mizu0202|同級生の噂
@bg file="rouka1.jpg" time=700
[cm]
[eval exp="f.mizu0202 = true"]
;↑mizu0206のシナリオ分岐
@bgm file="ahumati.ogg"
@texton
学食に行く前に一年生の階を通ることにしたのは、やはり不安だったからだ。[lr]
みずきは面倒見が良い。たとえば体調の悪そうなヤツがいれば、進んで代わりに学食へ買いに走ってやる。[lr]
――だからこそ。[lr]
不安だった。誰かが具合の悪いフリをしてみずきに『引き受けさせている』との風の噂を小耳に挟んだ。真偽を確かめる必要がある。[lr]
;;背景『教室の扉』に変更。
やがてみずきの教室へとたどり着くと、俺はいつもするように教室の扉から顔だけを覗かせた。[pcm]
[cm]
[eval exp="f.mizu0202 = true"]
;↑mizu0206のシナリオ分岐
@bgm file="ahumati.ogg"
@texton
学食に行く前に一年生の階を通ることにしたのは、やはり不安だったからだ。[lr]
みずきは面倒見が良い。たとえば体調の悪そうなヤツがいれば、進んで代わりに学食へ買いに走ってやる。[lr]
――だからこそ。[lr]
不安だった。誰かが具合の悪いフリをしてみずきに『引き受けさせている』との風の噂を小耳に挟んだ。真偽を確かめる必要がある。[lr]
;;背景『教室の扉』に変更。
やがてみずきの教室へとたどり着くと、俺はいつもするように教室の扉から顔だけを覗かせた。[pcm]
@bg file="kyousitu.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)"
「みず……」[lr]
@fadeoutbgm time=1000
「ていうか、如月って正直ウザくない?」[lr]
硬直した。[pcm]
[bgm file="amemati.ogg"]
@fadeoutbgm time=1000
「ていうか、如月って正直ウザくない?」[lr]
硬直した。[pcm]
[bgm file="amemati.ogg"]
生徒たちは弁当を広げるでもなく、しかし学食に向かおうという雰囲気もないまま、駄弁っていた。みずきの姿はない。[lr]
「確かにウザいな。ググレよりウザいんじゃないか?」[lr]
「いや、カスよりはマシだろ。なにせまだ利用価値があるんだ。財布忘れたって言ったら、すぐおごってくれる」[lr]
「お腹痛いって言ったら、代わりに学食買いに行ってくれるしね」[lr]
「一回、本人に言ってやれよ。お前の顔見てると腹痛くなるって」[lr]
「そいつは傑作だな。なんかアイツがいると学校にまでお袋いるみたいな気分になるんだよな」[lr]
「あんたみたいな息子がいるっていったら、もうババァじゃん」[lr]
「留年してるんだろ? 実際ババァじゃねぇか」[lr]
コイツら――![pcm]
「いや、カスよりはマシだろ。なにせまだ利用価値があるんだ。財布忘れたって言ったら、すぐおごってくれる」[lr]
「お腹痛いって言ったら、代わりに学食買いに行ってくれるしね」[lr]
「一回、本人に言ってやれよ。お前の顔見てると腹痛くなるって」[lr]
「そいつは傑作だな。なんかアイツがいると学校にまでお袋いるみたいな気分になるんだよな」[lr]
「あんたみたいな息子がいるっていったら、もうババァじゃん」[lr]
「留年してるんだろ? 実際ババァじゃねぇか」[lr]
コイツら――![pcm]
;;一瞬、画面を赤く明滅。
@fadebgm time=500 volume=30
@playse storage="heart.ogg"
@bg file="red.jpg" time=500
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@ws
@fadebgm time=500 volume=100
@fadebgm time=500 volume=30
@playse storage="heart.ogg"
@bg file="red.jpg" time=500
@bg file="kyousitu.jpg" time=500
@ws
@fadebgm time=500 volume=100
噛みしめられた奥歯がぎりぎりと悲鳴を上げて軋み、怒りが目を眩ませた。どろどろとした何かが胸の奥底から湧き上がってきた。[lr]
それが溢れそうになったとき、背後から腕を掴まれた。[lr]
「――!」[lr]
;[imar f="驚き" pose=1 pos=l]
;[cl]
;[imar f="驚き" pose=1 pos=l]
;[cl]
マグマのような憤怒が理性と言葉を奪っていた。俺は半ば殴りつけるような乱暴さでソイツを振り払った。[lr]
;;一瞬伊万里(驚き)表示しても良いかも。
;;SE『衝撃音』。伊万里が尻餅をつくときの音です。
@playse storage="noise_11_monooto.ogg"
@ws
「……ふん」[lr]
俺は振り返りもせずに扉に手をかけた。[lr]
「……駄、駄目、みのりんっ!」[lr]
@fadebgm time=1500 volume=50
――みのりん?[pcm]
;;SE『衝撃音』。伊万里が尻餅をつくときの音です。
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@ws
「……ふん」[lr]
俺は振り返りもせずに扉に手をかけた。[lr]
「……駄、駄目、みのりんっ!」[lr]
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――みのりん?[pcm]
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俺がハッと蒼ざめて振り向くと、ぱっと立ち上がった伊万里が俺の腕にすがりついてきた。[lr]
[imar f="不安" pose=1 pos=c t=1]
「駄目、駄目だよ」[lr]
「駄目って……お前、アイツらはッ!」[lr]
@fadebgm time=1500 volume=100
今にも泣き出しそうな伊万里の表情に少なからず動揺してしまった俺だが、再び奥歯を噛むまでにそう長くの時はかからなかった。[lr]
「みずきを利用してるんだぞ。……それも、アイツの世話焼き根性につけこんで」[lr]
怒鳴るのを通り越して、むしろ俺は声のトーンを下げた。凍れる憤怒を込めて、噛んで含めるように言いつのる。[pcm]
「伊万里、お前もそれでいいのか? みずきとは親友なんだろ?」[lr]
イヤイヤをするように首を振る伊万里。[lr]
「だったら――」[lr]
@playse storage="ClothE@16.ogg"
痺れを切らして向き直った刹那、不思議な衝撃が俺を襲った。[pcm]
[fadeoutbgm time=1000]
[imar f="不安" pose=1 pos=c m=1 size=L]
[imar f="不安" pose=1 pos=c t=1]
「駄目、駄目だよ」[lr]
「駄目って……お前、アイツらはッ!」[lr]
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今にも泣き出しそうな伊万里の表情に少なからず動揺してしまった俺だが、再び奥歯を噛むまでにそう長くの時はかからなかった。[lr]
「みずきを利用してるんだぞ。……それも、アイツの世話焼き根性につけこんで」[lr]
怒鳴るのを通り越して、むしろ俺は声のトーンを下げた。凍れる憤怒を込めて、噛んで含めるように言いつのる。[pcm]
「伊万里、お前もそれでいいのか? みずきとは親友なんだろ?」[lr]
イヤイヤをするように首を振る伊万里。[lr]
「だったら――」[lr]
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痺れを切らして向き直った刹那、不思議な衝撃が俺を襲った。[pcm]
[fadeoutbgm time=1000]
[imar f="不安" pose=1 pos=c m=1 size=L]
柔らかく、暖かく、それでいて小さい。仄かに漂う甘い香り、高鳴る鼓動。伊万里が俺の懐に潜りこむと、その肢体を押しつけてきたのだ。[lr] 幼馴染にしては近すぎる距離。慌てて身体を引く俺だったが、伊万里は別にそんなつもりではなかったらしい。上目遣いで見上げると、背伸びをして伊万里は俺の頭を撫でた。[lr]
[imar f="不安" pose=1 pos=c m=1]
「みのりん、ちょっと落ちつこ、ね?」[lr]
「……あ、あ」[lr]
「みのりん、ちょっと落ちつこ、ね?」[lr]
「……あ、あ」[lr]
あまりの事態に俺の脳はフリーズした。それに伴い、あれほど荒れ狂っていた熱が嘘のように静まっていく。[lr]
「落ち着いた?」[lr]
@bgm file="k04.ogg"
「……ああ、頭が冷えたよ」[lr]
@bgm file="k04.ogg"
「……ああ、頭が冷えたよ」[lr]
どろどろとした何かが俺の中から潮のように引いていった。[pcm]
「みずきちの居場所を消しちゃダメだよ」[lr]
[imar f="微笑み" pose=1 pos=c]
[imar f="微笑み" pose=1 pos=c]
戻った理性の光を確かめるように俺の瞳を覗きこむと、伊万里は初めて微笑んだ。[lr]
「そう、だよな」[lr]
ここで俺が乗り込んでいったところで何が変わるわけでもない。ただ、いかなる理由があれ、『留年』したみずきを取り巻く環境が、さらに過酷なものになるだけだろう。[lr]
「すまない」[lr]
「それはボクじゃなくてみずきちに――」[lr]
「いや、お前にも謝っておかなきゃなと思ってな」[lr]
「ん? ……ああ、突き飛ばしたこと? だったら気にすることはないね。ボクとみのりんの間じゃないか」[pcm]
[imar f="笑顔" pose=1 pos=c]
;;仲じゃないか の方が良いのでは。
「それはボクじゃなくてみずきちに――」[lr]
「いや、お前にも謝っておかなきゃなと思ってな」[lr]
「ん? ……ああ、突き飛ばしたこと? だったら気にすることはないね。ボクとみのりんの間じゃないか」[pcm]
[imar f="笑顔" pose=1 pos=c]
;;仲じゃないか の方が良いのでは。
あくまで笑い飛ばそうとしてくれる伊万里に、俺は目を合わせられなかった。……羞恥ゆえに。[lr] 身体を張ってまで俺の愚行を止めてくれようとしていたのに、俺は伊万里を操ろうとしてしまった。[r]
『ここで乗り込んで行かないなら、そんなのみずきの友達じゃない』、そう言わんばかりに吐き捨て、安っぽい怒りに身を任せた。[r]
自分がみずきの居場所を破壊しようとしていることに気づきもしないで。[pcm]
;;操ろうとしてしまった って良いのかな?
「……そろそろ離れるぞ、要らぬ誤解を招いてもマズいしな」[lr]
「えー、ボクはこのままでもいいよ~?」[lr]
「変なこと言うな、伊万里寿司め……っておい!?」[lr]
俺は身体を引くと、しかし伊万里は俺の方によろけてくる。[lr]
「ど、どうしたんだ?」[lr]
@ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=3 s=1
「……あはは、ちょっと腰が抜けちゃったみたいだね」[lr]
俺が振り払った際に尻餅をついてしまったのだろう。片手で腰をさすっている。[lr]
自分がみずきの居場所を破壊しようとしていることに気づきもしないで。[pcm]
;;操ろうとしてしまった って良いのかな?
「……そろそろ離れるぞ、要らぬ誤解を招いてもマズいしな」[lr]
「えー、ボクはこのままでもいいよ~?」[lr]
「変なこと言うな、伊万里寿司め……っておい!?」[lr]
俺は身体を引くと、しかし伊万里は俺の方によろけてくる。[lr]
「ど、どうしたんだ?」[lr]
@ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=3 s=1
「……あはは、ちょっと腰が抜けちゃったみたいだね」[lr]
俺が振り払った際に尻餅をついてしまったのだろう。片手で腰をさすっている。[lr]
反射的に抱きとめた手からは、やはり柔らかな感触が伝わってきてしまっていた。[lr]
……幼馴染なのに。幼馴染なんだ。そう自分に言い聞かせながら、懸命に意識をそこから逸らそうとした。[pcm]
「だいじょうぶなのか?」[lr]
[imar f="悲しみ" pose=1 pos=c s=1]
「うーん、一時的なものだとは思うんだけど」[lr]
「どっちにしろ、今は一人で立てないんだろうが。肩貸すぞ」[lr]
俺は伊万里の腕を引いて身体を引き寄せた。[lr]
「おっと」[lr]
[imar f="驚き" pose=1 pos=c m=10 size=L]
すっと指を伸ばして、謝罪しようとしていた可憐な唇に触れさせる。[lr]
「謝るなよ? もともと俺が悪いんだから」[lr]
[imar f="微笑み" pose=1 pos=c size=L]
「……うん」[lr]
驚いたような表情を見せていた伊万里だったが、やがてはにかんだように頷いた。[lr]
「だいじょうぶなのか?」[lr]
[imar f="悲しみ" pose=1 pos=c s=1]
「うーん、一時的なものだとは思うんだけど」[lr]
「どっちにしろ、今は一人で立てないんだろうが。肩貸すぞ」[lr]
俺は伊万里の腕を引いて身体を引き寄せた。[lr]
「おっと」[lr]
[imar f="驚き" pose=1 pos=c m=10 size=L]
すっと指を伸ばして、謝罪しようとしていた可憐な唇に触れさせる。[lr]
「謝るなよ? もともと俺が悪いんだから」[lr]
[imar f="微笑み" pose=1 pos=c size=L]
「……うん」[lr]
驚いたような表情を見せていた伊万里だったが、やがてはにかんだように頷いた。[lr]
俺は伊万里に肩を貸すと、[[保健室]]へと向かった。[pcm]
[fadeoutbgm time=2000]
@cl
;@wb
@cl
;@wb
………………[lr]
…………[lr]
……[pcm]
…………[lr]
……[pcm]
[bgm file="amemati.ogg"]
;;SE『みずきが落とした学食がつぶれる音とジュースの缶が転がる音』。
先ほどまで持っていたはずの袋は、力なく右手からすり抜けた。級友のために買ってきたはずのパンや飲み物が、足元に散乱している。[lr]
しかし、そんなことに構いなく――あるいは気付いていないのだろうか、みずきはその光景をじっと見つめ続けていた。[lr]
彼女の目の前では、二人の男女が身体をよせ、支え合うように並んで歩いている。[lr]
二人はただの幼馴染でしかないはずなのに。[lr]
けれども、その姿は、まるで――。[pcm]
[mizu f="真顔" pose=1 pos=c m=1 y="b"]
「……あは」[lr]
みずきの瞳が混濁する。不透明に光が塗り潰され、生気を失っていく。[lr]
やがて二人の姿が見えなくなった後、みずきはようやく思い出したように一歩踏み出した。[lr]
;;SE『グシャ、とかそういう何かが潰れるような音』
@playse storage="okashi.ogg"
[mizu f="驚き" pose=1 pos=c m=1 y="b"]
「あはは……」[lr]
小さな音をたてて袋の中のパンが潰れたが、意識にない。[lr]
彼女はただ、微笑んでいた。[lr]
今まさに花開こうとする、蕾のように。[pcm]
;;SE『みずきが落とした学食がつぶれる音とジュースの缶が転がる音』。
先ほどまで持っていたはずの袋は、力なく右手からすり抜けた。級友のために買ってきたはずのパンや飲み物が、足元に散乱している。[lr]
しかし、そんなことに構いなく――あるいは気付いていないのだろうか、みずきはその光景をじっと見つめ続けていた。[lr]
彼女の目の前では、二人の男女が身体をよせ、支え合うように並んで歩いている。[lr]
二人はただの幼馴染でしかないはずなのに。[lr]
けれども、その姿は、まるで――。[pcm]
[mizu f="真顔" pose=1 pos=c m=1 y="b"]
「……あは」[lr]
みずきの瞳が混濁する。不透明に光が塗り潰され、生気を失っていく。[lr]
やがて二人の姿が見えなくなった後、みずきはようやく思い出したように一歩踏み出した。[lr]
;;SE『グシャ、とかそういう何かが潰れるような音』
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「あはは……」[lr]
小さな音をたてて袋の中のパンが潰れたが、意識にない。[lr]
彼女はただ、微笑んでいた。[lr]
今まさに花開こうとする、蕾のように。[pcm]
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