半円筒の転がり振子
中身の詰まった半円筒形を水平面上で転がり振動させたときの周期を求める。
手近にあったガラス製半円プリズムで実験したところ0.53sec.
理論値0.66sec. との差が気になる。摩擦なしで滑る場合は理論値0.54sec.なのだが,滑っている様子もない。どこか計算違い?

次の図のように設定する。

傾き角\thetaのときの重心の座標(x,y)および重心の速度(\dot{x},\dot{y})は,

x=R\left(\theta-\frac{4}{3\pi}\sin\theta\right)\qquad,\qquad\dot{x}=R\dot{\theta}\left(1-\frac{4}{3\pi}\cos\theta\right)
y=R\left(1-\frac{4}{3\pi}\cos\theta\right)\qquad,\qquad\dot{y}=R\dot{\theta}\cdot\frac{4}{3\pi}\sin\theta

となる。重心の軌跡はサイクロイドである。なお,半円の重心は円中心から4R/(3\pi)の距離にある。
(パップス-ギュルダンの定理)

一方,重心まわりの慣性モーメントは平行軸の定理により,

I=\left(\frac{1}{2}+\frac{16}{9\pi^2}\right)mR^2

である。ただし,円筒の慣性モーメントmR^2/2を用いた。

初期条件を\theta(0)=\theta_0\,\,\,,\,\,\,\dot{\theta}(0)=0とすると,エネルギー保存により

\frac{1}{2}m(\dot{x}^2+\dot{y}^2)+\frac{1}{2}I\dot{\theta}^2-\frac{4}{3\pi}mgR\cos\theta=-\frac{4}{3\pi}mgR\cos\theta_0
すなわち,
\frac{1}{2}mR^2\dot{\theta}^2\left(\frac{3}{2}+\frac{32}{9\pi^2}-\frac{8}{3\pi}\cos\theta\right)=\frac{4}{3\pi}mgR(\cos\theta-\cos\theta_0)

周期を求めると,

T=\sqrt{\frac{6\pi R}{g}}\int_0^{\theta_0}\sqrt{\frac{\frac{3}{2}+\frac{32}{9\pi^2}-\frac{8}{3\pi}\cos\theta}{\cos\theta-\cos\theta_0}}d\theta

となり,\theta_0\rightarrow 0の極限で,ガラスプリズムの値R=0.045を代入すると,T=0.66sec.となった。

一方,摩擦なしの場合は\dot{x}=0だから,

T=\sqrt{\frac{6\pi R}{g}}\int_0^{\theta_0}\sqrt{\frac{\frac{1}{2}+\frac{16}{9\pi^2}(1+\sin^2\theta)}{\cos\theta-\cos\theta_0}}d\theta

となり,理論値はT=0.54sec.となった。

ガラスプリズムでの測定値は,T=0.53sec.であった。もちろん,見たところ滑りはなく,きれいな転がり振動をしているように見える。

どこか勘違いしているのかもしれないが,まだわからない。

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最終更新:2009年02月16日 22:13
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