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◇庵野塾拠点 デルタ要塞 防壁外周
近距離型の軽量二脚、1機。
武器腕中距離型の中量二脚、1機。
砲撃支援型の重量二脚、1機。
撹乱戦術型の逆脚、1機。
高機動型のフロート脚、1機。
白一色のカラーリングで統一された5機のACは
ガイルの<デスペラード>が撃破された直後に
ドゥガ渓谷とは真逆の方角からデルタ要塞を強襲した。
正体不明の白い5機は信頼性の低い安価なパーツやバランスの悪そうなパーツを
随所に用いており、どのACも基本性能はさほど高くない。
5機に乗っているレイヴンたちの操縦技術も凡庸。
しかし、迎撃に出た庵野 雲とエリーア・大葉の2人は苦戦を強いられていた。
デルタ要塞の防衛機構は既に25%が無効化されており
じわりじわりと防衛ラインを下げざるを得ない状況にある。
『雲さま、こいつら弱いのに強いですっ!』
エリーアの乗るAC<ソードダンサー>からの通信は
言葉足らずではあるが、的を射ていた。
白いACはいずれも単機での戦闘力は高くない。
では、エリーアは敵の何が「強い」と言っているのか?
特筆すべきは各機の連携力。部隊として総合戦闘力が高いのだ。
5機は一進一退攻防の全てを補い合いながら行っており、まるで隙が無い。
標的を絞って各個撃破を狙おうとすると、即座に残りの全機が標的のカバーに回り
逆に雲たちに高い代償を支払わせようとする。
(まるで1人のレイヴンが全てのACを操っているかのようだ)
長年、戦場で戦い抜いてきた雲でさえ、ここまで連携して
力を発揮するレイヴンたちに出会うのは初めての事であった。
そもそもACが5機同時に戦場に現れること自体が稀である。
囮となって撃破されたタンク型を合わせれば6機。
ガイルの<デスペラード>を撃破したのも別のACであるならば、計7機となる。
これは明らかに常識外れの異常事態だ。
「面白い」
雲はコックピットの中で笑っていた。
<エスポワール>を操りながら笑っていた。
脳裏に蘇った数十年前の記憶。
管理者との大規模な戦いの記憶。
実働部隊との戦いの記憶。巨大機動兵器との戦いの記憶。
「あの時とは――違う」
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