ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

委員長との関係

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yuri0201|委員長との関係

@bg file="kyousitu.jpg" time=700
[cm]
@playse storage="se3"
@bgm file="n07.ogg"
@texton
 昼休みを告げるチャイムが鳴る。[lr]
 学食や購買に向かう生徒たちは、日直が四時間目終了の号令を出す前に教室を飛び出して行ってしまった。[lr]
;SE(ガヤガヤ)
 次第に廊下側が騒々しくなる。他の教室からも次々と生徒たちが飛び出し、一階の購買と食堂に走っていくのが聞こえてくる。[lr]
 昼休み恒例、購買組と学食組の昼食レースだ。[lr]
 もはや先生たちもあきらめているのか、この状況を黙認してしまっている。[lr]
 なんでも、うちの学食は作った食事をその日のうちに使い切りたいらしく、最低限よりちょっと多い程度しか材料を仕入れないのだそうだ。[lr]
 あまり遅くなるとロクな物も買えなくなるため、誰もが我先にと競って食堂に駆け込むようになってしまったのだとか。[pcm]
@fadeoutse time=1000
 日直の号令で四時間目担当の先生が出ていくと、殺伐とした廊下とは対照的な、のんびりとした空気が教室に満ちる。[lr]
 こんな雰囲気の中、殺気立った学食&購買組を尻目に弁当を広げられるなら、それはそれで幸せなことかもしれない。[lr]
「……そんな風に思ってた時期が俺にもありました」[lr]
;毒男(通常)
「何言ってんだ稔。つーか、そろそろ行こーぜ」[lr]
「ああ」[lr]
 かく言う自分も昼飯はもっぱら学食だ。[lr]
 ただ、真っ先に飛び出していった連中と違うのは、適当に腹が膨れるものを食べられるなら何だって構わないってことだろう。[lr]
 それこそ学校を抜け出して、近くのコンビニで弁当を買ってきたっていいのだ。ググレカスに見つからなければ。[pcm]
;毒男(笑い)
 しかし、我が悪友毒男は、このところ学食で働いているお姉さん(推定年齢三十五歳。時折見せる憂いと陰のある表情が毒男的に胸キュン)にいたくご執心で、昼になると必ずと言っていいほど誘ってくる。[lr]
;毒男(通常)
「ほら、早くしろって。さっさと行かねーと席とれないどころか飯だって食えねーぞ」[lr]
;↑原文 「ほら、早くしろって。さっさと行かねーと席どころか飯だって食えねーぞ」
「分かった。今行くよ」[lr]
 毒男に急かされて席を立つ。[lr]
;@cl
 先頭集団はすでに階下に行ってしまったようだが、まだまだ学食に向かう生徒たちは少なくなかった。[pcm]
 ちなみにもう一人の悪友である長岡は、先着限定五名のFカップおっぱいプリンを求めてチャイムが鳴る前に教室を飛び出していた。[lr]
 ……時々思うのだが、うちの学校の購買部は何を考えているんだろう。[pcm]

@bg file="rouka1.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)"

「う。寒ぅー……」[lr]
 廊下に出た途端、肌寒さに身体が震えた。[r]
 教室には暖房が入っているので暑いくらいだが、暖房の無い廊下は一歩出ただけで身体の芯が冷えてくる。何か温かい物が食べたい気分だった。[lr]
 ……よし、今日はうどんかラーメンにしよう。[lr]
;SE(打撃音)
@quake time=500
@wq
「って、うわわっ!」[lr]
 などと考え事をしていたせいで、後ろから走ってきたガタイの良い男子生徒を避け損なった。[lr]
 ボーリングのピンみたいに吹っ飛ばされ、前を歩いていた女子生徒に思いっきりぶつかってしまう。[lr]
;SE(打撃音)
@quake time=500
@wq
「あぅっ」[ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=4][cl][lr]
 俺はなんとか踏みとどまったが、背中を押された女の子は短く悲鳴をあげて前のめりにすっ転んでしまった。[pcm]
「ああ、ごめん!」[lr]
 慌てて起こそうと手を差し延べて、それがよく見知ったクラスメイトだということに気付く。[lr]
 見覚えのある少し太く編まれた三つ編みの髪。セルフレームの眼鏡と、レンズの奥の色素の薄い瞳。[lr]
「委員長っ!? ……だ、大丈夫?」[lr]
 まだ席にいたものと思ってたが、毒男と話している間に廊下に出て先に行ってたのだろう。[lr]
@fadeoutbgm time=1000
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6
@bgm file="hidamarinonakade.ogg"
「え……藤宮君?」[lr]
 委員長は、何が起こったのかさっぱり分からないといった顔でこちらを見上げた。[pcm]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=3 c=1
「は、はい……なんとか大丈夫です……」[lr]
 委員長は俺の手を取って立ち上がった。[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=4
「はぁ。酷い目に遭いました」[lr]
「その……ごめん、委員長。本当に怪我とかしてない?」[lr]
 不幸な事故だったとしても、委員長に怪我なんかさせてたら一大事だ。[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6 c=1
「いえ、大丈夫ですよ。私、意外と頑丈ですから」[lr]
 ぽんぽん、と制服についた埃を手で払う委員長。普通の仕草なのだが、なぜか委員長がやると品がある。[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1
「それより、藤宮君こそお怪我はありませんか?」[lr]
 委員長は自分が一番の被害者のはずなのに、こちらを気遣ってくれた。そんな優しいところが、皆から信頼されている一番の理由だろう。[pcm]
「大丈夫だよ。俺も頑丈に出来てるしね」[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=1
 おどけて力こぶを作ってみせる。[lr]
 実は、ちょっとだけ背中が痛かったが、心配そうな委員長の顔を曇らせることも無いだろう。[lr]
@cl
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=1
;毒男(呆れ顔)
「まったく……お前にぶつかった奴、アメフト部のエースだぞ。一歩間違ったら背骨が折れてたぜ?」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6
 ……毒男、お前もお前なりに俺のことを心配してくれているんだろうが、そういう情報は要らない。特に今は。[pcm]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=4
「やはり、保健室に行かれた方がよろしいのでは……」[lr]
 ほら見ろ。委員長が更に心配しちゃったじゃないか。[lr]
「平気平気大丈夫だって。てか、委員長があいつにぶつかられなくて良かったよ。女の子がアメフト部の奴に体当たりなんてされたら、それこそ大怪我してたと思うよ。何か怪我してたとしても、委員長をかばった名誉の負傷だと思うしさ……って、あれ? 何で、そんな微妙そうな顔をしてるんだ二人とも」[lr]
;毒男(ニヤニヤ)
「非常に言いづらいんだがな」[lr]
 などと言ってる毒男だが、その割には顔がニヤニヤしている。[pcm]
「俺、過去に何度かあいつが昼に廊下を爆走してるのを見たことあるけど、委員長は見事に避けてたぜ。それも後ろを見ずに」[lr]
「な、なんですと!?」[lr]
 思わず驚く。あんな弾丸みたいに突っ込んでくる奴を見ないでかわせるなんて、並大抵の反射神経じゃない。[lr]
「……我がクラスの委員長はニュータイプか!?」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6 c=1
「そ、そんな大したことじゃありませんよ」[lr]
 委員長は恥ずかしげに頬を赤らめた。[pcm]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1 c=1
「私、小学校の時、すごくドン臭くて――体育のドッジボールの時なんか、真っ先に狙われてたんです。でも、ボールを当てられるのは痛くて嫌でしたので、必死で避ける努力をしたんです。そしたら、大抵の物は避けられるようになっちゃいました」[lr]
 えへへ、と微笑う委員長。はにかみながらも、とても誇らしげだった。[lr]
「努力の結果、ただそれだけですよ」[lr]
「いや、それでも充分スゴいと思うんだけど」[lr]
 どうやら名誉の負傷どころか、ただの足引っ張りだったようだ。[pcm]
 そんな風には見えないけど、委員長って勉強だけじゃなく運動神経もいいのか……[lr]
「……完璧超人だよな」[lr]
;毒男(通常)
「ああ。下手にちょっかいを出すと2800万パワーのラリアットが飛んでくるかもしれんな」[lr]
 思わず述べた感想に毒男もうなずく。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=1a m=3
「毒男さん……何気にひどい事言ってませんか?」[lr]
 委員長が困ったような苦笑いを浮かべた。[lr]
;毒男(驚き)
「ああ、いや。そういうつもりで言ったんじゃないですよ、マジで!」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=3
「……では、どんなつもりで仰られたのでしょう。私、少し気になってまいりました」[lr]
「えええっ!? あー、いや、そのー……」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=3
 ニッコリ、と微笑む委員長に毒男が慌てて取り繕う。[pcm]
 ……この男、こんな風に余計な一言が多かったり、常日頃やる気なさそうにしてるから、校内で五指に入る美男子と呼ばれながらも未だに彼女がいなかったりするんだよな。[lr]
 まあ、こちらも彼女いない暦=年齢だから、下手にこいつに彼女が出来ると惨めでたまらん。[lr]
「そ、そんな事よりもさ! そろそろ行かないとマズくね? 五・六分くらいロスしてるし、マジで学食売り切れちまうぜ」[lr]
 追求逃れなんだろうが、さも今思い出したかのように毒男は言って、助け舟を期待するようにこちらへ目配せした。[pcm]
「んじゃ、行こうか。そろそろ本格的に腹も減ってきたことだしね」[lr]
 こういう毒男との連携は、中学時代から何度もやってきたので得意中の得意だ。委員長も追及の矛先を収めてくれたようだ。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1
「あ。お急ぎのところをお引止めしてしまって、ごめんなさい」[lr]
 本当に申し訳なさそうに頭を垂れる委員長。[lr]
;毒男(通常、またはホッとした顔)
 そんな風にかしこまられると困るんだけど。[pcm]
「いやいや、こっちこそぶつかった上に引き止めてごめんね。てか、委員長はどこへ行くつもりだったの?」[lr]
「はい。お二人と同じく学食です」[lr]
「あれ? 委員長って、いつもお弁当じゃなかったっけ?」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=3
「ええ。いつもはお弁当なんですけど、今日は母が調理に失敗してしまいまして……恥ずかしながら、学食でお昼にしようかと……」[lr]
 自分のことではないのに 眉の端を下げ、照れたように委員長は笑った。[lr]
「へぇ……委員長のお弁当って、委員長のお母さんが作ってんだ」[lr]
 そういや、小さな弁当箱に彩りよくおかずが詰められたお弁当を何度か見たことがあったっけ。[pcm]
 家で主婦の真似事をしているだけに分かるのだが、あのおかずの配置の見事さは感動物だった。見た目だけではなく、どんなに動かしても片側に寄らない造りになっていたのだ。[lr]
 そんなお弁当を作る人でも、調理に失敗するということがあるのは驚きだ。[lr]
「はい。そういうことは母に任せっきりなので、お弁当を母に失敗されると学食に行くしかないのです」[lr]
「だったら、なおさら急がねーとマズくないか?」[lr]
 毒男が呆れながら言った。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6 c=1
「つーか、お二人さん。話し込むのはいいが、これ以上学食に着くのが遅くなると、本当にしょぼいものしか食えないぜ」[lr]
「そうだね。委員長も一緒に行こうよ」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=3
「ええ。いいですよ」[lr]
 さっきよりも少し駆け足で学食へと向かう。委員長は俺たち二人の後を、少しペースを落とした駆け足でついてきた。[pcm]
@cl
;背景(学食への廊下)
;毒男(通常)
「……なあ、稔」[lr]
 傍らで走る毒男が小声で囁いた。[lr]
「お前、委員長と仲良いよなー」[lr]
「ま、隣の席だからな」[lr]
 時々、消しゴムやらシャーペンの芯とか借りたりしてるし、クラスメイトとしては仲の良い方だろう。[lr]
;毒男(不満)
「隣の席だからって学食に誘われて一発OKするか普通? 俺の時なんて十五回以上誘ってるのに全然フラグ立たねえんだぞ」[lr]
 ……それは誘い方に問題があるというか、むしろ迷惑だろ。[lr]
 気になって後ろを振り返って見ると、委員長と目が合った。[lr]
;@cl
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=3
 にこやかに微笑む委員長。[lr]
 毒男のやっかみが何となく気持ちよかった。[pcm]

@cl
@bg2 file="gakusyoku.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)"

 学食は校舎一階の端っこにある。俺たち二年生の教室からは、少しばかり遠いところに位置していた。[lr]
;毒男(怒り)
「ああ、くそ。もう全然、何にも喰うもんねえじゃねえか」[lr]
 恨めしげに『売切れ』表示が並ぶ券売機を睨みつけた毒男は、仕方なさげな顔で稲荷寿司の食券を買った。[r]
 即座に、ボタンに浮き出る赤ランプ。どうやら、今ので稲荷寿司も売り切れだったようだ。[lr]
 まあ、色々あって遅くなってしまったのだから仕方が無い。全部売り切れているよりかはマシだと思うべきだろう。[lr]
;毒男(消し)
「おっ、まだラーメンも残ってるじゃないか」[lr]
 運の良いことに食べようと思ってたラーメンが売れ残っていた。毒男には悪いが、こちらは優雅な昼食を堪能させてもらうとしよう。[pcm]
 五百円玉を入れ、ボタンを押す。食券が出てくると同時に、ラーメンにも売切れ表示が点いた。[lr]
 最後の一つにありつけたのだから、ますますラッキーだ。[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=5
「……うそ」[lr]
 それを見て、後ろに並んでいた委員長が愕然とした声を上げた。[lr]
 思わず振り返ると、委員長はこの世の終わりが来たような悲しそうな顔で……[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=5 t=1
 何と言うか、その……今にも泣きそうだった。[lr]
「あ、あの……もしかして……委員長、ラーメン買う気だったの?」[lr]
 恐る恐る聞いてみると、委員長は目に涙を溜めたままコクリとうなずいた。[lr]
 ……な、なんだろう。物凄く悪いことをしている気がする。[pcm]
「あのさ、委員長」[lr]
「なんでしょう?」[lr]
 ……う。そんな悲しそうな顔をしないでくれ。[lr]
「俺、やっぱ違うのにするからさ。このラーメン食べてくれないか?」[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6
「え――っ?」[lr]
 驚く委員長の手に食券を無理やり握らせる。廊下の冷気で冷えていたのか、委員長の手は柔かかったが少し冷たかった。[lr]
@ld pos=c name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6 c=1
「あ、あのっ。ありがとうござますっ!」[lr]
@cl
 とても嬉しそうに礼を述べてカウンターに向かう委員長。よっぽどラーメンが好きなんだろう。すんなりと受け入れてくれた。[pcm]
 ……ま、俺もラーメンが食べたかったけど、委員長には、さっきぶつかって怪我をさせそうになったし、ささやかな罪滅ぼしだと思えばいいか。[lr]
「んじゃ、他のにするかな」[lr]
 俺は券売機に向き直り――[pcm]

@bg2 file="gakusyoku.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)"
;毒男(呆れ)

「んで、カレーうどんしか残ってなかったわけか」[lr]
「……ああ」[lr]
 肩をすくめる毒男を尻目に、俺は汁を跳ね飛ばさないようにうどんをすすった。[r]
 制服のデザインが白を基調としているので、汁が一滴飛ぶだけで最悪の結果になるカレーうどんだけは、どんなに学食が混んでいようとも絶対に売り切れることの無いメニューだった。[lr]
;@cl
;毒男立ち絵移動
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=4
「あの……ごめんなさい」[lr]
「あー、気にしないでよ。俺、カレーもうどんも嫌いじゃないしさ」[lr]
 気にして謝る委員長に笑って返す。[pcm]
 味は悪くないどころか、スパイシーなカレーの中でも損なわれない出汁の風味が利いていて美味い。学食ミシュランがあったら確実に三ツ星は間違いない味だった。[r]
 制服じゃなきゃ、汚れに気にしないでズルズルと豪快に食ってるはずである。[lr]
;毒男(笑い)
「それにしても、委員長がラーメン大好きだとはねー」[lr]
 意外そうに毒男が言った。[lr]
「委員長ってさ、清楚な感じだし物腰穏やかだし上品だし、ラーメンなんかよりもフランス料理とか、そっち系が似合いそうなイメージなんだよねー」[lr]
 本人の前で、そういうことを言ってしまうから、毒男はいつまで経ってもモテ期が来ないんだと思う。[lr]
 でも確かに、あの委員長がラーメン一杯買えなかったくらいで泣きそうになったのは意外だった。[pcm]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6
「そう、ですか? 私、けっこう麺類とか好きな方なんですけど……」[lr]
 委員長本人からすれば至って普通なのだろう。とても上品な仕草で彼女はラーメンをちゅるりとすすった。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=3
「でも、中でもラーメンだけは特別ですね。時々、休日には友人と近くのお店へ食べに行ったりしますし、美味しいお店があると聞くと少し遠くても頑張って行ったりしますから」[lr]
「へぇ。そんなにラーメンが好きなんだ」[lr]
「ええ。もしラーメンがこの世界に存在していなかったら……私、確実に五回ほど人生を投げてますね」[lr]
「そ、そんなに好きなんだ……」[lr]
 きっぱりと断言する委員長に、俺も毒男もただただ呆然とするしかなかった。[lr]
;↑原文 きっぱりと断言する委員長。
 ……ラーメン好きもそこまで来れば小池さんにだって勝てるんじゃないだろうか。[pcm]
「じゃあ、委員長と学食来た時は、なるべくラーメンは頼まないようにするよ」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=3
「ありがとうございます。藤宮君はお優しいんですね」[lr]
 委員長は嬉しそうに微笑んだ。[lr]
 その笑顔を見てしまっては、冗談でしたとはもう言えなかった。[lr]
;毒男(笑い)
「んじゃ、この近所で委員長がお勧めする美味いラーメン屋って、ある?」[lr]
 稲荷寿司を食べ終えた毒男が聞いた。お稲荷さん二つ程度では腹の足しにもならないから、放課後にでも食いに行くつもりなのだろう。[pcm]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=5a m=6
「そうですね……いくつかあるのですけれども、お二方の味の好みが分からないので、どれを薦めていいものやら……」[lr]
;毒男(通常)
「あ、俺なら何でもいいぜ。特にこだわりとか無いからさ」[lr]
 そういうの選ぶの面倒臭いし、と小声で呟く毒男。[lr]
 こいつは、本当に面倒くさがりだ。いつぞやは息するのも面倒臭いとか抜かして呼吸を止めて酸欠になったこともあるくらいだ。要するに馬鹿だ。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1 c=1
「藤宮君は?」[lr]
 実を言うと、自分も特にこだわりとかは無いのだが、ここで同じようなことを言うと委員長が迷ってしまうだろう。ひとまず思いつたラーメンを挙げてみることにする。[lr]

[nowait]
[r]
[link target="*syouyu"]1.定番の醤油ラーメンが好き[endlink][r]
[link target="*miso"]2.味の濃い味噌ラーメンが好き[endlink][r]
[link target="*sio"]3.さっぱりした塩ラーメンが好き[endlink]
[endnowait]
[s]
;選択肢は後で変更予定。



syouyu|

[cm]
;1.定番の醤油ラーメンが好き
「やっぱり醤油ラーメンかな」[lr]
 いろいろ迷ったが、ここは一つ無難なものを選んでみた。[lr]
「専門店ならともかく、醤油ラーメンはお店の基本の味付けだからね。そこにすべての味わいが凝縮されてると言っても過言じゃないと思うよ」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=3
「奇遇ですね。私もそう思いますよ」[lr]
 委員長は顔をほころばせた。[lr]
「それでしたら……やはり、お奨めなのは四丁目の赤松軒でしょうか」[lr]
;毒男(驚き)
「「……え?」」[lr]
 俺と毒男の驚きの声がハモる。[pcm]
 赤松軒と言えば、夜見市で五指に入るマズいラーメン屋の一つだ。[r]
 可愛いウェイトレスさんがいるのだが、出てくる料理は見た目に反して味が無く、いくら食べても砂や水を噛んでいるような気分になるほど印象に残らない。[r]
 多くの人にフランチャイズのチェーン店の方がまだマシと言わしめる、行列の出来ないお店だ。[lr]
「あと、あのお店で食べるなら、ねぎまラーメンがお奨めですよ。私、辛いものはダメなんですが、あそこのねぎまラーメンだけは別ですね。行ったら必ず二杯は食べてます」[pcm]
 ちなみに委員長の言うねぎまラーメンは、三十一種類のネギというネギがブチこまれた、むしろ麺の代わりにネギ、スープの代わりにネギが入っているラーメンである。[r]
 やはり味が無いくせに、食べると三日くらいはネギ臭さが抜けないので、好んで食べる奴は引きこもりか世捨て人のどっちかだと言われてるくらいだ。[lr]
 ……そんなラーメンを二杯も食べるのか、委員長は!?[pcm]
[jump target="*sime"]
[s]



miso|

[cm]
;2.味の濃い味噌ラーメンが好き
「味噌ラーメンかな。けっこう味の濃いやつとか好みかも」[lr]
 いろいろ迷ったが、味付けの薄いものより濃い方を選ぶことにした。特に味噌ラーメンくらい濃いと、少量でもたくさん食べた気になるもんだ。[lr]
「醤油ラーメンは基本の味で嫌いじゃないんだけどね。でも、それだと物足りないし、何か損した気分になるんだよね」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1
「やっぱり男の方は、味の濃い方がお好みですよね」[lr]
 委員長は顔をほころばせた。[lr]
「それでしたら……やはり、お奨めなのは二丁目のラーメン山純(やまずみ)ですね」[lr]
;毒男(驚き)
「「……え?」」[lr]
 俺と毒男の驚きの声がハモる。[pcm]
 ラーメン山純と言えば、夜見市で五指に入るマズいラーメン屋の一つだ。[r]
 何故か体格のいい店主が、ツナギのような作業服を着て胸をはだけていたり、飯を食いに来た客よりも店主に会いに来る男性客の方が多かったり、店よりも奥のトイレの方が広かったりと、健全な男子学生なら、あまり近寄りたくないお店である。[lr]
「あのお店の味噌ラーメンは、他では味わえない独特のクセがあって、ほんと病み付きになってしまいますよ。お恥ずかしい話ですが、私、こないだあのお店で三杯も味噌ラーメンを食べてしまいました」[lr]
「な、なんだってー!」[pcm]
 あの味噌ラーメンとは名ばかりの、味噌で出来たドロドロのシチューにコシが強すぎる麺をぶち込んだ、豪快といい加減を履き違えたあのどんぶりを、委員長は三杯も食べたのか。[lr]
 ……想像するだけで胸焼けしそうだ。[pcm]
[jump target="*sime"]
[s]



sio|

[cm]
;3.さっぱりした塩ラーメンが好き
「塩ラーメンかな。味の濃いやつも好きだけど、出汁に使ってる素材の味を感じられるのも好きなんだよね」[lr]
 いろいろ迷ったけど、やっぱり食べるなら美味しいもんを食べたいのが人のサガと言うもんだ。[lr]
「味噌ラーメンとか濃い味のも嫌いじゃないんだけど、学校帰りに食べるなら少しさっぱり目の方がいいね」[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=6 e=6a m=6
「あら、下校中に寄り道したら、いけないんですよ?」[lr]
 などと委員長は冗談っぽく俺たちをたしなめながら、顔をほころばせた。[lr]
@ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=1
「でしたら……七丁目の娯詩館(ごしかん)あたりがお勧めかもしれませんね」[lr]
;毒男(驚き)
「「……え?」」[lr]
 俺と毒男の驚きの声がハモる。[pcm]
 娯詩館と言えば、夜見市で五指に入るマズいラーメン屋の一つだ。[r]
 フランス料理を学んできたと言う店主が究極にして至高のラーメンを研究しているそうで、中華料理屋のカウンターの向こうでコック帽をかぶったシェフがいるのはひどく場違いなのだが――その辺はまだいい。問題は味だ。[lr]
 どんぶりの底まで見えるほどに透明なスープは、一言でいうなら薬臭い。外国製のコーラを思い出させる異質な味は他の店の追随を許さない。[lr]
 というか、そんな方向で競うなよ。[pcm]
「あのお店の塩ラーメンのスープは、店主さんが薬草や香草、その他諸々の調味料を七日七晩煮込んで作ってるだけあって、さっぱりしているのにとても深い味わいがあるんですよ。私、あんまり美味しいからスープだけ七杯もおかわりしちゃいました」[lr]
 ……聞いた話だと、スープの不味さに顔をしかめただけで店主に麺打ち棒でフルボッコされそうになったそうだ……委員長は、よく、そんなスープをおかわりできたもんだ。[pcm]
;↑原文 フルボッコされそうになったと聞いたことがあるのだが
[jump target="*sime"]
[s]



sime|

[cm]
;毒男(呆れ)
「なぁ、稔。委員長ってさ、舌に馬と鹿を飼ってる人なのか?」[lr]
「……せめて、非常に味の好き嫌いが無い人って言ってあげようよ」[lr]
 小声で囁きあう俺と毒男だったが、委員長は気にしてないのか延々と娯詩館で『美味しくて食べると幸せな気分になれる』というお奨めのメニューを語ってくれていた。[lr]
 なんだか、委員長の知らない一面を垣間見た昼休みだった。[pcm]



@fadeoutbgm time=1000
@cl
@bg file="black.jpg" time=1000

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;[jump storage="cmmn.ks" target="*0201n"]
[jump storage="scenemenu.ks"]

[s]
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