悪意と悲劇
てのひらが、痺れた。
黙って殴られた男の頬は、見る間に真っ赤に腫れて、きっと殴った自分の手も赤い。
痛みよりも、ただ、激しくなった胸の鼓動と、熱さを感じる程頭に上った血の感覚で、ただ、痺れる。
「…見損なった…!」
言葉を叩きつけても、反論もなく。
「どうして止められなかったんだよ! 力尽くでも、縛り上げてでも、MALICEの奴なんかと行かせるよりはずっとマシだ! あんたがいて、何で…!」
言葉が続かなくなった。何でだ、腹立たしく思って、そこで初めて、自分が泣いているのに気がついた。後から後から、止められない涙が溢れて、
殺した筈の心に、まだこんな激情が息を潜めていたと初めて知る。
「…もういい。西風さんなんか当てにはしない。俺が探しに行く」
「スー…!」
「止めるな! 俺を止められるくらいなら、最初からソルさんを止めてればよかったんだ、この大馬鹿野郎!」
知らないままでいたかったんだ。
こんな形で知りたくはなかったんだ。
…あの人の優しさが、上辺だけだと、どんなに気付いていても。
――それなのに。
黙って殴られた男の頬は、見る間に真っ赤に腫れて、きっと殴った自分の手も赤い。
痛みよりも、ただ、激しくなった胸の鼓動と、熱さを感じる程頭に上った血の感覚で、ただ、痺れる。
「…見損なった…!」
言葉を叩きつけても、反論もなく。
「どうして止められなかったんだよ! 力尽くでも、縛り上げてでも、MALICEの奴なんかと行かせるよりはずっとマシだ! あんたがいて、何で…!」
言葉が続かなくなった。何でだ、腹立たしく思って、そこで初めて、自分が泣いているのに気がついた。後から後から、止められない涙が溢れて、
殺した筈の心に、まだこんな激情が息を潜めていたと初めて知る。
「…もういい。西風さんなんか当てにはしない。俺が探しに行く」
「スー…!」
「止めるな! 俺を止められるくらいなら、最初からソルさんを止めてればよかったんだ、この大馬鹿野郎!」
知らないままでいたかったんだ。
こんな形で知りたくはなかったんだ。
…あの人の優しさが、上辺だけだと、どんなに気付いていても。
――それなのに。