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等質量の弾性斜衝突 - (2010/11/09 (火) 16:01:23) のソース

****等質量の弾性斜衝突
[[Yahoo!知恵袋>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail.php?qid=1350034733]]より。等質量の質点A,Bがあり,静止したBにAが弾性衝突をすると,衝突後の相互の運動方向が直交することの証明。
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【問題】
質量の同じ2つの質点A,Bがあり,静止したBにAを完全弾性衝突させる。衝突後の2つの質点の運動方向が互いに直交することを示せ。

#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=453&file=%E7%AD%89%E8%B3%AA%E9%87%8F%E6%96%9C%E8%A1%9D%E7%AA%81.bmp)


【解答】知恵袋の回答はともかくとして,成分を用いずになるべくエレガントにいきたい。

(1) 実験室系に徹する考察

衝突前の質点Aの速度を$$\boldsymbol{v}_0$$,衝突後のAの速度を $$\boldsymbol{U}$$,Bの速度を $$\boldsymbol{V}$$とすると,運動量保存により

$$\boldsymbol{v}_0 = \boldsymbol{U} + \boldsymbol{V}$$

エネルギー保存により,

$${v_0}^2 = U^2 + V^2$$

上の式を2乗して下の式を考慮すると,

$$\boldsymbol{U}\cdot\boldsymbol{V} = 0\qquad\therefore \boldsymbol{U}\bot\boldsymbol{V}$$

※運動量保存は3つのベクトルが三角形をなすこと,エネルギー保存はそれが直角三角形であること(三平方の定理)を示しているので,実は立式の時点で証明は終わっている。

(2) 質量中心系を用いる考察

衝突前の質点Aの速度を$$\boldsymbol{v}_0$$とすれば,質量中心系では衝突前のAの速度は$$\boldsymbol{v}_0/2$$,Bの速度は$$-\boldsymbol{v}_0/2$$である。また,衝突後のAの速度を$$\boldsymbol{W}$$とおくと,運動量保存によりBの速度は$$-\boldsymbol{W}$$となる。

エネルギー保存により,

$$\left(\frac{v_0}{2}\right)^2 = W^2$$

実験室系での衝突後のAの速度を $$\boldsymbol{U}$$,Bの速度を $$\boldsymbol{V}$$とすれば,

$$\boldsymbol{U} = \boldsymbol{W} + \frac{\boldsymbol{v}_0}{2}$$
$$\boldsymbol{V} = -\boldsymbol{W} + \frac{\boldsymbol{v}_0}{2}$$

$$\therefore \boldsymbol{U}\cdot\boldsymbol{V} = -W^2 + \frac{{v_0}^2}{4} = 0\qquad\therefore \boldsymbol{U}\bot\boldsymbol{V}$$
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