ゆっくりいじめ系2302 絶対ゆっくり感

注意点







「4232132」
「…423、2132。次」
「3221121」
「…322、1121っと。次」
「3331212」
「…333、1212。次」
少し薄暗くて狭い空間に男二人が沢山のゆっくり達がつまった段ボールに座って作業をしている。
明るい照明と内装のゆっくりショップの店内から一枚壁を隔てた奧の部屋で男達は奇妙な数字を言い交わしていた。
厳密に言えば一方の男が数字を言い、それをもう一方の男が復唱しながら機械にその数字を打ち込んでいるようだった。
先に数字を言う側の男は次から次に段ボールからゆっくりを取り出しては数字をそらんじているようだ。
段ボールから出されたゆっくりは重なり合っていて狭苦しい場所から解放された喜びと独特の浮揚感に頬を綻ばしていたが男達は反応しない。
自分がとてもゆっくりできているのにどうしてゆっくりしないのかととすぐに機嫌を害していたようだが、
すぐさま隣の段ボールに移されまた狭苦しい環境に逆戻りしてあっという間に境遇を嘆いていた。
いちいち感情をころころ変えるゆっくり達に反応していてはこの仕事はやっていけないのだ。
もはや慣れた手つきの流れ作業で男はゆっくりを掴みだし、ある個別の数字を読み上げ、そして別の箱に移す。
客の少ない間にブリーダーから店側に卸されたゆっくり達の選別作業と情報登録を済まさなければならないこともあり、一連の作業は素早く行われていた。

「ふー、ようやく終わったか」
「お疲れ様。今回はちょっとハズレが多かったすね」
「もう今度からあのブリーダーへの発注は止めとこうな」
「当たりも[きれい好き]れいむと[物知り]まりさだけじゃなあ」
「野生でも野良でもそれくらいいるってーの。話にならん」
休憩がてら店の裏手で生まれたての赤ゆをつまみつつお茶を飲みながら愚痴りあう男達。
ゆっくりを見て数字をそらんじていた男は今回入荷したゆっくりのリストを渋い顔をしながら眺めていた。
飼いゆとしてはぎりぎりの水準のレベルであるゆっくり達ばかりでこれからどう販売していくかを考えると頭が痛かった。
男がそらんじた数字、それはゆっくり達のステータスをある基準で数値化したものだった。
数字はそれぞれ[人格Lv]、[身体能力Lv]、[しつけLv]、[耐水性Lv]、[歌唱技能Lv](まりさ種なら[渡水技能Lv]等)、[絶食耐性Lv]、[知能Lv]である
この男はゆっくりを触ればそのゆっくりのステータスが分かる程度の能力を保有しているのだ。
ゆっくりがこの世に出てくるまではまったく意味をなさなかったその能力は今こうしてゆっくりの状況を把握するうえで大活躍している。
人語を話す癖にコミュニケーションはほとんどまともにとれない不思議生物に対して、
直感的にその様子を手に取るように分かるのは便利以外の何者でもない。

男達が行っていた選別作業は店に出すのもそうだが販売するゆっくりのデータベースを作る役割も兼ねていた。
それまでゆっくりを飼いたいと思う客に対して曖昧な販売基準と適当な価格設定だったものが、この男の手により確固たる販売形態へと生まれ変わったのだ。
客側からしてみてもそのゆっくりの性格やら特徴などはっきり分かるので安心して購入できるというものだ。

男は睨んでいたリストから顔を上げると隣の男に告げた。
「とりあえずステータス下位層のゆっくりは入り口正面のケージで投げ売りにしよう。
そうでもなきゃ加工所に持って行ったほうが早い」
男は今回は利益無視の特価での販売を決め込んだ。お得意様の一部には喜ばれるに違いない。
それが次回以降の利益に繋がればいいのだ。
「今回は実験は行わないんです?」隣の男は一応とばかりに尋ねる。
「特にしたいこともないし、今はうちのゆっくりで忙しいからな」
「そういやようやく生まれたんでしたっけ? ゆっくりてるよの子供が」
「ほんとようやくって感じだな。これがまた親に似て可愛いのよ」
その姿を思い浮かべるだけで男の表情は緩んでしまう。
「店のゆっくり共に見せたいぐらいの馬鹿顔になってますよ……」
「あいつらは正直駄ゆっくりだ。商品じゃなきゃ無視してるレベルだよ」隣の男の台詞に再び渋い表情に戻った。
「まったくその落差はひどいもんっすね。もちろんてるよの子供は店には出さないんですよね?」
「当たり前だ。相場の十倍積まれても手放す気はないぞ」
「十倍っててるよってだけで何十万クラスじゃないっすか……。俺なら売っちゃうなー」
「そもそもお前じゃ飼えないだろうが」
「まあそれもそうっすけど」
そう言う苦笑いする隣の男はさっさとゆっくりとお茶を胃に流し込んで店内に戻っていった。
これ以上話を続けていたら飼いゆっくり自慢を長々とされることを経験上理解していたからだ。
話相手もいなくなったゆっくりのステータスを手に取るように分かる男は、
家で待つ飼いゆっくりの様子を思い浮かべながら一人不気味ににやけていた。
そして最後に残った赤ゆを一口に飲み込んでは店に戻っていった。
やはり最後のゆっくりは格段の美味しさを誇った。



その男の稀有な能力は店でゆっくりを売るときはもちろん、家でゆっくりを飼うときも存分に役立っていた。
特にゆっくりてるよ相手にはこれでもかというほど役立つ能力である。
通常ゆっくりてるよは人に懐かない。
それは人間側に問題があるからだ。
てるよは他種のゆっくりと比較すると驚くほど言葉数が少ないことがわかる。
あのとげとげしく耳に触るほどの大声で喋らないどころか必要なことまで「めどい」の一言で飼い主に伝えないのだ。
お腹が減った。遊んで欲しい。お風呂に入りたい。あれがほしいこれがほしい……。
そんなてるよの要求に飼い主は応えないため、てるよが愛想を尽かし出て行ってしまう。
どんな人間でもまずそれを止める事は出来ない。
なぜなら満月の夜に月の明かりに照らされ壁や扉をすり抜けて野生へと戻ってしまうからだ。
そんなてるよですら男は手なずける事に成功した。
それもこの男が持つ能力のおかげである。そしてついには繁殖まで成功してしまったのだ。

男は定時に仕事を済ますと挨拶もそこそこに寄り道もせずに家に向かった。
あまりの可愛さに一時も飼いゆ達と離れたくないのだが働かないと暮らしていけないのも事実なのでやむなく離ればなれになっている。
その為仕事が終われば一目散に帰宅するのがここ最近の日課となっていた。
幸い男が勤める店から家までは歩いても10分と近距離にあるため仕事以外の時間はゆっくり達といることができた。
それでも家を離れる間は飼いゆっくり達だけとなり不安である。
家屋への野生ゆっくりの侵入は後を絶たないし、自宅のガラス窓のすべてを強化ガラスにまだし終えていないからだ。
そしてこの日男の不安は見事的中する事になる。



「ただいまー」
男が自宅に戻ると帰宅の挨拶をする。
いつもならここで飼いゆっくりの一匹であるちぇんが出てくるはずだが一向にその姿を見せない。
静まりかえった室内からくるどこか騒がしい物音を聞き分けると男は異変を感じ取った。
やられた、男がそう思ったのはリビングの窓が破られてガラスが四散しているのを発見したときだ。
荒らされた家具とある方向に向かって伸びている泥の跡をみて胸が締め付けられる。
急に跳ね上がる心拍数は男が大事にしている飼いゆ達の安否が気になったからだ。
外からの侵入者のことはこれっぽっちも気にも留めてなかった。
ひとまずあいつらが無事でいてくれたらそれだけでいい、男の心はそれだけでいっぱいだった。
男は侵入者の足跡を辿りながら、リビングから離れた位置にあるゆっくり達が普段くつろいでいる部屋に静かにその足を進めた。

下部にゆっくり用の入り口が開けられているドアのノブをゆっくり回すとそこには見慣れぬゆっくりがぞろぞろといた。
その部屋に男が入ってきた事に気が付かないでいて、部屋に鎮座している和風ゆっくりハウスDX(家族用)に向かって何やら叫んだり体当たりを繰り返している。
「ゆっくりしてないでこのいえからでていってね!!」
「「「でていってね!!」」」
ゆっくりハウスの前で大声を張っていたのは成体サイズのれいむとその子供と思われる子ゆっくりサイズのれいむ二匹とまりさ一匹だ。
そして男の飼いゆっくり達はどうやらあのハウスの中に逃げ込んでいるようだった。
それでもまだ本人達の姿を見るまでは安心できない。
男はれいむ一家を無視してゆっくりハウスの元に向かった。

「ゆゆっ!! おじさんどこからきたの? れいむたちのゆっくりぷれいすからでていってね」
「「でていってね!!」」
「まりさにあまあまちょうだいね!!」
男がゆっくりハウスの側に立ったとき、ようやくれいむ達は男の存在に気が付いたようだった。
それほどこのハウスに意識を集中させていたようだ。どうもこのゆっくりハウスにはゆっくり達を熱中させて止まない何かがあるらしい。
そんなれいむ達を完全に無視して男はゆっくりハウスの屋根を大胆にも取り外した。
その様子を見てハウスを壊されたと誤解してか、れいむ達はゆがーんと固まってしまった。

「てるよ、ちぇん無事か!?」
「わかるよー、みんなぶじなんだねー」
「それは良かった。ちゃんと言いつけは守ったんだな」
「みんなでここににげたんだよー」
突如開いた天井を不安そうに見上げていたてるよとちぇんは男の顔を見てホッとした表情を見せた。
それでもてるよとその側にいる子供達二匹は震えが止まらない様子だ。
「みんなには心配をかけてすまなかった。でももう大丈夫だからな」
「あんしんなんだねーわかるよー」
てるよも声には出さないが「よかった」と言っているようだ。
念のための確認で飼いゆ一匹一匹を持ち上げて状況を確認する。
「[腹ぺこ][いらいら]か、お腹が空いてるんだな。あとでゆっくりごはんにしような」
まずはてるよの基本的なステータスを確認した。満腹度の低下とストレスの上昇が見られるがあとはいつも通りくらいだ。
男は一応てるよの他のステータスを確認する。
「[令嬢][跳ねない][賢者][美肌][不感症][喋らない][常時睡眠][親愛]」無事普段のステータスだった。
もしゆっくりショップの誰かがこのステータスの羅列を聞いていたら卒倒するだろう。
[てるよ種]という稀少さに加えてこれだけ多くのプラスステータスが加わればとんでもない値段になるからだ。
「ちぇんも確認しておこう。おいで」そういって男はちぇんを目の前まで持ち上げる。
「[一般常識持ち][狩りが得意][偏差値50][タチ][四六時中大声][飾りは飾り][親愛]。ちぇんも問題なしだな」
「わかる、わかるよー」
ちぇんもてるよには劣るがそこそこのステータス持ちである。
好感度ステータスの[親愛]からは男の飼いゆへの溺愛っぷりが見て取れる。



一方その頃男の足下で固まっていたれいむ親子がようやくショックから立ち直り動き始めた。
「どうじでおいえこわじだのおおお」
「「ゆっぐりやべでね!!」
「ゆっぐりでぎないじじいはじね!!」
まったく野生のゆっくり共は一旦動き始めたら騒々しくて堪らない。
男は優しそうな表情から一転、虫でも見るような眼差しでれいむ達を見下ろした。
「なんだまだいたのか。さっさと出て行ってよ。ここは俺とてるよ達の家だからさ」
「なにいっでるの゛!? ごごはれいむ゛だぢのゆっぐりぶれいずっていっだでしょ!!」
「はぁ、あっそう」
男はれいむのあまりの野生のゆっくりっぷりに溜め息をつく。
こういうゆっくりは相手をするだけ無駄というのは重々承知しているのでそうそうに家から出て行って貰う事にする。
「今なら許してやるから出てけ」
そう言って親れいむを持ち上げて部屋の窓を開ける。
するとこの瞬間男の表情が歪む。
男の能力の面倒なところは別にその気は無くても触るだけでそのゆっくりのステータスが分かってしまうところだ。
自分でコントロール出来ないためれいむに触れた時点でれいむの状況がわかってしまう。
「もうほんと絶望的なステータスだな。[わがまま][のんびり屋][餡子脳][四六時中大声][飾りに傷][かすり傷]か」
このステータスのゆっくりではゆっくりショップに来たら間違いなく即加工所送りである。
別に知りたくもないれいむのステータスを知ってしまい男はますます気が滅入る。
「まったく、こんな駄ゆっくりは投げてしまいたいなあ!!」
「おじざんやべでね!! れいむをなげないでね!!」
「おかーさんずるい!!」
「れいむもれいむも」
足下では子れいむ達が母親が人間に遊んで貰っていると勘違いしてこれまたうるさい。
そして子まりさに至っては何故か男に怒っていた。
「ばでぃざをむしずるじじいはごうじでやる!!」そういって効果のない体当たりをかましてきた。

まりさが男の足に体当たりをするとまりさと男は触れたと同義であり、男はこれまた知りたくもないまりさのステータスを知らされる事になる。
「もう勘弁してくれよ。[ゲス][暴れん坊][餡子脳][四六時中大声]……、[他ゆの飾り]?」
なんだこれと男は一旦親れいむを床に置き子まりさを持ち上げる。すると今度は親れいむが男に体当たりをし始めた。
男はそれを無視してまりさのステータスを確認するとやはりおかしなステータスが一つ存在した。
「おいれいむ、このまりさはお前の子供か?」
「ぞうだよ!! ばでぃざをゆっくりおろじでね!!」
親れいむはこのまりさを自分の子供だと言った。だが飾りステータスが[他ゆの飾り]なのだ。
「おいまりさ、この帽子どうした」
男はつまみ上げていたまりさのその帽子を指さしながら言った。
すると男の手の中で暴れていたまりさはあからさまにギクッと驚いてみせた。
「し、しらないんだぜ。まりさはなにもしてないぜ」
まりさは急に態度を変え大人しくなった。それは誰がどうみてもまりさは嘘をついている姿に他ならない。
野生種ならではの狡猾さが見て取れ、男は頭を抱えながらさらにまりさに問うた。
「なら質問を変えよう。お前の前の帽子はどうして無くなった?」
「おねーちゃんのありすとあそんでいるときえださんにひっかかってぼろぼろになったんだぜ。どうしてじじいはなくなったことしってるんだぜ?」
まりさは帽子を無くしてしまったのをなぜ男が知っているのか心底疑問に感じたようだが、それを男は無視して続けた。
「そしたらまりさ、どうしてその帽子が新品なんだ?」
「ゆゆっ、それは……」
子まりさが返答に困ったとき男が思いついた事実であろう推測をこのまりさにぶつけてみる。
「それは本当の持ち主から奪ったんだろ」
「ゆ゛ゆ゛っ、どういうことなのまりさ!!」
「ち、ちがうんだぜ。でたらめだぜ」
「お前はいつからそこのれいむの子まりさとすり替わったんだよ」
「おじざんっ、まりざはまりざじゃないの!?」
「ああ、お前達は気付いていなかったようだが中身が変わってるよ」
「ゆがーん」
「「まりざおねーちゃんはどこいっだの!!」」
れいむ達の衝撃は大きい。いつの間にか自分達の家族であったまりさが中身が変わっていたのだ。
それに気が付かず生活をしていた自分達もそうだが、のうのうと暮らしていた知らないまりさにもショックを受けた。
子れいむの一匹はあまりの出来事に餡子を嘔吐して痙攣しはじめた。
「大方元の持ち主のまりさを殺して奪ったんだろお前のステータスをみりゃ見当が付く。
それにありすおねーちゃんってお前の親はまりさとありすって言ってるのと同じだよな。
やっぱりこのれいむの子供じゃないんだろ」
「ゆがあああああ!! どぼじでぜんぶいっぢゃうのおおおおお!!」
「やっぱりしらないまりさっだったのおおお!! うちのまりさをがえじでええええ!!」
「れいむおねーちゃんしっかりしてええええ」
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
もはや阿鼻叫喚地獄絵図である。
これ以上叫ばれたり部屋を汚されるのは勘弁してほしいので四匹には窓から退場してもらった。
当然言っても聞かないので男が家の外へと放り投げる形ではあったが。
男が窓を閉め切る寸前には親れいむの罵声と餡子の飛び散る音がした。



ようやく一騒動が片付き、男は飼いゆっくり達に目を向ける。
警戒しながらハウスの扉を開けて、ちぇんが先導しながらてるよと子供達が部屋に出てきていた。
「しずかになったんだねー、わかるよー」
ゆっくりショップで購入できるゆっくりハウスの扉は、当たり前だが内から外に開く形になっている。
これは外から押しても扉は開かないことを意味し、頑丈な作りにしておけば頭の悪いゆっくりには一生開けられない屈強な壁となる。
この安心設計のハウスはとてもゆっくりできると巣を持たない飼いゆっくり達には好評で、
その中で寝るとストレスや体力の回復が早まる効果もあることを男は確認している。
「……おなかへった」
「そうだったな、さっそくご飯にしようリビングにおいで」
野生のゆっくりの侵入を許してしまい、そのせいでみんなのご飯の時間が遅れてしまった。
男本人も空腹を覚えていたため、てるよとその子供達を両手に抱えてゆっくりの為の部屋をあとにした。





あとがき
どうもゆっくりっち製作者です。
ゲーム内の人間はこんな能力を持っているのよって訳でSSを書いてみました。
べ、別にゲーム製作に行き詰まったとかじゃないんだからね!!
最後になりましたが勝手にSS内の設定を拝借してしまって、ゆっくりエンザの方すいません。

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最終更新:2009年03月12日 12:48
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