ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

進路探し

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kawauson

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mizu0213|進路探し

@bg file="gakusyoku.jpg" time=700
[cm]
@bgm file="theH.ogg"
@texton
;;背景『学食』
;;BGM『The ヒロインズ』
「みのりーん!」[lr]
 学食を物色しながら欠伸をしていたところを、ソプラノが奇襲してきた。[lr]
[imar f="微笑み" pose=1 pos=c]
 声の主を確かめるなり、蝿でも払うようにして、しっしと手を振る。[lr]
;;伊万里(デフォルト)
[imar f="驚き" pose=1 pos=c]
「見てのとおり、俺は忙しいんだ。後にしてくれたまえ」[lr]
[imar f="不満" pose=1 pos=c]
「どう見ても暇だよね!? あくびしてたし! いったい何で忙しいっていうのさ!」[lr]
;;伊万里(怒り)
「呼吸」[lr]
;;伊万里(驚き)
[imar f="驚き" pose=1 pos=c]
 伊万里、絶句。何かを言おうと口をぱくぱくさせているが、結局、何も言えずにいる。逆に何を言っていいのか分からなくなっているようだ。[r]
 ――しょせん、お前のからかい士アビリティはそんなものか。[pcm]
「で、何なんだ?」[lr]
;;伊万里(不満げ)
[imar f="不満" pose=1 pos=c]
「ふん、いいよーだ。みのりんは忙しいんでしょ。好きなだけ呼吸してれば?」[lr]
 ……思わぬしっぺ返しをもらってしまった。ふん、と自分で擬音をつけてからそっぽを向く。[lr]
 ここで去ろうとしない辺りが伊万里らしい。これでは拗ねているフリだと分かってしまうだろうに。[lr]
「あーあー、残念だなぁ。俺は伊万里と楽しくおしゃべりしたいのに」[lr]
;;伊万里(照れ)
[imar f="笑顔" pose=1 pos=c c=1]
「ボ、ボクとおしゃべりしたいの? みのりんからなんて――」[pcm]
「そうかそうか、お前は拗ねて話もしたくないんだろ? じゃあ仕方がないな。俺は失礼す――」[lr]
 去ろうとしたところをくっと引っ張られる。制服の裾が掴まれていた。[lr]
;;伊万里(泣き)
[ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=9a m=11 t=2]
「ふぇぇぇ、参ったよぉ。だからボクの話を聞いてよぉ」[lr]
 ふむ、いつもどおり、俺の勝ちだ。[lr]
「よろしい。話したまえ、寿司」[lr]
;;伊万里(不満げ)
[imar f="不満" pose=1 pos=c t=1]
「なんかムカつくよぉ……」[lr]
 なにやら文句をぶつぶつと並べてから、[lr]
;;伊万里(デフォルト)
[imar f="真顔" pose=1 pos=c]
「みのりんって進路はもう決まったのかな?」[lr]
「……なんだよ、藪から棒に」[lr]
 毒づいたのは、答えを先延ばしにするためだ。[pcm]
 そんなもの、まだ決めていはしない。いや、そろそろ意識しださなくてはならない時期なのだろうが、あいにくまだそんな気分になれてはいなかった。[lr]
「進路、ね……」[lr]
 先延ばしに過ぎないのは分かっているのだが、なかなか踏ん切りがついてくれない。[lr]
;;笑い(伊万里)
[imar f="笑顔" pose=1 pos=c]
「あ、やっぱりみのりんも決めてないんだ」[lr]
「……なんだよ、自分が進路決めてないからって同類探ししてたのか?」[lr]
 触れたくない話題に触れられ、ちょっと機嫌が良くなかった。だが、責めようとしたところで、伊万里が俺を見ていないのに気づいた。[lr]
 だというのに、伊万里はいきなり俺に向かって手招きをした。[pcm]
;;BGM『雨ノ/降ル/街』へ移行。
「あ、みず[fadeoutbgm time=3000][imar f="悲しみ" pose=1 pos=c m=10 s=1]……き、ち?」[lr]
;;伊万里(哀)
 普段は元気いっぱいなソプラノが、尻すぼみに小さくなっていった。[lr]
――後ろ?[lr]
 一瞬、俺を招いたのかと思ったがどうやら違うらしい。[cl]振り向くと、小柄な少女が滑るように歩み寄ってきた。[lr]
;;みずき(病み泣き)
@bgm file="amemati.ogg"
[ld pos=rc name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=1a m=10 t=1 y=b]
「みの、る……」[lr]
「……みずき?」[lr]
 思わず疑問形になる。コイツは……みずき、なのか? そんな当たり前の疑いが脳裏を掠めたからだ。[lr]
 いつも生き生きと輝いているはずの眼は、今はせわしなく動き回っていた。濁った瞳孔に宿っているのは怯えたような光で、さながらかよわい小動物を連想させる。[lr]
 焦燥と――恐怖。二つの色が頼りなく揺らいでいた。[pcm]
 だが、何より眼を引くのは、弦月の形に刻みこまれた陰。濃すぎるほどの隈がなおいっそうその目つきを病的で、狂的に見せていた。[lr]
 伊万里の方を向くものの、[lr]
;;伊万里消し
[ld pos=lc name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4 s=1]
[ld pos=lc name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=5 s=1]
[ld pos=rc name="mizu" wear=u pose=3 b=3 e=9a m=9 t=1 y=b]
[ld pos=lc name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=1a m=4 s=1]
@cl pos=lc
 何かを言おうとした伊万里は、刺すようなみずきの視線を受けて結局口をつぐんだ。そのまま追い立てられるようにして踵を返す。[lr]
@cl
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=4 e=1a m=9 t=1 y=b]
 その鋭い視線が俺を捉えた。ひたと据えられたまま、ぴくりとも動かない。何を促されているわけでもない。なのに逆に何かを命じられているように感じた。[lr]
 おずおずと、沈黙を誤魔化すようにツインテールに手を伸ばす。[pcm]
「痛っ」[lr]
 櫛を入れていないのか、ツインテールは色つやを失って乱れきっていた。乾ききった枝毛がちくちくと棘のように肌を刺す。[lr]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=4 e=3a m=11 t=1 y=b]
「どうするの?」[lr]
 引っこめようとした手がぱっと掴みとられていた。[lr]
 しなやかでありながらも強引で荒々しい。手負いの獣じみた動きだった。そのまま再び髪に誘導される。[lr]
「なんで、そんなことを訊くんだ?」[lr]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=7a m=9 t=1 y=b]
「……だって」[lr]
 藁にもすがろうとする者があるとすれば、こんな風に掴んだかもしれない。放せば死ぬのだから。なら、今のみずきは――。[lr]
 掴まれた部分からじくじくと疼痛が生じていた。[pcm]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=6a m=10 t=1 y=b]
「知りたいんだもん。……同じとこ行きたいから」[lr]
「あのな、みずき。俺たちはな」[lr]
 両肩に手を置き、目と目をしっかり合わせようとする。――みずきの瞳の焦点はあってはいなかった。俺はしくじったのかもしれない、苦い思いが胸に広がる。[lr]
「いつまでも、一緒にいられるわけじゃないんだ。もちろんいつまで経っても友達でいよう」[lr]
 もちろん、俺だってまだそれをはっきりと受け止めることができるほど大人ではない。しかし、それでも分かることはある。[lr]
 みずきがふるふると聞き分けのない子どものように首を振る。[pcm]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=7a m=5 t=1 y=b]
「……イヤ」[lr]
「イヤだと言ってもダメだ」[lr]
 歯痒く、悔しい。苦々しさが毒液のように胸を冒していった。[lr]
 俺は俺なりにコイツを支えてきたつもりだった。そのために最大限努力してきた。だが、それは間違っていたのかもしれない。[lr]
 友人関係を長く続けすぎてしまったのだろうか。中学進学時あるいは高校進学時に、進路の違いか何かで袂を分かっていた方が、互いのためだったのかもしれない。[lr]
 今のみずきは俺なしで立てるのだろうか?[lr]
 それにはぐっと掴まれた裾が何よりも雄弁に答えている。[pcm]
 ……俺はみずきから己の足だけで立つ術を奪っただけに過ぎなかった。[lr]
 支える、とは上手く言ったものだ。依存させて何になろうか。[lr]
 俺はコイツの幸せな笑顔さえ見られればよかった。こんな怯えたような顔なんて見たくなかった。なのに――。[lr]
「いつか別れる日が来る」[lr]
 必要以上にハキハキと吐き捨てた。目を逸らしたのは俺の方から。情けなかった。[lr]
 一度、関係をリセットした方が、突き放した方がむしろコイツのためなのだろう。俺がいなくなってもだいじょうぶなように。……気づくのが、遅かった。[pcm]
;;BGM『craze for you』
@stopbgm
@bgm file="c4u.ogg"
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=9a m=5 t=2 y=b]
「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」[lr]
;;みずき(病み泣き)
 悲鳴は決して大きくなかった。むしろ小さかった。それでも大きく聞こえたのは、そこに込められた激情のゆえだった。[pcm]
;;改ページ
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=9a m=6 t=2 y=b]
「だっておかしいじゃんいままであたしとみのるはいっしょだったのにそうだよみのるがあたしをすてたりするわけないじゃんなんだなんだありえないよそんなのおかしいもんだっていままでずっとずっといっしょだったんだもんあたしはみのるとずっといっしょなんだからだからこれからもずっとずっとずっとずっと――!」[pcm]
 唇が上へ下へ痙攣するように動き、壊れたラジオのように言葉を延々と連ねてゆく。[lr]
 ぼうっとしたまま動いていた。一歩後ろへ、と。[lr]
 だが、みずきが踏みこんできて、間合いは広がらない。むしろ狭まる。[lr]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=1 b=6 e=1a m=10 y=b size=L]
「――そう、なんだよね?」[lr]
;;みずき(デフォルト)
 表情には何も表れていない。『何も』表れていない。[lr]
 何も言わずとも分かった。危うい。ひどく危うい。血の池から蜘蛛の糸一本で引き上げられるようなものだ。[lr]
 そして、そのあまりに細すぎる最後の頼みの綱は切れかけている。[pcm]
「あ、あ……」[lr]
 ごくり、と唾を飲みこむだけですら緊張した。喉仏が浮き上がる。それだけで身体がこわばった。[lr]
 分からない。どう答えればコイツを救える?[lr]
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=1 b=6 e=1a m=11 y=b size=L]
「だったら――みのるのこと教えて」[lr]
 抗えなかった。抗うべきだったのかもしれない。だが抗えなかった。[lr]
 みずきの泣き顔は見たくない。ただそんなことを漠然と考えていた。[lr]
 ぼうっとしたまま、まだとりあえず大学にでもいこうかくらいにしか考えていないことを告げた。[pcm]
;;みずき(笑み)。BGM『雨ノ/降ル/街』あるいは無音とか?
@fadeoutbgm time=1500
[mizu f="真顔" pose=1 pos=c y=b]
「なーんだー」[lr]
 とりあえず闇への滑落は免れたらしい。トーンからは鬼気迫る何かが抜けていた。呪縛めいた緊張が解けていく。[lr]
@bgm file="amemati.ogg"
[mizu f="真顔" pose=1 pos=c m=7 y=b]
「でも、決まったら教える。分かった?」[lr]
 押さえつけられていたプレッシャーが消え失せ、ようやく理性が働きだした。断ろうと口を開く。[lr]
「教えて、ね? じゃないと――」[lr]
;;みずき(病み泣き)
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=1a m=9 t=1 y=b]
 気配を察したのか、ツインテールがぶるぶると震え出した。[lr]
 俺は何も言えなかった。ただ首を微かに振りながら喉を震わせただけだった。[lr]
「ああ……」[pcm]
;;みずき(デフォルト)
[ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=1 e=3a m=8 y=b]
 みずきの瞳に焦点が戻って、ハッとした。[lr]
 映りこんだ自分の瞳は何かを恐れていた。何かに怯えていた。何か。何だろう。[lr]
 ……考えたく、ない。[lr]
 血が通いなおし、頬が薄いピンクに色づいていく。[lr]
 遅れて笑みが咲き零れた。[lr]
;;みずき(笑み)
[mizu f="笑顔" pose=3 pos=c]
 蕾がゆっくりとほどけていくように。[lr]
 露になっていったのは、今まで見たことのないほどの……俺が知らない笑顔だった。 [pcm]



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@cl
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[s]
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