ATAGUN@Wiki
#68
最終更新:
y256
-
view
#68 黒使いの鉄則
「攻撃ステップ、アストレアを宇宙に出撃だ」
「くだらない」
「くだらない」
そう言いつつも、本国に5ダメージを受ける勇。
勇が持ち出した黒ウィニーの猛攻を、剣治はジオン掃討作戦で黙らせる。
残りの戦力が試作0号機だけになった勇に、剣治のアストレアとアブルホールが牙を剥いた!
残りの戦力が試作0号機だけになった勇に、剣治のアストレアとアブルホールが牙を剥いた!
「…ドロー。あくまでダメージで押し切るのが上策にして鉄則。配備フェイズ、戦士の鉄則をプレイするぜ!」
勇は手札から黒のオペレーションをだす。
相手にハンガー1ドローさせる代わりに自軍ユニットをサイズアップする効果。
相手にハンガー1ドローさせる代わりに自軍ユニットをサイズアップする効果。
「戦士の鉄則…了解だ」
剣治は自分の本国をチラッと見る。
戦士の鉄則はハンガーのドローもダメージと計算すると、1度で4点も本国打点が増える。物量戦をギリギリ耐えた本国には厳しいダメージ量だ。
戦士の鉄則はハンガーのドローもダメージと計算すると、1度で4点も本国打点が増える。物量戦をギリギリ耐えた本国には厳しいダメージ量だ。
「攻撃ステップ、試作0号機を宇宙に!」
「了解、こちらは特に何もなしだ。ダメージ判定ステップまで飛んでいい」
「ああ。じゃあよォ迷わず使わせてもらうぜ!戦士の鉄則!」
「了解、こちらは特に何もなしだ。ダメージ判定ステップまで飛んでいい」
「ああ。じゃあよォ迷わず使わせてもらうぜ!戦士の鉄則!」
剣治はハンガーにカードを送る。
黒の基本Gだ。
黒の基本Gだ。
「Gか。せいぜいアストレアでも育てるんだな。そして、これで試作0号機の格闘は7」
「フン・・・受けよう」
「フン・・・受けよう」
剣治が本国のカードを移し終えるのを待って、勇は本国の確認を頼んだ。
見る限りかなり薄い。10枚かそこらだろうな。
見る限りかなり薄い。10枚かそこらだろうな。
「10枚ちょうどだ」
「あと1撃だな」
「あと1撃だな」
勇はククッと笑う。
あいつの本国は剣治の倍はありそうだ。
あいつの本国は剣治の倍はありそうだ。
「フッ…言っていろ。ドロー、配備フェイズ、ハンガーの黒基本Gをプレイして、真実を識る者。Gを6枚ロールして捨て山の上6枚をサーチだ」
「了解。回復を探すのか」
「了解。回復を探すのか」
月のマウンテンサイクルの亜種か…。
基本Gが出たため、勇の指名を受けコインはアストレア自身に乗る。
基本Gが出たため、勇の指名を受けコインはアストレア自身に乗る。
「1枚カードを手札に加えて…宝物没収をプレイする」
剣治は捨て山のカード2枚を手札に加える。
真実を識る者を採用しているということは、回復は武力による統制か?
真実を識る者を採用しているということは、回復は武力による統制か?
「まずはこのカード、マレーネ・ブラディをアブルホールに」
「了解」
「了解」
毎ターン、攻撃ステップにリロールする能力を持ったキャラクターだ。ただのチャンプブロッカーだったアブルホールが、このターンの攻撃にも使える。
「攻撃ステップ、マレーネのアブルホールを宇宙に、+3されたアストレアを地球に出撃させる」
「防御はなし。9点受ける」
「いや…早まるなよ、松岡勇。ダメージ判定ステップ規定前、糾える縄の如くをプレイ、アストレアの格闘は8になる」
「防御はなし。9点受ける」
「いや…早まるなよ、松岡勇。ダメージ判定ステップ規定前、糾える縄の如くをプレイ、アストレアの格闘は8になる」
両面合わせて11点。
あっという間に勇の本国は剣治と同じくらいになる。
あっという間に勇の本国は剣治と同じくらいになる。
「こっちもあと1撃だ。ターン終了させてもらおう」
剣治はそう言いながらユニットを帰還させる。
勇は自分の本国は数えて「11枚」と言う。…あと1撃でいけるのか?次のターン、アブルホールが全力ブロックしない限り、剣治の本国のほうが先に尽きる。
そうなると戦力不足で次のターンで勇の本国を削りきれなくないか??
勇は自分の本国は数えて「11枚」と言う。…あと1撃でいけるのか?次のターン、アブルホールが全力ブロックしない限り、剣治の本国のほうが先に尽きる。
そうなると戦力不足で次のターンで勇の本国を削りきれなくないか??
「ドロー…チクショウ。ターン終了まで行きたい」
「追加戦力はなし。…勝った」
「追加戦力はなし。…勝った」
勇は試作0号機を起しただけでターン終了を告げる。
「おい、攻めなくていいのかよ?」
俺は見かねて口に出す。
だってよ、試作0号が攻撃⇒アブルホールがブロック⇒返しでアストレアがアタック⇒さらに返しで0号機がアタックでゲーム終了じゃね?
だってよ、試作0号が攻撃⇒アブルホールがブロック⇒返しでアストレアがアタック⇒さらに返しで0号機がアタックでゲーム終了じゃね?
「アホ。アブルホールと交戦してみろ。ジャンクの糾える縄の如くが回収されて、次のターンにG貼った後のアストレアが9点で攻撃すれば終わりじゃねーか」
「あ」
「だろ?G比率が多いあのデッキなら、次のドローがGってのはおおいにあり得る」
「あ」
「だろ?G比率が多いあのデッキなら、次のドローがGってのはおおいにあり得る」
…アストレアの打点が1伸びるか伸びないかの問題を語る松岡。
でも、俺が失念してたのは糾える縄の如くが回収可能だって部分なんだけどよ。
でも、俺が失念してたのは糾える縄の如くが回収可能だって部分なんだけどよ。
「失礼、失礼」
そう言って俺はさがる。
「では俺のターン、ドロー。G比率は確かに多いが、引いたぞ。戦士の鉄則!」
「!?」
「!?」
ガタッと音を立てて松岡が立ち上がる。
「こちらも黒だと言うことを忘れるなよ。戦闘フェイズ」
規定の効果でリロールすることのないマレーネのアブルホールをテキストで起し、規定の効果に映る剣治。
「宇宙にアブルホール、地球にアストレアだ!」
「っ…防御ステップ地球に試作0号機を出撃させる」
「っ…防御ステップ地球に試作0号機を出撃させる」
お互い鉄則を使わない状態では、試作0号機がジェリドで生き残りながらのチャンプブロック。アブルホールが本国に3点。
あとはお互い”どこで”鉄則を撃つか…か。
「そちらに動きがない限り、こっちはこのまま行きたいが」
先に口を開いたのは攻撃側の剣治。ひとまずの優先権放棄だ。
「なら好きにさせてもらう。ダメージ判定ステップ、戦士の鉄則!試作0号機はアストレアと互角のサイズに!」
「ハンガーは…茶基本G」
「ハンガーは…茶基本G」
勇は机の下…剣治から見えない角度で拳を「グッ」と握る。
「フッ…では再び圧倒させてもらう!アストレアに戦士の鉄則」
「了解だ。ハンガーに…マケドニアコロニー」
「今更ッそんなもの。規定の効果」
「了解だ。ハンガーに…マケドニアコロニー」
「今更ッそんなもの。規定の効果」
許可を出す松岡。本国に3ダメージを受け、試作0号機は破壊される。
「ジェリド・メサ、2回目の破壊無効だ」
「了解。だが状況は少しも動いてないな」
「了解。だが状況は少しも動いてないな」
剣治が自慢げに言う。
確かにそうだ。どのユニットも存命で、前のターンと同じく試作0号機は防戦一方。攻撃に出たら最後だ。
確かにそうだ。どのユニットも存命で、前のターンと同じく試作0号機は防戦一方。攻撃に出たら最後だ。
「ターン終了。ガンダムが交戦になったから、糾える縄の如くは回収させてもらう」
「了解だ。俺のターン!配備フェイズ、ハンガーのマケドニアコロニーを配備。これが、お前が俺に与えた突破口だな」
「ほう…」
「了解だ。俺のターン!配備フェイズ、ハンガーのマケドニアコロニーを配備。これが、お前が俺に与えた突破口だな」
「ほう…」
勇は不敵に笑う。
「エマ・シーン《4》をマケドニアにセット。即座に1ドローする」
「まだドローを?」
「まだドローを?」
残りわずかな本国で、なおもドローする勇。
「終了だ。剣治」
「?」
「?」
勇は手札に来たカードをつかみ、スッと剣治の配備エリアに手を伸ばした。
そのカードは…!
そのカードは…!
「整備不良。このカードをアストレアにセットする」
「整備…不良?」
「あぁ。そこで一生寝ていろ。アストレア!」
「整備…不良?」
「あぁ。そこで一生寝ていろ。アストレア!」
勇は大きめの声でそう言うと、試作0号機を手にした。
「攻撃ステップ!宇宙エリアに試作0号機を出撃させる。格闘は5…守らなければ、お前の本国は一撃で無くなる」
「クッ…攻撃規定後にマレーネをリロール。防御に出撃だ」
「クッ…攻撃規定後にマレーネをリロール。防御に出撃だ」
5点の本国で落ちる本国…つまり整備不良の5資源も払うことは不可能…か。
「まだだ!糾える縄の如く!これでアブルホールの格闘は5に」
「鉄則の援護が無いそのカードに勝機などない。戦士の鉄則!」
「鉄則の援護が無いそのカードに勝機などない。戦士の鉄則!」
勇は鉄則をロールする。
試作0号機は8/6/7のサイズに。これじゃさすがに00ユニットでも相手をするのは至難の業だ。
試作0号機は8/6/7のサイズに。これじゃさすがに00ユニットでも相手をするのは至難の業だ。
「フッ…さっき俺がそちらにユニットを与えたように、こちらも逆転のハンガードロー!基本G!」
鉄則の効果でハンガーに移ったカードを見て剣治はうなだれる。
「残念だったな。そもそもウィニーである俺のデッキと、基本Gが必須なお前のデッキのG率を比べて見ろ。アブルホールはこのまま切り伏せる!」
「しかたない。2枚目のマレーネが来ればあるいは」
「しかたない。2枚目のマレーネが来ればあるいは」
勝ち誇りターンを終了する松岡に、剣治はそう言った。
「ドロー。アストレアが動けないとは。…投了だ」
ドロー後、剣治は潔く負けを認めた。
勇は「ありがとうございました」ときちんと頭を下げる。それに気付いた剣治も頭を下げた。
勇は「ありがとうございました」ときちんと頭を下げる。それに気付いた剣治も頭を下げた。
「敗因は…」
片づけを始めた剣治が口を開いた。
勇も俺の手を止める。
勇も俺の手を止める。
「やはり00Pのユニットだろうか…考えたくは無いが」
「いや。俺が強いだけだ」
「いや。俺が強いだけだ」
勇が真顔でそう返した。
「なんだと?」
怒気をはらんだ声と共に、剣治が立ち上がる。
またモメゴトかよ。
またモメゴトかよ。
だが、勇はそんな剣治を軽く流し、荷物をまとめ教室の入り口に向かって歩き始めた。
肩透かしを食らった剣治はポカンとしてその場に立ち尽くす。
肩透かしを食らった剣治はポカンとしてその場に立ち尽くす。
「黒の00Pユニットは、紫の00ユニットと違って”悪くない”な」
勇は扉の前で急に立ち止まり、振り返らずにそう言い、扉を開け出て行った。
顔を見合わせる俺と剣治。
顔を見合わせる俺と剣治。
「じゃあなんだ。認めるってことかよ?」
「ふむ。奴なりに、うちの正義の女神(アストレア)のよさに気付いた。ということか」
「ふむ。奴なりに、うちの正義の女神(アストレア)のよさに気付いた。ということか」
俺たちは口々にそう言い片付けを再開した。
<一方、京子…>
PRを完成させたあたしたちは、やっと解放された。
「あいつら仲良くやってるかな~」
「うーん…あ、勇くん」
「うーん…あ、勇くん」
駐輪場を横切ったところで詩織が言った。
駐輪場のあいつらの『いつもの場所』で松岡がこっちに向かって軽く手を振っていた。
駐輪場のあいつらの『いつもの場所』で松岡がこっちに向かって軽く手を振っていた。
「あー、うん。また明日ね」
あたしは詩織の肩に手を乗せてそう言った。
「うん。じゃあね。京ちゃん」
詩織はそう言って、手を振りながら笑顔で駆け出した。
青春だね。わははははは。
青春だね。わははははは。
あたしは駐輪場を抜けて、体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下を通って校舎に入る。
まだ教室にいるかな?あいつら。
まだ教室にいるかな?あいつら。
「お。京子終わった~?」
廊下の向こう側から声。
剣治と武志だ。
剣治と武志だ。
「終わった~一件落着よ」
「そっか。こっちも一件落着」
「そっか。こっちも一件落着」
武志がニッと笑い、下駄箱のほうに向かって歩き出し、それに続くあたしたち。
なんだかわかんないけど、松岡と剣治の話が、かな?
なんだかわかんないけど、松岡と剣治の話が、かな?
「ふぅん。どっちの勝ちよ?」
「俺の負けだ」
「俺の負けだ」
あたしの問いには、剣治がすぐに答えた。
よく見ると、さっきはしてなかったはずの『必勝』の鉢巻もしてる。
よく見ると、さっきはしてなかったはずの『必勝』の鉢巻もしてる。
「…そう」
「あ、剣治。携帯教えてもらってもいい?」
「ああ。かまわん」
「あ、剣治。携帯教えてもらってもいい?」
「ああ。かまわん」
武志がこれまた唐突に言った。
また思いつきか…。
また思いつきか…。
「あ、じゃああたしも貰っちゃおうかな~」
そう言ってあたしは鞄からケータイを出した。
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.04.14
更新日:10.04.14
掲載日:09.04.14
更新日:10.04.14