脳活動計測による発達障害の診断補助
担当:森藤,市塚
緒言
発達障害者の診断は,専門医による問診や質問紙を用いて診断を行うが,思い込みから実際とは異なる回答をすることがあるため,診断が難しいことが挙げられる.また,専門医は減少しているにも関わらず受診希望者が非常に多く,初診までに数カ月以上かかる事例が相次いでいる.そこで医師の負担を減らすために,短時間で定量的な評価を行える生理学的な診断方法の確立や,診断の補助ができるシステムの開発が期待されている.
そこで本研究では,簡便な計測が可能なウェアラブルNIRSを用い,ASD者,ADHD者,併発者,TD者の安静時と課題時の脳活動から,特徴の違いが得られるかの検討を行う.また,脳活動の特徴を視覚的に確認できるシステムの開発を行う.
そこで本研究では,簡便な計測が可能なウェアラブルNIRSを用い,ASD者,ADHD者,併発者,TD者の安静時と課題時の脳活動から,特徴の違いが得られるかの検討を行う.また,脳活動の特徴を視覚的に確認できるシステムの開発を行う.
実験方法
先行研究
実験はウェアラブルNIRS としてアステム社製Hb131S(4ch) を用いて計測を行った.本実験で用いた実験デザインを図1 に示す.
まず提示画面に異なる形や色の図形を3 秒ずつ連続して計4 個提示し記憶させた後,選択画面に提示された数個の図形の中から記憶した図形を提示された順番に選択するタスクを行う.その後画面上部に示された図形を画面下部の図形群から,選択するコントロール課題を行った.タスクとコントロールを1試行としてこれを計6 試行繰り返し行う,WM 課題である.また,安静時の脳活動計測として,180 秒のレストを設け,実験参加者には画面に表示された十字を注視させ,安静にするよう教示した.
まず提示画面に異なる形や色の図形を3 秒ずつ連続して計4 個提示し記憶させた後,選択画面に提示された数個の図形の中から記憶した図形を提示された順番に選択するタスクを行う.その後画面上部に示された図形を画面下部の図形群から,選択するコントロール課題を行った.タスクとコントロールを1試行としてこれを計6 試行繰り返し行う,WM 課題である.また,安静時の脳活動計測として,180 秒のレストを設け,実験参加者には画面に表示された十字を注視させ,安静にするよう教示した.
2018年度
本実験で用いた実験デザインを図1 に示す.従来用いてきたWM課題では,実験参加者が途中で諦めてしまう場合がある.そのためN-back 課題では難易度を考慮し,1-back 条件を課題とした.実験参加者が10 歳以下の子供の場合,0-back 条件で実験を行った.まず2 個連続して動物の名前を聞かせ,2 個覚えた状態でスタートし,次の動物の名前が二つ前と同じ場合,画面の○ボタンを押してもらい,違う場合×ボタンを押すように教示した.これを連続的に約45 秒間行うタスクとした.その後,課題用の音声が鳴ったときに,○ボタンを押してもらうコントロールを約45 秒間行った.タスクとコントロールを1試行として,これを計4 試行繰り返し行った.また,安静時の脳活動計測として,タスク前に180 sのレストを設け,実験参加者には画面に表示された十字を注視させ,安静にするよう教示した.
実験結果
先行研究
TD者とASD者はマルチチャンネルNIRS を用いた先行研究と近い特徴を示した.また,評価指標のデータを視覚的に比較するため,主成分分析を用いた結果,ASD者とTD 者においては分離できる可能性が示された.このことから,ウェアラブルNIRS を用いた計測システムを臨床に応用できる可能性を示した.
2018年度
先行研究の特徴を得られなかった.その原因として,N-back課題の難易度が簡単であったと考えられる.
そこで,実験結果が視覚的に評価するためのツールとしてカルテの開発を行った.
そこで,実験結果が視覚的に評価するためのツールとしてカルテの開発を行った.
カルテ
カルテとはNIRS信号を視覚的に確認できる形として,実験参加者一人一人のNIRS信号と評価指標をまとめたものである.以下にそのカルテを示す.

+ | カルテの作成方法 |
評価指標確認グラフ
実験で得られたNIRS信号より算出した評価指標の平均点および標準偏差を,各分類ごとの傾向で確認するためのグラフを作成する.以下にそのグラフ例を示す.

+ | 評価指標確認グラフの作成方法 |