Act?2【あの、本当は考えてませんでした】
「おお、よくやりましたね、藤城君」
一応念には念を入れて、エネミーの呼吸を確かめようとするが、潰したトマトのような顔面で、鼻の位置が分からない
俺が確かめるまでもないほど、死んでいるのが明確だった
「高校生に何てことさせるんだ?俺はエネミーと戦ったことなんてなかったのに」
振り向いて言うと、Fouは意外そうに目を丸くした
「ほう、では、アレだけの作戦をいきなり思いついたんですか?」
「まあ、そうだが……運が良すぎだ
必要なコントローラーが欠けることなくそろってたんだからな」
言った後、俺はFouを睨みつけた
「……フフ、最近の学生は侮れませんね
いいでしょう、ヒントです
今、エネミーを使った作戦が、何者かが率いる組織によって行われています
作戦の内容も目的も不明
対抗できる組織は二つしかありません
一つはエネミーを殺す組織
もう片方はエネミーに味方する組織」
そこで、フッと目を細める
「さて、エネミーを守りたい組織は、エネミーが犠牲になる作戦をどうしようとするでしょうか?」
フフフ、と不敵に笑う白衣の男、Fou
俺は、しばらくの沈黙の後に、口を開いた
「知るかボケ、俺の平和を掻き乱すな」
学生寮に帰った後、俺はFouの目的について考えていた
エネミーが現れた
原因はいくつか考えられるし、ここは
オフィシャルに任せておけばいい
問題はその次、Fouだ
エネミーが現れたときに、いち早く現場を落ち着かせ、必要な人材を指名した
その時、あの場にいた三人は、最初こそ嫌そうな顔をしたが、最終的にはノリノリで戦っていた
出来すぎているのだ、状況が
今ドラえもん思いついた奴は手を上げろ、IDの数字の回数腹筋な
ともかく、あの時の状況が
クリアできないように作られた現実ではなく
ゲームのように、クリアされるために作られた非現実のように感じられたのだ
その非現実なゲームの作者は、恐らく……
「Fou…か」
自分の部屋のベッドに横たわり、天井を見上げて呟く
奴は何が目的なのだろう?
戦闘技術ならば、俺より優れた者がたくさんいるはずなのに、なぜ俺を選んだのだろう?
ここで少し自惚れてみる
もしかしたら、俺のシンボルが実は物凄い強い!?
で、Fouってのはオフィシャルのスカウト要員とか!?
(以下、妄想に変わりまして空白がお送りします)
やったぜ!!俺の人生バラ色だ!!
ベッドから降りて、天井に向かって万歳をした、嗚呼、なんて素晴らしいんだ……!!
「ゆうー、晩御飯食べにいこー」
ガチャリとドアを開けて入ってきたのは、深山奏だ
数秒、固まる
天に向かって両手を広げ、大きく背中を反らせて逆さまの奏を凝視する状態の俺は
もはや恥ずかしいどころの話ではなかった
何を思ったか、そのままの体勢でズリズリと奏に近付く
「……………」
「……………」
互いに、沈黙
「あ、あのあのあのえっとね、わ、私はゆうが夜な夜な変なポーズを取る変態さんでも友達でいてあげるよっ!?
だからお願いだから近寄らないでぇっ!!」
「え…あ、待っ」
無常にもドアの閉まる音、そして蝶番の外れる金属音
修理やるの俺だよなぁ……
「夜な夜なって、まだ夕方だっつの……」
やるせない気分になって、いつもなら慰めてくれるRoiがいる方を見やる
さっきまで隅っこでぷかぷか浮いていた筈だ
「……………」
いなかった、部屋をぐるりと見渡して、それでも球体を発見することはできなかった
自分の部屋が、やけに広く感じる
涙はこぼすまいと、空を見上げた
天井だった
最終更新:2006年09月04日 01:32