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何でもいいから、取り敢えず公務員になろう
そして安定した最低限の生活を送ろう
そう考えていたはずなのに、俺はシンボル戦闘の
エキスパートを育てる専門学校に入っていた
確かにこのままシンボルの扱いを極めて
様々な職種に活かすのもいい
だが、もし罷り間違ってオフィシャルのメンバーにでもなったら
一体どうすればいいのだろうか
無論、断る権利もあるが、俺にNOと言えるだけの根性は
果たしてどれほどあるのだろうか

「…ってなこと、また考えてたんでしょ?」
ボーッとしてると逆さになった沖田愛海の顔が見えた
いや、俺が椅子にもたれかかって頭を
宙ぶらりんにしているせいか
「その通りだよ」
俺は無粋に答える
「面倒なこと嫌いで、でも断れず仕事に従事
ましておろそかにすることも出来ないなんて
本当に典型的な公務員タイプだねー」
愛海が笑って言う
…図星である
「仕方ないだろ
これが俺の生まれながらの性分なんだし」
「で、その性分のシンボルがコレってわけね」
愛海が俺のシンボルを持ち上げる
せかせかと仕事に従事する蟻に似た姿をしたそのシンボルは
まさしく俺の性分そのものであった
…あぁ、ホントこのシンボルを見れば
誰しも俺の性分が一目瞭然なんだろうな…

今日は5時間目に「組み手」がある
「組み手」とはシンボルをリボルブさせた状態の生徒同士が
擬似戦闘をするというものである
無論、行き過ぎれば肉体的にも精神的にも
大きなダメージを負うことになる危険な授業である
因みに俺のこの学校での成績は中の上か上の下程度で
そこそこのランクなのだが
しかしこういう実戦的な授業になるとやはり上手くいかない
そういう性分なのだからと割り切ってはいるが、どうにもな~…
ついでにこの授業で毎回自分の駄目さを実感して落胆すると同時に
「あぁ、これならオフィシャル入りもなさそうだ」と
安堵のため息をついたりもしてしまう
情けない俺…

今日の組み手の相手は明だった
明はかなりの遊び好きで、こういう種類の授業も大好きである
「…お前はギリギリまで手加減しないからイヤなんだよなー」
ストレッチしながら明に言う
「バーカ、それを『手加減』って言うんだろーがw」
確かに、その通りである

「…それじゃあ次、戸田 博と大黒 明!
準備はいいか?」
「モチロンOKッスよw」
「…はい、大丈夫です」
「よし、それでは…始め!」
明のシンボルは鮮やかな色をした鳥のような姿をしている
リボルブすれば飛翔に近い跳躍や地上での高速移動が可能となる
対して俺のシンボルはリボルブすると小型の蟻のようなシンボルを
大量に出せる
シンボルの定義からすれば例外的に見えるが
この大量の小さな蟻達に意思はないのでやはり定義通りである
互いにリボルブしてさぁ始まりだと思った瞬間
明の蹴りが腹部に一発
続いて俺の後ろに回りこんで2発目
ただし2発目は大量の蟻達によるクッション防盾でなんとか防いだ
そのまま蟻達は明の体にしがみつき
チクチクと攻撃するが、明の強化された肉体にはあまり効果がないらしく
明はそれを無視して積極的に攻める
対して俺の方は蟻達の防盾で攻撃を受け続けるだけの
防戦一方
既に勝負は見えたも同然だった

しかしここで俺はシンボルの性質を利用し
思いもよらぬ反撃を…!
と、いうことあるはずなく、俺はひたすら防戦防戦
そして明は俺の腕を掴み、シンボルの力をそそいで
互いの力を中和させた
つまり、この状態は生身の喧嘩と同じである
こうなればもう俺に為す術はなかった
明の肘鉄を顔の側面から受けて俺は倒れた
下手をすればそのまま脳震盪でバタンだったかもしれなかったが
なんとかそれは回避できた
あるいは、明が「手加減」したのだろうか
「そこまで!勝負あり!」
先生が手を上げる
明が倒れた俺に手を差し出す
「まーた前と同じ負け方しやがって
ホントこういうことに関しては成長しねぇな」
俺は明の手を掴んで立ち上がり
「…仕方ないだろ
そんな戦術考えるなんて俺には難しすぎるんだよ」
そう言ってジャージの砂を払った

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最終更新:2006年08月29日 02:00