ベクトル演算の行列化(1)
ベクトルの内積は,行ベクトルと列ベクトルの行列積に他ならない。ベクトル積や微分演算子を含めて,ベクトル演算をすべて行列化してビジュアルにこなしたいというワガママ。拙著
「特殊相対性理論compact」で用いた表記をもとにしている。
ベクトルの内積は,行ベクトルと列ベクトルの行列積に他ならない。
,
とおくとき,
ここで,左肩の
は転置行列を示すものとする。列ベクトルの転置は行ベクトルである。
微分演算子もベクトルとして扱えば,気持ちがいい。以下
などと略記すると,
この企みにおける最初の困難は,ベクトル積であろう。しかし,この困難もベクトルと「双対をなす」反対称テンソルを導入することで解決する。ベクトル
と双対をなすテンソルとは,
で定義される成分をもつ反対称2階テンソルで,
と書ける。左肩の
は,「双対」をとる演算子である。すると,ベクトル積は
となる。
ちなみに,ベクトル積は直積を用いて
と書ける。直積とは,
と定義される,ベクトルからテンソルを構成する演算である。
上の関係を用いると,ベクトル三重積の「BAC-CAB則」がただちに証明できる。
最終更新:2010年10月23日 10:15