【解答】ダークマターが公転に与える影響


問1

物質Aは球対称であるから,Aからの引力は半径 r の内側にあるAの質量が中心に集中した場合に等しい。

F(r) = -\frac{GMm}{r^2} - \frac{G\rho\displaystyle\left(\frac{4}{3}\pi r^3\right)m}{r^2} = -\frac{GMm}{r^2} - \frac{4}{3}\pi G\rho m r

したがって,第1項は無限遠基準,第2項は原点基準として積分して,ポテンシャルエネルギーは

V(r) = -\frac{GMm}{r} + \frac{2}{3}\pi G\rho mr^2

問2

ラグランジアンは,

L_a = K - V = \frac{1}{2}m({\dot r}^2 + r^2{\dot\phi}^2) + \frac{GMm}{r} - \frac{2}{3}\pi G\rho mr^2

問3

角運動量保存により,

L = mr^2\dot\phi = const. \quad \therefore \dot\phi = \frac{L}{mr^2}

したがって,

E = K + V = \frac{1}{2}m{\dot r}^2 + \frac{L^2}{2mr^2} - \frac{GMm}{r} + \frac{2}{3}\pi G\rho mr^2

問4

有効ポテンシャル U(r) の定義より

E(r,\dot r) = K(r,\dot r) + V(r) = \frac{1}{2}m{\dot r}^2 + U(r)

\therefore U(r) = \frac{L^2}{2mr^2} - \frac{GMm}{r} + \frac{2}{3}\pi G\rho mr^2

問5

ラグランジュ方程式または直接半径方向の運動方程式をたてると,

mr_0{\omega_0}^2 = \frac{GMm}{{r_0}^2} + \frac{4}{3}\pi G\rho mr_0

\therefore \omega_0 = \sqrt{\frac{GM}{{r_0}^3} + \frac{4}{3}\pi G\rho}

公転周期は太陽のみの場合よりも短くなる。

\omega_0m に依存するはずはない。

\omega_0 は,円軌道の安定条件

\left[\frac{dU(r)}{dr}\right]_{r=r_0} = 0

から得られると考えてもよい。こちらの方がエレガントで題意に沿うか?

青がダークマターありの有効ポテンシャル。角運動量が同じ場合,安定な r は小さくなる。

【余談】
銀河のハロー部分には、恒星や星間物質などの「目に見える質量」の10倍以上の質量があることが、渦巻銀河の回転運動の研究から明らかになっている。上の考察はこの問題に応用・発展できる内容といえるかもしれない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年01月22日 21:51
添付ファイル