ワイズマンがカイト達に協力することになった。
ドレインライフとクリティカルの追加効果を持つ。使用可能スキルは以下の通り。
ライスマッシュ:雷属性の単体攻撃
ライドライブ:雷属性の単体攻撃
アプライオ:対象及び周囲の仲間の雷属性強化

【快速のタリスマン@.hack】
使用すると移動力が上がる魔法『アプドゥ』がかかる。使い捨て。
本ロワでは効果時間は30分となっている。

【サイトバッチ@ロックマンエグゼ3】
ロックマン専用のプログラム。3においてはナビカスタマイザー用プログラムとして存在している。
元々ロックマンは光彩斗のDNAと完全に一致するプログラム構造をした、言わば光彩斗の生まれ変わりである。
だが、オペレーターに与える危険性を危惧した光祐一郎の手によって0.001%だけ別のプログラムへと書き換えられた。
このプログラムはその0.001%の差異を埋め、プログラム構造を完全に光彩斗のものと一致させるためのプログラムである。
こうなったロックマンは性能が格段に跳ね上がる。具体的には以下の通り。
  • バスター及びチャージショットにガード無効化が付加される。
  • ダメージを受けてものけぞらない。
  • バトル時の初期チップ+1。
  • フォルダ内のメガチップ最大数+1。
  • シールドを使用しての防御能力。
  • マグマ・氷・砂パネルの影響無効化。
  • 常時エアシューズ+アンダーシャツ。
ただし、急激なパワーアップに体がついていけないせいか最大HP半減のバグが発生する。
劇中では何故かウラインターネットの奥深く、シークレットエリアのミステリーデータから入手可能。


020:最強の矛、最強の盾 投下順に読む 022:back into my world
020:最強の矛、最強の盾 時系列順に読む 022:back into my world
初登場 ワイズマン 030:digital divide
初登場 ロックマン 025:Link
初登場 ミーナ 045:デバッグモード

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最終更新:2013年07月13日 14:07