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お散歩委員長

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yuri0203|お散歩委員長

@bg file="kouenn.jpg" time=700
[cm]
@bgm file="aruhiA.ogg"
@texton
「寒い……寒いな……」[lr]
 呟くたびに白い息が浮き上がる。[lr]
 抜けるような清々しい青空に冬の太陽は力なく輝いている。昼も2時を回っているというのに、厳しい寒さは相変わらずだった。[lr]
; 抜けるような青空に日は高く、もう昼も過ぎて二時間ほどになるのだが、冷え込みは今日も相変わらずの厳しさだった。[lr]
 目の前には、そんな冬の寒さを液体化したかのような、冷たく澄んだ水を湛える湖が広がっている。[lr]
 早朝には薄く靄がかかって神秘的な風景になるのだが、今の時間帯はすっきりと全てを見渡せる。[lr]
 水鳥の姿もなく、一切の動きを見せない水面は、大きな鏡のようだった。明鏡止水とは、まさにこの事か。[pcm]
; 薄く靄がかかっていて、対岸は見えない。[lr]
; 水鳥の姿もなく、一切の動きを見せない水面は、大きな鏡のようだった。明鏡止水とは、まさにこんな感じなのかもしれない。[pcm]
「まあ、綺麗と言えば綺麗だけど……見に来るほどでもなかったかもなあ」[lr]
;↑は変えるべきか まあ、綺麗と言えば綺麗だが、見に来るほどでもなかった。[lr]
 夜見市自然公園。[lr]
 元々あった湖と、その周りに広がる雑木林を保護して、遊歩道や広場やキャンプを整備した、市民の憩いの場だ。[lr]
 この街で一番自然が残っている地区と言っていいだろう。[lr]
 休日は親子連れでにぎわうのが常なのだが、さすがにこの寒さでは、人の姿もまばらだった。[lr]
「やっぱり、こたつで寝てた方が良かったかも知れん……」[lr]
;↑は変えるべきか やはりこたつで寝ていた方が賢明だったかもしれない。[lr]
 湖を囲うように伸びる遊歩道を一人歩く。[pcm]
 時々人とすれ違うが、みんな寒さに肩を縮みこませるようにして歩き、言葉もない。[lr]
 風もなく、木々のざわめく音もしない。[lr]
 冬の湖は、ただひたすらに静かで、寂しいものだった。[lr]
 寒いからと言ってひたすら家に引きこもるのもどうかと思い、気分転換に散歩に出ようとこの自然公園にやってきたわけだが、どこか物悲しささえ感じるわびしい情景に、あまり気分は晴れなかった。[lr]
「せっかく来たのに、すぐに帰るのも微妙だしな……」[lr]
;↑は変えるべきか しかしせっかく足を運んだのに、すぐ帰ってしまうのも勿体無い。もう少し歩く事にしよう。[lr]
 ぼんやりと湖を見ながら、遊歩道を歩いた。[pcm]

@bg2 file="kouenn.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500

 どれくらい経っただろう。[lr]
 歩き続けて、体が寒さを感じなくなった頃、突然声をかけられた。[lr]
「藤宮君?」[lr]
「うい!?あ、は、はい!」[lr]
;「うい」[lr]
 返事をして振り向く。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=1
 三つ編みに下げた髪と、少し前髪のかかった眼鏡はいつみても野暮ったい。[lr]
;↑原文 三つ編みに下げた髪に
 あどけない顔立ちと、かけられたセルフレームの眼鏡の奥で、知的な輝きを湛える色素の薄い瞳。[lr]
; そして、そのセルフレームのレンズの奥で、知的な輝きを湛える色素の薄い瞳。[lr]
「あれ? 委員長?」[lr]
 まさかこんなところで会うとは思わなかった。[lr]
 穏やかな笑みを浮かべるその人は、我がクラスの委員長だった。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
「こんにちは。ふふ……今の返事、フランス語っぽくて、なんだか面白かったですね」[lr]
;「ふふ。今の返事、フランス語っぽくて、なんだか面白かったですね」[lr]
「いや、いきなりだったからさ。ちょっとびっくりして」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=5 y=a m=6
「ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったのですが……」[lr]
 笑顔から一転、恐縮して謝る委員長。そんなことで律儀に謝られるとこっちが困るのだが。[pcm]
; 恐縮して謝る委員長。そんなことで律儀に謝られるとこっちが困るのだが。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=1 y=a m=1
「……なんだか、熱心に湖を眺めていたみたいですけど、藤宮君のお邪魔をしてしまいましたか?」[lr]
「あ、いや、邪魔なんて事は無いよ。する事も無かったから適当に眺めてただけだし」[lr]
;「……何か、熱心に湖を見ていましたけど、ひょっとして、私、藤宮君のお邪魔をしてしまいましたか?」[lr]
;「いやいや! 声をかけてくれて良かったよ。熱心にというか、何もすることが無かったから適当に風景見てただけだし」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
 委員長はいつもの見慣れた制服姿ではなかった。[lr]
;↑原文 委員長はいつも見慣れた制服姿ではない
 シックなデザインの黒いセーターと暗い赤のスカート、さらに、黒い厚手のストッキングをはいていた。[lr]
 何と言うか、全体として暗くて大人しい印象を受ける服装だが、逆に真面目な委員長らしいとも思う。[pcm]
「委員長、どうしてこんなところに?」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=1
「散歩です。ここは町中と比べて空気も綺麗ですし、広々として気持ちが良くって。勉強の気分転換には最適です。私のお気に入りの場所なんですよ」[lr]
;「散歩ですよ。家が近くなので、勉強の気分転換に来たんです。ここは町中と比べて空気も綺麗ですし、広々として気持ちが良くって好きなんですよ」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
 部屋にこもりっきりは身体に毒ですしね、と微笑む委員長。どっかの姉に聞かせてやりたいお言葉だ。[lr]
 委員長はインドアなイメージがあるけど、実際はアウトドア派なのかもしれないな。[lr]
 そういえば体育の時間に、委員長がクラスの陸上部の女子と徒競走で引き分けていたのを見た記憶がある。[lr]
 天は時折二物を与える事もあるらしい。そして俺みたいな奴には何も与えてくれないワケだ。はぁ。[pcm]
; 委員長はインドア派なイメージがあるけど、アウトドアも好きなのかもしれない。[lr]
; そう言えば体育の時間に、委員長がクラスの陸上部の女子と徒競走で引き分けていたのを見たっけか。[lr]
; ……天は二物を与えすぎじゃないだろうか。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=6
「藤宮君もお散歩ですか?」[lr]
;「それを言うなら、藤宮君こそどうしてこんなところに?」[lr]
「ああ、うん、俺も散歩だよ」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
 委員長は嬉しそうに笑った。[lr]
; 答えると委員長は嬉しそうに笑った。[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=1
「なんだか奇遇ですね。クラスメイトに……それも藤宮君に会えるなんて思ってもみませんでしたから」[lr]
「うん。俺も委員長に会えるなんて思ってなかったよ」[lr]
 本当に珍しいことだ。[lr]
 こんな[ruby text="へん"]辺[ruby text="ぴ"]鄙なところで知人に会うなんて、確率としたら、かなり低い方だろう。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=6
「あの、藤宮君、この後何かご予定は?」[lr]
「いや、全く無いけど……こんなところで散歩しているくらいだし」[lr]
;「ところで藤宮君は、この後に何かご予定はあります?」[lr]
;「いや特には。というか、予定があったらこんな所に散歩に来てないって」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
「ふふ。それもそうですね」[lr]
 委員長は穏やかに微笑んだまま、[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=1
「良かったら、ご一緒してよろしいですか?」[lr]
 と言った。[lr]
 状況が掴めない。委員長が一緒に歩こうと誘っている?俺を?[lr]
「え?一緒に……一緒に散歩するってこと?」[lr]
 それってつまり──「でーと」と言うやつではなかろうか?[pcm]
 落ち着け。落ち着け俺。デートなんて大それたもんじゃないぞ。一緒に歩くだけ……そうだ、一緒に歩くだけだ。落ち着け!落ち着くんだ![lr]
;「良かったらご一緒に歩きません?」[lr]
; と言ってきた。[lr]
; 一瞬、何を言ってるのか分からなくなり、思わず聞き返していた。[lr]
;「え? 一緒に歩くって……一緒に散歩するということ?」[lr]
; それってつまり──デェトと言うやつではないだろうか?[pcm]
; いきなりの事に思考がフリーズ気味だ。こんな時、俺の暗褐色の脳細胞にイン●ルが入っていたらと思うが、イ●テルも頻繁にフリーズするから考えものだよな、じゃなくて……[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=5 y=a m=6
「あの……もしかしてご迷惑でしたか?」[lr]
 固まったままの俺を見て、委員長は表情を曇らせた。乗り気じゃないと思われたんだろうか?[lr]
; 固まったままの俺を見て、委員長は俺が気乗りじゃないと勘違いしたようだ。残念そうに表情を曇らせていた。[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=4 y=a m=5
「申し訳ありません。やっぱり私なんかと一緒に歩いても楽しくないですよね……」[lr]
「いやそんなことないよ!」[lr]
 慌てて否定する。[pcm]
「委員長に、その……一緒に歩こうって誘われるとは思ってなかったからビックリしちゃってさ」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=1 y=a m=3
 あえてデートという単語は使わないようにした。なんというか気恥ずかしかったからだ。[lr]
「でも、いいの? 俺、委員長の会話のレベルに合わせられるか不安っていうか、その……」[lr]
;「でも、いいの? 俺、多分、委員長好みのお洒落でウィットに富んだ知的な会話なんて出来ないよ?」[lr]
 クラスで席が隣で、確かに他の女子よりか仲が良い方だと思うけど、委員長とは伊万里やみずきみたいに馬鹿を言い合える程じゃない。学校ではちょくちょく話をするけど、それは勉強や行事という共通の話題があってのことだ。[lr]
 委員長みたいに知的な人物とどんな話をすれば良いのか、皆目見当もつかない。[pcm]
; 委員長みたいに頭のいい人と、どんな話をしたらいいか、見当もつかない。[pcm]
 悩む俺に委員長は優しく言った。[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=1
「そんなに難しく考えないで下さい。ただのおしゃべりなんですから、藤宮君が他のお友だちと話されているような内容で構いませんよ」[lr]
「そんなのでいいの?」[lr]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=2 y=a m=1
「ええ」[lr]
 委員長はうなずいた。[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=1 e=1 y=a m=6
「それに、私は別段、知的な会話が好みと言うわけではないですよ。私だって普通の女の子なんですから、同級生がどんな話をしてるのか気になるんですよ?」[lr]
;「あと、一つ訂正させていただきますけど、私は別段、知的でウィットに富んだ会話が好みと言うわけではないですよ。私だって普通の女の子なので、同級生がどんな話をしてるのか気になるんですから」[lr]
「そ、そうなんだ……」[lr]
;「なるほど……」[lr]
 なんだか反省したい気分だ。[lr]
 どうやら俺は委員長のことを色眼鏡で見ていたらしい。確かに彼女は勉強もスポーツも出来る優等生だけど、それが委員長のすべてではないのだろう。今みたいに気分転換に散歩に出かけて、偶然会ったクラスメイトとおしゃべりする普通の女の子なのだと思うと、今まで以上に委員長への親近感が沸いてきた。[pcm]
; どうやら俺は委員長のことを色眼鏡で見ていたらしい。確かに彼女は勉強もスポーツも出来る優等生だけど、それが委員長のすべてではないのだろう。今みたいに気分転換に散歩に出かけて、偶然会ったクラスメイトとおしゃべりする普通の女の子なのだと思うと、今まで以上に委員長への親近感みたいなものが沸いてきた。[pcm]
 ……なんだろう。一人で散歩していたときよりも、ずっと温かい感じがする。[lr]
; ……なんだろう。散歩していたときよりも、すごく温かい感じだった。[lr]
「じゃあ、まあ……馬鹿げた話題で良ければ」[lr]
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 そんなこんなで、俺は委員長と二人、湖の周りを歩くことにした。[pcm]

@cl
@bg2 file="kouenn.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500

 周囲は相変わらず寂しい冬景色で、湖はただ冷たく水を湛えているだだったが、委員長との会話が辺りに小さく響く。それだけで気持ちが上向いて来る。[lr]
; 周囲は相変わらずの寂しい冬の景色で、湖はただ冷たく水を湛えていたけど、委員長との会話があたりに細く響いて、少し上向いた気持ちになれた。[lr]
 昨日見たテレビの話、中学時代に毒男がやらかした失敗談、最近ハマってる漫画のこと、このところの食生活の話、お節介焼きといじりがいのある幼馴染みたちの話。[lr]
 委員長は、どの話にも気持ちよく応じてくれて、俺としては実に楽しい時を過ごすことができた。[lr]
 が、よくよく考えると俺ばかり喋っている気がする。自分のことばかり話すのはデートではご法度中のご法度──と、毒男が『モテる男になるためのデート戦術』なるハウツー本を片手に語っていたような。これはまずい。[pcm]
; が、よくよく考えると俺ばかり喋っている気がする。自分のことばかり話すのはデートではファイナルアウトだ──と、毒男が『モテる男になるためのデート戦術』なるハウツー本を片手に語ってた覚えがあった。[pcm]
「ごめん、委員長。ずっと俺の話に付き合ってもらっちゃってて……」[lr]
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 話題が途切れたところで謝ると、委員長は笑顔で首を横に振った。[lr]
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「いえ、とっても楽しいですよ。特に藤宮君と藤宮君のお友達のお話とか……でも聞いていると、ちょっとだけ羨ましくなりますね」[lr]
「え?どうして?」[lr]
;「ん? なんで?」[lr]
「楽しそうだからですよ。中学とか小学生時代に、藤宮君がどれだけ充実した毎日を過ごしていたのかと思うと、一緒にいた幼馴染みの方々が羨ましくなってしまいまして」[lr]
「そうかなあ?」[pcm]
 充実していると言われても、いまいちピンとこない。通学路で伊万里をからかって、教室に入る前にみずきにお節介を焼かれて、放課後は毒男と馬鹿をする──なんというか、今とさほど変わらない普通の毎日だ。しいて違いをあげるなら、放課後に馬鹿をやる仲間が一人増えたくらいだが、委員長から見たら違うらしかった。[lr]
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「そうですよ。だって、藤宮君は楽しい思い出をスラスラと話せるじゃないですか。それだけ楽しい思い出がたくさん出来る学校生活だったんでしょう?」[lr]
「そういうもんかな? 普通に友達と遊んでただけの話なんだけどな」[lr]
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「きっといいお友達に恵まれてたんですよ」[lr]
;「じゃあ、きっとお友達に恵まれてたんですよ」[lr]
 ……そうなのだろうか。[pcm]
 ふと友人たちを思い浮かべてみるのだが──ものの見事に悪友ばかりだった。[lr]
 しかも馬鹿だ。[lr]
 悪い意味でなら、恵まれていると言えなくもない。[lr]
「買いかぶりすぎだよ、それは。さすがに」[lr]
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「……そうでしょうか?」[lr]
 委員長は不思議そうに小首を傾げた。[pcm]

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@bg2 file="bg002.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500

 そんな話をしながら、気付いたら湖を半周して、歩き始めたところから対岸に位置する場所に来ていた。[lr]
 遊歩道のすぐ脇には雑木林が広がっている。[lr]
; 腐葉土の地面に葉のついていない木々が立ち並び、枯れた色に沈んだ世界が広がっていた。[lr]
;↑1行削除
 その中には、キャンプ場設備として、レンガの積まれたかまどや水道が設置されているのが見えた。今は冬ということもあって、人が使っている形跡はない。[pcm]
;↑原文 雑木林の中には
「懐かしいな」[lr]
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「何がですか?」[lr]
「あのキャンプ場。小さい頃、夏休みに家族と来たことがあったからさ」[lr]
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「キャンプにですか」[lr]
「ああ。委員長は家族でキャンプとか行かなかったの?」[lr]
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「私の家庭は……そういったものとはあまり縁がありませんでしたね」[lr]
「そっか」[lr]
 共有できそうな話題だと思ったのだが、縁がなかったのなら仕方がない。[pcm]
 でも、本当に懐かしい気分だ。[lr]
 みんなでテントを張って、夕食もみんなで協力して作って、夜には花火をして、星を見て──[lr]
「そういや、ボートにも乗ったっけ」[lr]
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「ボート?」[lr]
「うん。この湖、昔は貸しボート小屋があったんだよ。あの辺りに」[lr]
 指差した先には、古びた桟橋と小屋の名残であろうコンクリートの基礎が寂しげに横たわっていた。近くに住む委員長がこの事を知らないとは意外だった。[pcm]
; 指差した先には、古びた桟橋と小屋の名残であろうコンクリートの基礎が寂しげに横たわっていた。[pcm]
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「今は……もうないんですね」[lr]
「うん。確か小学校の高学年の頃かな? どっかの小学生がここのボートを無断で持ち出して、湖に飛び込んで自殺したらしいんだ。その影響で潰れちゃったみたい」[lr]
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「……それ、本当ですか?」[lr]
「まあ、噂だけどね──って、ごめん。変な話しちゃって」[lr]
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 目の前の湖が美しいだけに、自殺者の噂は委員長にはショッキングな話題だったようだ。悲しそうに、うつむいていた。[pcm]
 ……参ったな。[lr]
 せっかくここまで楽しい雰囲気だったのに、うっかり委員長の気を悪くするような話をしてしまったようだ。[lr]
 こんな気分を引きずったままで帰りたくない。[lr]
; せっかくここまで楽しい雰囲気だったのに、調子に乗って空気の読めない発言をしてしまったようだ。[lr]
; このままじゃ藤宮さんちの稔君はKYだとご近所の笑い者になってしまう。[lr]
 自分のフォローは自分でしなければ。[pcm]
「単にさ、ボート小屋がまだあったら委員長と乗りたかったなってだけなんだ」[lr]
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「あの……私とですか?」[lr]
「うん。湖から森や山を眺めるのも、けっこう面白いんだよ。それを委員長にも見せてあげたかったな」[lr]
 懐かしい思い出だ。[lr]
 姉さんと一緒に乗って、お気に入りの服をオールの水しぶきで濡らしてしまい、めちゃくちゃ怒られたっけ。[lr]
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 そう、例えるなら今の委員長のように顔を真っ赤に──って、え?[pcm]
@yuri pos=c wear=u pose=1 b=4 e=5 y=a m=6 c=1
「あ、あの、一緒にボートなんて、その、デート……みたい……ですね」[lr]
;「そ、それって、もしかして……デートのお誘い、なのでしょうか……?」[lr]
 真っ赤な顔で狼狽している委員長。[lr]
 どうやら俺がデートだとばかり思ってたこれは、委員長にしてみれば、単なる散歩だったようだ。[lr]
 要するに浮かれていたのは自分だけだったらしい。[lr]
「えっと……その、何て言うか……」[lr]
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 あたふたしながら弁解するのは、恥ずかしい事この上ない。[lr]
 湖を見に来たのに、何故か泥沼にハマっている俺なのだった。[pcm]



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