ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌

里から森に続く道を歩いていると、向こう側からゆっくりと跳ねてくる
1匹の饅頭が見えた。丸い頭の上に乗った黒い帽子から、まりさ種だとわかる。
その動きはとてもゆっくりとしていて、一歩一歩の跳躍の幅もとても小さなものだ。

ある程度近づいた所で、まりさも近づいてくる人間に気付いた。
このまままっすぐ跳ねて行けば、人間と正面衝突してしまう。
まりさはその場で垂直に跳ねながら、よいしょよいしょと横を向くよう少しずつ回転し
道の脇の土手に跳ねて行こうとしたところで、人間が目の前まで来てしまった。

「ゆ、ゆっくりしていってね!」
「ああ、ゆっくりしていってね」

道の脇の方を向くのにもその場で何回も跳ねなければいけなかったので、
すぐに人間の方を向く事が出来ず、横目で見ながら挨拶をしてくる。
顔には汗のような分泌液が噴出し、明らかに人間を警戒しているようだ。

「そ、それじゃまりさはもういくね?」
「まあ待て」

そそくさと、それで居てゆっくりとした動きで、土手に跳ねようとするまりさ。
跳ねる前の準備動作として体を沈み込ませた所で、その後頭部を掴んで止める。
掴んだ手に、明らかに他のゆっくりとは違うべたべたした感触が伝わり、
思わず跳ねのけてしまった。頬の部分で地面にべたっと落ちるまりさ。

「ゆっ、なにするの!?ゆっくりさわらないでね!」

さっきの感触はなんだったのか、頬の部分を下にして倒れたまま
起き上がろうとしないまりさの顔を恐る恐るつついてみる。

「ゆっゆっ、やめてね、つつかないでね!」
「うっわぁ、こりゃべたべただ」

少し押すと指が皮に沈み込み、引き抜こうとすると指に接触した部分の皮が
うにょ~、と伸びて指について来る。ちょっと伸びたところで、
限界まで伸長した皮が元々あった場所に勢い良く戻って行き、
皮が戻ってきた勢いで表面がぶよよんと波打つと「ゆひんっ」と声を上げる。

ゆっくりの皮はもちもちとして、手に触れれば軽く吸い付くような感触もあるが、
ここまでべったりとくっ付いてくる感触は初めてだった。
今もまりさは頬を地面につけたままの姿勢で、足を少し地面から浮かせているが
そこには砂や葉っぱ、アリのように小さい虫などが沢山くっ付いている。
足の裏もべたべたとして、地面をしっかり蹴る事が出来ないので
ゆっくりとした動きでしか歩けなかったのだろう。

帽子を掴んで手前に引くようにし、まりさを元の姿勢に戻した後、
底面の近くを持ち上げて顔をこちらに向き直させてやる。
体と違って、帽子はそんなにべたべたしていない。
逃げられないと断念したのか、まりさは居づらそうにもじもじとする。

「ゆゆ…にんげんさんはゆっくりできるひと?」
「ああ、お前家族はどうしたんだ?」
「ゆ、ここにはいないけど、もりにいるよ」
「そうか、その、お前の体はべたべたしてるけど、家族もみんなそうなのか?」
「……」

このゆっくりに家族が居るなら、揃ってべたべたしたゆっくりなのだろうか、
疑問に感じて聞いてみると、まりさは俯いて黙ってしまった。
聞いてはいけない事を聞いたのだろうか。人間と饅頭の間に沈黙が流れる。
何か違う事を聞いてみるか、そう思った矢先まりさがぽつぽつと話しだした。

「おかあさんもおねえちゃんも、まりさみたいにべたべたしてないよ
 まりさみたいにべたべたしてるゆっくりは、ゆっくりできないんだって…」
「そうなのか?さっきの歩きを見るに、他のゆっくりよりもよほどゆっくりと跳ねていたけどな」
「ゆ?まりさゆっくりしてる?」
「ああ、多分」

そう答えてやると、少し笑顔になり話を続けてくれた。
このまりさは父親まりさと母親まりさの間に生まれた子供の1匹で、
姉が「たくさん」いたのだそうだ、ゆっくりだから正確な数は覚えていないらしい。



生まれた子供の1匹に触れてみると実にべたべたとしており、親も姉も驚いたそうだが、
親はそのまりさを育てる事を放棄はしなかった。
だが子ゆっくりには、少しでも異常な所があるゆっくりに対して、
たとえそれが自分の姉妹でも執拗に嫌がらせや暴力を行う性質がある。

例によって「こんなゆっくりできないまりさはゆっくりしんでね!」と体当たりもされたが、
ゆっくりの力で押しつぶされても、餅のような皮は破れたりせず、逆に姉の方が
べたべたした肌に引っ付いて離れられなくなり、「な゛んではなれられない゛のぉぉ!?」
と泣き出してしまったそうだ。

親もこのまりさは異常だと、やっかいに思っていたのだろう。
子ゆっくりはもう少しで成体になれる所まで成長すると一人立ちするものだが、
このまりさは子ゆっくりより少し大きい程度に育ったところで

「もうまりさもいちにんまえだね!」
「そうだね、もうりっぱにひとりだちできるよ!」
「ゆっ!?まりさまだおおきくないよ?」
「だまってね!まりさはもうおとなだからでていくんだよ!」

と追い出されてしまった。先に生まれた姉達がまだ誰もひとり立ちしていないのに、である。
姉達も、どんなに体当たりしても全く死なない、気に食わないべたべたまりさが居なくなると
ニヤニヤしながら見送ったのだった。

巣から追い出されたまりさは森をさ迷うが、べたべたした体では素早く動けず、
雑草や花、ゆっくりとしたいも虫くらいしか食べる事ができない。
そんな餌も目の前で他のゆっくりに横取りされ、餌を求めて歩いていたら
この人間の里に通じる道に迷い出たのだそうだ。



「ははあなるほど、大変だったんだな」
「ゆ…」

話して辛い事を思い出してしまったべたべたまりさは、また笑顔を消して俯く。
肌の質感が違うせいで、他のゆっくりは助けてくれないどころか迫害もうけたのだろう。
粘着質な肌には裂傷などは見えないが、投げつけられたのか小さい石が付いている。

この肌、どれくらいくっつくんだろう。
思い立っては試さずに居れぬ。と帽子の先端を掴んで上に持ち上げる。
髪の毛にも粘着性があるのか、帽子にくっ付いた髪が持ち上がり、
髪に引っ張られて頭頂部がにゅー、と上に伸びる。

「ゆっ!?やめてね、まりさのぼうしをひっぱらないでね!」

悲鳴をあげるが、ある程度引っ張ったところで帽子と髪の接着面が剥がれ、
引っ張られていた頭頂部がぶよんと戻って来る。

「かえして!まりさのおぼうしかえして!」

自分の上にある帽子を見上げながら、上下にぼよんぼよんと沈んだり伸びたりするまりさ。
粘着性が強く地面をうまく蹴る事の出来ない足では、帽子に届く跳躍が出来ない。
そのまりさの頬、先ほど地面に落ちて細かい砂が付いている面を押し、
ころんと横向きに転がしてみる。

「ゆ、ゆゆっ?」

今まで経験した事の無い横回転、視界がぐるんと回転して、まりさは心臓が飛び出そうになる。
1回転しただけで涙目ではっはっと息をつくまりさの両頬や横髪、頭頂部には細かい砂が
びっしりと付いている。綺麗な髪が砂だらけになったのが嫌なのだろう、
水を被った犬がするように、全身をぶんぶんと横向きに振って砂を飛ばそうとするが
一向に離れる様子がない。

「ゆうっ!とって!ざらざらとってね!」
「あっはっは」
「なんでわらってるのぉぉ!?ざらざらとって!ぷくぅぅ!」

髪の汚れの不快感に耐えられず、いやいやをするように顔を振るのが微笑ましい。
つい笑ってしまうと頬を膨らませて怒りだした。
肌が餅の様に柔らかいとは言え、頬を膨らませたサイズは他のゆっくりとそう変わらない。
膨らんだ事で下腹部、あごに当たる部分も持ち上がったのでそこに手を当て、

「そいっ」
「!? ゆぶっ!」

ちゃぶ台返しの要領で、今度は縦回転させてみる。
ぐるんと空が下に流れて、上からやって来た地面が顔にかぶさる。
ころんと1回転したまりさの顔面には、やはりびっしりと細かい砂が張り付いていた。
まぶたは閉じたのでゼラチン質の眼球は無事だが、口には少し砂が入ったようだ。

「ぺっ!ぷっぺっ!なにするのぉぉ!?もうざらざらやだぁぁぁ!」

目をうるうるさせて体を横にゆさゆさ揺するまりさ。
人間の子供が手をじたばたさせて、ダダをこねるのと同じような動きなのだろう。
このべたべた肌は面白い。家に持ち帰って砂を洗い流したら飼ってやろうか。
そんな事を考えていると、いつの間にかまりさの背後まで近づいて来ているものがあった。
短い足でもたもたと歩き、ちょっと息が上がっているのか紅潮した顔でニコニコしている。

「うっうー、れっみりゃっだどぅー!にぱー」 ブボボッ!

聞いてもいないのに自己紹介をして、間髪置かず盛大な音の屁をするれみりゃ。
目の前のまりさは、ざらざらとってぇぇ、と泣き叫んでいるので背後の豚には気付いていない。
あまりの光景に何も言えず見ていると、レディーである自分の美しさに声も出ないのだと
勝手に判断したれみりゃはご満悦の表情を見せる。

「れみりゃにぶっでぃん、もっでくるんだどぅ、ぶっでぃ~ん!」
「うっわぁ」

よだれをたらし、ゆさゆさと太った体をゆさぶって踊るれみりゃの汚さに唖然としていると
むう、とふくれっ面になる。
このまま苦情を言ってくるかと思ったら、自分と人間の間でゆんゆんと泣くまりさに目をつけた。

「うー!あっまあま、た~べちゃ~うぞ~」
「ゆゆっ!?」

ゆっくりの餡子の味を知っているれみりゃが、がっしりとまりさを持ち上げ、
後頭部に狙いを定めて口を開く。べたべたまりさには細かい砂が大量についているが、
まったく気付こうともしない。

「あも゛っ!…む゛も゛?む゛っむ゛ー!」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!」

れみりゃの牙がべたべたまりさの後頭部に刺さるが、あまりにももちもちした肌は噛み切れず
さらに髪についていた砂の味に強い不快感を感じるれみりゃ。
吐き出そうとしても、唇にまで強く張り付いたまりさの頭は離れない。

「む゛ん゛む゛──っ!」
「いだい!はな゛ぢでぇぇぇぇ!」

何とか引きちぎろうと、まりさを掴んだ短い両手を一生懸命下にのばすが、
まりさの体はうにょーん、と伸びるばかりである。
さっき指でつついた時はあそこまで伸びなかったのに、他のゆっくりが苦痛や絶望で
餡子の甘みを増すように、べたべたまりさも苦痛で体の餅っぽさを増すのだろうか。

「…………!!」
「も゛うやへ゛て゛え゛ぇぇぇぇぇ!」

一向に口から離れる事のないまりさをほおばったまま、れみりゃの顔色は紫色になっていった。
手に付いたまりさを離そうともがいて暴れるうちに、まりさの体は縦にも横にも伸ばされ
いびつな形の肌色の凧に泣き叫ぶ顔と、いくらかの金髪が生えた不思議な生き物へと変貌している。
これを持ち帰っても、もう元の形には戻せないだろう。

「ゆ゛!?どごいぐの?おいでがな゛いでぇぇぇぇぇ!」

珍しいゆっくりを手に入れられなかったのは残念だが、白目を向いて倒れるれみりゃと
ぎゃあぎゃあと泣き喚く平面まりさはほっといて帰る事とした。


おわり。



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最終更新:2008年10月18日 14:31
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