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酷評お願いします0430

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匿名ユーザー

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 蝉の鳴き声が聞こえる。地上へ降り注ぐ強い日光。皮膚をじりじりと焼く強い日差しは少年にとって毒であった。しかし日焼け止めクリームを塗っていたので、それはさほど問題ではない。ただ、暑い。日本だから梅雨を過ぎても、蒸し暑さが残る。歩きながら見上げれば、雲一つない、一面の青。同じ色が広がっているのに、何故か奥行きがあるように見える不思議な色。都会と違い、高い建物がない為、より一層空が広く感じられる。身体を伝う汗。それを不快に思い、少年は視線を空から外し、道路の端を足早に歩く。
 少年がこの地へ足を踏み入れたのは一年ぶりである。年に一度は必ず祖父母のいる田舎へ遊びに行くというのが少年の家の決まりだった。今は夏休みで、その大半はこの地で過ごす予定だ。そして少年は夏休みの宿題を持って、昨年過ごした秘密の場所へと向かっていた。
 少年の足で家から十分ほど歩けば寂れた神社が見えてくる。その神社に観光客はまず来ないだろう。もしかしたら地元の人間も来ないのかもしれない。それほど神社は陰鬱な雰囲気を醸し出していた。けれど少年は代わり映えなく存在する神社に安堵する。宿題の入った手提げ袋を持ち直し、歩を進めた。この神社が少年の目的の場所だからだ。
 一段一段が高い石段を上がる。両脇に木々が伸びてアーチ状になっている為、石段には日陰ができていた。数段上るにつれ、辺りの空気が変わっていく。涼やかな空気が満ち、少年の汗も引き始める。
 石段を登りきる頃には少年の息が切れていた。子供である彼にとって、あの石段を上るのは体力を使うのだ。そんな少年を迎えたのは電信柱のような鳥居。少年は息を深く吸う。土の湿ったにおいが鼻腔をくすぐる。
 息を整え、少年は顔を上げると、古びた賽銭箱と老朽した拝殿が目に映る。そして賽銭箱の前にある段差に座り、宿題を進めるのがいつもの行動だった。
 けれど今日は違った。少年は息を呑む。段差に黒い人影が座っていた。見慣れないそれに、少年は目を凝らしてじっと見つめる。けれど、人影は動かない。少年は警戒しながら音を立てないよう近付いた。

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