賢吾
シンボル:存在していないかもしれない、何の効果も無い
リボルブ:筋力が桁外れに上がる
一人称:俺
性格 直情的、手加減出来ない
いろんな事にコンプレックスがある
今現在は一人暮らし
賢吾がコントローラー育成学校に入ったのは、エネミーが憎かったからだ。
両親をエネミーに殺された。ありがちな話ではある。
しかし、そこから復讐の為に学校に通うのはありがちではない。
大抵の場合エネミーを本能的に避けてしまうのだ。
賢吾が学校に入学してしばらくたっていた。
「賢吾、拓、準備は良いな…では始め!」
校庭から教師の声がする。
そこで賢吾は実践的な組手をしていた。
巨大な肘から上の腕の形をした拓のシンボルが、賢吾を狙う。
上空から手の平で潰しにかかっていた。
一方、賢吾は何の動きも見せない。
というよりシンボルすら見えなかった。
だが、拓の攻撃は止まらない。
巨大な手が賢吾にぶつかり、砂埃を舞い散らせた。
「拓ー! もたもたすんな! もっとやれ!」
外野から野次が飛ぶ。
と、風が吹いた。砂埃が薄れる。
その中に、人影があった。
巨大な手の平を、両腕を交差して防いでいる。
再び風が吹いた。今度は完全に砂埃がなくなっていた。
たっていたのは全身を青黒く変色させた賢吾だった。
髪は揺らめく炎、両腰には太く黒い棒を2本かけ、鬼の形相をしていた。
「行くぞ…」
賢吾が呟くと、拓のシンボルを鷲掴みにした。
賢吾が口を開く度、隙間からチロチロと炎が覗く。
これが賢吾のシンボル、いやリボルブだった。
名前を青鬼、シンボル状態のない常時装着型。
とても稀なシンボル。
装着者の能力を人間離れさせるその姿は正に鬼だった。
賢吾が力を込める。と、握っていたシンボルの指がひしゃげる。
凄まじい力だった。
そのまま、賢吾は力任せにシンボルを拓に投げ付けた。
しかしそれが拓に当たる事はない。
賢吾に掴まれていた腕が右腕であり、左腕が押さえていた。
拓のシンボルも、賢吾に劣らず稀有だった。
二つのシンボルを操っていた。
拓が体制を立て直し、改めて攻撃に移るのと、賢吾がジャンプしたのは同時だった。
賢吾は上空で両腰の棍棒を握り、拓目掛けて振り上げる。
拓はその場から動かず、2本の腕が迎撃に向かう。
左腕が賢吾に迫っていた。
グーの形で賢吾を横から殴る。
ガッ、
音が、左腕と棍棒との間で空気を揺らしていた。
「ぐっ…賢吾の野郎…」
拓の頭に激痛が走る。左腕の拳が割れていた。
しかし、賢吾はぐんぐん近付いて来る。
この時賢吾は勝利を確信していた。
右腕も棍棒で叩けば残るは脆弱な一般人。
後は右腕を―――
考えた所で賢吾は地面に叩き付けられていた。
賢吾の足が、右腕に握られていた。
故に、拓の攻撃はまだ終わっていない。
右腕が何度も振られる。
その度に賢吾の身体が地面に血の跡を残す。
「止め!」
教師が叫び、組み手が終わるまで、賢吾への攻撃は止まなかった。
「ありがとうございました」
拓が賢吾に冷笑を投げ掛ける。
賢吾は何も言えず、地面に横たわる事しか出来なかった。
リボルブ状態の解けた賢吾の口には鉄の味が広がっていた。
「何度言ったら分かる、賢吾、お前の攻撃は短絡的過ぎる、完全に近接戦重視なんだからもう少し考えろ」
教師が嘆く。
「………」
「距離を置いて攻撃出来る奴に空中から攻撃する馬鹿がどこにいる」
何も言わない賢吾に、教師はいつもの愚痴を漏らすと、保健室から出ていった。
「お前いつも同じミスしてるなwww」
隣りのベッドから拓が笑う。
「うるせぇ…」
「入学当初は珍しいシンボルでもてはやされてたのが、今じゃただの問題児」
「………」
「まぁそうだよな、あんな馬鹿力で手加減出来ないんだから」
拓の辛辣な言葉から賢吾が逃げるには無視するしかなかった。
頭まで毛布を被り、賢吾は息を殺す。
「…そんなんだから友達いねーんだよ」
拓の言葉が、賢吾の奥深くでこだましていた。
賢吾は弱く、友達もいない。何もなかった。
心の拠り所のない賢吾は涙を流して枕に跡を作る事しか出来ないのだった。
最終更新:2006年09月13日 21:39